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CGへの扉 Vol.50:脅威論がある一方で公式化する動きも。生成系AIに対する各界の反応

2023.5.16アート

CGへの扉 Vol.50:脅威論がある一方で公式化する動きも。生成系AIに対する各界の反応

遅れてやってきたAIの巨人:Google I/O 2023より

Googleの開発者向けイベント Google I/O 2023 が、2023年5月10日(米国現地時間、日本では11日早朝より)Google本社近くのイベント会場 Shoreline Amphitheatre とライブ配信でハイブリッド開催されました。OpenAIのChatGPT一般公開以来、AIのビジネス展開を進める各社の勢力図が大きく変化してきました。AI研究では規模といい人材といい、いままで先行していた感のあるGoogleも、戦略的なものなのかタイミングを見誤ったのか、自社の検索ビジネスを脅かすほどの現状に危機感を覚え、猛追をかけてきた印象です。

Google I/O の基調講演ではGoogleの広く使われているオンラインドキュメンテーションツールの中から、画像生成AIを呼び出して素材を貼り付けて利用するなど、とても具体的で実感のわくデモがおこなわれました。ただし、よくよくプレゼンテーションを見ると、準備万端の他社のデモと比べて画像が荒いことが目立たないように小さい画面表示に切り替えられているなど、まだ実用に耐えられる段階にはないかもしれません。今回の Google I/O で発表された人工知能を活用したサービスは次のとおりです。

  1. Magic Compose : AIが返信メールの文面全部を提案してくれる。従来からあった短い返信文を提案する機能の高機能版
  2. Magic Editor:Googleフォトで提供されていた「消しゴムマジック」の進化版。物体を消すだけでなく移動したり色合い変更が可能
  3. Duet AI:Google Workspace利用者向け仕事支援AI、またクラウド開発者支援AI
  4. PaLM 2:次世代の大規模言語モデル。従来よりも高速かつ効率が増し、4サイズあるモデルのうち最小のものはモバイルデバイス上で動作する
  5. Bard:チャットAIが試験運用ながらも日本語をふくむ180ヶ国語で利用可能に。大規模言語モデルに加えて最新の検索結果も利用されている
  6. Google Labs:研究開発中のAI関連技術を次々とプレビュー公開。検索結果にも生成系AIの回答が反映される事例もあり

一連のプロダクト名に “Magic” というのが多く見られ、アイコンデザインは、妖精の魔法の粉が光っているようなダイヤモンド型が描かれるなど、AI =「魔法」というブランドイメージが醸成されつつあることにも着目です。これはGoogleに限らず、他社のAIプロダクトでも同様に魔法を想起させる表現によるブランディングが進んでいます。

人工知能利用の際、守るべき7か条

Googleが提唱するAIの7原則

Googleは2018年AI活用において守るべき7つの原則をまとめました。これは Google I/O 2023 の中でも言及され、Google AI活用に対する考え方を再確認し、世の中に示すとともに、ほかのAI活用企業に対してもこの原則を意識するよう示し、業界を牽引する役目を果たそうとしていることもみてとれます。

Google AI Principles
Google と AI : 私たちの基本理念

  • 社会にとって有益である
  • 不公平なバイアスの発生、助長を防ぐ
  • 安全性確保を念頭においた開発と試験
  • 人々への説明責任
  • プライバシー・デザイン原則の適用
  • 科学的卓越性の探求
  • これらの基本理念に沿った利用への技術提供

その一方、Google AIの良心と言われていた、人工知能研究の第一人者ジェフリー・ヒントン氏が所属組織での立場に左右されずに自由に発言できるよう、2023年5月初めにGoogleを退社しました。AI関係各社の熾烈な競争と経済原理、世界各国の法制度との関係性など、AIの活用と抑制とのバランスが不均衡でまだまだ整備されておらず不安定な状態であることは確かです。

生成系AIへの心情

ここ一年、いいえここ数か月の圧倒的な生成系AIの進化にともない、状況が混乱しているのも確かです。自分の創作物が機械学習データとして勝手に利用され、生成系AIで意図しない、作風のとても似た作品が生み出されてしまう事例もでてきます。極端な例としては、作家自身が描いた作品をもとに機械学習で最適化をおこない、生成系AIで素材を作り出すという著作権に問題ないと考えられる作品さえもある一定数の人にとっては批判の対象となっていることです。

いまだ人類が出会ったことがない状況に、権利や法制度が追いついておらず、心情的に納得がいく、いかないといった人々の想いが平行線をたどっている状況です。また、大学などの教育機関、各企業でも積極的にAIを活用し始めるところと、ルールを定義しそれを表明するところ、一律に禁止するところと明暗が分かれてきています。

AI生成作品に対する、FANBOXにおける今後の対応
https://official.fanbox.cc/posts/5932126
「大量に作成されたコンテンツを販売することのみを目的に利用されることが多い」

武蔵野美術大学:生成系人工知能(生成AI)についての学長からのメッセージ
https://www.musabi.ac.jp/news/20230511_03_01/

東京大学:生成系AI(ChatGPT、BingAI、Bard、Midjourney、Stable Diffusion等)について
https://utelecon.adm.u-tokyo.ac.jp/docs/20230403-generative-ai

生成系AIを正しく理解し、ルールや活用方法、セキュリティへの対処などをはっきりした上で積極的に活用しようとする教育機関や企業がある一方で、全面的に禁止してしまう企業や教育機関もあり、未知のものに対して様子見するという立場も、ある意味では納得のいくものです。現時点ではどちらが良い悪い、どちらが正解という答えはありません。ありとあらゆる事柄にAIが影響を与えはじめている今の状況は、誰にも止められないということが明白です。

ここにきて「公式化」の流れ

オープンソースのソリューションから、OpenAIのAIを呼んでいるものまで、さまざまな活用事例が乱立してきています。最近の傾向として、多くのユーザーに利用されているツールが「公式」に OpenAIのGPTをはじめとするAI技術を密に取り込んできたことです。Slack、Box、Zoom、Miroなど、正直なところAIとは縁遠いと思えるツールさえも積極的にAI技術を取り込んできました。

こうなると、ChatGPTを脅威と考え静観してきた企業や教育機関なども、すでに導入済みのツールから、従来ツールの延長線上の機能としてAIが活用できるわけです。もちろん企業内のルールや、管理者による設定が必要ではありますが、利用の敷居が低くなるのは確かです。

また、ここにきて大手ツールベンダーが軒並み「公式」の生成系AIツールを展開しはじめました。この「公式」AIツールを使って生成した素材や成果物の権利がクリアになっており、仕事の際、大手を振って使えると考える人が多いと思われます(だとしても心情的に納得がいかない人もいるでしょう)。

◆Microsoft Designer:Microsoftの画像生成系AI、ドキュメントやプレゼンテーションで使う素材の生成を想定

https://designer.microsoft.com/

Microsoftの画像生成AI、Microsoft Designer がウェイティングリストで待つことなしに、Microsoft アカウントでログインすれば、誰でも利用できるようになりました。Microsoft Designer では、生成系AIへの曖昧なプロンプトや、指示を違った時によくあるでのヘンテコな画像は提示されず、画像素材としてすぐに使えるものが複数生成される印象です。

一方、指定したプロンプトの特徴は捉えているもののフォトストックの素材写真のように印象が薄く感じてしまうのも確かです。Microsoft Designerは一般的な生成系AIのようにプロンプトに技巧を凝らさずとも、各種パラメータが一般的利用目的に設定済みで比較的少ないキーワードでも実使用に耐えうる良質な画像が提示されるのが使いやすい点でもあります。

◆Adobe Firefly:Adobe公式のジェネレーティブAI、より柔軟な生成系AIとしてAdobe Creative Cloudの1ツールとして位置付けられる

https://www.adobe.com/jp/sensei/generative-ai/firefly.html

Fireflyを活用すると、いままで必要な素材写真をストックフォトから必死で探していた作業時間なしで、画像を生成で済むようになります。また、試作品や作成中のデザインに「仮」の画像や写真を用意する時、短時間で的確な素材画像を用意できるようになります。画像生成だけでなく動画編集機能も充実しており、BGMを追加したり色合いの変更、字幕の追加、3Dタイトル文字の追加、別アングルの動画を作成したりと、制作の手助けをしてくれることは確かです。

◆PhotoshopとLightroom:写真編集ツールである両ツールにAIを活用したノイズ除去機能を搭載

https://www.adobe.com/jp/products/photoshop-lightroom/edit-photos.html

これまでもAIを活用したノイズ除去の専用ツールはいくつか存在していましたが、Photoshopのような主流ツールが同様の機能を搭載すると、多少の機能や性能の差はあれど、活用の場は圧倒的に広がります。単独、単機能しか持たないAIツールはその活躍の場を失うかもしれません。

◆Adobe Premiere Pro:動画編集ツールで、文章で動画編集の指示を与えられるように

https://www.adobe.com/jp/creativecloud/video/discover/ai-video-editing.html

動画編集ツールとして定番の Adobe Premiere Pro で、AIによって動画からの文字起こしを行い、その文章を編集することで動画も素早く編集できる機能が搭載されました。まるで専属のYouTube動画編集者を雇ったかのように!と言うと大げさかもしれませんが、従来ボタンやメニュー操作を繰り返し時間をかけて試行錯誤してきた操作が、文章の編集だけで目的を達せられるという流れは、そのほかのツールでも広がることが予感されます。

◆Canva AI:Webブラウザで使用できるデザイン作成ツールの中の一機能として生成系AIが利用できるように

https://www.canva.com/ja_jp/ai-image-generator/

Canvaでは、デザイン制作の際に活用できる画像や写真を生成系AIへ指示する文章、いわゆるプロンプトが入力時に自動レビューされ、不適切なコンテンツ、品質が低すぎるコンテンツが極力生成されないよう、何重にも対策が組み込まれているそうです。ここでもフォトストックやインターネット上で画像を探し、権利関係が曖昧なものを利用するよりも生成してしまった方が作業が早いという状況が生み出されています。

ほかにも、従来より存在するツールの機能が、AIの性能向上とともに品質やスピードなども飛躍的に向上しつつあります。画像編集ツールPixelmator Photoでは、背景とオブジェクトや人物を自動的に見分けて色調整する機能、英文校正ツールGrammarlyでは、文章の校正や適切な言い回しの推奨にAIが活躍しています。

過去のクリエイティブの重層に畳み掛けるAI

OpenAI ChatGPT4 の知識は2021年9月までの情報を反映しています。画像や動画の生成系AIも、既存の画像素材、写真素材、誰かが描いたもの、誰かが撮影したものを機械学習の元データとしています。もちろん機械学習用にデータをわざわざ用意して最適化している部分もあるでしょうし、そのために膨大な費用と膨大な人手がかかっている部分もあるかもしれません。ある日、生成系AIが作成する文章、画像、写真、動画だけで十分だと考えて、まったく新しい創作がなされなくなったらいったいどうなるのでしょう? AIが生成する大量の生成物によって、人間の創作物が見つけられないほどの物量で圧倒されたらどうなるでしょう?

画像投稿によって収益を得るサイトが、画像データをAIの機械学習で用いられることを禁じる傾向に向かっています。学術論文サイトが購読料を支払った研究者にしか論文を公開せず、AIでの利用を禁じたらどうなるでしょう。Twitterが、投稿されたツイートの提供を禁じる、または膨大な費用を請求すると、最新の現実社会で用いられる生々しい言葉遣いが反映しなくなることでしょう。

もし、ある日突然、生成系AIによる文章、画像、写真、動画だけが世界を満たし、人間による新たな創作が皆無になったら、我々の世界はどう変わってしまうのでしょうか? 今は亡き作家の最新作が人工知能の生成系AIによって読めるかもしれませんが、ありとあらゆるコンテンツが全てどこかで見たことがある、読んだことがあるようなものになってしまう世界です。もはや人間の手による新たな創造性が必要とされなくなった未来を想像してみてください。その結果として生まれる世界はどのようなものになるのでしょうか?

過去に起こったこととして、新しい楽器が生まれることで、新しい音楽のジャンルが生まれたり、とある電子楽器の登場により、メーカーの考える以上の使い方が編み出され、世界中で新しいタイプの音楽が生まれたり、安価で発色の良い絵の具や表現力豊かな筆が生まれたことで、創作者の裾野が広がったり。あるいは最強の囲碁AIの登場で、人間の囲碁プレイヤーがまだ見つけていなかった定石が編み出されたりと、世の中はさまざまな因果関係が巡り巡って創作活動につながっており、じつは生成系AIの登場もその一つに過ぎないのかもしれないと考えています。

本連載の今後の予定:「CGへの扉」では、単なるAIの話題とは少し異なり、CG/VFX, アートの文脈から話題を切り取り紹介していきます。映像制作の現場におけるAI活用や、AIで価値が高まった先進的なツール、これからの可能性を感じさせるような話題、テクノロジーの話題にご期待ください。何か取り上げて欲しいテーマやご希望などがございましたら、ぜひ編集部までお知らせください。

CGへの扉

Vol.49:AI時代の勝者NVIDIA #GTC2023 レポート

Vol.48:頭の中を映像化

Vol.47:Gen-1登場。映像が映像を作る時代に

Vol.46:AIを活用したCG論文紹介 #SIGGRAPHAsia2022 より

Vol.45:大規模言語モデルChatGPTは仲間?ライバル?

Vol.44:AdobeMAX2022開催。SneaksよりAI活用の方向性を知る

Vol.43:AI絵師は3DCGの領域へ

Vol.42:現代の呪文promptが生み出すAIとの新しい関係性

Vol.41:AIが促進させるCG研究。SIGGRAPH2022論文より

Vol.40:知見の宝庫。MITの機械学習オンラインコース

Vol.39:言葉から生み出されるアートとは?

Vol.38:AIで作りAIで届ける映像作品

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Contributor:安藤幸央

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