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未来は僕らの手の中に:若手ゲームAIエンジニア座談会(後編)
mynet.ai、スクウェア・エニックス、モリカトロンAI研究所でゲームAI開発に携わる若手AIエンジニア7人による座談会。座談会レポート前編ではゲームAIに関心を持つようになったきっかけから、日頃の勉強のしかたなどについて語り合いました。後編となる今回は、仕事を進めていく上での課題や未来に実現させたいAIのあり方にまで話が及びました。
ゲームAIは5年後にどこに向かうのか?:若手ゲームAIエンジニア座談会(前編)
ゲーム業界で急速に存在感を増してきたAIエンジニア。中には新卒でAIエンジニアに採用されるケースも見られます。今回の座談会では、mynet.ai、スクウェア・エニックス、モリカトロンAI研究所の若手AIエンジニア7人が一同に集合。前編では、彼らがゲームAIに関心を持つようになった学生時代からの背景や、入社後の勉強のしかたなどについて語り合いました。
ゲームAIを作る上での課題は何か?
——勉強や仕事を進めるうえで、課題に感じるところはありますか?
竹内将(以下、竹内):最新の手法や論文には、サンプルのコードがないことが多いです。それが一番しんどくて。サンプルのコードをのっけてくれよみたいな感じです。実際、論文を読んでゼロから実装するのは、とても難しいですからね。ぜひ論文を書いた人は、一緒に読みやすいサンプルコードを書いて、できればライセンスをフリーにして、読みやすいドキュメントをつけていただけるよう、お願いしたいです。身も蓋もない話なんですけど、強化学習はデバッグが大変で、実装中に本当に死にたくなるほどです。サンプルコードがあるものでも、環境によって動かなかったり、コードがバグっていたりすることもありますが、まったくないよりはましです。
渡邊貴也(以下、渡邊):ライセンス関連でいえば、最近では機械学習に使用するための生データがネット上で提供されていることがありますね。ただ、商業利用ができないものが、よくあります。
髙井央司(以下、髙井):研究だとよくてもビジネスで使うのはダメ、といった事例がよくありますよね。企業で研究する上での壁かなと思います。
——クライアント先の企業だったり、社内の他の部署とのやりとりで、壁を感じることはありますか?
髙井:弊社は他のゲーム会社に比べると、AIに力を入れている方だと思います。親会社であるマイネット自体もAIやデータを重視しています。なにしろ「data is king」をオンライン化社会の3原則として日々掲げているくらいですからね。個々のゲームを運営するメンバーたちも、AIの有用性が分かれば、ちゃんと理解してくれます。AIはホントに大丈夫なのか、といった具合に疑っている感じはないですね。
里井大輝(以下、里井):キャラクターAIを作る時は、ゲームデザイナーとどのような内容にするか、相談しながら作るのですが、相手が何を欲しているのか理解する大変さを感じました。エネミーの挙動についても、単に賢ければいいというわけではないと思いますし。意図的に弱くするといっても、具体的にどうするのかっていう。他にキャラクターの個性の表現がどうとか、理不尽感を無くすにはどうすればとか、あるいはゲーム全体の中でこのバトルはこの位置付けたから、ここでこういう体験をしてほしいみたいな。さまざまな制約条件が存在します。
——ちょっと意地悪な質問ですが、そこまで具体的なリクエストがあるなら、AIを使わないで、ゲームデザイナー側でスクリプトを書けば…と思うようなことはありませんか?
里井:たしかに、人によって自分でスクリプトを書くゲームデザイナーもいますね。その一方で、ゲームデザイナーが全部実装するのがベストかというと、そうとは言い切れないとも感じます。ビヘイビアツリーなどを組むにしても、大量のキャラクターをいかに効率良く量産していくかについて考えると、エンジニアリング的な問題も出てきたりします。ツールが整ってて、後はデータを作るだけとなっても、データの作り方の工夫のところで、やっぱりエンジニアリングの要素が入ってきたりします。結局、ゲームデザイナーとAIエンジニアが、いかに連携をとるかが、今後も重要な点であり続けるのかな、という気はしますね。

髙井:AIを作る時って、どういう流れなんですか?
里井:何のAIかで話が変わってくるんですけど、キャラクターAIのように敵の行動パターンなどがハッキリしているものであれば、ゲームデザイナー側で企画書と仕様書を作ってもらいます。このキャラクターは、こういう特徴を持っていて、こういう動き方をします、こういうアクションが使えます、みたいなリストですね。それをいただいた上で、そこに書かれていることをいい感じに実現するにはどうすればいいか、こっちで考えるみたいな感じでやってました。ただ、これも人によって結構スタイルが違うなとは思いましたね。アルゴリズムレベルに落とし込んで、状態遷移図みたいなことまで書いてくれる人もいますし、そこまではやらない人もいますし。どっちがいいとは言い切れないですよね。
本間翔太(以下、本間):キャラクターAIの作り方に関して、例えばルートがひとつしかないゲームであれば、完全なスクリプトだけで書くほうがコスト的にも完成度的にもいいと思うんです。ただオープンワールドになってくると、それでは対応しきれなくなるじゃないですか。そうなった時にゲーム業界のキャラクターAIの実装の課題感として、たぶん一部は機械学習もしくは自動的に動いてくれるもので、一部はスクリプトまたは学習済みのモデルを編集できる手法が広がっていくことが必要なのかなと思います。
里井:機械学習はすごく可能性があると思います。CEDEC2019でも「『強い』を作るだけが能じゃない!ディープラーニングで3Dアクションゲームの敵AIを作ってみた」という講演がありましたよね。ビヘイビアツリーなどのツールが整ってきていて、キャラクターAIを作るのが簡単になってきているとはいえ、手間がかかることには変わりないので。そのため、キャラクターAIづくりの自動化は凄く価値があることだと思います。ただ、ゲームデザイン上のニーズを満たせるのかが大きくて。
本間:大きな溝があると思います。
里井:ある意味で、いたちごっこなところがあるのかな、という気はしています。その上で、ゲームの人気ジャンルって、ころころ変わるじゃないですか。仮にオープンワールドのFPSや、バトルロワイヤルものが主流だから、その分野に特化したキャラクターAIに研究開発を集中させても、ちょっと時間がたったら、また全然違うゲームのジャンルが流行する可能性もあります。それによって求められるゲームAIの技術が、また全然違う性質のものになるっていうのは、全然あり得るかなとは思います。
その上で話を戻すと、最初に本間さんが仰っていた、完全にスクリプトで書いてしまうのと、全部機械学習でやる方法の間に、いろいろなやり方があるんですよね。たとえばルールベースだけど、もうちょっと柔軟に立ち回れるやり方として、例えばPQSなどの位置検索システムを使う方式があります。マップ上に評価点をたくさんばらまいて、ユーティリティベースで行き先を決めて、パス検索は普通に経路探索をさせるとか。あるいはビヘイビアツリーの一部を使いまわして、そこにステートマシンを組み合わせるとか。ルールベースのモデルなんですけど、そこに柔軟性を持たせる方向性で発展させていくやり方は、まだまだ可能性はあるのかなと思います。
——品質保証の問題についてはどうでしょうか?
里井:そうですね。デバッグと調整の問題が、思っていた以上に大きいなっていうのは感じました。作業として重いだけでなく、そのゲームの品質をどこで担保するのかみたいな話です。実際、社内で千回テストプレイした限りでは問題なくても、百万人のユーザーさんが遊んだら、そのうちの百人が変なパターンを見つけてしまった、というようなことが起こりえますから。そこをどう防ぐかみたいなところは、機械学習ベースのAIを実際のゲーム開発に導入する時に、おそらく問題になる部分かなと思います。当然、そこで不確実性を無くすアプローチもあると思いますし、個人的な見解としては、逆に不確実性も体験のうちとする考え方もありうると思います。
髙井:『The Elder Scrolls V: Skyrim』(2011年、Bethesda Game Studios)で、そういうシチュエーションを見つけるのがとても楽しかったことを思い出しました。キャラクターの肢体が変な風に曲がったりとか。

——一方でデータ分析だと、もっとシビアなことを言われたりするんでしょうか?
髙井:数値で結果が出る分野なので、きちんと結果が出せるように、いかに設計するかですね。かりに数値の精度がめちゃくちゃ高くても、説明可能性の問題もあります。数値だけじゃなくて、どういう風に説明していくかという…。
竹内:今はまだ、自分たちが開発したAIツールを社内で使っている段階なので、そこまでの要望はないですね。結果がちゃんと出ていることを見せれば、割と柔軟に使ってもらえます。ただ、今後社外に販売していく段階になれば、壁に突き当たるときがあるかもしれません。
本間:逆に「離脱率予測」のようにゲーム外AIの部分だと、「面白さ」のようにふわっとしたものを扱う必要がありませんよね。そのため高い精度さえ出ていればオッケーが出され易いっていうところが、すごく扱い易いなと思います。
髙井:そのとおりですね。
里井:その一方で「面白さ」をふわっとさせたままだと、今後ゲームAIの発展にとって壁になるかもしれませんね。ゲームの面白さや、ゲームのユーザー体験を評価する仕方について学んでいったり、研究していったりとか。ゲームの面白さを評価していくことを、実際のゲーム開発と並行して進めていく文化を創り上げていくことが、これから重要になっていくのかなと思います。
——たしかに、そこは誰かがやらないといけないですね。ただ、それはゲーム業界の中だけで話すことなのかなとも思いますね。認知心理学など、もっと広い分野の知見だったり。もっと広い分野のエンターテインメントの研究の中に、答えがあるような気がします。
本間:大学生の時にそうした論文を読んでいました。よくある方式として、フロー理論をベースとしたリッカートスケール(五段階評価)法があります。ある論文では、ゲームで次のステージに行く前にちょっとしたアンケートに答えてもらうスタイルをとっていまいた。これだと確かにゲーム内の進行度合いによって、フローの変化が理論的に出ますが、世界観が壊れてしまうリスクもあります。
——GDC2019では「2次元感情マップ」という概念に関する講演がありました。メタAIを作るうえで、プレイヤーの感情を「勝利への期待感」と「敗北への不安感」の二軸で評価するというものでしたが、これはどこから?
里井:ゲームでバトルをしていて、一方的に勝利してしまうとヌルゲーになるし、ずっと負け続けてゲームオーバーになるとムズゲーになってしまいますよね。その一方で、ずっと中間のままでも飽きちゃうだろうし。結局、バトル中に有利不利の状態が行ったり来たりして、最終的にギリギリ勝てる状況を動的に作ろうとするのが、一番いいだろうなというのが、ゲームデザイナーとの話し合いの中であったんですよ。これをどう数値化してメタAIを作るかという時、いろいろ考えて二軸での評価になりました。
すでに『Left 4 Dead』でプレイヤーの緊張度を計測して、それを元にゾンビの出現頻度を動的にコントロールするという手法が提案されていました。ただ、それだけだと「緊張している」「弛緩している」「中間」という一軸でしかないんですよね。でも、緊張度が高いというのは、要するに負けそうでやばいと思ってる状態だし、緊張度が低い状態というのは、余裕で勝てるという状態だといえます。その一方で中間状態は、勝ったり負けたりしてデッドヒートの状態だともいえるし、有利不利が動かない膠着状態だともいえる。そこで「勝利への期待」「敗北への不安」の二軸に増やして、二次元的にマッピングするのが良いのではないか…となったんです。
このベースになったのが、心理学分野で研究されていた感情の分類モデルでした。その中に、二次元のマップ上に感情を配置するモデルがあったので、それを参考にしました。
5年後のゲームAIはこうなる!?

里井:面白さの評価に関しては、自分も凄く興味があり、いろいろ調べているところです。そうした中で、英語圏のコミュニティではゲームのUXやユーザー調査について、専門的に行われている人たちがいることがわかってきました。それによると、アンケート方式以外にもさまざまなスタイルがあるようです。アイトラッキングを使ったり、発汗量や心拍数を調べたりするバイオメトリクス系もあれば、後ろからプレイヤーを観察してメモをとったり、プレイしながら思ったことを声に出してもらう思考発話法もあるし、プレイした後にインタビューするやり方もあります。プレイ後のデータをとって、それを見ながら後からインタビューで掘り下げるやり方もあります。そのため、弊社でも何かできないかなと思っています。
——IGDA(国際ゲーム開発者協会)のGRUX SIGでも、2018年からカンファレンス「gamesUR Summit」をモントリオールで開催していますね。次回は2020年5月14日に開催です。
本間:ユーザーテストをベースとした「おもしろさの指標」モデルの作成には興味がありますか?
里井:すごくやりたいですね。発売前のタイトルでは、閉じた環境で人を集めてデータを集めることになるので、定性評価や小規模な定量評価ぐらいの感じになるでしょう。一方でリリース後のタイトルだと、より広範囲で大量なデータを集められる可能性があります。最近だとコンソール系のAAAタイトルなどでも実施されているようです。
——日本だと、アイトラッキングがUI/UXの調査に用いられ始めたところだと思います。まだAIによる分析の手前の段階ですね。
里井:何ごとも段階があると思います。そうしたデータが積み重なって、ゲームデザインの調整に活用されるようになってきたうえで、それをAIに使うにはどうしたら…という感じでしょうか。
本間:マイネットさんにお伺いしたいんですが、ソーシャルゲームのタイトルを運営されていますよね。ということは、モバイルゲームに特化したデータがたくさん集まる環境があると思います。その中でゲームAIだったり、データサイエンティストだったりが感じられている課題はありますか?
髙井:弊社のビジネスモデルだと、他社様のタイトルをあずかって運営することになるので、それぞれのゲームでデータの持ち方が全部違うんですよ。現在では約35タイトルを運営しているんですが、まだまだデータをフルに活かせているという状況ではありません。離脱率の予測といった、ゲームに共通して存在する情報で活用が始まったところです。
——他にチート対策なども共通の課題になりそうですね。
髙井:ソーシャルゲームでは課金面でのチート対策が急務です。他に一人でたくさんアカウントを作って、販売するなどの行為もあります。こうした異常検知も社内でやっていますが、まだAIの活用には至っておらず、データ分析でやっているんですね。こうした分野をAIに置き換えていくのは、まず考えられると思います。
竹内:僕はカードゲームが大好きなんですが、カードゲームだとめちゃくちゃ強いカードやデッキの組み合わせがあったとしても、それを検証するためには、そのデッキを使いこなせる意思決定AIが必要になるんです。そこが課題かなと思いますね。カードのデータだけで予測するのは結構しんどいんじゃないかなと…。
里井:GDC 2019で弊社から講演させていただいた『グリムノーツ』のパーティの組み合わせについては、バトルのシミュレーションを自動でやっていました。新しいキャラクターを投入する前に、遺伝的アルゴリズムを用いて極端に強いパーティの組み合わせが発生しないか、チェックするというものです。ただし、これもオートバトルで遊ばれることが前提のゲームだから可能でした。
これに対してカードゲームの場合は、確かにカード自体の強さもさることながら、どのカードをいつ切るかみたいなところが重要だと思います。そのため普通の人は気づかなくても、達人プレイヤーであればバランスブレイカーになり得る、といったことがおきそうですね。そういったプレイヤースキルに依存する部分を加味した上で検出するのは、たしかにAIの次の課題かもしれませんね。
——それでは最後に、5年後の皆さんの研究課題について教えてください。

髙井:人間が職人芸でやっているところを、全部AIで置き換えられるようにしたいなと思っています。
渡邊:プランナーさんの職人芸や暗黙知みたいなものを、AIが支援できるようになっているといいですよね。自分も暗黙知を形式知に変換して、属人化させないための取り組みを、AIを用いて実現していきたいなと思っています。属人化してしまうと、その人に頼ることになってしまって、後継する人たちがどうしていいのか分からないといった問題が出てくると思うので。そこを明確化できるようにしていきたいなと思います。
里井:5年後にできるかわかんないですけど、ゲームデザインそのものをやるAIがあってもおかしくないなとは思います。こういうゲームって面白いよねという可能性自体もAIが一緒になって考えてくれるって言うのかな。または可能性を提示してくれるっていうところにAIが使えると、良いかなと思いますね。コスト削減のためにAIを使うことも重要だと思いますが、ゲームはテクノロジーでデザインが発展していくところが、醍醐味だと思っているので。そこにAIを使うことで、ゲームがもっと発展していくと嬉しいなと思いますね。
馬淵浩希:5年後のゲーム業界が、今以上にもっとAIを活用しようと思ってもらえるようなものを、がんばって作っていきます。
竹内:段々ネタがなくなってきていますが…そうですね、5年後はゲーム業界の仕事を、AIがもっと奪って欲しい。それによって、クリエイティブが必要な部分に、もっと人間のリソースが割けるような状況になってほしい。そうすることで、もっとめちゃくちゃ面白くてやばいゲームが出てきて、みんながハッピーになるといいなと思っています。
銭起揚:個人的な望みとしては、ゲーム内のキャラクターがチューリングテストをクリアできるようになれば面白いなと思います。MMORPGの中でNPCがAIかプレイヤーかわからないくらいにしたいですね。そこから新たなゲームジャンルが生まれる可能性もありますね。
本間:先日ネット上でEAの特許情報を偶然見かけました。それはプレイヤーごとに別々のキャラクターAIが搭載されたキャラクターをプレイさせて、離脱率をサーバに蓄積し、評価の高かったAIを残していく、というものでした。同じようにキャラクターのスキルやパラメータが完全にフラットの状態で発売されて、遊ばれていくうちにどんどん個性づけが出て行くようなものが出ると、ゲーム制作のワークフローが変わる可能性がありますよね。うまく特許に抵触しない、または特許を超えるようなやり方を考えつつ、挑戦してみたいと思います。
——ありがとうございました。皆さんの努力で未来のゲーム業界がますますハッピーになっていることを期待しています。
2020.02.07[編集部]:記事の一部を修正しました。
聞き手:森川幸人/構成:小野憲史