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ゲーム制作現場ですぐに使える!モリカトロンのAIソリューション5種

2021.6.28ゲーム

ゲーム制作現場ですぐに使える!モリカトロンのAIソリューション5種

2017年の設立以来ゲームAIを専門に開発してきたモリカトロン。この6月に、いよいよ「AIソリューション」として5つのAIをリリースしました。これまでもCEDECなどの場でQAの分野をサポートするAIツールが紹介されてきましたが、今回リリースされた5つはまさに制作の現場ですぐに使えるAIソリューションとなっています。

参考記事:【CEDEC2020】AIによるデバッグの自動化はどこまで進んでいるのか?

「現場ですぐに使える」に重点を置く

発表された5つのAIはソリューションとして、すぐに使えることが大きな特徴となっています。いずれも、普段に行っているクライアントワークや日々の研究開発の中から形になったものです。

図1 制作の現場における「こんなことできないかな」を形にする

導入しやすいよう、例えば「セリフの作成」であったり「会話の生成」であったり、機能ごとに切り出してあります。

  1. AIせりふサポート:大量のセリフの制作をサポートする
  2. AI会話ジェネレーター:会話を自動生成する
  3. AIパズルジェネレーター:3マッチパズルのステージを自動生成する
  4. AIアニメ制作サポート:アニメーションのコマ打ちを自動で行う
  5. COM DK::ゲームプレイを自動化する

今回、デモも交えてそれぞれのツールが紹介されました。

AIせりふサポート

「AIせりふサポート」は大量のセリフの品質管理を行うツールです。キャラクターのセリフの特徴をAIが学習することで、そのキャラクターが発言するに適したものかのチェックやディレクション作業をサポートしてくれます。

図2 AIせりふサポートの概要

多くのキャラクターが登場し、それぞれ大量のセリフを言うゲームの開発において、非常に大きな効果があると言えます。実際、セリフ作成の現場では、キャラクターごとの性格づけ、それに応じた設定を常に頭に入れ、使用する一人称の種類、語尾や言い方に工夫をしなければなりません。一連の作業を省力化するための機能として、次の3つが搭載されています。

  • セリフの分析:口調 、一人称、呼び方などを分析することで、そのセリフがキャラクターにマッチしているかどうかを分析する
  • 口調データの出力:学習したセリフを元に、キャラクターの口調データをまとめ資料自動生成する
  • 登録したセリフの検索:ツールに登録したセリフの全文検索

セリフの分析では、大量のセリフデータを学習させたモデルを使って、あるセリフがそのキャラクターのセリフだと推測できるかをAIで分析します。そのセリフがそのキャラクターに合っていないという場合は、別のキャラクターの候補を表示してくれます。そのほか、キャラクター同士の呼び方、単語の表記ミス、NGワードのチェック、さらには表示行数内に収まるかどうかもチェック可能です。

AIせりふサポートはブラウザで動作するウェブアプリとなっており、「一括チェック」「個別チェック」というように用意されたメニューから簡単に実行できます。例えば、個別チェックで「瑠璃」というキャラクターのセリフに合っているかどうか確認します。

図3 デモで使用するキャラクターの口調
図4 呼び方、人称、語尾が設定とは異なるセリフでチェック(1/2)
図4 呼び方、人称、語尾が設定とは異なるセリフでチェック(2/2)
図5 呼び方、人称、語尾が設定に沿ったセリフでチェック

図4のように、瑠璃の設定とはかけ離れたセリフを登録してチェックを実行すると、指定キャラ(瑠璃)との一致率は10.8%との結果が返ってきます。一方、図5が示すように瑠璃さんっぽいセリフに対しては一致率63%を返します。ちなみに、AIせりふサポートでは一致率が65%程度で「キャラクターにふさわしい」とみなされます。何となく100%となって初めて本人だとなりそうなのですが、キャラクターのセリフは名詞や動詞などの中身はほとんど同じで、異なるのは口調であるため、例えば100人分のセリフを大量に入れてある中で「ある人である確率が100%」はまずあり得ません。65%ぐらいだったら大体そのキャラだと分かるようになっているとのことです。

もちろん一括チェックも可能で、大量のセリフのトーン&マナーを一気にチェックできます。また、口調データから資料を自動生成でき、キャラクターの管理を容易にします。将来的にはセリフを自動生成する機能の実現も考えているようです。

 

AI会話ジェネレーター

AI会話ジェネレーターは自動的に会話を生成するAIです。想定する使用シーンはチャットボットやゲーム内のキャラクターとの会話になります。

図6 AI会話ジェネレーターの概要

実は、AIが人間と自然な雑談することは専門的な会話をするよりも非常に難易度が高いです。使われているのはGPT-2 (※1) ベースのAIモデルで、何を話しかけられても、適切な返事を返してくれます。現在、約1億5000万ペアの日本語の対話情報(会話コーパス)を学習させています。また、ユーザーが以前話したことを覚えておいて、会話の文脈を考慮し、より自然な流れで受け答えできるようになっています。

※1:2019年2月にOpenAIによって開発されたオープンソースのテキスト生成モデル

図7 AI会話ジェネレーターの仕組み
図8 AI会話ジェネレーターで作ったチャットボットとの雑談例

TwitterやLINE、Slack経由でボットから呼び出して、いかにも人間と話しているかのように、自然な会話ができるようになっています。このウェブAPIはRakuten Rapid APIに「GeneralTalker」という名前で登録してあります。お試しライセンス(無料)もあるので、実際にプログラムを組んで呼び出してみたい方はぜひ。

GeneralTalker:https://api.rakuten.net/morikatroninc-morikatroninc-default/api/generaltalker

もちろん、AIモデルを丸ごと自社サーバにインストールして、ゲームのプレイヤーとゲーム内のキャラクターがフレンドリーな会話を交わす用途に活用することできます。その場合、既存のキャラクターのセリフデータがあれば話し方を学習させることも可能です。ちなみに、200から300くらいのセリフデータがあれば、そのキャラクターの口調を真似た形で話せるようになるとのことです。

AIパズルジェネレーター

AIパズルジェネレーターは、ステージのサイズや難易度といったパラメーターを与えると自動でステージデータ(JSON形式)を生成してくれるツールです。現在、基本的な3マッチパズルゲームが内部に実装されており、これは3マッチパズルの開発運営を行うデベロッパー、パブリッシャー向けの製品という位置づけです。

図9 AIパズルジェネレーターの概要

こちらもウェブアプリとして用意されており、ブラウザ上で動作します。

パズルは非常にパラメーターが多く、それらを全部設定できるようになっています。もちろん、ルールのカスタマイズも可能、ステージ単位で難易度の数値を設定できるので、バランス調整も容易になります。また、パズルのステージをどういう形でクリアしたと判断するかのミッションも設定できます。生成したパズルをオートプレイで評価するようになっています。これは、パズルを生成したけどクリアできない状況を回避するためです。

想定する利用シーンとしては、パラメータを設定し自動生成させ、テストまでAIが行う、あとは人間(プランナー)が選ぶだけ、ということになります。

図10 パズルゲームを自動生成し、オートプレイでテストまで行える

このAIパズルジェネレーターの開発はAI自身にゲームのルールを作らせることはできないかという発想が発端でした。現段階では、とりあえずパズルのレベル生成ができるところまで製品化しています。今のところ不整合がないパズル画面であることをAIが判断するに留まっていますが、将来的には面白い盤面の評価までAIができる段階まで進めていきたいとのことです。

AIアニメ制作サポート

AIアニメ制作サポートは、アニメーションのコマ打ちを自動化するツールです。3Dモデルで作られたアニメーションのぬるっとした動きをメリハリのある動きに自動的に変換します。想定するのは、ゲームやアニメーションなどのコンテンツ制作での活用です。

図11 AIアニメ制作サポートの概要

AIツール「AnImator」が自動的に必要なキーフレームを選出し、動きの質を落とさずに2Dアニメ的なコマ打ち表現を実現します。

図12 3Dで作成したモーションデータを読み込み、適用する手法およびパラメータを指定し変換。すると、自動的に最適なフレームが選択されるのでモーションに適用する(デモではBlenderで作成したデータを使用)
図13 均一にフレームを間引いた場合と比較するとメリハリのある動きになっていることがわかる。この動きでは一番見せたい、上げた足が伸び切った瞬間を強調することができている

もちろん、これまで人の手で修正していたコストの削減も可能、また既存の3Dモーションデータのリソースを流用できるため、作画コストの圧縮が期待できます。

COM DK

COM DKはゲームプレイを自動化するツールです。コンピュータープレイヤー、いわゆるCOMにゲームをプレイさせるための仕組みです。自動プレイヤーとかAIプレイヤーを作ってみたいゲーム開発会社での利用が想定されています。

図14 COM DKの概要

ゲームプログラムとCOMを仲介するライブラリで、ゲームの進行状況をCOMに伝え、逆にパッド操作の情報をゲームに伝えます。両者の仲立ちとしてデータを渡す役割を果たします。

 

デモで動かしているのは、Unreal Engine4のサンプルゲームです。プレイヤーがパッドで動かすところを、COM DK経由でプログラムに操作させています。COM DKはもともとモリカトロンで格闘ゲームのAIプレイヤーを作ったときのプログラムの一部でした。それに汎用性を持たせる形でライブラリとして切り出した形になっており、ゲーム開発会社が自社のゲームのためのAIプレイヤーを自分たちで作れる環境を提供しようという意図で製品化したものです。

自動プレイヤー/AIプレイヤーのメリットは、人間のプレイに対して圧倒的にコストが安いことです。コンピューターに任せておけば夜中でもどんどんプレイしてくれますし、コンピューターの台数を増やせば何人でもプレイヤーの数を増やせます。例えば、パフォーマンス計測や、メモリリークのチェックのためにずっと回し続けるといった使い方も可能です。蓄積したデータをもとに統計的に分析することも可能でしょう。

コンサルティングや共同研究も

今回リリースされたAIソリューションのうち、AIパズルジェネレーターはカスタマイズして納品、また他のツールに関してもリクエストがあれば受け付けるとのことです。

また、モリカトロンでは、今回発表となったAIソリューション以外にも、個々のゲームやアプリに合ったAIの開発をメインに進めながらコンサルティングや共同研究を行っています。特に、ゲーム業界以外の人たちとコラボレーションすることで気がつかなかったゲームAIの使い方も生まれてくると森川幸人さんは言います。

自社の色々なサービスやデバイスとAIと組み合わせることで、何かシナジー効果を起こして新しい遊びができるのではないかと、自分たちにとっても非常に楽しいですね。一緒に共同研究していくようなパートナーをまだまだ募集しています(森川幸人氏)

図15 モリカトロンのAI研究の全体像(イメージ)

Writer:大内孝子

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