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CGへの扉 Vol.32:Adobe Sneaks より進化の方向性を知る

2021.11.19ゲーム

CGへの扉 Vol.32:Adobe Sneaks より進化の方向性を知る

Adobe MAX 2021 オンラインで開催

デジタルクリエイター向けに欠かせない各種ツールを提供するAdobe社の一大イベント、Adobe MAX 2021が2021年10月27日から28日の2日間、すべてオンラインで開催されました。昨年を超える400以上のセッションほぼすべてがオンラインで視聴できるようになっており、さらに英語講演者のセッションは日本語字幕つきで観ることができます。

Adobe MAX クリエイティブカンファレンス(オンデマンドで視聴可)
https://maxjapan.adobe.com/sessions/
※視聴は無料ですが、Adobe ID への登録が必要です(登録無料)。
※動画視聴の際、右下に表示される[CC]のアイコンを押して、日本語字幕を選択することができます。

今年は「Adobe MAX オンライン打ち上げ」と称した出演者と主催者がイベント終了後にビデオ会議で打ち上げしている様子がオンライン配信され、イベントそのものに加えてイベントの余韻も楽しむことができました。

セッションは3DとAR、コラボレーションと生産性、ビジネスにおけるクリエイティビティとデザイン、教育、グラフィックデザイン、イラストとデジタルペインティング、写真、ソーシャルメディア、UI&UX、動画といった各分野にカテゴリ分類されています。昨年と同様の豊富なセッションに加えて「コラボレーションと生産性」というジャンルが追加されたのが今年の特徴です。例えばオンライン環境での工夫に関するセッションは在宅勤務の状況下で参考になるでしょう。今年は特に著名クリエイターの談話が数多く企画されていました。第一線で活躍するアーティストたちがどのような考えや想いでものづくりをしているのかを感じ取ることができたセッションが多かったように思います。

Adobe MAX 恒例 Sneak Preview の驚き

Adobe MAX の醍醐味のひとつは、Sneaks(コソコソ動く・忍び寄る)と呼ばれる未来的なセッションです。今年はプレゼンターとして米国の著名コメディアン、キーナン・トンプソン氏が場を取り仕切り、地味になりがちな研究発表をジョークやおどけた様子を交えながら、おもしろく楽しく紹介してくれました。

Adobe MAX Sneaks 日本語字幕付き 約50分
【動画】https://www.adobe.com/jp/max/2021/sessions/adobe-max-sneaks-mb180.html(要登録)
発表者:キーナン・トンプソン氏ほか、各研究開発の担当者による発表
【動画】https://www.youtube.com/watch?v=ua6gfrpGkaA
※登録なしでYouTubeでも見られますが、日本語字幕はありません。

SneaksはAdobeで研究中のテーマや製品開発チームで最先端技術の実装を試すなど、製品一歩手前の機能を知ることができるセッションです。Sneaksで発表された新技術がすべて新製品に実装されるというわけではありませんが、この Sneaksから評判の良かった機能や要望の多かった機能が、次の製品に反映されていくそうです。

昨年の Sneaks も興味深い発表が多く披露されました。今年は研究開発を担当している研究者がキーナン・トンプソン氏と掛け合いながら新技術を解説するという、技術だけでなく「人」にもフォーカスが当てられていました。想像の範囲を出ませんが、Adobe では優秀な研究者にある程度自由な裁量と予算と環境を与え、得意分野の研究開発に集中できる恵まれた環境があるように思われます。毎回の Sneaks で発表される数個の研究開発のうち、実際にツールに新機能として追加されるのは2〜3割にも満たないかもしません。さらに Sneaks には出てこない研究開発中のテーマはさらに何十個と控えているのかもしれません。

このことから成功が約束されている有望そうな研究だけに予算を割くのではなく、研究者たちの個性や得意分野を生かした形で製品を進化させようとしていることがわかります。さらに実際の現場では、見た目的にインパクトのある研究開発だけでなく、パフォーマンスチューニングやバグ対応、テストなど、一見地味でありながらも大切な事柄を担当している多くのエンジニアやデザイナーがAdobeを支えているのだと考えると、層の厚さに圧倒されます。

例えば車や家電製品など、製品の開発期間や、利用期間が長いものは、ある特定の技術にこだわり、その技術だけを研究開発するということはあまりありません。それは現在主流の技術だったとしても数年後はエネルギー政策や法規制、テクノロジーの進化、消費者の好みなど、さまざまな要因によって、容易に「主流」が変化するからです。

そういった変化がゆったりとした業種では、今後何が主流になり何が成功するのかを確実に予想することはできないので、主要な技術以外にも多くの研究開発、基礎研究などにも長期にわたって投資する傾向があります。その中で生き残ったものが長い期間をかけて大きく活躍したり、大きな儲けになれば良いという考えを持っています。

Morpheus:モーフィアス

#MorpheusSneak | Adobe MAX Sneaks 2021 
【動画】https://www.youtube.com/watch?v=bpABm6XcRMw

Morpheus(モーフィアス)はギリシア神話に登場する夢の神が名称の由来です。 PlayStation用HMDのコードネームもMorpheusでした。ここで紹介するMorpheusは動画映像に写っている顔を素早く修正するテクノロジーです。最新の Adobe Photoshop に搭載されている「ニューラルフィルター」の機能を動画でも使えるようにしたものです。デモでは無表情な顔の動画を笑顔に修正している様子が披露されました。表情のほかにも見た目の年齢を変更したり、ヒゲを生やしたりといった操作が可能です。とても便利な機能に見えますが、あまりにも平易に利用できてしまうと安易に悪用されてしまう可能性もあります。製品版の新機能としてリリースされるには、実装技術だけではなくさまざまな配慮が必要となってくることでしょう。

 In-Between:中割り補完

#InBetweenSneak | Adobe MAX Sneaks 2021
【動画】 https://www.youtube.com/watch?v=VB3asy9Jh9Q

撮影時間が数秒ずれた2枚以上の写真(静止画)から、その間のオブジェクトの動きやカメラの動きを予想し、間の動画を生成するテクノロジー。スマートフォンで写真を撮る場合、大事なシーンなどで複数の写真を連写することは多いでしょう。写真と写真の間の変化のスピード、いわゆる補完するフレーム数を指定することができ、それによって速い動き、遅い動きを生成することができます。テクノロジーとしては静止画や写真向けに作られていますが、この技術を応用すると、普通に撮影された動画からフレーム間の補完を行い、超スローモーション動画を生成するようなことも可能になります。

On Point:イカしてる

#ProjectOnPoint | Adobe MAX Sneaks 2021
【動画】https://www.youtube.com/watch?v=rngRa4M1v-k

画像検索で目的の画像を見つけるのはなかなか難しい操作です。このテクノロジーでは、人物のポーズを解析し、同じようなポーズをとっている画像を検索し、目的とする画像を見つけ出すことができます。検索対象となる画像はフォトスストックサービス Adobe Stock の他に、自身が撮影したファイル群からも検索可能となるそうです。

Shadow Drop:自然な影の落とし方

#ProjectShadowDrop | Adobe MAX Sneaks 2021
【動画】https://www.youtube.com/watch?v=juVihuAY-yk

くり抜いた物体の画像に影をつけるとそれだけで一気に存在感が増します。なんとなくそれっぽい影をつけるだけでもある程度の効果はありますが、このテクノロジーでは機械学習の成果を活用し、本当の影に近い影画像を再生成することができます。高度な知識や豊富な経験を持っていれば、ある程度時間をかけてリアルな影を描くことができますが、平易に利用できるのが特徴です。線画や手書きのアニメーションなど、本来影がないものについても適切な影を生成することができます。

Sunshine:晴れ晴れ

#ProjectSunshineSneak | Adobe MAX Sneaks 2021
【動画】https://www.youtube.com/watch?v=T_JJcbN3-Ek

線画の色選択や色使い、色の組み合わせを自動推奨する仕組みです。単なる組み合わせの推奨というわけではなく、描かれたものを認識した上で、部位ごとの色の推奨がなされます。例えば炎を描いたのであれば、黄色や赤の暖色が推奨されたり、光が当たっている範囲を調整して色を変えることができます。それに加えてアーティストの独自色を出すための標準とは異なる色使いを反映させることができます。自分がよく使う色合い、例えばポップな色合い、ダークな色合い、ビビッドな色合いなどを設定すればまるで自分が色を選んで彩色したように素早く自動彩色されるのです。

 Stylish Strokes:洗練された線画

#StylishStrokes | Adobe MAX Sneaks 2021
【動画】https://www.youtube.com/watch?v=S6uUXy4051w

さまざまな文字フォントはグラフィックデザインに欠かせない要素ですが、個性を出したりブランディングのために修正する作業は大変です。このテクノロジーでは文字フォントのもつ要素をいったん分解し、それらの要素を生かした新しい表現が可能になります。英文字に限らずさまざまな言語の文字で利用可能とのこと。

Make It Pop:ポップに仕上げる

#ProjectMakeItPop | Adobe MAX Sneaks 2021
【動画】https://www.youtube.com/watch?v=hbyyc9erT5Q

写真を加工したいというニーズはSNS全盛の今、とてもニーズがありますが、誰もが最新の画像編集ソフトを縦横無尽に扱えるわけではありません。このテクノロジーでは画像のパーツを自動的に分解し、それらを線画に変換します。分解された要素にあらかじめ用意されたポップな素材の雰囲気を与えることによって、自分が撮影した写真を平易にポップアートにすることができます。

 Artful Frames:絵画的な動画

#ArtfulFrames | Adobe MAX Sneaks 2021
【動画】https://www.youtube.com/watch?v=_7btCb59x2s

動画映像を元素材としてアニメーションを生成するテクノロジーです。既存の絵画や、アーティストの作風を模倣することができるため、モネ風やゴッホ風の動画アニメーションが作れるのです。みなさんは a-ha の “Take On Me” という手書きのロトスコープアニメーションで制作されたミュージックビデオを覚えている方はいらっしゃるでしょうか? すぐに思い浮かぶ人は世代がバレてしまいますね。このテクノロジーを活用すると “Take On Me” のような手書き風アニメーションが手間をかけずに生成できてしまうのです。

Strike a Pose:ぴったりのポーズ

#ProjectStrikeAPose | Adobe MAX Sneaks 2021
【動画】https://www.youtube.com/watch?v=J60AgPHpOBo

写真撮影の時に、誰もが気の利いたモデルのようなポーズが取れるわけではありません(中には天性の勘でポーズが取れる人がいたりしますけど、誰もがそうではないと思います)。このテクノロジーでは、ポーズがイマイチな写真も、既存の素材から選んだ写真のポーズに合わせて同じ姿勢に再構成することができます。極端な例では、前向きの写真なのに、後ろを向いているポーズも可能です。いつもは姿勢が悪い人が、変に決まったポーズの写真を送ってきたら、今後は写真加工を疑った方が良いかもしれません。

Adobeの新機能の予兆は学会論文から?!

Adobe Sneaks は最新テクノロジーがお披露目され、わかりやすく解説してもらえる良い機会です。さらにその先、情報を先取りしたい方は、さまざまな国際会議でのAdobe関係者の発表に注目しておくと良いでしょう。Adobe Sneaks における最新の研究開発を担当しているメンバーの経歴をさぐると、皆が著名な国際学会で論文発表を行っていることがわかります。他の業界と比べてコンピュータグラフィックス業界や人工知能活用分野の大きな特徴は、アカデミックな学術研究の世界と、一般向けのツールやサービスを提供している企業との共同研究、ノウハウ共有、人材の行き来が頻繁に行われていることです。例えばSIGGRAPHで論文を発表していた大学院生が、次の年にはAdobeの研究所に勤めていていたり、Adobeに所属していた人が、いつのまにか大学に戻って研究を続けていたりするのです。

各学会で発表されたAdobeが関係する論文一覧

コンピュータビジョン分野の学会 ICCV 2021 (39本)
https://research.adobe.com/news/adobe-research-at-iccv-2021/

可視化分野の学会 VIS 2021 (6本)
https://research.adobe.com/news/adobe-research-at-vis-2021/

自然言語処理の学会 EMNLP 2021 (7本)
https://research.adobe.com/news/adobe-research-at-emnlp-2021/

コンピュータグラフィックスの学会 SIGGRAPH 2021 (14本)
https://research.adobe.com/news/adobe-research-at-siggraph-2021/

自然言語処理の学会 ACL-IJCNLP (7本)
https://research.adobe.com/news/adobe-research-at-acl-ijcnlp-2021/

コンピュータビジョン分野の学会 CVPR (12本)
https://research.adobe.com/news/adobe-research-at-cvpr-2021/

アメリカ人工知能学会 AAAI (6本)
https://research.adobe.com/news/adobe-research-at-aaai-2021/

近年、論文発表から製品への機能実装のスピードがとても早く、ここ数年の各種学会で発表された新技術は、実際の製品の新機能として使える日も近いということが予想されます。

【過去記事参照】CGへの扉 Vol.29:AIの恩恵を受けるCG研究の世界。#SIGGRAPH2021 論文より

さらに研究者の名前や所属企業で特許情報を探すことで、少し先の展開を予想することもできるかもしれません。

例:Project Morpheus の研究者 Han Guo氏らが提出した特許。画像に映ったロゴを見つけ出す仕組み。
Selecting logo images using machine-learning-logo classifiers

人工知能とデジタルツールのこれから

2日間に渡って開催された Adobe MAX はオンライン配信の恩恵を受け、オンデマンドで後日見ることも可能でした。けれども実際に1日目、2日目、日中に配信される動画を見ていると、擬似的ではありますが、大規模カンファレンスに参加している気分になり、ネット上での盛り上がりが感じられました。それぞれ、開催日の夜には「Adobe MAX オンライン打ち上げ」が行われ、発表者と主催者の面々が動画収録の裏話など、生々しい話が披露されたのが印象的でした。Adobe Sneaks についても、米Adobe本社のリサーチ部門で働くテクニカルリサーチアーティスト伊藤大地さんによる解説付きデモが行われました。キーナン・トンプソン氏と研究者との発表とはまた一味違う解説がとても楽しめ、今年も充実した Adobe MAX でした。

Adobe MAX オンライン打ち上げより:Sneaks追加の解説 Sneaks+ (01:06:14 より)
https://www.youtube.com/watch?v=eZpQ5sW9TTA&t=3974s

本連載の今後の予定:「CGへの扉」では、単なるAIの話題とは少し異なり、CG/VFX, アートの文脈から話題を切り取り紹介していきます。映像制作の現場におけるAI活用や、AIで価値が高まった先進的なツール、これからの可能性を感じさせるような話題、テクノロジーの話題にご期待ください。何か取り上げて欲しいテーマやご希望などがございましたら、ぜひ編集部までお知らせください。

CGへの扉

CGへの扉 Vol.31:人工知能が考える「顔」と、人が考える「顔」

Vol.30:SIGGRAPH2021レポート「ディープフェイクとの戦い」

Vol.29:AIの恩恵を受けるCG研究の世界。#SIGGRAPH2021 論文より

Vol.28:定番手法の他分野応用、自然言語処理AI由来の画像処理AI

Vol.27:眼に追いつけ追い越せ? カメラは機械学習により進化

Vol.26:アートを加速させるAIの役割 #GTC2021 レポート

Vol.25:変幻自在の顔も実は人工知能

Vol.24:自然現象もすべて人工知能で再現する時代

Vol.23:AIで人の眼に進化するカメラ

Vol.22:言葉から画像を生成、DALL-Eはクリエイティブなのか?

Vol.21:人工知能+3DCGの最新論文をまとめて紹介 #SIGGRAPHAsia2020

Vol.20:Adobeと人工知能の将来を見極める #AdobeMAX2020

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Contributor:安藤幸央

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