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【JSAI2022】対話型AIのアバターは恋愛相談や高齢者見守りをいかにサポートするか?

2022.9.09先端技術

【JSAI2022】対話型AIのアバターは恋愛相談や高齢者見守りをいかにサポートするか?

対話AIがアバターという外側を手に入れたら何が可能になるでしょうか。そのアバターは自分にパーソナライズされているキャラクター、いわゆる「推しキャラ」です。本稿では、推しキャラをパーソナルナビゲーターとした対話AIサービスにチャレンジする京都芸術大学芸術学部キャラクターデザイン学科の川向正明准教授、石鍋大輔准教授、特任講師 曾根周作氏のセッションから、アバター対話AIの可能性を探ります。

アバターとAIの可能性

現在、社会実装が進んでいる対話型AIの多くは、マーケティングにせよ、カスタマーサービスにせよ、問い合わせの対応業務を楽にしたり、またその質の維持・向上のために活用されます。その中で、大きな要素となるのが人間とのコミュニケーションの問題です。多くの場合、コミュニケーションはあくまでもインタラクションのツールとしてとらえられています。そのため、ニュースを読み上げるAIやタブレットに案内ガイドとして表示されるアバターは、あえて特定の人に寄り添うような会話表現をしません。

一方で、コミュニケーションを最終ゴールにする対話型AIの研究も進んでいます。京都芸術大学の川向氏と石鍋氏は、キャラクターデザインの領域から対話型AIにアバターを組み込むことでもたらされる可能性に気づいたそうです。そこにAIを研究する曾根氏が加わりプロジェクトを進めています。

IoTによる高齢者見守りサービスに取り組んできた川向氏は、デバイスを使って高齢者の状況を数値として取ることが可能になったことに加え、そこにコミュニケーションのツールが入ってくることでさらに良い変化がもたらされると考えました。たとえば、近所の人や民生委員が回ったときの会話を学習データとして積み上げていくことで、会話の異変を早期発見できるかもしれませんし、AIがアラートを出して、そこに熟練のカウンセラーが入ってくることで、状況の悪化を食い止めることができるかもしれません。IoTやAIなど、色々なテクノロジーをサポートとしながら、本当に人にしかできない見守りができるようになればと考えたのです。

富山県氷見市で行ったIoTでシニアの見守りの実証実験。お守りの中にセンサ類(モーション、温度、湿度)を入れ、状態を数値で監視する。動いていない、しかも温度も低いとなると民生委員や近所の人に見に行ってもらう仕組みで運用
数値データだけではなく、基本となる対話セットを積み上げてコミュニケーションを通して会話の異変を早期発見できないかと考えている

一方で、石鍋氏はキャラクターデザイン学科の学生たちとのプロジェクトを通してキャラクターの持つ力を感じました。そのひとつが「夢の姿にチェンジした理想の自分に出会えるオンラインの似顔絵プロジェクト キャラちぇん!!」の事例です。これは、もともとJapan Expoで展開されていた対面での似顔絵サービスで、1枚10ユーロで約15分から20分くらいでアニメやマンガのタッチで盛った似顔絵を描くことから、Japan Expoに来ている層から毎年好評だったのことです。

ところがCOVID-19でそれを続けることができなくなったため、対面ではない似顔絵サービスを模索します。そこでアバターとなったアーティストが似顔絵を描く形にしてサービス自体を見直しました。お客さんはプリクラのようなブースに入って、モニターに映るアーティスト(アバター)に似顔絵を描いてもらうわけですが、お客さん(=似顔絵を描いてもらう人)自身もキャラ化します。この似顔絵サービスを使うことで、自分を理想の姿にしたり、性別を変えてみたいといった願望などを叶える形に発展させたのです。

ただ、大抵の人は恥ずかしくて、生身の人間に対してはなかなか自分の理想や夢のイメージを面と向かって伝えることができません。しかしモニター越しの2Dのキャラクターを前にすると、多くの人々が自由に自分の理想を語るようになったのです。これがアバターの力だと石鍋氏は言います。

さらに、アーティストのキャラクター設定を作り込み、複数のアーティストをアイドルグループとして提示します。すると、お客さんはそのアーティストに出会う世界に没入し、アーティストとファンという関係性が育まれることになります。そもそも対面での似顔絵描きの場合、描いてもらう10分や20分の間、気詰まりな空気を過ごすことになりがちです。ところがアーティストをアバターにしてキャラ立てすることで、お客さんの心の壁を取り払い彼らの心を解放することができるようになったと石鍋氏は考えました。

似顔絵プロジェクトから始まり、お客さん・描き手のキャラ化、そしてキャラのチェンジへ。お客さんにとって自分を解放してくれるコンテンツへと進化していった

もうひとつの事例が、恋愛サポートAIを育てるという設定でユーザーから恋バナを収集する「ピッタマッチ育成プロジェクト」です。集めた恋バナから歌詞を生成し、音楽をつけ、ミュージックビデオを作るのがゴールです。インターフェースはプロフ帳を模したテンプレに書いてもらう形にしたことで、AIを育成するという育成ゲームという設定やノリに関心を持った多くの人が書き込みをしてくれたとのこと。物語に参加するという設定で色々なデータを集めるという構造によってうまく情報を集めることができたのではないかと石鍋氏は言います。

ピッタマッチ育成プロジェクト。恋愛サポートAI「ピッタマッチ」というキャラクター設定でどのような情報を吸い上げることができるかというチャレンジ。ピッタマッチが恋愛感情を理解するためは文字情報だけではなくイメージや音と結び付けて教える必要があるとして、曲を作ることでAIに感情を学習させるという設定(最終的にはミュージックビデオとしてアウトプットする)。この段階ではまだ実際にAIは中に入っていないが、両思いや片思い、失恋話など色々な恋バナが集まった

なぜ対話型AIにアバターが必要なのか

では、なぜ「対話型AI」にアバターが必要なのでしょうか。曾根氏は、COVID-19のパンデミックにより人々の生活様式の変化とともにコミュニケーションの質が変わったことから遠隔の新しいコミュニケーションについて考え始めました。学校、会社、病院など、これまで当たり前のように通っていた場所に行くことができなくなったことでZoomなどオンライン会議のツールが普及し、オンライン授業やリモートワーク、遠隔医療が始まりましたが、これは遠隔コミュニケーションの本質的な解決にはなっていません。逆に、より孤立化が進んでいるのが現状です。

また、オンライン授業における課題も顕在化しています。株式会社キッズプレートのリリースではオンライン授業での課題として、顔出しに対する抵抗感(現役大学生のアンケート結果によると「75%が顔を出したくない」という)、プライベートな空間を晒すことへの不安、といった学生側の状況に対し、教員側としては学生の反応がわからないことから授業が進めにくかったり、学生に顔出しを促すことがハラスメントにつながるのではないかという不安があるなど、対面でのような何気ないコミュニケーションが図れないといった危惧が示されています。*1

*1:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000021558.htmlから引用

こうした現状から、遠隔コミュニケーションをもっと円滑にするためにはどうすればいいか、とみんなが頭を捻ることになるわけですが、それはとりもなおさずコミュニケーションの本質とは何かという問いにつながります。

曾根氏は、そもそも人間には他者とのコミュニケーションを良くするためにより良い自分になりたいという願望があり、そのため昔から化粧などを活用しながら場に相応しい外見に自分を変えることで自他の心理的効用をもたらしてきたのだと語ります。こうした例は化粧だけに限りません。25年前に生まれた「プリクラ」も「盛り」によって新たなコミュニティを作っていきました。メディア環境学・シンデレラテクノロジーをテーマに研究する久保友香氏は『「盛り」の誕生』 (マガジンハウス、2019年)において、当時の女の子たちにとってプリクラの目を大きくする機能で「盛る」ことは、デフォルメした結果みんなと同じ顔になることで仲間とつながることが目的のひとつとなっていたと示しています。

そして、それが次の世代になるとアバターを盛っていくことになると考えられています。「キズナアイ」から始まったVTuberというコンテンツは、この2、3年で一般的なものになり、最近では「にじさんじ」といったライバーが二次元のアバターの姿でライブ配信に参入しています。もはや、ライバーは必ずしも三次元の存在である必要はないのです。もっと極端に言えば、「ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙さん」のように中身のフォーマット(パターン)部分に価値が移り、中の人(対話)が重要視される形に変化しています。そうなると、アバターは自分をよりよく表現できる被りものに過ぎなくなります。

化粧の効用。「盛り」という概念の誕生は必然的な流れであり、盛りとアバター文化が交わっていったところに、新たなコミュニケーションのツールがあるのではないか

一方で、実世界を振り返ると、そういったアバターへの愛着はアバターをふくむ世界を構築したいという願望に拡張されると曾根氏は見ています。たとえばリカちゃん人形が好きであれば服やアクセサリーを変えたり、リカちゃんハウスや家族、友達を揃えるなどしてリカちゃんを取り巻く世界を構築します。仮想空間では任天堂の『どうぶつの森』シリーズなどがそれに近い事例になりますし、さらにはそうした行為がメタバース内での世界の構築につながっていきます。

そのようなものが発達していくと、アバターとして自分だけのアイドルつまりは推しキャラを作りたいという願望が生じるはずです。さらに、その推しキャラが成長していくと「信頼できる相棒が欲しい」という願望につながります。デジタル世界では生身の人間よりもデータ化された自分を取り込んでいるAIの方が、自分をよく知っていて自分を裏切らない、信頼できる相棒に近い存在になるはずです。つまり「私の最高のともだち」を作るために、中の人はAI化されていくのです。

もちろん、中の人がAIになる未来は多くの人が考えていることでしょう。ただ、それが今回キャラクターをデザインする側の知見をふくめた形で提示されたことの意味は大きいと言えます。実際に(試験的にでも)サービスを経験した人の反応から導き出されているのですから。また、AIの学習データの収集法としてのピッタマッチの手法について、曾根氏はAIを学習させていくときに力を貸してくれるものが出てきたととらえています。

対話の本質とは

では、アバター対話AIを実現するためにはどうすればいいのかと考えたとき、やはり「対話とは何か?」という問いに戻ります。人工知能研究の場では、対話とは「意味を共有することで相手を理解すること」とし、含意やグラウンディング、フレーム問題といった要件を、テキスト・音声・視線・顔の向き、身体の向き、身振り、手振りなどのマルチモーダル情報を使って実現するべく、対話AIの研究開発が行われています。心の定義というものが定まっているわけではありませんが、動物の実験からコミュニケーション行動が心のもとではないかと、動物行動学の岡ノ谷一夫氏は『コミュニケーション行動から探る動物の心』で記しています。

対話を通して他者の心を推測し、他者の行動を自己に当てはめる共感能力を得る。それによって「心」のもととなる行動を学んでいく。こうした学習によって、推しキャラを使った対話型AIは「つながり」を表現することができるようになるのではないか

アバター対話AIを実現するためにはいくつかのアプローチがあります。ひとつは、アバターの表情や洋服を変えて自分の推しキャラを自分で作成することを可能にする仕組みをうまく組み込むこと。もうひとつは「アバターをふくむ世界」とつながれるようにオブジェクトの関係性を知識グラフで表現することです。また対話をキーとしてつないでいくことで実現しようとする研究も進められています。音声と言語とイメージが相互にグラウンディングされたデータセットを作って学習させることで、こうした世界の構築を目指しているのです。

「推しキャラをふくめた世界」を構築することでアバター対話システムが実現できないかと研究開発を進めている

アバター対話型AIの先に見ているもの

アバター対話型AIはまだ研究開発中ですが、曾根氏はそれが完成したとしても、対人間のコミュニケーションを確立できるものになるとは考えていません。つながっているかのような状態をマルチモーダルで無理矢理学習させることはできます。しかし、つながるためにはアバターが自律的に動き、外界とのインタラクションを自律的に行い学習することで、個を確立する必要があります。

最初にやるべきことはまず人を補助することと人を変えることです。その後に自律したAIが誕生するため、まずは行動変容のサポートを行っている段階です。対象を理解するときにまずユーザーのプロファイルを作って、そこから自律尺度的なものを算出しスコアリングするという流れになりますが、その中で、本当の問題点を抽出するためにAIと人が協業するところ、その協業のためのデータ作りから始めているそうです。データとしては、バーバルとノンバーバルを融合したものを想定しています。

たとえば、「ピッタマッチ」であれば、最初に恋バナというユーザー自身の思いがプロファイリングされ、そこから歌詞を作っていくのですが、その工程でこんな歌詞を書いたらいいということをAIが補助するという世界観があります。

私は医療と自然言語の分野から、バーバルとノンバーバルを用いた行動変容の研究に携わっています。ユーザーの健診データやプロファイルからユーザー各々に合った尺度的なものを見い出し、それをもとにアバター化した医師とユーザが傾聴を重ねることで、バーバルとノンバーバルの両方からユーザーの潜在的な思いを表出させ(自己開示)、そこから得られるユーザーの本当の悩みを人と補助AIが一緒になって考えて解決していく未来を考えています。その部分と「ピッタマッチ」の音楽として思いが表出される部分に共通点があるのではないかと考え、プロジェクトに参加しています。(曾根周作氏)

一方、石鍋氏はキャラクターデザインという立ち位置から、ロジカルな研究とは別に、ファンカルチャーをどこにどうリンクさせるのかを考えることもアプローチになると考えています。

AIの性格づけのような話に発展するのかもしれませんが、感情をどう植え付けていくかという部分では、今あるエンタテインメントの物語世界の中でキャラクターとファンとの関係性をある程度仕込むことができます。それを前提にして学習してもらうことにも大きな可能性があると思います。(石鍋大輔氏)

たとえばアニメーションであれば、ストーリーを紡ぐ中でどのタイミングでどれだけ登場人物の感情表現を出していくかがコンテンツ制作側の大きな課題となります。そうした分野で培ったノウハウは、まさに曾根氏が言うようにAIと人間の協業のためのデータ作りに大きく貢献するのではないでしょうか。ノンバーバルなものもふくめ、さまざまな当事者の声を自然に吸い上げることができれば、より精度の高いプロファイルや尺度を作ることにつながります。

そして、今回紹介されたように、高齢者の見守りや若者の恋愛といった顕在化され表出しやすい問題解決から取り組んで、その成果をもとに今度はなかなか表には見えづらく言語化もされにくいテーマへと展開していく可能性が広がっていると感じます。最近は人工知能分野の研究者とさまざまな異業種分野に携わる人々が共同で研究を進めることの意義が少しずつ注目され始めています。社会実装の前段階ということで、なかなか本格的にタッグを組んでプロジェクトを進めることの難しさはあるかもしれませんが、今まさにそれが必要とされるフェーズに来ているといえるのではないでしょうか。

Writer:大内孝子

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