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CGへの扉 Vol.42:現代の呪文promptが生み出すAIとの新しい関係性
AI絵師が話題沸騰
Twitter他、SNSで、AIが描いた絵画(画像)が話題になることが多くなりました。これは OpenAI社のDALL-E2の登場はもちろんのこと、Midjourneyが生成する画像の高品質さに多くのユーザーが驚き、その後Stable Diffusionが公開されたことが大きな転機になりました。Stable Diffusionがオープンソースで公開されたことで、手軽さと自由度、拡張性が広がり、一部の先進的な人たちだけがAIを試していた状況から大きく変わり始めました。またその一方、AIの倫理面や著作権に関する議論など、課題となりそうな事項も話題になっています。
Stable Diffusionは、少しずつ小さな学習データで動作するようバージョンアップとともにチューニングが進んでいますが、初期の頃はAWS(アマゾンウェブサービス)の高速・高性能なクラウドA100(GPU*8個)を150,000時間稼働させてもととなるデータセットを解析したそうです。これにはアマゾンからの割引や提携協力があったと考えられますが、単純計算で2億円ほどかかっており、優秀なプログラマがちょっと余暇に試してみましたという規模ではありません。とはいいつつも、MidjourneyもStable Diffusionも現状はとても小規模なチームで開発、運営されています。
ここでAIに思ったような絵を描かせるための文を巷では “prompt” と呼んでいます。promptとは「思い出させる言葉」を意味し、もともと舞台上などで役者がセリフを忘れた時に舞台袖から声をかける、セリフを思い出させるような短い言葉のことです。主に現代ではコンピュータにコマンドを入力する際の、入力を即す記号、例えば “>” や “%”, “#” といった記号のことを示しています。
そして世界中の興味を持った人々がpromptを操り、ファンタジーの異世界での冒険に欠かせない、魔法の「呪文」のように、その使いこなし術にしのぎを削っている状況です。こういったpromptを探る取り組みとともに、どういった仕組みで AIが文章を認識し、ある言葉が生成される画像にどういう影響を与えるのかを探る、Prompt Engineeringと呼ばれる新しいジャンルの技術が広がってきています。
画像からpromptを生成するimg2prompt
さて、Stable Diffusionがいくらオープンソースで公開されたからといって、その膨大な学習結果をすべて把握している人はいません。機械学習をもとにしている限り、開発している本人たちも、未知の部分があるでしょう。現状、世界中の興味を持った人々がさまざまなpromptを入力し、どういったキーワードが生成画像に対してどういった影響を与えるのかを探っている状況です。
そこでそのニーズを逆手にとったimg2promptというサービスが登場してきました。これはその名のとおり、画像(写真)から、その画像を文字で説明する、いわゆるpromptの素材となる文字列を導き出してくれるものです。もちろんStable Diffusionなどの逆を行っているわけではないので、ここでの出力文字列は promptそのものではありません。けれども手元にある画像と同じようなものを描いて欲しい場合、どう文章で表現すればAIに伝わるのかというヒントになることでしょう。特に英文での表現からは学び取ることが多いと思われます。

出力された文は、「a pile of playing cards sitting on top of a table, a jigsaw puzzle, contest winner, abstract illusionism, shallow depth of field, depth of field, tarot card(テーブルの上に置かれたトランプ、ジグソーパズル、コンテスト受賞作品、抽象的な幻想主義、被写界深度の浅い、被写界深度の深い、タロットカード)」となります。

promptの効果を解析するという特殊技能Prompt Engineering
絵画の画風やカメラの設定、好みのアーティストや画家、デザイナーの名前、アニメというキーワードやゲーム名などをpromptに入れることで、何となく好みの絵が描けることが分かってきました。この背景にあるのは、これらの人工知能は、ネット上にある大量の画像から機械学習しているのが理由のひとつです。例えばカメラ撮影用語である「被写界深度(depth of field)」というキーワードを入れると、カメラのボケ具合を真似したような雰囲気のある画像が生成されるわけです。「コンテスト受賞作(contest winner)」というキーワードを入れるだけで、画像(写真)の質がワンランク上がることが予想されます。
単なる想像で、promptと生成画像からその法則性を導き出すのもある種面白いゲームですが、さらにもう一方踏み込むためには、人工知能が文章をどう理解しているのかを追っていくのが得策です。これは、人間がジェスチャーゲームや、異国の知らない言語でコミュニケーションを取ろうとしていることに似ています。
例えば、OpenAI社のDALL-Eは、GPT-3という言語モデルをベースとしており、GPT-3がどう文章を解釈しているかが適切なpromptへの理解へつながります。GPT-3そのものは一般公開されていませんがGPT-3の動作の様子を試してみることのできるGPT-3 Playgroundというサービスが(現在のところ用途に一部制限はありますが)平易な登録をすれば無料で試せます。
先に紹介したトランプの画像から導き出された文言をGPT-3 Playgroundで解析してみると、対応するキーワードがいくつも導き出されます。同じような画像を示す言葉でも、少しずつ範囲が広かったり、狭かったり、具体的に指示している言葉だったり、逆に曖昧すぎる言葉だったり、こういった言葉の羅列から、人工知能がどれけブレて解釈しているのか、また逆にピンポイントで指定できているのかがだんだん分かってくるようになります。目的の画像を得るために、どの言葉を使って範囲を狭めるのか、また逆にどの言葉を並べることで、多様性を生み出すのかを考えることができます。

promptの商業圏PromptBaseの登場

PromptBase:https://promptbase.com/
SNS上にAIで描かせた画像で好みのものがあった場合、または精巧かつ高品質な驚愕の画像を見かけた際、それがどういったpromptで描かせたのか気になります。promptを隠さず、一緒に公開してくれている人もいますが、その多くは自分だけの「呪文」を見つけた!とほくそ笑んで、画像だけが公開されていることが多いでしょう。
そういった人の欲求の需要と供給、prompt のノウハウを交換するプラットフォームとしていち早くPromptBaseというサービスが登場しました。どの画像も、何となくprompt が想像できつつも、思ったようなpromptにたどり着くのは困難です。求める品質の画像をうみだすpromptの試行錯誤の時間が惜しいと思う人は、数ドルで販売されているpromptを買ってしまうかもしれません。ファンタジーゲームの世界で、呪文の巻物を魔法の修行によってではなく、手に入れた金貨やゲーム内課金によって手っ取り早く手に入れることに似ているといえるでしょう。
広がるprompt文化とAIの倫理面への懸念
急激に進歩を遂げているこの分野では、同時に倫理面や著作権からの整備や議論も進みつつあります。例えば、prompt の安易な事例として、好みの画家や作家、作品の名前を入れると安易に求める画像が生み出せますが、もしそういった画像がネット上に蔓延し、もとの作家の作品画像の検索結果と混ざってしまうことにより、意図しない状況、オリジナル作品を見つけ出せない状況にもなり得ます。
将来的には技術的に見分ける方法や、制度上の扱いがはっきりするかもしれませんが、現状はまだ混沌とした状態です。また、純粋にAIが描いた画像だけでなく、それらを素材として人間が加工したり描き加えたりする画像も増えてくるでしょう。過度に状況が混沌としてしまうと、AIはそもそもどの素材から学習すれば良いのかが分からなくなってくるかもしれません。
Stable Diffusionのオープンソース形式での公開により、さまざまなツールやサービスが「文章から画像を生成する」機能を組み込むことが可能になりました。また、文章を与えて人工知能が画像を生成することそのものが一般化したことで、さまざまなビジネスチャンスや一般的なニーズも生まれてきています。
CogVideoは、94億パラメータを持つpromptから動画を生成するソリューションです。短い動画をアルゴリズムによって選出していくSNS TikTok では AI greenscreen という文章から背景画像を用意する機能が追加されました。PhotoshopのプラグインとしてStable Diffusionを組み込んだツワモノも登場し、大企業や大学の研究機関でなくとも、アイデアひとつでチャンスが生まれる状況に大きく舵が切られた感じがしています。
今後の進化は?
AIが生み出す画像は単なるお遊びでしょうか? それともイラストや絵画を描く人、写真家たちの仕事を脅かす存在でしょうか? まず一番早く代替される可能性が高いのは、プレゼンテーション資料などで用いる画像を探すため、検索で目的の画像を探したり、フォトストックで必要な素材画像を探すことが人工知能生成画像に置き換えられるかもしれないと考えています。
人工知能が進化したら、面倒な仕事は人工知能にまかせて、優雅に絵でも描いて過ごせると考えて考えていた人類は、実は優雅(?)に絵を描いている方が人工知能で、その人工知能に与える呪文を必死で考えているだけであることに気づいてしまいました。今後AIがどう進化し、どう活用していくかは未知数で、人と人工知能が協力しあった新しい描き方なども確立していくかもしれません。言葉をうまく操る「prompt 使い」が重宝され、人気の職業になるのかもしれません。あくまで「道具」として進化していくのか、道具から新しい創作の手順が生まれてくるのかもしれません。
昨今のAIが描く画像の盛り上がりは、人間の根源的な欲求が影響しています。それは人間がもっとも得意とする「言葉」による表現でAIを操れたことにあるのです。AIが描く画像に限らず、これからおおいに活用される人工知能はこの人間の本質を捉えたものになることは間違いないでしょう。
本連載の今後の予定:「CGへの扉」では、単なるAIの話題とは少し異なり、CG/VFX, アートの文脈から話題を切り取り紹介していきます。映像制作の現場におけるAI活用や、AIで価値が高まった先進的なツール、これからの可能性を感じさせるような話題、テクノロジーの話題にご期待ください。何か取り上げて欲しいテーマやご希望などがございましたら、ぜひ編集部までお知らせください。
Vol.41:AIが促進させるCG研究。SIGGRAPH2022論文より
Vol.37:NVIDIA GTC 2022 レポート/アートとAIの視点で
Vol.36:創るためのAI〜AIと人間の創造性の未来:徳井直生氏講演レポート
Vol.35:マーベル・シネマティック・ユニバースを支える機械学習
Vol.34:注目論文よりCGの祭典 #SIGGRAPHAsia2021 を振り返る
Vol.33:AIの必然性 #SIGGRAPHAsia2021 レポート
Vol.32:Adobe Sneaks より進化の方向性を知る
Contributor:安藤幸央