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AIを理解するアプローチを考える:学校関係者×AI体験コンテンツ開発者による座談会 前編
学校教育課程においてプログラミング教育が必修化されましたが、その目的は「プログラミング的思考」を育むことにあり、情報技術の重要性に気づいてもらうことを目的にしています。私たちの身の回りで利用が進むAIについて知ることも不可欠であり、これからの教育にどう取り入れていくかが課題となっています。そうした状況に対する一つの提案としてモリカトロンは、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)が開発するロボットトイ「toio™(トイオ)」を活用したAI体験コンテンツ『AIロボ「迷キュー」に挑戦』を今年5月にリリースしました。
この座談会では、迷キューを授業で使用している先生たちと開発を担当した方たちに参加いただき、迷キューとはどのようなもので、教育の現場ではどう使われているのか、またそれぞれの立場からAI教育にどのように取り組んでいるのかについてもお話を伺いました。参加者は、杉並区立高井戸第四小学校の加納史子先生、東京みらいAI&IT専門学校の吉田正明先生、SIEのtoio商品企画担当の赤羽進亮氏、モリカトロンAIラボからエンジニアの銭起揚氏と森川幸人所長。モデレーターはモリカトロンAIラボ編集長の高橋ミレイが担当しました。
遊びながら自然にAIを理解する
高橋ミレイ(以下、高橋):まず最初にAI体験コンテンツ『AIロボ「迷キュー」に挑戦』(以下、迷キュー)について教えてください。
赤羽進亮氏(以下、赤羽):
迷キューは「toio」で遊びながら直感的にAIの仕組みを理解できる迷路パズルゲームです。プレイヤーはAIの機能を持ったロボット「迷キュー」と迷路でバトルを楽しむことで、自然とAIの強化学習の仕組みを理解することができます。もともとtoioはプログラミングキットとして色々な場面で使われてきましたが、その幅をもっと広げてAIの分野で何かできないかということを考え、以前からtoioを使った取り組みをしているモリカトロンさんに相談して、共同開発を行うことになりました。
森川幸人所長(以下、森川):我々はこれまでにAIの啓蒙を行ってきましたが、そこでいつも悩ましく思っているのが、AIが学習する過程を画面や文章だけではなかなか説明しにくく、体感してもらえないことでした。ですが、toioというロボットトイを使えば非常に分かりやすくなるのではないかと思い、一緒にチャレンジさせていただきました。
高橋:迷キューの開発ではどのようなところを工夫されましたか?
銭起揚(以下、銭):以前に「ウロチョロス」というアプリを開発したことがあるのですが、その時の技術を流用して、キューブが回転したりふわふわする動きを作りました。もうひとつゲーム的な演出としては、AIは次のステップを決めるのに費やす時間はほぼ一定ですが、迷キューが問題を解く時は最初にちょっと迷って、進んでいくとだんだん早くなって最後の数コマは最高速度になるという人間っぽい動きにすることで、好勝負になる感じを出しています。
赤羽:AIが圧勝してしまうとプレイヤーのモチベーションが下がってしまうので、白熱した勝負にするにはどうしたらいいかを繰り返し話し合いました。試作したものを毎週末、子どもたちに遊んでもらってフィードバックするという、ユーザーテストを繰り返し、開発側でも改善リクエストをすぐに反映してもらえたのはありがたかったです。
銭:AIがどう考えているのかを言葉で伝えるのではなく、前後左右に移動する確率を盤面上に明るさで表現して、直感的にAIがどう考えてるのかが分かるようにしました。その流れでAIの成長や学習の過程も見えやすくなっています。もうひとつは、原理が分かったとして、どれくらい時間をかけて学習できるかも実際やらないとピンと来ないので、ゲーム中にAIを学習させてその結果をリアルタイムで見るモードも後から追加しました。
森川:最後まで一生懸命考えてることを可視化することで、感情移入したり応援したくなりますよね。学習の過程を分かりやすく可視化できる強化学習を選んだのは良かったのかもしれない。
赤羽:一方で、いかにも講義っぽくならないよう途中でアニメーションを入れたり、その速度も細かく調整したり、どうやって楽しく理解してもらうかはかなり工夫しました。特にこだわったのは最初のチュートリアル部分です。迷キューの説明にあわせてキューブを動かしながら各ステップを体験していくことで、いつの間にかゲームを理解できる流れになっています。
高橋:チュートリアルを見ながら気が付いたらゲームの世界に没入できる仕様にできたのは、これまでのゲーム制作のノウハウがあってこそですね。
興味を持たれるきっかけをつくるには
高橋:学校の授業で迷キューはどのように使われたのでしょうか。
加納史子先生(以下、加納):私は現在6年生を担任していますが、子どもたちが3年生の頃からtoioに搭載されているビジュアルプログラミングのスクラッチや、「GoGo ロボットプログラミング」を体験しており、今回はその延長で迷キューにチャレンジしました。最初のアンプラグドプログラミングでは、プログラムは順次処理・反復・条件分岐の3つの組み合わせでできていることを学び、ロボットを動かすところまで体験しました。5年生では、ロボットを動かすために、スクラッチでプログラムを作る学習をしました。また、自分たちが作ったプログラムが現実の社会に使われていると知ることができました。
これまでの授業では、効率良く目的にたどり着けるプログラムを作ることを考えていましたが、プログラムを全部記憶して何度も繰り返し試行錯誤し、一番いい方法を考えるのが実はAIなんだというところからAIの授業につなげてみようということになり、迷キューを紹介していただきました。6年生の1学期から使いましたが、子どもたちはだいぶプログラミングに慣れており、レベル2や3は2〜3回ぐらいでクリアする子が多くいました。AIは超人的で人間が仕事を奪われるかもしれないと思っていた子もいましたが、そうでもないということも分かり、人間とAIのどちらが賢いかという問いにも、半々に分かれて活発に意見を出し合って考えることができました。
迷キューを体験した生徒たちの感想(抜粋)
☆私は今日の学習を通してAIはどんどん進化しているなと改めて思いました。レストランやお店の店員までAIが行っているなんて想像していませんでした。でもそうすると人の役目がなくなってしまうと思います。アルバイトをする学生のお金の稼ぎ方がなくなってしまうのではないかなと思いました。でも将来AIと生きていくのは自分たちなので、その問題を解決できるようになりたいです。
☆ぼくは今日の学習を通してAIがいかに賢いのか分かりました。なぜなら何もない状態から何百回、いや何万回もの試行錯誤を繰り返して、とても成功率が高いようになるからです。今までAIはとてもすごいだけだと思っていたけれど、今回の授業でどこがどのようにすごいのか分かりました。身の回りでもたくさんAIが使われていると知ったので、AI探しをしてみたいと思います。そして論理的思考というものを学んだので、たくさん色んなことを経験して身につけていきたいと思います。
☆ぼくは今日の学習で、人間はもっとたくさん考え、どうやったらできるのか。このためにはどうしようなど、先を見通したほうがいいと思いました。なぜなら人間は、聞かれたときに質問に応じて瞬時に答えるのは無理です。しかし「こうしたらこうする」と先を読む行動などは人間にもできます。そしてAIにできないことをやり、人間には難しい事はAIに頼むなど、協力しながら生きていきたいと思いました。
吉田:私たちはオープンキャンパスの体験授業でtoioを活用しています。プログラミング入門の「toio Do(トイオ・ドゥ)」とAI入門の迷キューの両方を使っていますが、反応はすごくいいです。来校者のほとんどは高校生ですが、私の感覚ではそのほとんどが普段からパソコンに触っていません。日常的に大体のことがスマートフォンでできるので、デジタルネイティブと言われる世代でありながらも、むしろITに対して難しそうだというイメージを持っている方が多いです。まずはtoioを通じて楽しそうだと思ってもらえるようにきっかけ作りにしています。
赤羽:実際にオープンキャンパスを見学させてもらったのですが、初めて触る方々でも色々なモードにに積極的に挑戦してくれたので、こちらとしても非常に勉強になりました。
吉田:オープンキャンパスは平均して1日10名から15名ぐらい参加者があります。ゲームの延長線でITに興味を持たれるケースが多く、普段からゲームが趣味で、面白そうだからゲームクリエイターになりたいという子が多いという印象があります。
森川:AIもゲームが活躍の一つなので、ゲームのキャラクターが自律的に動くといったあたりからAIに興味を持ってもらえるとうれしいですね。
吉田:AIは言葉としてはほぼ100パーセント知ってるけれど、具体的に何なのかは詳しく知らないし、難しいというイメージをどうしても拭いきれない子たちは少なくないです。とはいえ、同時に「便利」だとも思われているので、作る側やサービスを提供する側になった時に、自分たちはどういう恩恵を享受しているのかといった具体的なところまでイメージさせて、知的好奇心をくすぐられて興味を持つ子たちはいますね。
高橋:AIが技術と社会のつながりについて考えるきっかけになるというのはいいですね。学校でAI教育というと、プログラミング教育や実践的な開発の入口に立たせるために行うイメージがありますが、その背景や実際にどのように社会で使われているのかも併せて知ることは大切だと思いました。
≫後編につづく
Writer:野々下裕子、写真提供:杉並区立高井戸第四小学校,東京みらいAI&IT専門学校,迷キュー