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【GDC 2019】AIは感動的な物語体験をゲームで表現できるか? GDCに見る最新トレンド
米サンフランシスコで開催されたゲーム開発者会議「Game Developers Conference(GDC)2019」のAIサミットで3月18日、XEODesignのニコル・ラザロ氏は「Red Pill Blue Pill : Narrative AI for Deep Emotions」と題して講演しました。ラザロ氏は名作映画を引用しながら、ゲームで感動的な物語体験を演出するためのAIに必要な、4層のレイヤーについて自説を展開しました。
The 4 Keys to Funの提唱者、AIを語る
今日のゲームは最先端のコンピューティング技術が複雑に連携して開発されており、AI技術もそのひとつです。GDCは全世界から約3万人のゲーム開発者が集結し、ゲーム開発技術について議論する場で、さまざまな分科会が設けられており、AIサミットもそのひとつとして開催されました。もっとも、近年のゲームAIは「キャラクターAI(キャラクターの意思決定)」「ナビゲーションAI(キャラクターの移動経路設定)」「メタAI(ゲームバランスの演出など)」などの専門分野に偏る傾向があり、ブレイクスルーが生まれにくくなっています。今年のAIサミットでは従来の枠に収まらない、分野横断的な議論が見られました。本セッションもそのひとつです。
講演者のラザロ氏は米スタンフォード大学で認知心理学を専攻後、1992年にXEODesignを設立。これまでにルーカスアーツ、エレクトロニック・アーツ、Ubisoft、ネクソンなど、名だたるゲーム会社でコンサルタントを務めてきました。中でも2004年に同社が提唱した「The 4 Keys to Fun」は、世界で最もヒットしたPCゲームのひとつである『ザ・シムズ』シリーズ(2000年、エレクトロニック・アーツ)をはじめ、数多くのゲームに影響を与えたことで知られています。なお、現在はコンサル業のかたわら、XR技術を活用したミステリー・アドベンチャーゲーム『Follow the White Rabbit』の開発も進めています。
The 4Keys to Funはプレイヤーのゲーム体験をベースに、ゲームの面白さを「Easy Fun(探索・ロールプレイ・創造性などの面白さ)」「Hard Fun(英雄的な勝利や、困難な挑戦を達成することで得られる面白さ)」「People Fun(協力・交流など、他人と交わることで得られる面白さ)」「Serious Fun(ゲームを遊ぶことで、プレイヤー自身が癒されたり、社会が良い方向に変革したりすることで得られる面白さ)」の4種類に分類し、分析するためのフレームワークです。
もっとも、大半のゲームはこの4種類の面白さを大なり小なり兼ね備えており(ゲームによって各々のバランスは異なるが)、さまざまなルールを組み合わせることで、プレイヤーに対して多彩な面白さを提示しています。その上でラザロ氏はゲームが映画や小説などと異なる点に「再挑戦性」があり、ゲームは大小さまざまな「繰り返し行為」が入れ子構造になって設計されていること。また、ゲームプレイは能動的な行為であり、プレイヤーの頭の中で「行為」と、それに伴う「感情」が常にセットで生じていること、などを整理しました。

ナラティブとゲームの深い関係
以上の内容をふまえて、ラザロ氏は感動を呼ぶ物語体験をゲームで自動生成するためのAIをどのようにデザインするべきかについて講演しましたが、そこでキーワードとなるのが演題にもある「ナラティブ」です。もともとは1960年代に文芸研究で提唱された概念で、従来のストーリーが「物語の内容」を意味するのに対して、ナラティブは「物語を語る行為」に視点を置く。日本ではまだまだ耳慣れない用語であるため、余談ではあるが簡単に整理しておきましょう。
映画や小説に代表される「物語」が商品として市場に流通するようになったのは、約200年ほど前からです。それまでは神話や伝承のように、「話者が聞き手に語る」行為を通して物語は消費されてきました。そこでは話者は聞き手に応じて自由に語り口を変えたり、時には内容を改編したりできました。その後、物語は活版印刷や映画などの技術革新を通して「メディア」に固定化され、市場に流通するようになります。これにより話者が消失し、聞き手は常に同じ内容の物語を消費するようになりました。
こうした文脈で登場してきたのがコンピュータゲームです。当初はハード性能の限界から内容も単純でしたが、次第に複雑な物語を内包するゲームが発売されるようになりました。ところが物語世界の主人公とプレイヤーの関係性に矛盾が生じ始めます。映画や小説が一本道のストーリーしか展開できないのに対して、ゲームではプレイヤーの選択次第で無数の展開が生じるからです。それによって同じゲームでも、プレイヤーごとに異なる物語を体験できるようになってしまいました。
たとえばRPGでゴールまで一直線に進んだプレイヤーは、ラスボスを苦心して倒すことになるでしょう。逆に究極までレベル上げに勤しんだプレイヤーなら、一撃で倒せるかもしれません。このようにプレイヤーがクライマックスで受ける印象は、それまでのゲーム展開によって異なってきます。ハード性能が進化し、ゲーム内にさまざまな分岐やイベントなどを内包できるようになるにつれて、この「作り手が提示したい物語」と「プレイヤーが体験する物語」の齟齬は、ますます開いていきました。
ポイントは、ゲームのストーリーテリングには映画や小説の主人公と異なり、自由意思で行動する「プレイヤー」が存在する点です。であれば、作り手が決まったストーリーを押し付けるのではなく、プレイヤーに自由に行動してもらい、そこから固有の物語体験を消費してもらおう…。こうした発想で作られたゲームが、2000年代に入って次第に影響力を持ち始めます。ゲームで大容量のデータが扱えるようになり、従来とは違ったゲーム体験が提供可能になったことも、この傾向に拍車をかけました。
明確な定義はありませんが、こうしたスタイルの先駆けとなったのがクライムアクションゲームの『グランド・セフト・オートIII』(2001年、ロックスター・ゲームス)でしょう。その後、『風ノ旅ビト』(2012年、ソニー・コンピュータエンタテインメント)のヒットでナラティブという概念が定着しました。これらのゲームを遊んだプレイヤーはみな、従来のストーリーゲームとは区別して議論する必要性を感じるようになり、ナラティブという概念を議論の接線に使い始めました。こうした経緯を受けて、GDCでも2013年からナラティブサミットが開催されるようになりました。
夢とテーブルトークRPGとナラティブ
こうした理由から、ナラティブを意識したゲームにはデザイン上の特徴が見られます。人間には「独立した複数の事象から関連性を見つけ出し、そこから物語を作り出してしまう」力があります。身近なところでは夢の内容を他人に話す行為が該当します。脳内でおきた記憶のフラッシュバックを、意識が勝手につなぎあわせ、ひとつの物語にしてしまうのです。ナラティブ・ゲームではこれが意識的に活用されており、壮大な世界観などを想起させる情報の断片などが、世界に散りばめられることがよく見られます。
もっとも、そうした情報群から何を想起するかは、個々のプレイヤーに委ねられています。ゲームの面白さの度合いが人によって違うように、雑多な情報群から関連性を見つけ出す能力も、人によって異なるからです。そのためナラティブ・ゲームからプレイヤーが受ける感想も千差万別で、映画や小説のように「感動させる」までには至らないことが多いようです。日本でナラティブ・ゲームがしばしば「雰囲気ゲー」と評されるのも、こうした点が背景にあります。
ちなみに、この「映画や小説」と「ゲーム」の間をつなぐ存在として、1970年代に誕生したテーブルトークRPG(TPRG)があります。アナログゲームの1ジャンルで、多くのゲームと異なり、TPRGではプレイヤー同士が協力して、さまざまな試練に立ち向かっていきます。そうした試練を事前に用意しておき、プレイヤーの行動を判定するのが、ゲームマスターと呼ばれる存在です。1974年の『ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)』が第一号で、その後のゲームに大きな影響を及ぼすことになりました。
TRPGでは、プレイヤーはルールにのっとって自分の分身(=キャラクター)を作り、即興劇のように会話を重ねてゲームを進めていきます。物語の大枠はゲームマスターによって設定されていますが、実際の進行はその場のノリとアドリブ、そしてサイコロが生み出す偶然によって導かれていきます。ポイントはここでも「話者による自らの物語」が存在することです。これが1980年代に入ると、ゲームマスター役をコンピュータが代行する形で、今日のコンピュータRPGが誕生し、隆盛を誇ることになります。
こうした経緯から、ゲーム機の進化と共に「ゲームマスター役を杓子定規なアルゴリズムではなく、より柔軟で高性能なAIに代行させれば良いのではないか」という発想が生まれてきました。ゲーム展開とプレイヤーの状態を俯瞰しながら、リアルタイムにゲームバランスを調整する、メタAI的な発想です。もっとも、そうして作られたゲームで感動的な物語体験が生まれるかは、また別の話です。そこにはAIを単なる判定役ではなく、どのようにナラティブを活用するか、という視点が欠けているからです。
名作映画に見るナラティブの活用とゲーム
ラザロ氏の講演内容も、こうした文脈に則ったものです。その上で提案されたのが、これらすべてを一元的に管理するのではなく、複数のレイヤーに分割するというアイディアです。ラザロ氏はディープラーニング技術を応用し、実在しない人物のリアルな顔画像を無限に生成できるWebサイト「ThisPersonDoesNotExist.com」のアルゴリズムを引用しつつ、TRPGの複雑なナラティブもゲームを4種類のレイヤーに分割することで、AIによる自動生成が容易になるとしました。
その上でラザロ氏は「フレーム」「選択」「キャラクターの心理的成長(=オニオン&キャラクターアーク)」「アイテム」からなる各レイヤーについて、映画のシーンを引用しながら説明しました。もっとも、ゲームと映画は同じ物語メディアですが、本質はまったく異なります(鳥と飛行機は同じように空を飛ぶが、飛行原理が異なるように)。これを踏まえた上でラザロ氏は、ゲームは映画から多くのことを学べると指摘し、それをもとにどのようなナラティブをデザインしていくかが重要だと述べました。
フレーム
はじめに紹介されたのが「フレーム」、すなわちゲームの世界観や舞台などの大まかな設定です。ここで引用されたのが、男女24人が殺し合うデスゲームの模様を描いた映画『ハンガー・ゲーム』(2012年)です。参加者に強い目的(ここでは最後まで生き延びること)が与えられる一方、目的を達成するための手段が限定されると、自然とプレイヤーに生への執着心や仲間への連帯感、裏切りへの不信感など、複雑な感情が想起されるというわけです(実際に映画もそうした筋立てになっている)。
ちなみに、こうした設定を生かしたゲームはすでにリリースされ、大ヒットを記録しています。最大100人のプレイヤーが生き残りをかけた戦うアクションシューティング『フォートナイト』(2017年、エピックゲームズ)などです。もっとも現状では、ただ参加者が同じ世界の中で殺し合うだけで、ナラティブを意識したデザインは行われていません。しかしラザロ氏は今後「アリーナAI」とでも言うべきアルゴリズムを洗練させていくことで、感動的な物語体験が提供できると述べました。
選択
アドベンチャーゲームの選択肢に代表されるように、プレイヤーが能動的に行う選択はゲームとそれ以外の物語メディアを分ける、大きな要因のひとつです。もっとも、ラザロ氏は「選択と結果」の関係性を、もっと長い時間軸で捉えるべきだと指摘しました。今のゲームでは選択の結果がすぐに提示されすぎているというわけです。これに対して、ひとつの選択が後になってプレイヤーの心理や言動に影響を及ぼすようなことが可能になると、より深みのあるゲームが実現可能になります。
ここで引用されたのは、ナチスによるホロコーストを題材に取った『ソフィーの選択』(1982年)です。作家志望のスティンゴは終戦から2年後の1947年、ニューヨーク市ブルックリンで、美しい女性ソフィーとその彼氏ネイサンと出会います。しかし、ソフィーには戦時中にユダヤ人の強制収容所で受けた辛い過去と、そこで下した究極の決断があり…というストーリーです。ソフィーとネイサンをとりまく過去が物語の展開にあわせて、次第に明らかになっていきます。
キャラクターの心理的成長
キャラクターの心理的成長はドラマを構成する基本的な要素のひとつです。しかし、ゲームではこれが非常に困難です。映画や小説では作り手は受け手の感情を完璧にコントロールできますが、ゲームでプレイヤーが抱く感情は、個々のプレイヤーの行動やコンテキストに委ねられているからです。そのため、キャラクターの心情もシナリオで説明するのではなく、登場人物や社会とのインタラクションなどを通して、自然に特定の感情を想起させるような仕組みが重要です。
ここでラザロ氏が引用したのが、香港映画界が送る武侠映画『グリーン・ディスティニー』(2000年)です。映画史に残る竹林のアクションシーンでは、しなる竹の上で戦うというユニークな舞台を設定することで、チャン・ツィイーの未熟さとチョウ・ユンファの落ち着きが、手に取るように描かれています。このように本作では言葉ではなく、殺陣の動きで物語や、キャラクターの感情を観客に想起させている。これもまたナラティブの活用事例です。
アイテム
年老いたガンマンが若者に愛用の銃を手渡す…西部劇で良く見るシーンです。台詞がなくとも、両者の関係性や銃に込められた想いなどが伝わってきます。このようにアイテムはしばしば、キャラクター以上に雄弁な存在となります。ラザロ氏が引用した映画『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017年)でも、ヒロインのイライザが作る「ゆで卵」が重要な意味を持ちます。ゆで卵の意味が明確に提示されることはありませんが、観客に対して心理的なフックを作ることに成功しています。
ラザロ氏はまた、ARゲームにおいてアイテムの重要性が、よりクローズアップされていくと指摘します。マジック・リープが発表したデモ「Aladdin’s Cave of Wonders on Magic Leap」では、Magic Leap Oneを装着したプレイヤーが複合現実(MR)によって目の前に浮かぶさまざまなアイテムとインタラクションを行う様子が見て取れます。この行為を下支えしているのが、現実世界を認識するためのAI技術です。ライザ氏はARとAIが融合し、現実世界に適切なアイテムを配置して、それをナラティブに活用することで、より豊かな物語体験が演出できるようになると述べました。
AIによって飛躍するナラティブ・ゲームのゲームデザイン
最後にライザ氏はこれまでの講演内容をまとめて、ゲーム『God of War』(2018年、ソニー・インタラクティブエンタテインメント)で4つのレイヤーがどのように表現されているかについて説明しました。本作は勇者クレイトスを操作して、息子のアトレウスと共にさまざまな困難に立ち向かっていくアクションアドベンチャーです。ギリシャ神話をモチーフとした世界観で、骨太のストーリーが展開されています。2018年にPS4向けに発売され、GDC2019のゲームデベロッパーズチョイスアワードで最優秀賞を受賞した、非常に評価の高いタイトルです。
本作でフレームとはゲーム内世界のことであり、クレイトスとゲーム内世界の関係性を規定するさまざまなメカニクス(斧を振るうと物が壊れるなど)を意味しています。ゲームはさまざまな選択の連続で進み、ボスキャラクターは倒すべき障害物として設定されているものの、もし共存や有効といった選択肢があれば、より多彩な展開が可能になるでしょう。物語のテーマは「世代交替」であり、アトレウスの精神的な成長も描かれています。最後にプレイヤーの感情をゆさぶる特徴的なアイテムも登場します。
もっとも、本作に内包されたストーリーは基本的に一本道であり、プレイヤーは過程こそ異なるものの、結局は同じルートやイベントを辿ってエンディングまで到達します。その意味で本作のナラティブ度は低いと言えるでしょう。しかし、ここにAIがより有機的にかかわることで、個々のプレイヤーに対して異なる物語体験を適切に提示することが可能になります。本セッションではそのためのフレームワークが示されるに留まりましたが、今後の可能性を感じさせる内容でした。
Writer:小野憲史