モリカトロン株式会社運営「エンターテインメント×AI」の最新情報をお届けするサイトです。

TAG LIST
CGCGへの扉機械学習安藤幸央ディープラーニング月刊エンタメAIニュースGAN河合律子OpenAINVIDIA音楽吉本幸記ニューラルネットワーク三宅陽一郎強化学習GoogleQAグーグルDeepMindGPT-3Facebook自然言語処理人工知能学会大内孝子森川幸人敵対的生成ネットワークシナリオキャラクターAIスクウェア・エニックスモリカトロンAIラボインタビューマイクロソフトルールベースStable DiffusionAIと倫理アート映画デバッグNFTDALL-E2StyleGAN倫理ゲームプレイAI自動生成SIGGRAPHモリカトロンメタAIテキスト画像生成ロボット深層学習ファッションCEDEC2019プロシージャルVFXデジタルツイン遺伝的アルゴリズムテストプレイNPCDALL-ECLIP画像生成大規模言語モデルChatGPTビヘイビア・ツリーディープフェイクCEDEC2021CEDEC2020ゲームAIメタバース不完全情報ゲームVRナビゲーションAI画像生成AIボードゲーム畳み込みニューラルネットワークGDC 2021JSAI2022生成系AIAdobeGDC 2019マルチエージェントCEDEC2022著作権AIアート懐ゲーから辿るゲームAI技術史toioジェネレーティブAICNNMicrosoftNVIDIA OmniverseUnity小説アニメーション鴫原盛之HTN階層型タスクネットワークマンガ汎用人工知能JSAI2020GTC2023TensorFlowインタビューバーチャルヒューマンBERTMidjourneyイベントレポート対話型エージェントAmazonロボティクスMetaMinecraft水野勇太アバターOmniverse3DCGUbisoftGenvid TechnologiesガイスターStyleGAN2GTC2022教育ソニーJSAI2021スポーツ研究シムピープルMCS-AI動的連携モデルマーケティングGDC SummerLLMブロックチェーン作曲アストロノーカキャリアeスポーツスタンフォード大学サイバーエージェント音声認識eSportsDQNBLUE PROTOCOLシーマンStability AIメタAlphaZeroTransformerGPT-2rinnaAIりんなデジタルヒューマンカメラ環世界中島秀之PaLM哲学ベリサーブPlayable!理化学研究所SIGGRAPH ASIANetflix東京大学DARPAドローンシムシティImagenZorkバイアスモーションキャプチャーTEZUKA2020AI美空ひばり手塚治虫テキスト生成バンダイナムコ研究所スパーシャルAIElectronic Arts3DメタデータLEFT 4 DEAD通しプレイOpenAI Five本間翔太CMAudio2Faceピクサープラチナエッグイーサリアムボエダ・ゴティエビッグデータ中嶋謙互Amadeus Codeデータ分析Microsoft AzureMILE模倣学習ナラティブNVIDIA RivaアーケードゲームOmniverse ReplicatorWCCFレコメンドシステムNVIDIA DRIVE SimWORLD CLUB Champion FootballNVIDIA Isaac Simセガ柏田知大軍事田邊雅彦トレーディングカードトレカメディアアートGPTPyTorch眞鍋和子バンダイナムコスタジオaibo合成音声齊藤陽介マインクラフトお知らせMagic Leap Oneチャットボットサルでもわかる人工知能VAEDreamFusionリップシンキングUbisoft La Forge自動運転車ワークショップ知識表現ウォッチドッグス レギオンIGDA秋期GTC2022市場分析どうぶつしょうぎEpic Gamesジェイ・コウガミ音楽ストリーミングMITAIロボ「迷キュー」に挑戦AWS野々下裕子徳井直生マシンラーニング5GMuZeroRival Peakpixivクラウド対話エンジン斎藤由多加リトル・コンピュータ・ピープルCodexコンピューティショナル・フォトグラフィーゴブレット・ゴブラーズ絵画ARMicrosoft Designerイラストシミュレーション完全情報ゲーム坂本洋典釜屋憲彦ウェイポイントパス検索対談藤澤仁生物学GTC 2022画像認識GPT-3.5SiemensStyleCLIPDeNA長谷洋平masumi toyota宮路洋一OpenSeaGDC 2022Gen-1TextWorldEarth-2BingMagenta音楽生成AISFELYZA Pencil松尾豊GTC2021CycleGANテンセントデータマイニングNetHackはこだて未来大学Bardキャラクターモーションフェイクニュース現代アートエージェントRPGSIGGRAPH 2022レベルデザインAIボイスアクターNVIDIA CanvasGPUALife人工生命オルタナティヴ・マシンサウンドスケープLaMDATRPGAI DungeonプロンプトASBS栗原聡ぱいどんアドベンチャーゲーム不気味の谷ナビゲーションメッシュ松井俊浩ELYZAフルコトELYZA DIGEST建築音声合成NeRF西成活裕Apex LegendsELIZA群衆マネジメントライブポートレイトNinjaコンピュータRPGライブビジネスWonder Studioアップルタウン物語新型コロナ土木KELDIC周済涛BIMメロディ言語清田陽司インフラゲームTENTUPLAYサイバネティックスMARVEL Future FightAstro人工知能史Amazon BedrockタイムラプスEgo4DAI哲学マップイーロン・マスクバスキア星新一X.AI日経イノベーション・ラボStyleGAN-XLX Corp.敵対的強化学習StyleGAN3Twitter階層型強化学習GOSU Data LabGANimatorXホールディングスWANNGOSU Voice AssistantVoLux-GANMagi竹内将SenpAI.GGProjected GANStable Diffusion XLMobalyticsSelf-Distilled StyleGANSDXL馬淵浩希CygamesニューラルレンダリングRTFKT岡島学AWS SagemakerPLATONIKE映像セリア・ホデント形態素解析frame.ioClone XUXAWS LambdaFoodly村上隆誤字検出森山和道認知科学中川友紀子Digital MarkゲームデザインSentencePieceアールティSnapchatLUMINOUS ENGINEクリエイターコミュニティLuminous ProductionsBlenderBot 3バーチャルペットパターン・ランゲージ竹村也哉Meta AINVIDIA NeMo Serviceちょまどマーク・ザッカーバーグヴァネッサ・ローザGOAPWACULVanessa A RosaAdobe MAX 2021陶芸自動翻訳Play.ht音声AIAIライティングLiDAROmniverse AvatarAIのべりすとPolycamFPSQuillBotdeforumマルコフ決定過程NVIDIA MegatronCopysmith動画生成AINVIDIA MerlinJasperハーベストNVIDIA MetropolisForGamesパラメータ設計テニスゲームマーケットバランス調整岡野翔太協調フィルタリング郡山喜彦人狼知能テキサス大学ジェフリー・ヒントンGoogle I/O 2023AlphaDogfight TrialsAI Messenger VoicebotGoogle I/OエージェントシミュレーションOpenAI Codex武蔵野美術大学StarCraft IIHyperStyleMax CooperBingAIFuture of Life InstituteRendering with StyleIntelDisney類家利直FireflyLAIKADisneyリサーチヴィトゲンシュタインPhotoshopRotomationGauGAN論理哲学論考LightroomGauGAN2京都芸術大学Canvaドラゴンクエストライバルズ画像言語表現モデルChatGPT4不確定ゲームSIGGRAPH ASIA 2021PromptBaseBOOTHDota 2モンテカルロ木探索ディズニーリサーチpixivFANBOXMitsuba2バンダイナムコネクサス虎の穴ソーシャルゲームEmbeddingワイツマン科学研究所ユーザーレビューFantiaGTC2020CG衣装mimicとらのあなNVIDIA MAXINEVRファッションBaidu集英社淡路滋ビデオ会議ArtflowERNIE-ViLG少年ジャンプ+グリムノーツEponym古文書ComicCopilotゴティエ・ボエダ音声クローニング凸版印刷コミコパGautier Boeda階層的クラスタリングGopherAI-OCRゲームマスター画像判定Inowrld AIJuliusSIE鑑定ラベル付けMODTPRGOxia Palus大澤博隆Ghostwriterバーチャル・ヒューマン・エージェントtoio SDK for UnityArt RecognitionSFプロトタイピングSkyrimクーガー田中章愛実況パワフルサッカースカイリム石井敦銭起揚NHC 2021桃太郎電鉄RPGツクールMZ茂谷保伯池田利夫桃鉄ChatGPT_APIMZGDMC新刊案内パワサカダンジョンズ&ドラゴンズマーベル・シネマティック・ユニバースコナミデジタルエンタテインメントOracle RPG成沢理恵MITメディアラボMCU岩倉宏介深津貴之アベンジャーズPPOxVASynthマジック・リープDigital DomainMachine Learning Project CanvasLaser-NVMagendaMasquerade2.0国立情報学研究所TencentノンファンジブルトークンDDSPフェイシャルキャプチャー石川冬樹MERFサッカーモリカトロン開発者インタビュースパコンAlibaba里井大輝Kaggle宮本茂則スーパーコンピュータVQRFバスケットボール山田暉松岡 聡nvdiffrecAssassin’s Creed OriginsAI会話ジェネレーターTSUBAME 1.0NeRFMeshingSea of ThievesTSUBAME 2.0LERFGEMS COMPANYmonoAI technologyLSTMABCIマスタリングモリカトロンAIソリューション富岳TikTok初音ミクOculusコード生成AISociety 5.0リアム・ギャラガー転移学習テストAlphaCode夏の電脳甲子園グライムスBaldur's Gate 3Codeforces座談会BoomyCandy Crush Saga自己増強型AItext-to-imageジョン・レジェンドSIGGRAPH ASIA 2020COLMAPtext-to-3Dザ・ウィークエンドADOPNVIDIA GET3DドレイクデバッギングBigGANGANverse3DMaterialGANRNNグランツーリスモSPORTAI絵師ReBeLグランツーリスモ・ソフィーUGCGTソフィーPGCVolvoFIAグランツーリスモチャンピオンシップNovelAIRival PrakDGX A100NovelAI DiffusionVTuberユービーアイソフトWebcam VTuberモーションデータ星新一賞北尾まどかHALOポーズ推定将棋メタルギアソリッドVフォートナイトメッシュ生成FSMメルセデス・ベンツRobloxMagic Leapナップサック問題Live NationEpyllion汎用言語モデルWeb3.0マシュー・ボールAIOpsムーアの法則SpotifyスマートコントラクトReplica StudioamuseChitrakarQosmoAdobe MAX 2022巡回セールスマン問題Adobe MAXジョルダン曲線メディアAdobe Research政治Galacticaクラウドゲーミングがんばれ森川君2号和田洋一リアリティ番組映像解析Stadiaジョンソン裕子セキュリティMILEsNightCafe東芝デジタルソリューションズインタラクティブ・ストリーミングLuis RuizSATLYS 映像解析AIインタラクティブ・メディアポケモン3DスキャンPFN 3D Scanシーマン人工知能研究所東京工業大学Ludo博報堂Preferred NetworksラップPFN 4D ScanSIGGRAPH 2019ArtEmisZ世代DreamUpAIラッパーシステムDeviantArtWaifu DiffusionGROVERプラスリンクス ~キミと繋がる想い~元素法典FAIRSTCNovel AIチート検出Style Transfer ConversationOpen AIオンラインカジノRCPアップルRealFlowRinna Character PlatformiPhoneCALADeep FluidsSoul Machines柿沼太一MeInGameAmeliaELSIAIGraphブレイン・コンピュータ・インタフェースバーチャルキャラクターBCIGateboxアフォーダンスLearning from VideoANIMAKPaLM-SayCan予期知能逢妻ヒカリセコムGitHub Copilotユクスキュルバーチャル警備システムCode as Policiesカント損保ジャパンCaP上原利之ドラゴンクエストエージェントアーキテクチャアッパーグラウンドコリジョンチェックPAIROCTOPATH TRAVELER西木康智OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者山口情報芸術センター[YCAM]アルスエレクトロニカ2019品質保証YCAMStyleRigAutodeskアンラーニング・ランゲージ逆転オセロニアBentley Systemsカイル・マクドナルドワールドシミュレーターローレン・リー・マッカーシー奥村エルネスト純いただきストリートH100鎖国[Walled Garden]​​プロジェクト齋藤精一大森田不可止COBOLSIGGRAPH ASIA 2022高橋智隆DGX H100VToonifyロボユニザナックDGX SuperPODControlVAE泉幸典仁井谷正充クラウドコンピューティング変分オートエンコーダーロボコレ2019Instant NeRFフォトグラメトリartonomous回帰型ニューラルネットワークbitGANsDeepJoinぎゅわんぶらあ自己中心派Azure Machine LearningAzure OpenAI Service意思決定モデル脱出ゲームDeepLHybrid Reward Architectureコミュニティ管理DeepL WriteウロチョロスSuper PhoenixSNSProject Malmoオンラインゲーム気候変動Project PaidiaシンギュラリティProject Lookoutマックス・プランク気象研究所レイ・カーツワイルWatch Forビョルン・スティーブンスヴァーナー・ヴィンジ気象モデルRunway ResearchLEFT ALIVE気象シミュレーションMake-A-Video長谷川誠ジミ・ヘンドリックス環境問題PhenakiBaby Xカート・コバーンエコロジーDreamixロバート・ダウニー・Jr.エイミー・ワインハウスSDGsText-to-ImageモデルYouTubeダフト・パンクメモリスタ音声生成AIGlenn MarshallScenarioThe Age of A.I.Story2Hallucination音声変換LatitudeレコメンデーションJukeboxAIピカソVeap JapanAI素材.comEAPneoAISIFT福井千春DreamIconDCGAN医療mignMOBADANNCEメンタルケアstudiffuse人事ハーバード大学Edgar HandyAndreessen Horowitz研修デューク大学AIQVE ONEQA Tech Nightmynet.aiローグライクゲーム松木晋祐東京理科大学下田純也人工音声NeurIPS 2021産業技術総合研究所桑野範久リザバーコンピューティングプレイ動画ヒップホップ対話型AIモデルソニーマーケティングControlNetサイレント映画もじぱnoteNBA環境音暗号通貨note AIアシスタントFUZZLEKetchupAlterationAI News粒子群最適化法Art Selfie進化差分法オープンワールドArt Transfer群知能下川大樹AIFAPet Portraitsウィル・ライト高津芳希P2EBlob Opera大石真史クリムトBEiTStyleGAN-NADA世界モデルDETRゲームエンジンDreamerV3SporeUnreal Engineクリティックネットワークデノイズ南カリフォルニア大学Unity for Industryアクターネットワーク画像処理DMLabSentropyGLIDEControl SuiteCPUDiscordAvatarCLIPAtari 100kSynthetic DataAtari 200MCALMYann LeCunプログラミングサム・アルトマン鈴木雅大ソースコード生成コンセプトアートGMAIシチズンデベロッパーSonanticColie WertzGitHubCohereリドリー・スコットウィザードリィMCN-AI連携モデルマジック:ザ・ギャザリング絵コンテUrzas.aiストーリーボード介護大阪大学西川善司並木幸介KikiBlenderサムライスピリッツ森寅嘉Zoetic AIゼビウスSIGGRAPH 2021ペットGPT-4ストリートファイター半導体Digital Dream LabsPaLM APITopaz Video Enhance AICozmoMakerSuiteDLSSタカラトミーSkeb山野辺一記NetEaseLOVOTDreambooth-Stable-Diffusion大里飛鳥DynamixyzMOFLINゲーム背景RomiGoogle EarthU-NetミクシィGEPPETTO AI13フェイズ構造ユニロボットStable Diffusion web UIADVユニボPoint-EXLandGatoアパレルAGIAI model手塚眞DEATH STRANDINGマルチモーダルAI ModelsEric Johnson汎用強化学習AIZMO.AIデザインMOBBY’SOculus Questコジマプロダクションロンドン芸術大学モビーディック生体情報デシマエンジンGoogle BrainダイビングインディーゲームSound Controlアウトドア写真高橋ミレイSYNTH SUPERAIスキャニング照明Maxim PeterKarl Sims自動採寸Joshua RomoffArtnome3DLOOKハイパースケープICONATESizer山崎陽斗深層強化学習ワコール立木創太松原仁スニーカー浜中雅俊UNSTREETミライ小町武田英明Newelseテスラ福井健策CheckGoodsGameGAN二次流通パックマンTesla BotNEDO中古市場Tesla AI DayWikipediaDupe Killerソサエティ5.0Sphere偽ブランドSIGGRAPH 2020バズグラフXaver 1000配信ニュースタンテキ養蜂東芝Beewiseソニー・ピクチャーズ アニメーションDIB-R倉田宜典フィンテック投資Fosters+Partners韻律射影MILIZEZaha Hadid Architects広告韻律転移三菱UFJ信託銀行

ボードゲーム、ビデオゲーム、そしてAIはどう融合していくのか:復刻版『ハーベスト』発売記念鼎談

2023.5.08モリカトロン

ボードゲーム、ビデオゲーム、そしてAIはどう融合していくのか:復刻版『ハーベスト』発売記念鼎談

知る人ぞ知る、伝説のボードゲーム『ハーベスト』は1990年代に森川幸人さんが開発に携わったゲームです。この5月にボードゲームレーベル「ForGames」から復刻版が発売されることが決まりました。発売を記念して、今回、ForGamesの岡野翔太さん、郡山喜彦さんをゲストにお招きし、森川幸人さんとボードゲーム、ビデオゲーム、そしてAIについて語っていただきました。

東海道新幹線の中で販売されていた『ハーベスト』

オリジナル版の『ハーベスト』。いまとなっては入手がとても難しい

森川幸人(以下、森川):今日はよろしくお願いいたします。まず、よくご存知でしたね。なぜ、いま『ハーベスト』にアクセスできたのかも逆に不思議でしょうがないです。お二人の年齢的に『ハーベスト』に出会うのはギリギリだったのではないかなと思うのですが。

郡山喜彦(以下、郡山):小さい頃に親から買ってもらって、本当に好きで家族旅行に行くときにいつも持っていっていました。この前、久しぶりに開けたら切符が入っていました。

森川:実は、『ハーベスト』はゲームショップやおもちゃ売り場で売っていたわけじゃなかったんです。出張帰りのお土産として東海道新幹線の中や駅構内のキヨスクで販売されていました。当時、新幹線の車内販売にお土産用のおまんじゅうなどはあったけど、子ども向けのお土産がなかったんです。子どもが喜びそうなゲームが作れないかとJRのほうから話が来て開発することになったのです。確か、3種類くらい出たと思います。『ハーベスト』はそのうちのひとつですね。

郡山:この前に『J-Runner』というゲームがあって、第3弾がオリジナルの遊び方のルールが付いたちびまる子ちゃんのトランプ。それで終わってしまったのですが、『ハーベスト』が一番おもしろいですね。

森川:その頃、クリエイター集団の「ウルトラ」という会社を作ってて『ウゴウゴ・ルーガ』のCGを作ったりしていました。そのころ、石原恒和さん(株式会社ポケモン代表取締役社長・CEO)から、カードゲームを作らないかという話をいただきました。だから、森川個人と言うより、ウルトラのメンバーで作ったゲームです。ちなみに石原さんは大学の先輩で、当時は、後に『MOTHER2 ギーグの逆襲』のグラフィックスやポケモンカードをデザインした大山功一くんたちと一緒に、本当に毎日、夜な夜なボードゲームをやっていました。その中で話が来て、作ったという流れです。

郡山:ドイツゲームの系譜があっての『ハーベスト』なのですね。僕はボードゲームを始めて15年くらいになりますが、『ハーベスト』はずっと遊び続けていたゲームです。ボードゲームの仲間にもおもしろいよと勧めていました。僕は90年代のゲームに興味があるほうですが、いまのボードゲームを好きだという人も実際に『ハーベスト』を遊んでみると、これおもしろいね、買いたいみたいな話になりますね。ただ、絶版でずっと買えない状態で、それこそ、これが再販されたらいいなと思っていました。今回、満を持してForGamesとして第1弾をこれでいこうと。

リニューアル版の『ハーベスト』。ゲームマーケット2023春にForGamesのブース(B10)にて先行販売

『ハーベスト』紹介ページ

森川:実は、これまで3社くらいから打診は受けていたんです。でも、どうしましょうかね…と言いながらフェードアウトしていく中、一番前のめりに来ていただいたのがお二人で、これはうまくいくかなと感じました。ところで、岡野さんと郡山さんはどういうキッカケでゲームレーベルの立ち上げに至ったのですか?

岡野翔太(以下、岡野):同じくらいに会社を辞めたんですよね(笑)

郡山:私はSAPIXという進学塾に勤めていましたが、ボードゲームが好きすぎて辞めたんです(笑)

岡野:それまではボードゲーム友達でしたね。私はもともとアークライトというボードゲームのパブリッシャーに勤めていたんです。退職して1年くらいは個人でボードゲーム関連の編集や翻訳、校正・校閲などをやっていたのですが、郡山さんと一緒にやったら何か別のことができるのではないかと、1年半くらい前にForGamesというレーベルを立ち上げました。そこから色々な活動をして、ForGamesという名前を出して活動するようになったのが、今年に入ってからです。

“いま風”に遊び方をリバイス

マスに野菜のカードを並べ、同じ野菜3枚が1列になったら収穫ができる

森川:ざっくり言うと『ハーベスト』は畑に見立てたボードのマスに収穫物である野菜カードを順番に好きな場所に置いていって、同じ野菜が縦横斜めのいずれかに3枚以上並んだらそれらを収穫できるという遊びで、収穫される野菜の内、自分の自分の畑の分だけが手に入るというゲームですが、今回の『ハーベスト』では一人用のルールが追加されていますよね。これはお二人の追加された遊びですね。

郡山:そうですね。最近のトレンドなので一人用のルールも追加しました。一人でボードゲームを遊ぶ人もけっこういて、喜ばれますね。

岡野:ボードゲームの1人プレイはコロナ禍以降に流行った印象で、やはり安心感があるのだと思います。あまり気軽に人と集まれない、またボードゲームは出版される数がいま非常に多いので、買っても遊べないかもしれない。でも、一人なら絶対遊べますよね。

郡山:それと、ボードゲームは人にルールを説明するのが難しいじゃないですか。一人用で遊んでおいてどういうゲームか理解しておくと、他の人に説明しやすかったりします。まず、普通にゲームを作って、最後に一人用のルールを作るという感じです。一人用ルールを作る専門のデザイナーがいたりします。今回の『ハーベスト』は僕らがその役目だったわけですが。

今回、他にも『ハーベスト』の遊び方で変えたところがあります。オリジナルではカードを引いてから自分のターンを始めますが、自分のターンの最後にカードを引くことにしました。それは他の人のターンのときに考えておけるように、です。あと、畑の並べ方を決めていますね。

森川:オリジナル版では畑の位置も自由にしていました。並べ方によっては隣接する畑が少なくなったりして難易度が上がるのですが。

リニューアル版とオリジナル版のパッケージ

郡山:実は1点、お聞きしたかったのですが、オリジナル版のパッケージには「二人から」と書いてあるのですが、何か想定していたものがあったのですか? 説明書には三人以上のルールしかなくて、二人だとゲームが成り立たない。ということで、今回、僕たちのほうでも、一人用だけではなく、二人用のルールも考えました。

森川:二人の場合は、それぞれ畑のボードを2枚使うことにしていた気がしますがよく覚えていないです。説明書には書いていないですね。

郡山:なるほど、畑を2枚ですか。

岡野:僕たちは、二人用のルールを作るにあたって二人でテストプレイを重ねて、中立な畑を1つ作ることにしました。中立な畑の収穫物はカウントから消えるという形です。するとゼロサムではなくなるので、ゲームのおもしろさは成り立ちます。一人の場合は、森川くん3号、つまり高性能農業ロボットと戦います。AIと交互にカードを出していく形で、AIは順番に2枚ずつ置いていくので、それを見つつ、自分は1枚出していきます。マスが全部埋まったらゲームオーバーなので、ときには自分の不利になるけど取らなければいけないという場合もあります。AIの出し札はランダムです。

森川:お聞きしていると、コロナ禍で起きたコミュニケーションの質やボリュームの変化がゲームの新しい発想につながっているというところを感じます。一人でも遊べるとなると、ビデオゲームとの親和性もすごく高くなるし、AIとの親和性も高くなります。時代の背景からそういうことが起こってくるというのはおもしろい。ボードゲーム市場も規模が大きくなっていて、このところまたブームが来ているのかなという気がしています。

岡野:昔は浅草で数百人規模で開催していたのが、いまは東京ビッグサイトで2日間開催、来場者数も2万人を超えていますね。

郡山:各地にボードゲームカフェが出てきて認知されてきたなという感じはありますね。たとえば「カラオケに行く」「ビリヤードに行く」と同じように「ボードゲームカフェに行く」ことがひとつの遊びとして認知されています。数あるエンタメのひとつとして流行していて、遊ぶ人たちも従来のゲーマーのように色々なゲームにすごく詳しくてゲームをヘビーに遊ぶのが好きな人たちとは限らず、それよりは友だちと楽しく時間を過ごすのが好きな人が集まる感じなのかなと思います。

僕は2014年からボードゲームマーケットに出ていますが、売り上げ自体はそんなに変らないです。もちろん大手は売り上げが伸びているとは思いますが。裾野が広がっても、そういうライト層は個人が出しているようなゲームには手を伸ばさないというか。いわゆるコア層の数はあまり変わっていないのかなと思います。

軽く遊ぶ人たちがすごく増えているというのは、全然悪いことではないです。一人用、二人用のルールを付けたというのも、ライト層により手に取ってもらいやすくしたいという意味合いもあります。手に取りやすいとより売れます。より売れると、よりたくさん作れて、値段も下げられ、そして、より手にとってもらいやすくなりますから。

森川:お二人もそうですが、最近日本でも自作のボードゲームを出すという人がすごく増えていますよね。ビデオゲームのほうも最近、インディーズで作る人が増えています。これまでも個人で作ることはできたけど一般の人にリリースする仕組みがなかった。そこを容易にするSteamが出てきて潮目が変わった感じです。ボードゲームも同じだと思いますが、分母が広がると世界で勝負をしようという人たちも出てくるので、そういう意味では未来は明るいと感じますね。

『ハーベスト』の遊び方(2〜6人用)

『ハーベスト』は1人で遊ぶこともできます。解説はこちら!

ボードゲームの遊びの要素をデジタルゲームへ

楽しそうにカードをテーブルに並べる森川氏

森川:ボードゲームは遊びのアイデアの宝庫なんですよね。ビデオゲームは実は意外とジャンルが少ない。世界観が違うとか、バトルのシステムが違うくらいで、カテゴリーとしてはアクションゲーム、シミュレーションゲーム、RPGとか、数えるほどしかありません。それに対して、ボードゲームの世界は遊びの種類がすごく多い気がします。

大抵のゲーム会社にはボードゲーム部があります。みんな、ビデオゲームに応用できないかと、やはり虎視眈々と狙ってはいるんですよね。なんとか融合できないかと、自分も趣味を兼ねてボードゲームをAIに学習させようと試行錯誤しています。ボードゲームのルールをビデオゲームに表現し直すことはなんとでもなるんですが、その際におもしろさが欠落してしまうことが大きな課題です。ルールに沿ってプレイできるし、点数も数えてくれるし、ソートもしてくれる。一見、便利だけど、人同士で遊んでいる時と比較するとつまらないと思うことがけっこう多いんです。モニターに映ったり、デジタル化されることで何かしらの楽しみが欠損してしまうのです。そこをうまく補う方法が自分の中でまだ見つかっていません。

郡山:ネット対戦でボードゲームをプレイできるサイトがあって、これはけっこう流行っています。パソコン上で離れた人とボイスチャットなどで話しながら遊ぶのですが、それをやるとむしろオフラインで集まって遊びたいなという気持ちになりますね。やはり、本来対面で遊んでいたゲームにオンラインを介在させることで何かしらの魅力がスポイルされるということなのだと思います。

岡野:対人だと伝わるお互いのリアクションの有無という話もあると思いますが、デジタルだと情報が見え過ぎてしまうことでおもしろさが損なわれる場合があるのかもしれません。先ほどの『ハーベスト』だと、たとえばデジタル化することで「ここに置けますよ」と自分が置けるマスをハイライトする機能がUIに実装されることが考えられます。でも、そうすると効率的にプレイできる反面プレイヤーが考える量が減ってしまいます。また得点の表示も、自動でカウントして合計得点をリアルタイム表示してもいいかもしれませんが、あえて出さないことでいま誰が優勢かをそれぞれのプレイヤーが推理するなど、あえて不便にすることでおもしろさにつながるということもあったりすると思います。

森川:ノイジーにするのか、あるいは、与える情報を少なくするのか、どちらがいいのか悩ましいところですよね。

郡山:情報が見え過ぎてしまうと、考える量が減る反面、この人はこういう状態だけど自分はどうしようというのを全部考えないといけない、そこが辛さとなるかもしれない。あるいは、全部の情報はあるけれどモニターの表示範囲の関係でここをズームさせ、次にあそこをズームさせるという感じにせざるを得なくて、視認性が悪くなってしまうことで興ざめする場合もあるかもしれません。

森川:将棋のプロ棋士でもモニターに向かってだと弱くなる人がいるそうです。いつもの物理的な盤面の角度で見ないと盤面がうまくイメージできないようです。また、ほとんどのプロ棋士は、たとえば「王将」を「キング」というように文字を変えると、弱くなると言います。ルールは変わらなくても、記号をアルファベットにするだけで弱くなってしまう。

郡山:情報で捉えているのか、イメージで捉えているのか、の違いなのですかね。

森川:そうですね。AIもそうですが、デジタル的に考えるとき、やはり情報ということに重きを置きすぎるところがあるのかもしれません。よりわかりやすくとか、よりたくさんとかに注力しがちというか、使い勝手がいいところを目指してしまうので、それが却って仇となっている可能性は確かにあると思います。

場の持つ雰囲気をどう数値表現するのかという話も議論としては昔からありますが、誰もそれらを数値化、定量化できてないままですね。おそらく認知学や心理学といった分野の研究者の力も借りないと難しい。なぜ対面でやっているほうが楽しいのか、デジタル化によって何が欠落するのかというのは、ゲームAIの実装だけでは太刀打ちできない問題になっていますね。

岡野:ただ、デジタルゲームのインディゲームもアイデア勝負みたいなところはけっこうあって、パズルゲームと何かを組み合わせたり、ワンアイデアで勝負というのはけっこうありますよね。

郡山:そういう意味ではデジタルゲームも、最近は遊びの幅が広がってきているのではないかなという印象はあります。

ゲーム×AIの可能性:開発かプレイヤーか

岡野翔太氏と郡山喜彦氏、ゲーム仲間にしていまはビジネスパートナーでもある

森川:最後に、ボードゲームを作っている側からAIへの要望、リクエスト、期待があれば教えてください。

岡野:ボードゲームをAIに作ってもらいたいですね。

郡山:『ヤバラス』はAIが作ったと言われていますが、いわゆるアブストラクト(運要素がない、全部の情報が見えているゲームの総称。たとえばオセロ、将棋)の○×ゲームです。日本でも研究をしていたオーストラリア人の研究者が開発されているんですが、AIに色々なパターンのルールを学習させて、それをシミュレーションさせたときに展開がどれくらい多様かを測るというものです。よさそうなものを実際にプレイして、おもしろいものをリリースしているということになっています。『ヤバラス』は4目並べですが、3目並べると負けというルールがあります。この2つのルールだけなので非常にシンプルなんですが、展開が多様で、かなりおもしろい。『ヤバラス』だけでなく、このやり方で色々なゲームが作られています。

森川:おもしろいかどうか、多様性の評価は人間がやるイメージですか?

岡野:そうですね。まだ、おもしろさの定量化はされていないので。でも、そこが進んでいけばきっとおもしろいゲームが成立していくのではないかなと思います。

森川:プレイヤーとしてのAIはどうでしょう? 以前AIと人間がタッグを組んだ囲碁のイベントがあったのですが、AIが打ち手の候補を出して選ぶのは人間というルールです。これが意外とおもしろくて、ちょっと下手な棋士だと、AIの正しい手をちゃんと選べなくて、にどうしてそちらを選ぶのかとか、つっこめて、見ているのはおもしろいですね。

郡山:最近、岡野が『ドラゴンクエストV』を、「命令させろ」コマンドを使わずにやっていたのを、一緒になって見ていました。それがおもしろい。勝手に仲間が動くし、うまいタイミングで回復してくれたり。そうかと思えば、いやそいつじゃない、こっちの敵を倒せよと言いたくなったり。AIと一緒にゲームを楽しんでいる感じでおもしろいです。

岡野:キャラクターが生き生きしている感じがするんですよね、AIを使ったほうが。

森川:AIが人より、強い、弱いかではなく、AIと人間がチームとして協力関係になるのがいいですね。自分たちがボードゲームAIを強くしたいと考えたのは、人間にとってちょうどいい具合にプレイできるように、つまり接待プレイをさせたいと考えたからなんです。。一旦人間より一番強くなっておかないと手加減できないので、そこまで学習させるんですが、ただ、そこから機械的に弱くするのも、バレバレだと人間はイヤじゃないですかそのあたりをどうしたものか、色々試行錯誤しています。それにしても、ボードゲームで一人用が流行っているのにはびっくりしました。そこからAIとの新しい協力関係が生まれそうな気がします。

ForGamesは、5月13日〜14日に東京ビッグサイト西1・2ホールで開催のゲームマーケット2023春で『ハーベスト』を先行販売​​します。B10​​のブースにぜひお立ち寄りください。ゲームマーケット2023春終了後は、全国のゲームショップや家電量販店で購入できます。

関連記事:【CEDEC2019】汎用型ボードゲームAIの開発に向けたモリカトロンの挑戦

AIに不可欠な知識表現とは? IGDAボードゲームAIワークショップをレポート

​​Writer:大内孝子

RELATED ARTICLE関連記事

【CEDEC2020】AIによるデバッグの自動化はどこまで進んでいるのか?

2020.10.05モリカトロン

【CEDEC2020】AIによるデバッグの自動化はどこまで進んでいるのか?

カウンセリングのサポートに“雑談できるAI”を:福井千春氏×森川幸人氏 対談

2022.5.10モリカトロン

カウンセリングのサポートに“雑談できるAI”を:福井千春氏×森川幸人氏 対談

ゲームAIは5年後にどこに向かうのか?:若手ゲームAIエンジニア座談会(前編)

2020.2.05モリカトロン

ゲームAIは5年後にどこに向かうのか?:若手ゲームAIエンジニア座談会(前編)

RANKING注目の記事はこちら