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CGへの扉 Vol.44:AdobeMAX2022開催。SneaksよりAI活用の方向性を知る
Adobe MAX 2022 LA会場とオンラインで開催
デジタルクリエイター向けに欠かせないデジタルツールを提供するAdobe社の一大イベント、Adobe MAX 2022が、2021年10月19日から20日の2日間、米国ロサンゼルスの会場とオンライン配信の組み合わせで開催されました。会場で発表されたものもふくめ、200以上のセッションがオンライン配信され、後日公開されたアーカイブでもそのうち多くのセッションが視聴できるようになっています。さらに英語講演者のセッションは日本語字幕つきで観ることができます。
Adobe MAX 2022 クリエイティブカンファレンス(オンデマンドで視聴可)
https://www.adobe.com/jp/max.html
※視聴は無料ですが、Adobe ID への登録が必要です(登録無料)。
※動画視聴の際、右下に表示される[CC]のアイコンを押して、日本語字幕を選択することができます。
セッションは多岐にわたるAdobeツールの最新機能の紹介、人気のフォトグラファーやアーティストがどのようにAdobeツールを活用しているか、ソーシャルコンテンツを制作するためにどのようにツールを活用するかといった内容で多岐にわたっています。各セッションは、写真、グラフィックデザイン、動画、イラスト、UI/UX、3DとAR、ソーシャルメディアの分野に分かれ、初めてツールを使い始める初心者からプロフェッショナルまで、多くのニーズをとらえたセッションが豊富に用意されていました。
昨年2021年のSneaksでも驚きのテクノロジーが数々発表されました。昨年と比べると今年は地に足がついた感じです。驚きももちろんありますが、実用的ですぐにでも実務で使いたくなるような数々の機能が紹介された印象です。またAdobe Senseiを始めとするAdobeの人工知能テクノロジーと、ツールの新機能とは今まで以上に切っても切り離せなくなってきました。人工知能がアーティストの仕事を奪うのではなく、人工知能を活用したツールの機能がアーティストの作業を手助けし、人間はより想像的な部分で活躍して欲しいというAdobeのメッセージが感じ取れる発表でした。
MAX恒例 Sneak(こっそり)歩み寄る新技術の驚き
Adobe MAX の醍醐味のひとつは、Sneaks(コソコソ動く・忍び寄る)と呼ばれる未来的なセッションです。毎年Adobe Researchに所属する研究者が新技術を少しだけ紹介する定番の人気イベントSneaksはMAX最大の注目を集めます。今年はAdobeのシニアデザインプログラムマネージャーのブリア・アレキサンダーさんと、俳優、コメディアン、起業家として活躍するケヴィン・ハートさんがホスト役を務め、緊張しながら発表する研究者と絶妙なやり取りを交わしながら進められました。
Adobe MAX Sneaks(日本語字幕付き、約1時間半)
【動画1】https://www.adobe.com/jp/max/2022/sessions/adobe-max-sneaks-mb9.html(要登録)
【動画2】https://www.youtube.com/watch?v=vfMsVxnq-gc (約1時間半)
※登録無しでYouTubeでも見られますが、公式の日本語字幕はありません。
SneaksはAdobeで研究中の先端的なテーマや製品開発チームで新しい技術の実装を試しているような、製品一歩手前の機能を知ることができるセッションです。Sneaksで発表された新技術がすべて新製品に載るというわけではありませんが、この Sneaksで評判の良かった機能、要望の多かった機能から順に次の製品に反映されていくそうです。
今年Sneaksで発表された10の研究は、どれも完成度が高く、今すぐ製品に新機能として組み込まれてもおかしくないくらいの出来でした。もちろんリリースされるまでには細かな品質テストをクリアしなければならず、デモではうまくいっているように見えても動作スピード面、さまざまな状況に対応できる堅牢さなど製品化に向けてクリアしなければいけない要素があるのだと考えられます。
さらにSneaksには出てこない研究開発中のテーマはさらに何十個と控えていることが予想されます。成功しそうな研究に集中して予算を使うよりも、すべてに満遍なく予算を配分した方が、最終的にはそのうちいくつかの研究が利益をもたらすという説もあり、多数の研究者がさまざまなテーマに取り組むAdobe Researchの層の厚さを実感したSneaksでした。
Clever Composites(賢い合成)

発表者:Zhifei Zhang
動画リンク:https://www.youtube.com/watch?v=8o5B3RgyQ-M
どんなに画像ツールが進化したといっても、背景と物体の合成は手間のかかる作業です。また、合成のテクニックが未熟だったり、手間をかける時間が無い場合、素人でも気づくような違和感のある合成になってしまいます。Clever Composites(賢い合成)では、合成する物体(オブジェクト)を自動できれいに切り出し、別の背景に溶け込ませるための手順を簡単に実現できます。色やサイズの調整、照明や日照の影響や影の様子を人工知能が解析し、的確な調整を施してくれます。
Instant Add(即席追加)

発表者:Joon-Young Lee
動画リンク:https://www.youtube.com/watch?v=sipTWng77nM
動画編集の最後の工程で何か文字や画像素材を追加したい場合に、カメラの動きにかかわらず動画中の動く物体に自然に貼り付けて使用することができます。従来でもこういった編集は可能でしたが、面倒な調整を繰り返さなければいけませんでした。そういった手間のかかる作業が人工知能による適切な変形・調整によって一瞬で作業が完了します。また通常であればこういった編集の後工程での修正は、そこまでの成果物を捨て、最初からやり直し、場合によっては撮影し直しになります。このInstant Addであれば、編集の最終工程でも調整や追加が可能であり、制作現場ではとても重宝すると考えられます。
Magnetic Type(ひっつく文字)

発表者:Arushi Jain
動画リンク:https://www.youtube.com/watch?v=57XaUt9kCbE
Magnetic Typeは任意の形状を貼り付けて融合させ、生き生きとしたデジタルテキストを作成することができる技術です。スクリプト書体やカリグラフィ書体を利用する際の不自然さや違和感を取り除くことができます。熟練したデザイナーでも手間がかかる作業を、人工知能により手早く作業を完了させることができます。ロゴや広告などで利用する文字の試行錯誤の回数や検討のスピードを速めることができる手法です。
Vector Edge(ベクトル画像を端に合わせる)

発表者:Ankit Phogat
動画リンク:https://www.youtube.com/watch?v=ILyayGwSU2A
グラフィックデザインが、実際に商品で使われる際、どのように見えるのか検討する必要があります。Vector Edgeでは2Dの素材を、三次元形状にサイズを合わせて投影することで、実際にグラフィックが利用されている状況を的確に把握することができます。また位置や大きさなども素早く調整することで最適な展開を把握しつつ、グラフィック制作に活用できます。
Motion Mix(モーション合成)

発表者:Jae Shin Yoon
動画リンク:https://www.youtube.com/watch?v=nK6olXpOh1g
Motion Mixは、1枚の人物画像とダンス等の動きのデータをもとに動画を作成する技術です。ダンスが踊れなくとも、プロダンサーの踊った動きのデータを当てはめることで、なめらかに踊るダンス動画を作ることができます。合成された動画は若干の不自然さは残るものの、SNS等で楽しむ分には十分です。さらに人物動画の背景を差し替えることもできます。今までは、細切れの動画をつぎはぎして作らなければいけなかった作業が、平易にできるようになったことが特徴です。
Blink(瞬く間に動画編集)

発表者:Mira Dontcheva
動画リンク:https://www.youtube.com/watch?v=8JbhWih-wro
ベータ版:https://labs.adobe.com/projects/blink/
文章の編集と同じ手軽さで編集できるツール。動画の盛り上がり箇所を集めてダイジェストを作成し、SNS向けに短い動画を作成する際などに重宝する機能です。動画から自動的に文字起こしが行われるため、動画の場所を素早く探し、目的とする話の箇所だけを適切に切り取ることができます。動画を細かく見ながら編集するのではなく、文章を切り貼りするだけで、適切な動画を再編集してくれます。
Artistic Scenes(芸術的なシーン)

発表者:Sai Bi
動画リンク:https://www.youtube.com/watch?v=LqBAC7SKp94
複数方向から撮影し360度3D化した映像に対して、ある2D画像の雰囲気を当てはめて全体のタッチを変えてしまう技術です。絵画やスケッチなどのアートワークの表現をVRやARの3Dでも平易に実現することができます。水彩画や鉛筆スケッチの世界に没入することができるのです。
All of Me(わたしのすべて)

発表者:Qing Liu
動画リンク:https://www.youtube.com/watch?v=mZizqrSGO_A
写真や画像の編集で、周辺の余っている領域を切り落として利用することがよくあります。その一方、写っている範囲の狭い写真の周辺も写してあれば良かったと後悔することもあります。All of Meでは、写真に写っていない部分の画像も人工知能による推定で、限りなく本物に近い状態で再現することができます。また着ている衣服の色を変えたり、模様を差し替えたりすることもできます。
Beyond the Seen(見えるものの向こう側)

発表者:Yannick Hold-Geoffroy
動画リンク:https://www.youtube.com/watch?v=pUwYcsLYvyg
Beyond the Seenは、2D画像や写真から360度パノラマ映像を生成する技術です。人工知能の活用により本来は撮影していない裏側、上部、底部、側部も再現されます。またそれによって、鏡やメタル調の金属など反射物の表現も的確に扱うことができます。
Made In The Shade(影を作る)

発表者:Vojtěch Krs
動画リンク:https://www.youtube.com/watch?v=sz8UYSLUmTA
Made In The Shadeは、立体的な影がついた物体を変形した場合も、影の整合性を保ち続ける技術です。
画面中に存在する影から、日照を解析し、画面に新しく加えた物体の影を現実に近いかたちで再現します。
また画面中に存在する地面に影を落としている物体を影と一緒に移動することができます。
さらに影の向き、つまりは日照の方向をも自由にコントロールすることができます。
Adobeの新機能の予兆は学会論文から?!
Adobe Sneaksは研究途中の最新テクノロジーがお披露目され、分かりやすく解説してもらえる良い機会です。さらにその先、情報を先取りしたい方は、さまざまな国際学会でのAdobe関係者の発表に注目しておくと良いでしょう。Adobe Sneaks における最新の研究開発を担当しているメンバーの経歴を探ると、皆が著名な国際学会で論文発表を行っていることがわかります。
他の業界と比べてコンピュータグラフィックス業界や人工知能活用分野の大きな特徴はアカデミックな学術研究の世界と、一般向けのツールやサービスを提供している企業との共同研究、ノウハウ共有、人材の行き来が頻繁に行われていることです。例えばSIGGRAPHで論文を発表していた大学院生が、次の年にはAdobeの研究所に勤めていていたり、Adobeに所属していた人が、いつのまにか大学に戻って研究を続けていたりするのです。
各学会で発表されたAdobeが関係する論文一覧
・Adobe Research at UIST 2022 (4本)
https://research.adobe.com/news/adobe-research-at-uist-2022/
・Adobe at ECCV 2022 (4本)
https://research.adobe.com/news/adobe-at-eccv-2022/
・Adobe Research at COLING 2022 (7本)
https://research.adobe.com/news/adobe-research-at-coling-2022/
・コンピュータグラフィックスの学会 SIGGRAPH 2022 (29本)
https://research.adobe.com/news/adobe-at-siggraph-2022/
・Adobe at NAACL 2022 (8本)
https://research.adobe.com/news/adobe-at-naacl-2022/
・コンピュータビジョン分野の学会 CVPR (13本)
https://research.adobe.com/news/adobe-at-cvpr-2022/
・Adobe at ACL 2022 (5本)
https://research.adobe.com/news/adobe-at-acl-2022/
・Human Interactionに関する学会 2022 (12本)
https://research.adobe.com/news/adobe-at-chi-2022/
・アメリカ人工知能学会 AAAI 2022 (12本)
https://research.adobe.com/news/adobe-at-aaai-2022/
近年、論文発表から製品への機能実装のスピードがとても早く、ここ数年の各種学会で発表された新技術は、実際の製品の新機能として使える日も近いということが予想されます。論文によっては、機能実装が終わって完全にデモができる状態になってから論文発表されているものがあるくらいです。
さらに研究者の名前や所属企業で、特許情報を探すことで、少し先の展開を予想することもできるかもしれません。例えばProject Clever CompositesのZhifei Zhang氏の名前と、Adobeの社名で特許を探すといくつかの特許が見つかります。Adobe MAXで発表するだいぶ前に特許申請が完了していることがわかります。特許を探すとSneaksよりも新しい研究情報が得られるかもしません。
High resolution style transfer
Super-Resolution With Reference Images
Automatic makeup transfer using semi-supervised learning
コロナ禍のクリエイティブ活動
2日間に渡ってロサンゼルス会場とオンラインで開催された Adobe MAX。ライブ配信の再視聴など、時差をあまり感じることなく楽しめたとても有益なイベントでした。グッズ販売もイベント期間中のみオンラインストアがオープンするなど工夫がありがたく感じました。
その一方、画面の中から伝わってくる現地会場の盛り上がりの様子などを見るに、早く気軽に海外渡航できる環境に戻って欲しいと思うとともに、家の中から Adobe MAX が楽しめるオンラインの良さも捨てがたいと考えてしまいます。コロナ禍の中で、一般の人々がカメラを持ち出す回数、スマホ以外で写真を撮ることが極端に減っているこのご時世で、さまざまな制限のある中、クリエイティブな活動をし続ける人々の手助けをしていくAdobeに、多くの参加者が賞賛を送った2日間でした。
本連載の今後の予定:「CGへの扉」では、単なるAIの話題とは少し異なり、CG/VFX, アートの文脈から話題を切り取り紹介していきます。映像制作の現場におけるAI活用や、AIで価値が高まった先進的なツール、これからの可能性を感じさせるような話題、テクノロジーの話題にご期待ください。何か取り上げて欲しいテーマやご希望などがございましたら、ぜひ編集部までお知らせください。
Vol.42:現代の呪文promptが生み出すAIとの新しい関係性
Vol.41:AIが促進させるCG研究。SIGGRAPH2022論文より
Vol.37:NVIDIA GTC 2022 レポート/アートとAIの視点で
Vol.36:創るためのAI〜AIと人間の創造性の未来:徳井直生氏講演レポート
Vol.35:マーベル・シネマティック・ユニバースを支える機械学習
Vol.34:注目論文よりCGの祭典 #SIGGRAPHAsia2021 を振り返る
Vol.33:AIの必然性 #SIGGRAPHAsia2021 レポート
Contributor:安藤幸央