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【CEDEC2021】ブロックチェーンゲームにおける報酬設計
CEDEC2021にて、株式会社プラチナエッグの竹村也哉氏が「ブロックチェーンゲームにおけるゲーム内経済・報酬設計について」と題するセッションを行いました。ブロックチェーンゲームは「NFT(Non-Fungible Token;非代替性トークン)」を利用したゲームとして近年注目を集めている分野です。竹村氏による本セッションは、NFTゲーム内における報酬設計にフォーカスした内容です。
ブロックチェーンゲーム(NFTゲーム)とは
NFTゲームという分野は、まだきちんと整理されていない状況ではあるものの、ここ2〜3年で市場が拡大しているジャンルです。今年に入ってからは日本でも「NFTアート」という言葉がメディアなどでもよく聞かれるようになりました。このNFTアートはデジタルアート作品に「NFT(Non-Fungible Token;非代替性トークン)」と呼ばれる、いわゆるトークンを組み合わせて取り引きを行うもので、改ざんできない(唯一性を担保できる)ことと取引が記録できることから、注目されているマーケットです。ゲーム業界でもまた、NFTをゲームに導入することでプレイヤーに新たなゲーム体験を提供するサービスが大手ゲーム会社でも始まっています。
NFTゲームの定義は広義では「NFTを使ったゲーム」だと言えますが、竹村氏の講演の中では「NFTでゲーム内アイテムが取り引きできるゲーム」の範囲内で解説されました。それを踏まえて竹村氏が最初のNFTゲームとして挙げたのは、『CryptoPunks』です。これは2017年に始まったサービスで、イーサリアムを使ったブロックチェーンプラットフォームで運営されており、ドット絵のピクセルアートを取り引きします。カードコレクション的なものであるためゲームとしての要素は少ないものの、マニアが面白がって購入し出した所から始まり、最近では何億円、何十億円という値段になっているものもあるようです。

そのあと出てきたのは『CryptoKitties』で日本でも少し話題になりました。これはカードコレクションにペット育成ゲームの要素が加わっています。プレイヤーは購入後に猫をペアリングすることでランダムに遺伝子交配された新たな子猫を得ることができます。珍しい遺伝子の猫は高額で取り引きされることから、レアな子猫が生まれたら利益が出るという仕組みになっています。これも2017年に登場し、人気が出たゲームです。

続いて『Etheremon』が2017年末にリリースされました。これは、イーサリアムネットワーク上でモンスターを育てたりバトルをさせたりと、より既存のゲームに近い要素が加わっています。

2018年に登場した『Axie Infinity』は、かなり”普通のゲーム”に近い形になります。3体のモンスターでデッキを組んでバトルをして、勝ったらアイテムが手に入るというものです。ゲーム内で手に入れた仮想通貨を外部で取り引きできるので、実際にお金を稼ぐことができます。いくらか支払ってゲームを遊んでもらいつつ、ゲーム内で稼いでもらうエコシステムが成立していると言えます。フィリピン発のゲームですが、普通に働くよりも『Axie Infinity』のほうが稼げると考える人も現れるくらい、影響力の大きなタイトルになりました。

2020年リリースの『NBA Top Shot』はアメリカのプロバスケリーグNBAと提携したコレクションゲームです。NFTを使って、NBA選手と名場面の動画のパック販売をデジタルで行うというものです。瞬間風速で何十億円という売上を記録し、僅か1年で売買総額が770億円を突破しました。竹村氏は、「ただのカードコレクションでパック販売しているだけなのに、なぜそんな金額になるのかと不思議に見えると思いますが、実際にNFTゲーム界隈ではそういうものが出始めている」と言います。

報酬設計の基本
以降では、NFTゲームの報酬設計にまつわる解説として、プラチナエッグが開発・運営する『CROSSLINK』を事例として解説します。

『CROSSLINK』の中で、ユーザーへの報酬は仮想通貨で支払われます。レイドで勝ったり、ゲームの中で色々な遊びをすることでビットコインが手に入ります。ゲーム外のウォレット経由で円やドルといった通貨に換金することもできます。また、ゲーム内アイテムをマーケットで取引することで仮想通貨を手に入れることもできます。
ビットコインを払い出す際には資金が必要ですが、『CROSSLINK』の場合、ゲームの売上を原資としています。売上とは、つまりゲーム内課金、ゲーム内広告、あるいはスポンサーとのタイアップに対する報酬です。いかにフリーライダーの数を一定数に抑えるかなど、収支のやりくりは通常のスマホアプリと同じ考え方になります。
ただ、他のゲームやアプリと異なるのは「経済設計」という概念が出てくる点です。竹村氏によれば、MMOなどの経済システムのイメージに近いとのこと。つまりパッケージの切り売りではなく、サブスクリプション型であることからゲームの収益を確保するためになるべく長くプレイを続けてもらう必要があり、そのためユーザーへのインセンティブの設計を緻密に設計する必要があります。NFTゲームの場合も、それに仮想通貨などお金の要素を関連付けた設計をすることになります。

それはとりもなおさず「価値とは何か」という問いにつながります。NFTゲームとソーシャルゲームの違いは、前者がゲーム内の要素に価値を付けられるという点です。例えば、ランキング1位になってもらえる報酬はお金で換算するといくらなのか、無償でもらえる宝石は実際はいくらになるかなど。
トレーディングカードを集めるゲームでトレーディングカードに価値が生まれるのは、それを欲しがる人たちがいるからです。つまり「需要と供給」です。もちろん、ユーザーによっても変わります。均質化されてない方が価値の変動が起きやすくなり、例えばAさんにとって価値があってもBさんにとっては価値がないものも存在するといったことが生じます。
目の前に並べられたものがすべて同じ1円玉であれば、人々はそれほどの価値を感じないものです。ところが、それらが少しずつ違うものになることで、それぞれの価値が変わり、なかには非常に価値が高いものも生じることになります。そこに金銭に換算できる価値を設計していきます。

『CROSSLINK』の場合は、例えば武器や装備のレア度に対し、星1から星5までランク分けし、実際それがいくらになるかという内部想定をつけます。計算の仕組みは基本時給のように数字で換算しています。プレイヤーの基本時給はいくらで、1時間でこれだけの数を獲得できる、そうなるとこの武器の値段はいくらになるといった計算をします。この時に払い出すビットコインの価値もゲーム内の経済システムに影響しますが、ビットコインの価値は実世界に存在する相場によって変動します。

ここではゲーム内マネーを設定し、そのゲーム内マネーから消費アイテムを買える仕組みになっています。例えば、ゲーム内マネーの「ダイヤ」が日本円で10円だとして、ダイヤ100個で買えるのであれば1,000円、ダイヤ10個で買えるなら100円という計算になります。
これを前提に、イベントの売上に対し、報酬をどこまで出せるかという設計をしていきます。これはAppleへの手数料や無償で配るダイヤもふくめた計算になりますが、これについては一般的なソーシャルゲームの運営で行っている計算と変わりません。
具体的には、イベント売上が上がれば上がるほど報酬が大きくなるように設計をしています。その際、リスクを抑えるために「直接懐が痛む支払い」と「間接的に懐が痛む支払い」に分けて考えます。現金、仮想通貨、Amazonギフト券など現金の払い出しに近いものと、割引券やゲーム内マネーや消費アイテム、レアな武器やアイテムなど、直接的には運営の懐が痛むわけではない払い出しがあります。ただし、レアアイテムをバラまきすぎると価値が下がってしまうので注意する必要があります。

ここまでの報酬設計の話は、既存のソーシャルゲームやMMOのゲーム内経済の考え方と同じです。NFTゲームの場合は、それに加えて価値の創造と外部経済とつなぐことを考えなければなりません。
NFTゲームを遊ぶ人は基本的にはお金を稼ぎたくてお金を払っているはずです。ユーザーのモチベーションに応えるには、1万円払って5,000円しか返ってこないゲームではなく、1万円払ったら15,000円が返ってくるゲームにしたいはずです。それが可能なのかという問いに対して竹村氏は、「NFTゲームの不思議なところで、1万円払ったユーザーが1万5000円を獲得することはできます」とのこと。そのために重要な要素となるのが価値の創造と外部経済とつなぐことなのです。
価値の創造と外部経済
価値の創造というと胡散臭く聞こえるかもしれませんが、信用経済が成り立っている世界では、例えば通貨を発行したら通貨の価値はそこで生まれ、アーティストが素晴らしい絵画を描いてそれが高額で取引されたのなら、そこに価値が生まれていると言えます。つまり、○○を××にした時にそれを欲しいという人がいると、そこでは価値が創造されていることになります。その仕組みをゲームに落とし込むことでNFTゲームが成立します。
ただ、ここで注意しなければいけないのは、通常のゲーム会社は仮想通貨を販売することはできないという点です。あくまで「仮想通貨のようなもの」、例えば価値があるトークンやコレクションできるカードのようなもののみしか販売できないという制約があります。仮想通貨(暗号資産)の取り扱いについてはさまざまな規制があるので、NFTゲームビジネスに参入したい場合は弁護士と相談しながら進める必要があります。


外部から提供された価値をゲーム世界に取り入れる外部経済との結合は、普通のゲームではあまり目にしない要素かもしれませんが、NFTゲームにとっては重要です。例えばA社が10万円の広告をゲーム内に出す場合、その10万円を報酬の払い出しの原資にします。それをゲームの売上にしてゲームの経済設計および報酬設計をすることができます。
外部から多額の資金を引っ張ってきてゲーム全体の価値が高まれば、その高まった価値をユーザーに還元することもできます。その仕組みを使うと、ユーザーが1万円しか払わなくても15,000円を獲得できたり、1円も払っていなくても報酬を獲得することができるようになります。
ただこれは、自分たちのゲームが提供できる価値に対して、非常にシビアな向き合い方をしなければならないということでもあります。外部の企業が広告を出したいと思うだけの価値がそこに存在しなければならないからです。

また、ユーザーに対するゲーム内での権限委譲についても設計する必要があります。ゲーム内でユーザーが色々な経済活動ができるようにすることで、ユーザーに対して経済的なインセンティブを与えることが可能になります。例えばゲーム内でユーザーが会社を作ることができ、会社が成長したらユーザーにも利益が還元される仕組みがあるとすると、それはゲームのシステムを通してユーザーに報酬を支払っているのに近い状況だと言えます。ユーザーにゲーム内での権限をどこまで委譲するかは難しい判断ですが、NFTゲームの報酬設計を考える際には重要な要素です。
ブロックチェーン技術の応用のひとつにDAO(Decentralized Autonomous Organization)、つまり分散して自律的に機能する組織という考え方があり、『CROSSLINK』もその仕組みを取り入れようと試行錯誤しています。ユーザーが自主的に行った活動によりプロダクト全体の価値も高まり、ユーザーにもインセンティブが入れば皆が幸せになるはずです。
もうひとつ竹村氏が語ったのは、社会規範と市場規範という話です。それは社会規範として、自分が相手のためを思ってした行動に対してお金を払われると、その価値が毀損されたように感じるという現象です。例えば家族が朝ご飯を作ってくれた時に「ありがとう、1000円渡すね」と言うと、おそらく相手は困惑すると思います。家族が欲しいのは「ありがとう」という言葉です。人間の社会の中には、対価が伴う行動と伴わない行動がそれぞれ存在しており、前者のみならず後者もまたNFTゲームの報酬設計の中で必要だと竹村氏は言います。取り扱いは慎重にしなければなりませんが、報酬設計に組み込むと効果的かつ重要なファクターだと言えます。
チェーンの選定
ブロックチェーンには何種類もあり、そのチェーンごとに特徴があります。あるチェーンを使うと特定の報酬体系は不可能であるなど、ゲームデザインにある種の縛りが発生します。そのあたりの見極めも重要になります。
『CROSSLINK』ではIOSTを使っているとのこと。メリットはまず自由度が高いことで、例えばスマートコントラクトを発行しても、その後に修正が可能です。イーサリアムの場合は、スマートコントラクトにバグがあっても修正は現実的ではありません。また「ガス代」の問題もあります。ガス代とはブロックチェーン上で特定の操作を実行するために必要な演算量のことで、特にNFTを発行すると何千円分も発生することがあります。IOSTの場合は、そのコストがほぼゼロなのでゲームのアイテムも発行しやすいと言えます。例えば、星1のアイテムなど10円で取引されるものに手数料が1万円かかるなら取引をしたいと考える人はいなくなりますが、コストがかからないなら取引は活発になるでしょう。

実際、イーサリアムのブロックチェーン上でログインボーナスとして1円だけでも払い出ししようとすると、ガス代だけでも膨大な金額になってしまいます。一方、IOSTなら1円のログインボーナスを払うことも現実的になります。とはいえ、現時点ではイーサリアムを使用している所が多いため、意見が別れるところです。
ブロックチェーンを選ぶ基準は、つまるところ自分たちのプロダクトがどのようなユーザーをターゲットにし、そのユーザ層に応じた経済をどのように設計するべきかという議論が本質になります。それにより、最適なブロックチェーンを検討することが可能になるからです。
以上のように今回のセッションでは「NFTでゲーム内アイテムを取り引きできるゲーム」に限定し、その報酬設計、経済設計の部分が紹介されました。当日のセッションの冒頭はCESA(一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会)のブロックチェーンゲームガイドラインも紹介されました。ご関心のある方はこちらもご参照ください。
【参考資料】ブロックチェーンゲームに関するガイドライン
Writer:大内孝子