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CGへの扉 Vol.26:アートを加速させるAIの役割」#GTC2021 レポート

2021.5.14アート

CGへの扉 Vol.26:アートを加速させるAIの役割」#GTC2021 レポート

GTC 2021開催

グラフィックスに特化した半導体メーカーNVIDIA社により、米国時間2021年4月12日から16日の5日間、大規模なオンラインカンファレンス「GTC 2021」が開催されました(※GTC = GPU テクノロジー カンファレンス)。複雑な計算を同時並列で行うグラフィックス向けの半導体チップ、特にNVIDIA製のグラフィックスチップ(GPU:Graphics Processing Unit)が搭載されたボードは演算性能が良いことから最近ではAI分野の計算やビットコインの採掘と呼ばれる計算など、グラフィック分野以外の広い分野で使われるようになってきています。

今回のGTCでは、データセンター向け新GPU「A10」と「A16」が発表された他、対話型のAIフレームワークである「Jarvis」が注目を集めました。Jarvisは各分野におけるトレーニング済みのモデルを選び、ツールキットで調整するだけで車内での会話や、医療関連、コールセンター向けなど、専門知識が無くとも業界固有の言葉を使った対話型のサービスが構築できるものです。現在 Jarvis 1.0 Beta が公開済みです。

NVIDIAの発表では詳しくは触れられていませんが、Jarvisの由来はもちろん映画アイアンマンに出てくるAIエージェント「J.A.R.V.I.S.」を意識していることは確かです(※J.A.R.V.I.S は “Just A Rather Very Intelligent System” 非常に知能的なシステムのことで、もともとは、アイアンマンであるトニー・スタークの父親ハワード・スタークの執事の名前 Edwin Jarvis からきている)。

NVIDIA JARVIS:https://developer.nvidia.com/nvidia-jarvis
紹介動画:https://www.youtube.com/watch?v=ZjmpAUk712Y

GTC2021 では、テクノロジー寄りの話題が中心となりつつも、”AI Art Gallery” という AIを活用したアーティストの作品や、AIをツールとして、または作品制作のコラボレーションの相手として活用しているアーティストやミュージシャンらが紹介されています。ここで紹介された、AIを活用した作品、そして作品に思いがけないオリジナリティや創造性を生み出す方法などについての解説をいくつか紹介しましょう。

AIからのアート、アートからのAI、AI活用のアート作品の数々

GTC21で紹介された AI Art Gallery のページ「ART AND MUSIC IN LIGHT OF AI(AIから見るアートと音楽)

Mosaic Virus – Anna Ridler

Mosaic Virus:http://annaridler.com/mosaic-virus
紹介動画:https://vimeo.com/399861718

Mosaic Virusとは、チューリップ花弁がかかる病気のことで、この作品はビットコインの価格の変動に応じてチューリップの画像が切り替わっていくインスタレーション作品です。17世紀にヨーロッパでチューリップの球根が高騰したり暴落した事象に基づいています。チューリップの画像は多数のデータセットからGAN(敵対的生成ネットワーク)によって生み出された架空のチューリップです。チューリップの球根騒動を昨今のビットコインの話題に結びつけ、さらに人工知能研究の大規模化や、資金競争をも想起させる奇妙さを表現したものとのこと。

artonomous – PINDAR VAN ARMAN WITH KITTY SIMPSON

artonomous:https://artonomo.us/
紹介動画:https://www.youtube.com/watch?v=XJq-2oh1aI4

artonomousは、筆を使って絵画用のキャンバスに絵を描く人工知能を活用したロボットで、このロボットを用い、子どもの顔写真をファインアートのような絵画として描く作品です。ここで描かれる子ども達はAIが台頭する世界で育ち、その親世代とは全く異なった人生を歩むであろうことを表現しています。

ロボットで描いた子どもの顔には「この子が運転する初めての車にはハンドルがついていません」「この子は誰にも道を聞かれることはありません」などいった将来を予想したメッセージが添えられています。artonomousは二十数個のアルゴリズムの集合体で、それらがせめぎ合って絵筆の制御を奪い合い、最終的なニューラルネットを構築しています。

Leaves of Manifold – HELENA SARIN

Leaves of Manifold:https://aiartists.org/helena-sarin
Helena Sarin氏のインスタグラム:https://www.instagram.com/helena.sarin/
紹介動画:https://vimeo.com/354276365

Helena SarinさんはGAN(敵対的生成ネットワーク)を活用し、インスタグラムや、Photoshopのフィルター効果を超えた予測不可能なエフェクト結果を作品作りに生かしています。単なるプログラミングから生まれるジェネラティブアートとしてではなく、アーティストが描くように、思いつきで、大胆に、個人的な表現をもったものを求めて作品作りをしているそう。今回の作品ではナシの葉、カエデ、スウィートガムの葉など約1,000枚の枯葉をスキャンして学習データとし、画像のスタイル変換を得意とするCycleGANを使い、実在しない奇妙な枯葉の画像を生成させている。

Human Allocation of Space – SCOTT EATON

Human Allocation of Space:http://www.scott-eaton.com/
制作の様子:https://vimeo.com/399391264

Human Allocation of Spaceは、シンプルな描画インタフェースで描いた線画から機械学習の助けを借り幾何学的で立体的な彫像が生み出されたものです。作者のScott Eaton氏は、MITメディアラボで修士号を取ったあと、イタリアのフィレンツェで伝統的な彫刻を学ぶという異色の経歴を持っています。pix2pixHDをベースとしたGANを用い、彫刻としてのシルエットや線の太さ、スタイルを機械学習し、試行錯誤しながら線画を描くことで最終的な理想的形状が生み出されます。

ここで生み出された形状はブロンズ鋳造によって現実の形として表現され、数千年前から続く技術(鋳造)と現在の技術(機械学習)の融合によって作られています。

AI Data Sculpture – REFIK ANADOL

AI Data Sculpture:https://refikanadol.com/
紹介動画:https://www.facebook.com/watch/?v=2547911251978308
プレゼンテーション動画(TEDより):https://www.youtube.com/watch?v=UxQDG6WQT5s

AI Data Sculptureは、ある種のデータを可視化することで生まれるデジタルな彫刻的表現です。人間の脳の働きと時間的な変化を視覚的に再構築し、色と形状で彫刻的に時間軸のある彫刻として表現されています。70TBにも及ぶMRI(核磁気共鳴画像法を用いた医療計測装置)を元データとしており、VAE(Variational AutoEncoder)とGANが活用されている。描画の最終段階でSIFT(Spherical-deconvolution Informed Filtering of Tractograms)アルゴリズムによって情報を把握しやすくするための間引きを行なっています。

その他にもDCGAN (Deep Convolutional GAN:畳み込みニューラルネットワークによる敵対的生成)を用い、単なるデータの可視化ではない、データの本質を捉える表現による作品が発表されています。

Beneath the Neural Waves – SOFIA CRESPO AND ENTANGLED OTHERS STUDIO

Beneath the Neural Waves:https://beneaththeneuralwaves.com/
作品動画:https://vimeo.com/soficrespo91

Beneath the Neural Wavesでは水中における生態系をデジタルで模倣し、サンゴ礁とそこに生息する魚の様子を生み出しています。サンゴ礁と魚に見える物体も実存する生き物ではなく、デジタルデータの中だけで生息し、表現されているものです。制作にはGANを三次元拡張した3D-GANが用いられ、3D表現には無料の3DCGツールBlenderが使われています。この作品の他に GPT-2を活用して作られた人工的な昆虫 Artificial Remnants 2.0という作品も紹介されています。

Strange Genders – 64/1 & HARSHIT AGRAWAL

64/1のFacebookページ:https://www.facebook.com/64bar1/

Strange Gendersは、人工知能の助けを借り、インドの人々がどのようにジェンダーを視覚的に表現しているのかを理解しようとするプロジェクトです。解析結果は古くからあるタペストリーのようなレイアウトで描画されています。インドに住むあらゆる職種の人たちが想像する男性と女性のスケッチを2,300体分、Amazon Mechanical Turkを利用して集め、それらを元データとして利用しています。生成にはStyleGAN2が用いられています。

Abstract Dreams – DANIEL AMBROSI

Abstract Dreams:https://www.danielambrosi.com/Abstract-Dreams/
仕組みを解説したメイキング動画:https://vimeo.com/177627071

Abstract Dreamsは、Computational Photographyと呼ばれるカメラで撮影した写真をコンピュータによって加工した作品です。一般的なComputational Photographyであれば、余計な影を除去したり、適切な照明効果を撮影後に付与したりといった写真を美しくするために使われることが多いですが、この作品のアプローチは少し違います。

もととなるものは風景写真等ですが、映像から人が感じるであろう潜在意識や知覚の錯覚を呼び起こしたり、瞑想的な気分になるよう写真が加工されます。写真から人が感じる直感、認知、感情といったものを強調するような画像が生み出されています。Google DeepDreamをクラウドGPUで動作できるようカスタマイズしたバージョンが使われています。また作品化の工程でFilter Forgeというフィルター加工ツールが用いられています。

これからのAIとアート

今回紹介したAIを活用したどの作品も、単に「人工知能で何か作りました」ということにとどまらず、社会的提言、または人の行動や思考、創造性に対してなんらかの提言や示唆を与えるものになっているのが特徴です。よく「AIによって人の仕事が奪われる?」という議論になりますが、ここで紹介した作品群をみると、単純にAIかアーティスト(人間)かという話ではなく、AIを活用する人間によって作品表現の幅が広がり、いままで人間の手作業だけでは生み出せなかった作品の可能性を見ることができます。

今回は映像系のAI活用作品を主に紹介しましたが、AI Art Galleryでは音や音楽に関するAI活用も広く取り上げられています。ニューラルネットワークで生成した歌、AIと人間の協力によって生み出されたソウルミュージック、膨大な楽譜を学習させたAIに作らせるサウンドトラックなど、興味深い作品、プロジェクトが紹介されています。

今はAI活用、機械学習、GAN系の研究等、実用的な領域の発展が広がっていますが、これらの研究で得られた成果はアート作品の制作やアーティストの道具として使われるようになり、また今後はアーティストの要望によって、より緻密で演出可能な偶然性を生み出せるAI活用が進んでくるのかもしれません。

本連載の今後の予定:「CGへの扉」では、単なるAIの話題とは少し異なり、CG/VFX, アートの文脈から話題を切り取り紹介していきます。映像制作の現場におけるAI活用や、AIで価値が高まった先進的なツール、これからの可能性を感じさせるような話題、テクノロジーの話題にご期待ください。何か取り上げて欲しいテーマやご希望などがございましたら、ぜひ編集部までお知らせください。

CGへの扉

Vol.25:変幻自在の顔も実は人工知能

Vol.24:自然現象もすべて人工知能で再現する時代

Vol.23:AIで人の眼に進化するカメラ

Vol.22:言葉から画像を生成、DALL-Eはクリエイティブなのか?

Vol.21:人工知能+3DCGの最新論文をまとめて紹介 #SIGGRAPHAsia2020

Vol.20:Adobeと人工知能の将来を見極める #AdobeMAX2020

Vol.19:コミュニケーションツールの新境地「NVIDIA MAXINE」

Vol.18:SIGGRAPH2020レポート 映像制作の現場で活躍する人工知能

Vol.17:描画を進化させるTensorFlow Graphicsの真価

Vol.16:バーチャル開催SIGGRAPH論文を先取り

Vol.15:撮影に革新をもたらすAIによる照明

Vol.14:AIが生み出す顔と人間の表情

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Contributor:安藤幸央

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