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カウンセリングのサポートに“雑談できるAI”を:福井千春氏×森川幸人氏 対談

2022.5.10ゲーム

カウンセリングのサポートに“雑談できるAI”を:福井千春氏×森川幸人氏 対談

長引くコロナ禍の影響もあり、メンタルヘルスケアの重要性が増しています。これまでは心の不調を訴えることにある種の心理的な抵抗感や障壁を感じる人も少なくありませんでしたが、いまは重篤となる前に早めにその兆候を捉え、もとの健常な状態に戻そうという動きもあります。そこで期待が集まるのが会話エンジンやデータマイニングなどAI技術の活用です。AI技術はメンタルヘルスのサポートにおいて、具体的にどのようなことができるのでしょうか。

メンタルヘルスのケアが必要とされる背景

森川幸人氏(以下、森川):今日はVeap Japanを立ち上げてEAPを推進する福井千春さんにメンタルヘルスケアの現状や課題についてお聞きしたいと思います。というのは、うちは会話エージェントも開発しているのですが、昨年あたりからゲーム業界以外の方からお問い合わせをいただくことが増えてきています。そのひとつが、メンタルヘルスの領域で、医師や心理療法士さんの手助けが必要な状態にある方と健常者の間にいる、”ちょっと弱っている人たち”を健常に戻すアプローチとして会話を使う際に、会話エージェントにより会話を活用できないかというものでした。福井さんの取り組まれている事業に関して、メンタルヘルスケアの置かれた背景から教えていただけますか?

福井千春氏(以下、福井):私自身は教育業界・人材業界を経て、去年の3月に、EAPというプログラムを通して従業員のメンタルヘルスをオンラインでサポートする会社を立ち上げました。

まず、EAPとは何かということからお話します。EAPは従業員支援プログラム(Employee Assistance Program)のことで、もともとは米国で1970年代頃から始まりました。当初はアルコール依存症の人たちのための職場支援プログラムという感じで、かなり特化したところから範囲を広げてきたものです。日本にも1980年代、90年代に入ってきました。従業員支援プログラムとして個人と組織両方に対してアプローチをすることで、従業員の健康を守り、生産性を向上していくためのプログラムです。従業員の心身の健康をサポートし、カウンセリングを通してメンタル不調をきたした従業員のケアを行うことに特化したものもありますが、従業員へのカウンセリングを通して見えてきた課題を経営層に対してフィードバックし、組織改革や改善に対するコンサルテーションを行う場合もあります。弊社では、後者のコンサルテーションまで行っています。

森川:企業と従業員両方に対するメンタルヘルスの対策や支援なのですね。従業員にはどのような悩みがあって、どのようなサポートをするのでしょうか?

福井:まず前提をお話すると、厚生労働省の調査で「今の自分の仕事、職業、生活において強い不安、悩み、ストレスがある労働者は58%」という数字が出ています。平成30年(2018年)の調べなので、現在はもっと増えているはずですが、おしなべて6割の人が不安を持っているという背景があります。

その不安の中身はさまざまで、たとえば管理職は上からのプレッシャーや部下のことで悩んでいたりします。1年目から3年目くらいの若手には若手ならではの悩みがありますし、あるいは、それぞれの性別特有の悩みもあります。海外赴任の方もケアしていますが、現地との文化的、社会的な違いで悩んでいたりします。さらにコロナ禍の影響で相当孤立をしてしんどい思いをされている方もいます。このように不安感を覚えている6割の方が抱えている悩みの中身はさまざまで、さらに日本人の場合は「こんなことを相談していいのか」と誰かに相談すること自体に大きな心理的なハードルを抱きがちで、その結果一人で悩んでしまったりする方が多いようです。

国としても職場におけるメンタルヘルスケア対策をする動きはあり、厚生労働省が指針を出しています。(*1) 指針が示す基本的な考え方は「4つのケア」です。1つ目が「セルフケア」。自分自身に対するケアですね。2つ目が「ラインによるケア」といって管理監督である上司が部下に対して行うケアです。3つ目が「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」。これは産業医や衛生管理、人事労務管理、メンタルヘルス推進担当者などによるケアです。最後の4つ目が「事業場外資源によるケア」です。これは会社内のリソースだけではなく私たちのような外部のリソースを活用しながら会社の中の従業員を支援していくというものです。一定数以上の従業員を抱える企業にはストレスチェックが義務付けられていますが、厚生労働省の指針ではさらに、これら4つのケアを重点的に行っていくことが推奨されています。

過重労働による過労死、過労死まで至らないとしても精神疾患を発症したり、そうした出来事が社会的に大きな問題になっていることが背景があり、企業がリスクマネジメントとして従業員のケアをしないといけないという機運になってきています。そのような背景から、EAPが注目されるようになってきています。また個人も、昨今はSNS等の発信でメンタルヘルスに関する話題が多くなってきていますね。そのように、社会全体にもそうした意識が少しずつ浸透してきていると思います。

森川:心療内科のクリニックはちょっと裏通りにあったり、ビルの上の階のほうにあったりしますね。そういう立地を見ても日本人は心療内科に入るところを人に見られたくないという意識がまだまだあるのかなと思います。

福井:スイスの友人に聞くと、スイスには歯科医院と同じくらいメンタルクリニックがあるし、歯医者へ行くくらいの感覚で行く場所らしいです。ちょっと調子が悪いなと思ったら行くというような。日本ではメンタルクリニックに行くことに相当のハードルがあって、それが受診を妨げる心理的要因になってしまっているのではないかなと思います。症状が相当進行してからでないと病院に行かない。医者が診察する時点でもうかなり重篤な状態になっているので、治療に数年かかるというようなことにもなってしまう。もっと早く受診していたら、と思うのですが。いかに予防的に介入していくことができるのか。それが大きな課題だと考えています。

*1:「職場における心の健康づくり

雑談AIがカウンセリングの下地づくりを

森川:今、雑談ができるような会話AIを作っています。ある分野や目的に特化したコンシェルジュ的なチャットボットは昔からありますが、技術的に言うと、実は専門的な話をするほうが簡単です。その分野に関連する知識をデータベース化すれば済む話なので。ところが雑談となると、一般的で広範囲な知識が必要です。夕食の話から野球の話、アニメや映画まで、あらゆる分野をまたいだ膨大な知識が必要なので、雑談できるAIを作るのは難しいのです。でも、やる価値はあります。本当はゲームのキャラクターに雑談をさせたいと会話エージェントの研究を進めてきたのですが、冒頭でも言ったように、会話を通して弱っている状態からの脱却ができないかというお話がありました。

医療系でその手のアプリはすでにあるのに、なぜうちに来たのかと聞いてみると、従来のそうした医療系アプリは離脱率が非常に高いそうです。話し方が上から目線だったり、事務的だったり、アンケートに50問答えなければいけないとか。そういうことをやっていてはダメなのですよね。一方でゲーム開発ではプレイヤーを飽きさせず、いかに楽しませるかという点で非常に工夫します。そういうゲーム産業のノウハウもあって、よりユーザーに馴染む会話のできるAIも作れることを期待してうちに依頼が来たとお話されていました。

今はカウンセリングモードを入れてテストしている段階です。いわゆる「傾聴」と呼ばれるカウンセリングで活用されている方法をAIでやろうとしています。AIが人間のカウンセラーに替わるのは随分先の話になるとは思いますが、カウンセラーのカウンセリングのための下準備みたいなところでAIにできることは何かあるのではないかなと思います。

福井:森川さんがおっしゃる、「カウンセラーのカウンセリングのための下準備」。これを会話AIが担ってくれるととても助かります。メンタル不調の対応のためには、「予防」の観点がとても大事なのですね。その予防を行っていくために、会話AIが活躍してくれると思うのです。予防には1次予防、2次予防、3次予防と段階があるのですが、1次予防は健康な方に向けたもの、2次予防は、ちょっとしんどくなっているのかなという方をできるだけ早期に見つけて早期に対応していくためのケア、3次予防はもう実際にしんどくなってしまった人のためのケアです。

1次予防、2次予防で食い止めることができれば、それだけ3次予防でカバーしなければならない人を減らすことができるわけですが、今、現状としては3次予防で手一杯という状況です。大手企業の方に聞いてみると、できて2次予防、1次予防はもうまったくできていないし、今からすぐに何かやろうとしても人員が足りない。健康な方に向けて何かをするには余力がないという企業が多いですね。

事業場内の健康管理スタッフが従業員の健康状態を都度チェックをして、健康な人の健康を維持しようとするのは相当なリソースがかかります。もしその活動を外部に依頼するとしても、例えば1000人や、もっと多い企業だと1万人以上に及ぶ従業員の面談を毎月外部委託するとかなりの費用がかかります。弊社は、不調を抱えた人だけではなく、原則全従業員を対象に毎月のオンライン面談を行っています。現在のクライエント企業はかなりメンタルヘルス対策に意識の高い企業が多く、毎月のまとまった数の面談をご依頼いただいていますが、すべての企業がそれだけの費用をかけられるわけではありません。

私たちの側からしても、たとえば面談できるカウンセラーが100人いるとしても対応できる人数は限られてきます。3次予防として、すでに不調を抱えた従業員のみを対象にピンポイントで対応していく形ならできるかもしれません。しかし、1次予防、2次予防を念頭において、例えば先の例の1万人の従業員に定期的な面談を実施し、その面談内容から経過を観察し、毎週や毎月、定性的・定量的に分析して経営層に改善提案を行っていくとなると、人的リソースだけではかなり難しくなります。

森川:今、カウンセリングを必要とする潜在的な人は増えていると思いますが、それに対してカウンセラーの人数も増えているのですか?

福井:カウンセラーの人数は増えています。公認心理師という国家資格が2017年にできて、国家資格化もあいまって心理的な支援を行いたい人達は増えてきています。ただ、それもやはり、実際何か疾患が出てきている人に対して対応する分であれば間に合うというレベルです。カウンセラーにもよりますが、たとえば1日5人から10人くらいの面談をして、ひと月の稼働が20日だとしても月に100から200面談が限界かなと思います。これは面談の数なので、もし同じ人に月に複数回面談する機会もあると考えると、クライエントの数にするともっと少なくなります。極論ではありますが、もしも日本国民全員に1次予防を行うとなると、同じくらいの人数のカウンセラーがいないといけない計算になるので、それは現実的ではないですね。そこでもうテクノロジーで助けてもらうしかないのではないかと個人的には考えています。

この予防の観点とAIのテクノロジーはすごく相性がいいと私は思っています。たとえばアバターと会話をしてもらって、そこで何か不調の兆しがある人だけ人間が面談をするようにする。あるいは、VRシステムを使ってストレス値を検出して、高い人だけをカウンセラーが対応する。そうすることで、対応可能な人数を増やせるのではないかということが1つあります。

もうひとつは、面談の記録および分析の部分でAIの力が活用できないかなということです。弊社では現在、従業員に対する面談の記録を弊社所属の医師/産業医に確認してもらい、不調の兆しが見える社員は、任意ですが別途医師とのオンライン面談を受けてもらっています。経験値からくる観測と察知は熟練の技でいつも大変助かっているのですが、もしこれが1万人等の人数になった時に目視で確認していくのは限界があるとは認めざるを得ません。また、最初に面談にあたるカウンセラーの思考の傾向が医師への報告内容に影響してしまう可能性も否定はできないですね。

たとえば、本来身体的な疾患も考慮すべきシーンで、心の不調に寄せて考えてしまうことも、面談を行うカウンセラーの力量不足によってはあるかもしれません。「よく眠れないことがある」と言っても、それは睡眠時無呼吸症候群など身体的な要因によるものかもしれないですよね。AIの分析ならそういうバイアス抜きに、心理的なものも身体的な疾患もふくめて分析できる可能性もあるのではないかと考えています。また別な側面では、面談結果について、匿名性も踏まえながら経営層がすぐに参照したり利用したりできるようなデータやチャートに変換してすぐにフィードバックできるような体制が望ましいですが、ここにもAIの力が活かせるのではないかと個人的には考えています。ここについては森川さんのご意見も聞いてみたいです。

森川:ふたつ目のお話はデータマイニングみたいなことになりますが、これはやはり難しいことは難しいですね。最近、長文を3行くらいに要約するという東大のプロジェクト (*2) がありますが、まだ長文の中から重要なキーワードを検出して箇条書きにする、短くまとめることはできるようになったというレベルです。

たとえば医療用のカルテならAIが扱うのは割と楽だと思います。ただ、面談の記録の場合、書く際に何か共通のフォーマットがないとAIに学習させるのはなかなか厳しいですね。AIアルゴリズムの多くは、教師データを必要としますが、カルテから教師データを作る際には、、そこにカルテになにかしら共通のルールがないと、なかなか大変な作業になってしまいますね。AIに渡す前にまずカルテのフォーマットを統一するという段階が必要かもしれませんね。

福井:そうですね、今いるカウンセラーの面談の記録を解析するというのは相当難しいことなのかなと思います。1件1件、かなり特殊性があるので。書き方も違いますし。

森川:もしかしたら、そのあたりのデータの作り方から相談させていただけるといいのかもしれません。何か進めることができるのかなと思います。

*2:https://www.digest.elyza.ai/

AIにできること、人間ができることをつないでいく

福井:EAPの難しさであり、また力の入れどころとしては、一社一社の企業文化や風土にも十分に留意する必要があるということです。たとえば、百何十人規模の製菓メーカーがあったとして、そこでの支援で得られた知見やデータがそのまま1万人規模の製菓メーカーにそのまま応用できるかというとそうではありません。同じお菓子を扱うメーカーでも施設・設備の規模や体制が全く異なるので、そこでの課題は当然異なります。

働く人の心身の不調を予防・解消するというのは、本当に奥深く、あらゆる観点を総動員して行う必要があると思っています。企業ごとに異なる男女や年次ごとの働き方や働く上での価値観の違い、エンゲージメントの度合い、人事制度・評価制度の特殊性等。様々なことを考慮して、メンタルヘルス不調が起きてくる背景を理解し、根本的な解決をはからないといけません。そのために、医療や心理の専門家のみならず、キャリアの専門家、人事の専門家も含めて連携して提言を行っていく必要があります。

森川:そこは専門のトレーニングを受けた人じゃないとムリかもしれませんね。一方で、セルフケアというのはひょっとしたらAIが役立てるかもしれません。人が人に何でも話せるかというとそうではないですよね。親やパートナーに何でも話せるかというと、逆に心配させたくないとか、こういう人間に思われたくないとか、人と人ならではの照れくささややりづらさ、障壁がある。その点、機械、たとえばAIなら逆に気兼ねなく話せるはずです。絶対に外にもれないし。話していくうちにどんどん自分のことを理解してくれる(知識を蓄積してくれる)ようなAIがあれば、意外と、自分の暗い部分を話せるようになるかもしれない。

福井:そうかもしれませんね。昨今は、多様性を重んじることがますます大事だと社会的に認識されてきていますが、たとえば様々なセクシャリティの方もいらっしゃいます。そうしたご自身のプライベートでナイーヴな部分に関する話をなかなか人に面と向かって言えない方もいらっしゃると思います。

面と向かっては難しい、という観点から言えば、私達は100%オンラインで面談を行っているのですが、オンラインの方がかえって話しやすいというご意見も結構いただきます。。目の前の生身の人間に対して話すより、画面上のほうが言いやすいと。メンタルヘルスに関してお悩みを抱える方の中には、対人コミュニケーションへの苦手意識をお持ちの方も多く、面談を受けようにもまず人と向き合って話すこと自体を苦痛と感じてしまうケースもあります。そうなると最初のタッチポイントがAIやアバターだったりするのはいいというのはありますね。

森川:夫婦間でも直接話をしないで、子どもやペットを介して会話をする場合もありますよね。特に、日本人はそういうふうにワンクッション置いたほうが言いやすいというところはあるのかもしれない。

福井:そうですね。そのあとに人間のカウンセラーが出てくる必要が今のところはあるのかなと思いますが。AIにはAIの良さ、たくさんの人にアプローチできるとかプライベートなこともふくめて話しやすいという利点があります。それと同じように、人間には人間の良さ、人間にしかできないこともありますね。

森川:介護の世界でよく言われる話ですが、介護をロボットにやってもらいたいか、人間にやってもらいたいかを聞くと、たいてい人による介護がいいといいます。では排泄の介助はどうかというと、それはロボットにやってもらいたいといういう話になります。大きなカテゴリーで人かAIかじゃなくて、ここはAI、こちらは人間というような、1つのカテゴリーの中で、まだらな役割分担になるんじゃないかなと思います。それはメンタルヘルスの領域においても同じで、AIが受け持てるところと人間がやらなければいけないところがまだらに存在していくんではないかなと思います。

福井:担当を分けてリレーできるように、テクノロジーと人間が協力してサポートしていけるようになったら、本当に理想的だと思います。規模も確保しながら、細やかな機微が求められるところは人間がフォローするのが良いのかもしれません。

森川:今、メタバースが話題になっていますが、実は医療の領域においても仮想の空間を挟むことでコミュニケーションが取りやすくなるという可能性もありますよね。

福井:実際に今、VRゴーグルを使って発達障害を持っている方が社会生活をスムーズに送るためのソーシャルスキルトレーニング(SST)を行うケースもあります。何らかの障害だったり、もともとのコミュニケーション能力の不全がある人が社会性を身に付けるために何人かグループになってトレーニングをするのですが、最近はVRを活用するシーンも増えてきました。

VR空間に人間らしい存在が何人かいて、その人たちと対話することで、こう言われたときはどう返すかと実際にトレーニングをする。人間と対応するのがしんどい人にとっては、そこでまず練習して現実社会という実戦に向かうのは、私は非常に有効だと思っています。ただ、VR空間での対話にドップリ浸かりすぎて人と話せなくなったというケースが起きないようにしたいですね。橋渡し的な存在として、実際の生活のためのトレーニングという感じがいいのかなと思います。

森川:アバターで「デジタル福井さん」を作れば、日本全国に行けますね(笑)。福井さんのアシスタント的なキャラクターがまず情報を集めてきて、福井さんに引き継ぐという形で。

福井:自分としてはちょっと照れますが、良いかもしれません!(笑)そういうふうにテクノロジーを活用して結果的にたくさんの人にリーチできればいいなと思っています。心理的な支援は、人が行わないといけない!という固定概念にとらわれすぎずに、うまくテクノロジーを活かしていく方向が良いのだと思っています。現在、少しずつですがテクノロジーを心理支援に活かそうという動きも出てきてとても良い傾向だと思っています。私の友人も心理支援のためのVRツール開発をしています。しかし、それぞれの会社が現在はバラバラに活動しているような状況のようにも見え、現状ではまだうまく連動したり連携ができていないようにも思います。

森川:ハブとなる会社が必要なのでしょうね。AIの世界で言えば、AI技術はもうすでに特殊化していて、たとえばうちがこれから自社で音声合成を開発しようとしてももう間に合わないと思います。先駆的な事例がたくさんあるので、それを持つ企業とライセンス供与をしたほうが早いのです。今、あらゆるところでそういう流れは起きていますよね。

そういう個々の技術を持つ会社を集めて、1つのきちんとしたビジョンを持ってサービスを作る、会社の枠を超えた組織を創ることが重要なのだと思います。Googleみたいに、巨大な資本で全部買収して抱えるというようなことができればいいですが、日本はそういうタイプの組織づくりは苦手だし、現実的に難しい。それなら、イメージを持って座組みができる会社がハブとなっていく。そうしないと、日本はうまくいかないと思います。

福井:そうですね。グランドデザインを描いてしまって、そこに必要なリソースを集めて適切に配置して、連携していく。先にお話しましたように、現状ではメンタルヘルス業界でもなかなかうまく連動や連携ができていない現状はあると思います。私自身のことについて言えば、事業会社とコンサルファームでも働いてきたビジネスの経験があることを活かして、メンタルヘルス業界にいながら、心理職とその他業界を橋渡ししていく存在になりたいと思っています。メンタルヘルスとテクノロジーの間をとりもつ懸け橋のような存在になれればいいなと思っているので、モリカトロン社の皆様とも是非今後とも連携できると嬉しいです。

Writer:大内孝子

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