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AIシナリオライターは才能至上主義のアンチテーゼとなるか?:暁影二氏×森川幸人氏対談

2019.11.29ゲーム

AIシナリオライターは才能至上主義のアンチテーゼとなるか?:暁影二氏×森川幸人氏対談

2019年4月19日に開催されたゲームAIセミナー「AIの壁/AIはゲームシナリオを書けるのか?~過去・現在編~」では、株式会社ミカガミでシナリオライターとして活躍する暁影二氏とモリカトロンAIラボ所長の森川幸人氏が、シナリオライティングにおけるAI活用の可能性について議論しました。森川氏は、1990年代後半にプレイステーション向けのゲームを制作し始めた頃からゲームにAIを導入し、2018年にゲームAI開発を受託するモリカトロン株式会社を設立しました。株式会社ミカガミでシナリオライターとして活躍する暁氏は、ライター向けの教育システムの構築も行ってきました。

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売れるシナリオを書くのに特別な才能は必要か?

暁:私から見ると、書き手にとってのシナリオや物語の歴史は属人化の歴史です。生まれつき特別な才能がある人たちが書いた作品が、面白い物語として世の中に受け入れられるという、才能神話が世の中に浸透しているようです。私たちは8年前に株式会社シナリオテクノロジーミカガミ(以下、ミカガミ)を立ち上げて以来、シナリオを書いたり物語を作るのに本当に才能が不可欠なのか、あるいはその才能をどこまで技術としてダウンサイジングできるのかという問いに向き合ってきました。

というのも、弊社は既にすごく売れている作家さんがライターを育成するために始めた会社だからです。設立当初は、1冊本を書いたら何億円も稼げるような作家さんたちと一日中話し合ってストーリー作りを教わりながら、技術のメソッド化を進め、それを使って未経験の人を上手なライターさんに育成できるようになりました。

一定の効果が出てきたので、ある程度は才能至上主義に対するアンチテーゼを提示することに成功したという感触を持っていますが、教えてくれた作家さんと同じくらいの能力にまで成長できた人はまだ排出できていません。素人をある程度のレベルに持って行く所まではメソッド化できたのですが、それ以上のレベルになるには壁があると感じております。もしかすると、その壁を突破する糸口は優れたデータベースの活用にあるのではないかと期待しています。

森川:AIの機械学習を進めていくためには、人間がAIに学習する教材を与えなければいけません。その教材を教師信号と呼ぶのですが、それを作るのが大変な作業です。ですから暁さんが今おっしゃった、技術のメソッド化がある程度まで成功したというお話は、僕らとしても非常に関心があります。

暁:作家さんは教えるプロではないので、最初は教えられる私たちとしても何を言われているのかが、なかなか理解ができませんでした。それでも分からないなりに書いて、「これはNG」「これはOK」というフィードバックを繰り返しいただきながら、どれがOKでどれがNGかという法則を見つけて教科書にまとめていきました。

森川:暁さんの見つけた法則は、他の生徒さんにも有効なものでしたか?

暁:有効でした。私たちが作った教科書を使って教えたところ、同じくらいの実力まで育ちましたから。

森川:面白いですね。さっきAIには教師信号が必要だとお話しましたが、強化学習というものもあるんです。これは教師信号を使わずに、AIが自分で学習する機械学習の方法です。

実行したことを評価する基準があるんですね、強化学習では「報酬」という言い方をします。評価が良ければそれを覚えるし、悪ければそのやり方を捨てていく。そのような取捨選択を延々と繰り返すことで、なぜそのような評価になるのか?という理解を得ないままでも学習を進められるのが強化学習の特徴です。暁さんがおっしゃっているプロセスは、まさにそれと一緒です。

暁:まったく一緒ですね。ただ、どういう法則でユーザーさんに面白いと言われるのか、あるいは面白くないと言われるのかは、それなりに学習ができたのですが、どうしてもたどり着けないポイントがありました。それは「作品を見てきた量」なんです。売れている作家さんは子ども時代から文化資本が豊かな環境で育っている場合が多い。人によっては5歳くらいから年間に何百本も何千本も映画を見てきたりします。その蓄積から得られるビッグデータの有無が壁になっているのだと思います。

森川:なるほど。そこはもう人間の壁ですね。囲碁AI「AlphaGo」は最初の段階では人間が過去に対戦した棋譜を見て学習します。それらは60万局分くらいあるそうです。それでも学習量としては全然足りません。ですから次の段階でAIが自分で自分と戦って2,000万局面分くらい練習するわけです。人間は物理的な時間の制限がありますから、学習できる量がネックになりますが、AIはその点で人間をはるかに凌駕することができてしまいます。

暁:その部分において私たちが直面している壁をAIが突破するのではないかと、期待しています。人間だと例えばプロの作家さんが持っている20年分の知見に追いつこうと同じだけ努力したとしても、作家さんは作家さんでその間にさらに研鑽を積んでしまいます。結局ずっとアキレスと亀のような状態になってしまうのです。後はメソッドを蓄積して法則にしていく学習方法がAIの学習に近いことを考えると、AIの方が作家さんのコピーは作りやすいのかなと思います。

森川:なるほど。コピーまではある程度うまくいく可能性がありますね。第二次AIブームの頃のAIだと、その作家さんの潜在的な特徴やパターン、例えば「この人は、こういう言葉をよく使う」とか「こういう起承転結を好む」ということを、人間がルールベースで書いてAIに教えなければなりませんでした。教師信号を作る人の腕前がそのままAIのクオリティに直結するので、それがネックになってしまいます。でも、第三次AIブームを迎えた昨今のAIは人間が教えなくても大量に用意された文章の中から、法則性やパターンを自分で見つけ出すことができるようになってきています。

汎用的な書き手の育成をバックアップするAI

暁:弊社ではライターさんの腕前によって、一番上手な人がAランク、その下がB、C…とランク分けをしています。それぞれ覚えなければいけないスキルセットが異なり、Bランクまでは、イエスorノーで蓄積してきたメソッドをどれだけ頻度高く正確に守れるかを重要視しています。

その段階にいるライターさんには、いったん属人性を廃していただいています。それぞれの個性を必要としなくても、ユーザーさんに受ける文章までは到達できるからです。ところがAランクのライターさんには、その人が人生の中で感動をした出来事や心が動いた要素を文章に載せることを求めます。そうすることで、もう一段階その人の文章が進化するからです。

AIが作家さんを一からコピーするのは難しくても、弊社で言うBランクのライターさんにあたるものを作り、それに対する上乗せとして色々な作家さんの人生を乗せていく作業をすることで、AI作家を量産できるかもしれません。

森川:まず汎用的な作家になって、その後に個人の価値観なり人生なりを付加していくということですね。

暁:そうです。誰しも面白い物語や人生経験を持っているはずですが、作家として売れるか売れないかの違いは、ユーザーさんに対して面白いものを提供できるかの1点だと思います。まずその感度を鍛えてからその上に自分独自のエピソードを乗せていくことができれば、プロの作家としてのポジションに到達できる人の母数は確実に増えると思います。

森川:ライターさんのランク分けをする際に、評価の基準はあるんですか?

暁:明確な基準があります。例えば世界観やプロットごとに、それぞれレベルが設定されています。Bランクまでは「平均的にこのスキルがあればこのランク」という形で分けられていきます。

森川:それを評価関数のように数値化はされていませんか? あったらすごくうれしいのですが。というのも、僕はここまでのお話でAIの都合のいい話ばかりをしてきましたが、実はAIが苦手とすることはたくさんあるからです。特にストーリー作りとなると難しい。先に答えを言ってしまうようですが、今日のテーマである「AIはシナリオを書けるか?」という問いを投げかけられたなら、「今の段階では面白いシナリオは100パーセント作れません」という回答になります。

その原因として一番大きいのは、「面白さ」は人間にとって生きることと結びついているからです。生命を持つ生物は世界を巻き込みながら生きていますが、AIはコンピュータのプログラムなので、世界と絡み合いながら生きることも死ぬこともありません。せいぜい停電したら不都合だくらいの話です。生き死にが面白さの根っこに存在する以上は、なかなか面白さをAIに教えることが難しいと考えています。

暁:その部分は私たちにとってはすごく光明が見えるお話です。先ほどお話ししたイエス・ノーの法則化をした結果なのですが、私たちの結論としては面白い文章というものが出来上がる法則は、たった二つなんです。

森川:すごいですね、それ。

暁:法則の内容については社外秘なのでお話できないのですが、私たちは人間が生きるにあたって獲得してきた感情や衝動の根幹となる要素は二つしかないという仮説を立てています。今まで評価されていたものとそうでないものすべてをその法則に照らし合わせて検証すると、全部説明がついてしまいます。評価されてきた作品は例外なくこの法則に一致していたからです。また、法則に一致しないものはすべて評価されない作品でした。

もし人のそのような衝動の法則をAIの中に組み込むことが可能なのであれば、教師信号として読ませた大量の作品に対してそれぞれ「このシーンはこのようにユーザーに訴求するためのものだ」という形で記憶できるかもしれません。

森川:可能性としてはありますよね。最近はAIも心をどう扱うかが大きなテーマのひとつになっています。まだ明確に定義したりAIのアルゴリズムに反映させることは難しいのですが、開発を進めるにあたって避けられないテーマです。

暁:本当に汎用的なAIを作るとなると、すごく大変なのは私も分かります。ただ、ゲームシナリオに限定すれば求められる汎用性の範囲はかなり狭まるのではないでしょうか。ゲームはユーザーさんを楽しませるキャラクターという一点を目指して作りますよね。そうなると、人間の脳を完全にAIで再現するよりは早い段階で実現が可能になるのではないかと思います。

森川:逆にいうと、そこしかできないですね。いわゆる特化型のAIという言い方をしますが、今あるAIは特定の役割しか果たせません。チャットボットを例にすると、例えば法律や商品設備のサポートといった専門的なことは話せるなら、世間話くらい簡単にできるでしょう?とよく言われて困るのですが、実はまったく逆です。まだAIは雑談ができないんです。

暁:世間話をさせようとした場合、何がネックになるんですか?

森川:例えばユーザーが成人であれば、20年以上の人生で経験した出来事や実際に生活をしないと得られない体験なり知見が会話の中に入ってきます。そういうことをデータベース化する「オントロジー」という研究分野もありますが、まだうまくいっていません。

もうひとつは文脈や暗黙知への理解です。例えば、僕が「暁さん、ボールペン持っています?」と言えば、僕が「ボールペンを貸してほしい」という意図で言っていることを暗黙のうちに理解できるでしょう。でもAIに同じ質問をすると、「はい、5本あります」と持っている本数なんかを言っちゃうわけです。人が聞いたことに対して飛躍や推測をしたり、その真意を理解して応対することがAIにはできません。

文脈や時間の経過を理解することもAIは苦手です。「さっきの話ですけど」と言ってもなかなかAIには答えられません。また、やかんを火にかけたまま放っておいたら沸騰すると予測して適切な対応をするには、時間経過による世界の変化の認識が必要ですが、それもまだむつかしい段階です。

暁:それこそ火を触ったら熱いということも分からないということですね。

森川:人工知能研究者の松原仁先生は、仮にAIが汎用的な知能を持つ時代が来るとしても、1体目の学習は人間と同じくらいの時間がかかるとおっしゃいます。つまり人間と暮らすAIなりロボットを作るには、人間と同じような生活をさせることが不可欠だということです。知識だけでは不十分で、実際の時間の流れとともに覚えければならないことも多々あるからです。

暁:今のお話を聞いていてちょっとワクワクしてきました。エンターテインメント作品のシナリオを制作する手順としては、まずキャラクターたちが遊ぶ箱庭とルール、つまり世界観を作るんです。そこにそれぞれの人生を持つキャラクターを放り込んで遊ばせなければいけません。作者の都合で動かすのではダメなんです。つまり基本的には思い思いに生きているキャラクターを、何とか外圧を使うことで私たちが想定しているクライマックスに持っていく作業がライティングの作業です。ライティングが上達しない人たちは、どうしてもオチを決めてしまう。クライマックスに向かうキャラクターを無闇にしゃべらせてしまうわけです。そういうことが物語のクオリティが落ちる原因になります。

森川:それは意外な話ですね。シナリオというのは、起承転結みたいな骨格を最初に作って、それに肉付けをしていくものだと思っていたのですが、実際は全然違うアプローチなんですね。

暁:そうですね。物語は人間が受け取る以上は人間の物語でしか感動させられません。たとえ架空のキャラクターだとしても、読者の人生経験と照らし合わせて「こういう人っているな」と思えるキャラクターが経験する成功や失敗にしか心が動かないものです。起承転結は、そのルートを通すことで物語がきれいにまとまるラインではあるのですが、そこに通すキャラクターは好き勝手に生きている存在でなければいけないんです。

森川:目からうろこなお話です。ゲーム内のキャラクターが自律的に動くためのAIをキャラクターAIと呼ぶのですが、そこを起点にストーリーを生成する方法があるなんて思いもしませんでした。いわゆる自然言語処理系のAIだと起承転結に肉付けしていくアプローチが一般的です。データベースから引っ張ってきて、この作家ならこういう言葉を使う、こういう設定にする、場所もこうするという感じで、どんどん肉付けしながら勉強をさせるのが一般的なので、暁さんがおっしゃることは衝撃です。

暁:確かにAIに人間が今まで経験してきたルールすべてを教えることは難しいだろうなと思うのですが、作品の中だとある程度限定的なゲームが存在しますよね。その中で起こり得るルールにだけ適用できるデータをAIに蓄積させることで、キャラクターたちそれぞれが自分の判定基準を持つようになります。そうすればユーザーさんから見て、あたかも人間だと思える動きをするキャラクターが起点となって物語を展開できるのではないかと思うんです。そうなると人間の作家の役割は、そこに外圧を与えて一番良いクライマックスまで持っていくことになります。

森川:その外圧のかけ方がうまい方法が見つかったら、それはすごく面白い研究テーマですね。

AIクリエイターはチーム作業で真価を発揮できる

暁:最初の属人化の話に戻ってしまうのですが、弊社は才能のメソッド化に力を入れてきたので、チームで一本のシナリオを制作するケースが多いです。世界観を作るのが得意な人は世界観を作って、キャラクター作りが得意な人はキャラクターを作り、シナリオ制作が得意な人はシナリオを書くように、チームで分担しながら作業をするシステムが作られていました。

最初から最後まで一人で書き上げる作家さんに代わるAIが実装されるのは、もう少し未来の話かもしれませんが、作品を作るチームの中に徐々に仲間としてAIが入ってくる未来のイメージは結構リアルに見える気がします。

森川:そういうチーム編成のお話を今度ゆっくり聞かせていただきたいと思います。AIとの親和性がすごく高いアイデアで、僕たちが目指している人間とAIのコラボレーションに関して、とても参考になりそうです。

暁:仕事を奪うAIではなく一緒に仕事をするAIにできたらいいなと、森川さんのお話を伺って思いました。私はチームでシナリオを書いていきたいと考えているので、シナリオ、キャラクター、世界観のどのパートを担当する人であれ、みんな一律でシナリオを一緒に書いている人だと認識しています。そのような観点で考えればAIがシナリオを書く日は近い将来来るのではないかと思っています。

森川:モリカトロンともすごく親和性のある考え方だと思います。今度ゆっくりまた別の機会にビジネスの話をできればと思います。

暁:ぜひ、よろしくお願いいたします。

 

Editor:高橋ミレイ

Photo by Art Lasovsky on Unsplash

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