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『Rival Peak』の大成功とMILEコンテンツの新たな展開
2021年1月29日、モリカトロンAIラボはAIキャラクターが主役の視聴者参加型リアリティ番組『Rival Peak』を特集した記事を公開しました。前代未聞の視聴体験を提供した同番組は大きな反響を呼んで終了した後、新たな展開を見せています。本稿では『Rival Peak』の評価を確認したうえで、MILEコンテンツの広がりを紹介します。
『Rival Peak』はGenvidの『Ingress』
『Rival Peak』の特徴を改めて確認すると、同番組はAIキャラクターのサバイバルを人間の視聴者が鑑賞するリアリティ番組です。視聴者がAIキャラクターを応援したり、特定のアクションを促したりもできるインタラクティブ性も備えています。こうした同番組の特徴は、MILE(Massive Interactive Live Event)という新たなコンテンツカテゴリー名に集約されています(詳しくは前出の過去記事を参照)。
Rival Peakを開発したGenvid Technologiesは2021年3月24日、同番組の成果を振り返るブログ記事を公開しました。その成果は、以下のようにまとめられます。
- 2020年12月から2021年3月までのあいだに配信された13回のエピソードは、世界70か国で2億人以上のユーザエンゲージメントを獲得。総視聴時間は1億分を超えた。
- 視聴者数が多かった国はアメリカ、インド、メキシコ、フィリピン。
- 週間視聴時間は平均40%ずつ増加。配信開始1か月後の週間視聴時間は初週比300%以上。
- 最終エピソードの視聴時間は、初週の55倍に急増した。
以上のような成果を上げたRival Peakは、メディアからも高い評価を受けました。例えばエンタメメディアScreen Rantは同番組を「驚くべき成功」と評した記事を公開し、Los Angeles Times紙電子版は「新しい社会実験」と形容したうえで、『リトル・コンピュータ・ピープル』や『たまごっち』の系譜を継ぐコンテンツと批評しました。
GenvidのCEOであるJacob Navok氏は2022年3月25日、Rival Peakの運営を振り返る記事をMediumに投稿しました。その記事で同氏は、「Rival PeakはGenvidにおける『Ingress』である」と述べています。Ingressとは、ARゲーム開発企業最大手のNianticが『Pokémon GO』の前に開発した位置情報ゲームです。Ingressの位置づけをふまえて以上の総評を解釈すると、同ゲームによってMILEが周知されたので、将来的にはPokémon GOに匹敵する世界的なMILEコンテンツをリリースしたい、という同氏の野心がうかがえます。
通常のNPCを超えた『Rival Peak』AIキャラクターの仕組み
Rival Peakに関しては、2021年11月19日に公開されたGenvidのブログ記事で同コンテンツに実装されたAIが解説されています。そうしたAIのアーキテクチャは、以下のようにまとめられます。
- シミュレーションモジュール:Rival Peakのゲーム内環境で生じる物理現象をシミュレーションするモジュール。
- AIライブラリ:Rival Peakに登場するAIキャラクターとゲーム環境のあいだで生じる相互作用を定義するAIモデル群。
- FORNAP:AIキャラクターの自律的行動を駆動するAIモデル。同モデルが駆動することで、AIキャラクターは行動目標を設定したり、視聴者が指示するアクションを実行したりする。各AIキャラクターには「外向的」「内向的」のような性格が設定されていて、その性格に沿った行動を選択するようにカスタマイズされている。このAIモデルは、Rival Peak以外のゲームにも流用できる。
FORNAPの開発過程では、「ほかのAIキャラクターを殺して食べない」といった道徳を実装する必要がありました(詳細はNPCを特集した過去記事を参照)。また、Rival PeakのAIキャラクターは通常のゲームに見られる人間プレイヤーに倒されるべき敵キャラクターではないので、戦闘に関わるアクションを大幅に削除しました。その代わりに挨拶をする、冗談を言う、イチャイチャする、助けを求めるといったAIキャラクターのあいだで交わされるソーシャルなアクションを実装しました。
通常のゲームであればRNG(Random Number Generator:乱数生成器)で制御するイベントの多くを、Rival Peakでは視聴者による投票によって生成するようにしました。このように視聴者が番組の展開に介入できるようにしたことで、同ゲームはAIキャラクターと視聴者のあいだにユニークな相互作用を築けるようにしたのでした。
有名ドラマもMILEコンテンツに
Rival Peakの配信完了以降も、GenvidはMILEコンテンツをリリースし続けています。例えば、2021年9月8日と9日にアメリカ・ニューヨークのマンハッタンで開催されたゲームイベント『Project Monarch』は、街中にある巨大デジタルサイネージを使ったコンテンツです。具体的にはデジタルサイネージに表示されたQRコードをスマホで読み込むと、巨大サイネージに映されたアクションゲームをプレイできるようになります。一度にゲームできるのは6人までですが、プレイできない人々は視聴者としてゲーム最後の協力プレイに参加できます。このコンテンツは、従来のデジタルサイネージ広告の在り方を大きく変えるポテンシャルを秘めています。
『PAC-MAN™ COMMUNITY』は、レトロゲームのPAC-MANにソーシャル要素を追加したものです。最大4名までの協力プレイが可能なPlayモード、ユーザが独自にメイズ(迷路)を作成して投稿するCreateモードが実装されています。この独自作成メイズのなかで優れたものは、Watchモードに採用されます。WatchモードでゲームをプレイするのはAIであり、ユーザはパックマンあるいはゴーストのどちらかを応援できます。応援されたキャラクターはバフ(ステータス強化)が発生するので、ユーザはWatchモードの勝敗に関与できるのです。こうしたWatchモードの設計には、MILE開発のノウハウが生かされています。
アメリカ太平洋時間2022年7月11日午後4時からは、『The Walking Dead™: Last MILE』の配信が始まりました。11月中旬までの配信を予定している同番組は、Rival Peakの世界観を有名ドラマの『ウォーキング・デッド』に替えたものと言えます。視聴者はインスタントゲームのプレイなどを通じて、同番組の展開に関与できます。そうしたゲームのなかには、ウォーカー(ウイルス感染によってゾンビになった人間)をシューティングするようなRival Peakにはなかったものが実装されています。
以上のようにRival Peakに端を発したMILEは、新たなコンテンツを展開することでその認知度を高めています。今後さらにMILEカルチャーが盛り上がっていけば、Genvidの『Pokémon GO』に相当するコンテンツが誕生するかも知れません。
Writer:吉本幸記