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2028年には10億ドル市場に。ビジネスからエンタメまで支援するAIライティングツールまとめ

2022.8.26先端技術

2028年には10億ドル市場に。ビジネスからエンタメまで支援するAIライティングツールまとめ

ディープラーニングが実用化されるようになって、自然言語処理はめざましい発展を遂げました。そうした発展の結果、人間が書いたかのような文章をAIが生成できるようになり、さまざまな業界の文書作成時で人間を支援するAIライティングツールが次々と開発されるようになりました。本稿ではAIライティングツールの市場動向を確認したうえで、国内外の注目すべき同ツールを紹介します。

2028年までに年平均成長率14.2%で成長

AIライティングツール市場に関しては、調査会社Growth Market Reportsが2022年2月22日にレポートを発表しています。そのレポートによると、同市場は2020年には3億5,980万USドル(約490億円)規模に達しており、2028年までに年平均成長率14.2%で成長して10億2,230万USドル(約1,300億円)になると予想されています。

AIライティングツール市場が成長するのは、その用途が多岐に及ぶからです。同ツールの主な導入先には教育機関や政府機関があり、およそ文書を扱うあらゆる業界で使われると考えられます。さらに同ツールの進化により単なるスペルミスや盗作のチェックにとどまらず、小説やシナリオといったクリエイティブな文章の執筆支援にも対応できるようになりました。

2022年時点で完全終息していないコロナ禍は、AIライティングツール市場にとって成長促進要因となっています。というのも、コロナ禍によってリモートワークを余儀なくされた結果、テキストベースの社内コミュニケーションが盛んになったからです。こうしたテキストによるコミュニケーションを効率化する目的で、同ツールの導入が進みました。反対に同市場の成長阻害要因はコスト高にあります。同ツールはまだほぼ無料で使えるようなものではなく、今後も一定以上の品質のツールには安くない維持管理費がかかると見られます。

AIライティングツールをアーキテクチャタイプで分類すると、クラウド型とオンプレミス型があります。今後主流になると予想されるのは、初期費用を抑えられるうえに柔軟にスケールアップできるクラウド型です。もっとも、銀行業務のような機密性の高い情報を扱う業界では、オンプレミス型が好まれるでしょう。

地域別に見ると、すでに確固たる市場が確立している北米よりもヨーロッパが今後大きく成長すると考えられています。(レポートには言及されていませんが)日本においても国産言語AIがさらに進化すれば、AIライティングツールが急速に普及する可能性があります。

GPT-3ベースが主流の海外ツール

海外で定評のあるAIライティングツールには、人間が書いた文章とほぼ同等のものを生成できることで有名になった言語モデルであるGPT-3を使ったものが多数あります(GPT-3は、OpenAIがAPIとして有料提供中)。そうしたツールには、以下のようなものがあります。

Jasper

JasperはGPT-3をベースにしたAIライティングツールで、airbnbなどで採用されています。Google広告の広告文や一般的なブログ記事をはじめとした50種類の文章の執筆を支援するテンプレートを用意しており、Google検索で上位に表示されるように執筆することも助けてくれます。月額49ドルの通常プラン「スターター」だと一月あたり35,000ワードまでの執筆をサポートし、月額99ドルの「ボスモード」プランだと10万ワードまでサポートします。長編小説の執筆支援のために同ツールを使うのあれば、ボスモード加入が必須となるでしょう。同ツールは、日本語を含めた25ヶ国語に対応しています。

Copysmith

CopysmithもGPT-3をベースとしており、オンラインマーケティングに必要とされる各種テキスト文書のテンプレートを多数用意しています。さらに類似のテキストコンテンツをスプレッドシートにもとづいて一括生成するバルクジェネレーション機能も実装。ChromeやMicrosoft Wordとの連携にも優れ、APIとしても活用できます。APIを活用すれば、顧客企業に最適化されたオンプレミス型AIライティング体制が構築できるでしょう。利用プランは月額19ドルで4万ワードまでサポートする「スターター」と、月額59ドルで26万ワードまでサポートの「プロフェッショナル」があります。

QuillBot

QuillBotは、入力した文章の言い換え文を生成する「パラフレーザー」をはじめとした多数の文章生成機能を集めたツールです。ユーザ登録すれば、パラフレーザーを無料で利用できます。ただし、無料ユーザは「スタンダード」と「流暢性」の2種類の言い換えモードしか使えません。月額19.95ドルのプレミアムモードに加入すると、7種類の言い換えモードを利用できるようになります。その他の機能として「文法チェッカー」や「盗作チェッカー」、任意の記事や論文を要約する「サマライザー」、参考文献一覧を自動生成する「引用ジェネレーター」があります。

日本国内ではAI制作脚本による映画も誕生

日本においても近年の自然言語処理の発展を背景にして、画期的なAIライティングツールがリリースされています。そうしたツールには、以下のようなものがあります。

ELYZA Pencil

ELYZA Pencilは、日本語大規模言語AI「ELYZA Brain」を活用した文章生成ツール。同ツールのデモページにアクセスして、キーワードを2~8個入力して生成文書の種類を「ニュース記事」「メール文」「職務経歴書」のなかからひとつを選び文章生成を実行すると、設定内容に沿った文書が完成します。類似サービスとしてどんな長文も3行に要約する「ELYZA DIGEST」があります。これらのAIサービスを開発する企業であるELYZAは、東京大学・松尾研究室から誕生しました。

フルコト

東京大学次世代知能科学研究センター所属の松原仁教授が開発総括を務めるAles.incは、ストーリー生成ソフトウェア「フルコト」を開発しています。同ソフトウェアには、プロットライングラフ、感情分析、ログラインの3つの要素を複合的に評価することで人間が理解できる起承転結あるストーリーを生成するP-S-L技術が実装されています。同ソフトウェアが生成した脚本にもとづいて制作された短編映画『少年、なにかが萌芽する』は第17回大阪アジアン映画祭でのプレミア上映を経て、ショートショート フィルムフェスティバル&アジア2022のオンライン会場でオープニング作品として配信されました。

AIのべりすと

AIのべりすととは、任意の文章を入力するとその続きを生成するAIライティングサービスです。同サービスは、音楽・映像作家のSta氏が個人で開発・運営しています。小説を生成することに特化しているため、入力文に指示を書き加えることで小説中の話者や人称を変える「視点変更」やシーンを変える「場面転換」が可能です。無料会員として利用する場合は1時間あたり約45回に文章生成が制限されますが、有料会員の「ボイジャー」あるいは「ブンゴウ」になると、出力回数や最大生成文字数が増えます。

以上のようにAIライティングツールは、国内外でさまざまなものが開発・提供されています。今後も同ツールの普及と進化がますます進むと予想されますが、普及に伴い問題となるのがAIによって生成された文章の著作権です。文章をめぐる人間とAIの共作においてAIのウェイトが大きくなるにつれて、著作権を誰に(あるいは何に)帰属させるのが適切なのか判断が難しくなります。こうした問題に対処するために、AI生成文章に関する法整備が重要となるでしょう。

Writer:吉本幸記、Image by Shutterstock

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