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ロボットトイ「toio」に命を吹き込む「ウロチョロス」が築くAIネイティブの礎

2019.11.26先端技術

ロボットトイ「toio」に命を吹き込む「ウロチョロス」が築くAIネイティブの礎

人工知能という概念や技術が人々の日常に溶け込んだ現代。そうした環境で生まれ育ったデジタルネイティブな子どもたちは、そう遠くない将来にはAIネイティブと呼ばれていくのかもしれません。すでに一部の子ども向け玩具には、プログラミングを学ぶきっかけとなるような要素がふんだんに散りばめられ、中には機械学習による意思決定が搭載された事例まで出てきています。そんなAIネイティブ世代の礎を築く玩具の最前線をリポートします。

ソニー・インタラクティブエンタテインメントは11月12日、ロボットトイ「toio™(トイオ)」向け新タイトルおよびプロジェクトを発表しました。「toio™」は、子どもの創意工夫を引き出すことを目的とした、toio™コア キューブ(キューブ)およびコンソールといったハードウェアとプラットフォームから構成されるロボットトイです。アクションゲームやパズルゲームなど、さまざまな別売りの専用タイトルと組み合わせることによって、工作やプログラミングを通じた、枠にとらわれない自由な遊びを楽しめるプラットフォームとして設計されています。

特筆すべきは、小学生から大学生までの幅広い年齢層に応じたプログラミング教材としての側面です。小学校低学年から中学年の子どもには「順次・分岐・反復」といったプログラミングの基本構造を、小学校高学年にはビジュアルプログラミングによるアルゴリズムの実践を、中高大学生およびエンジニアにはJavaScriptライブラリや技術仕様を公開することで、本格ロボットプログラミングの機会を提供してくれます。

2019年6月からキューブのAPIが公開されて以降、技術力と創造力に富んださまざまなクリエイターが、「toio™」向けの作品や応用例を生み出してきました。そんな中、ゲーム専用AIの企画開発を手がけるモリカトロンは、初の「toio™」専用モバイルアプリ「ウロチョロス」を無料配信することを発表しました。

子ども向け玩具に機械学習を取り入れた最新事例

「ウロチョロス」は、スマートフォンやタブレットと「toio™」を接続することで、キューブがまるで意志を持った生き物のように動き回るようになるアプリケーションです。「ウロチョロス」によって生命を吹き込まれたキューブたちは、お互いのものまねや個々の持ち歌を披露したり、機械学習による表情認識を使ったミニゲームに付き合ってくれたり、ユーザーの動作に反応するインタラクティブな体験を提供してくれます。

今回の発表会では、試遊ブースにて披露された「ウロチョロス」の機能を実際に体験できました。「ウロチョロス」はユーザーが特に何もしなくても自分の判断で動き回り、互いに擬似的な意思疎通を図ります。それぞれが独立した個体であると同時に、別の個体の動作を認識した協調性をあわせ持つ様は、アリやハチに見られる群知能そのものという印象でした。

「ウロチョロス」は特定の仲間を追尾することで鬼ごっこを再現します。キューブには衝突センサーが付いており、鬼を演じる個体に追いつかれたキューブは自律的に役割を交代します。

また、3つの個体が整列した状態で残る1つの個体の動きを完全に模倣することもできます。ユーザーが近くで手を叩いて音を出せば驚いたような仕草で反応し、キューブを持ち上げて再度配置してあげれば、個体ごとに設定されたユニークな楽曲を演奏してくれます。

特に印象に残ったのは、ユーザーの表情を認識した上で個体ごとの判断基準に応じたフィードバックを返してくれる機能です。このミニゲームでは、ユーザーが「一番笑顔なのは誰か」「一番怖そうなのは誰か」「一番放っておけないのは誰か」といったお題を選択することで、スマートフォンやタブレットで撮影した複数ユーザーの顔写真をAIが評価。キューブ同士で“意見交換した後、各々が最高得点を付けたユーザーのもとへ歩み寄っていきます。

喜怒哀楽の表情はもちろん、男らしさや女らしさといった性別に基づいた特徴、果ては変顔という曖昧な概念まで、機械学習で訓練されたAIは人間の顔を幅広く認識してくれます。それだけでなく、「ウロチョロス」ではキューブごとに評価基準に個性を持たせてあるとのことで、単純な答え合わせのような採点というわけではありません。同じ笑顔や同じ変顔を認識していても、キューブによって好き嫌いがあるということです。

モリカトロンAI研究所所長の森川幸人氏は、本作を開発した経緯について「キューブを初めて見たとき、このキューブが生き物のように自分で感じ、自分で考えて行動したら、さぞカワイイだろうなと思ったのと同時に、キューブに生き物らしい“こころ”を与えるのに、われわれモリカトロンがやっているエンタメAIの技術が使えそうだなと思いました」と語っています。現在組み込まれているAIはシンプルな技術ですが、今後もバージョンアップしていき、さらなる生き物らしさを追求していくということです。

これまでモリカトロンは、不完全情報ゲームをふくむ異なる複数のボードゲームを同時に学習するゲームAIの開発に注力してきました。最終的な目標は人間の意図を理解し、遊び相手になってくれるAIを生み出すこと。そのノウハウは、今回の「ウロチョロス」にも生かされているようです。子ども向け玩具に機械学習の技術を取り入れた新たな布石は、AIネイティブ世代を人工知能の夜明けへと導く大いなるきっかけとなることでしょう。

Writer:Ritsuko Kawai / 河合律子

Source:モリカトロン

 

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