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AIに不可欠な知識表現とは? IGDAボードゲームAIワークショップをレポート

2019.6.19ゲーム

AIに不可欠な知識表現とは? IGDAボードゲームAIワークショップをレポート

2019年5月22日から、IGDA日本主催のボードゲームAIワークショップが始まりました。毎回ひとつのボードゲームを取り上げ、AIプログラムに落とし込むことでゲームAIのテクニックを学ぶ全6回のシリーズです。モリカトロンも全面協力しているこのワークショップ、第1回目のテーマは「知識表現」。使用するボードゲームは『ガイスター』です。

ボードゲームAIワークショップ

考えるおもしろさ、動かすおもしろさを体験する

ゲームAIに限らず、「AIを作るプロセス」を知る機会はあまり多くありませんし、身近なシステムとして、その仕組みまで具体的に思い浮かぶ人は少ないでしょう。そのため、AIをテーマにしたセミナーなどを受講しても、「なんとなく分かったかも…?」といったふわっとした着地になりがちです。そこから先、AIを作ろうと踏み出すには何かとっかかりが必要です。モデレーターの三宅陽一郎さんがこだわったのは、そのとっかかりを作ることでした。

このワークショップでは、

  1. 人工知能を作る臨場感を感じる
  2. ゲームAIを作って動かす楽しさ(手ごたえ)を持ち帰る

をゴールに、実際に参加者が手を動かしてゲームプレイヤーとなるAIを作り、作ったAI同士を対戦させてみることに主眼が置かれています。とはいえ、すぐにRPGのメタAIやキャラクターAIを作ってみましょうというのはさすがに難しすぎます。その点、ボードゲームの情報は扱いやすく、題材としても身近です。何しろ、多くのボードゲームは誰でも楽しめますから。

今回はその1回目としてボードゲームのガイスターを使って、AIの中でも基本的かつ重要な「知識表現」を学びました。

ゲームAIを作るには何が必要なのか?

三宅陽一郎(IGDA日本 SIG-AIチェア)。「ゲームというのは人間を理解することでもあります。相手を理解して、人間のために手を打つということがゲームAIの一番の特徴」と語る

「ゲームAIを作る」といっても何をどうするのか? ということで、まずは三宅さんからAIの解説です。三宅さんによれば「人工知能は、ごくシンプルな構造」とのこと。

エージェントアーキテクチャの全体像

まず「世界」からセンサーを通して情報を得て認識を形成します。そこから意思決定を行い、最後に身体を動かす「運動」を構成します。基本は、認識、意思決定、運動構成、この3つです。「ボードゲームの盤上にある『世界』は、ノイズだらけで混沌としている現実世界と比べたら極めてシンプルでエレガントです。その世界を認識して意思決定させるのが趣旨です」と三宅さんは語ります。今回は人工知能にガイスターの戦略を考えさせ、その意思決定に従って人間がボード上のコマを手で動かすという形をとります。

GUIの部分を作り込むのは大変なのでコマを動かすのは人間

今回のテーマ「知識表現(Knowledge Representation)」は、簡単に言うと「ものごとの見方」を表したものです。人間はものごとの見方を自分で学習しますが、残念ながら、人工知能はものごとの見方を自分で獲得することができません。どうやって見るかは人間が誘導してあげる必要があります。つまり、ボードゲームの「盤の上の状況」を何らかの表現で表し、知識表現としてあげた上で、それをもとにAIが思考して結論を出します。

「いくらすごい思考関数を作っても、きちんと知識表現が作られていなければ、良いAIを作ることはできません」と三宅陽一郎さんは言います。たとえばトランプゲームの「七並べ」で、場のカードの情報を取らずに思考関数を作って次の手を考えるのは大変ですが、場のカードを解析し、色々な情報を抜き出して整理することで効率よく結論を導くことができます。ゲームの状態から、いかに抽象的な情報を抜き出すかということが人工知能の性能そのものと言えます。

ガイスターのプレイを知識表現に

三宅さんの解説が終わった後、まずは参加者同士がガイスターをプレイしながら、「こうやって表現すればいいんじゃないか」「自分は今この盤上をどうやって見ているか」という知識表現の種を抽出していく所からワークショップを開始しました。

ガイスターは二人で対戦するゲームで、6×6の盤上でプレイします。お化けを模した2種類のコマ8つ(青:良いお化け4つ/赤:悪いお化け4つ)を使って、1ターンにコマを1つ動かして戦います。移動は上下左右、斜めはNGです。隣接する相手のコマを取ることができますが、取ったコマの種類で状況が変わります。「勝ち」の条件は次の3つ。

  1. 自コマの悪いお化け(赤)を相手に4つ全部取らせる
  2. 相手のコマのうち良いお化け(青)を4つ全部取る
  3. 自コマの良いお化け(青)を相手の出口から出す

コマが青であるか赤であるかは相手に隠されるので、取ったコマ/取られたコマ、盤上のコマの動きから相手方のコマがどちらであるかを推測するしかありません。いわゆる「不完全情報ゲーム」です。

集まった約20名は4〜5人ずつテーブルに分かれ、ガイスターをプレイ
およそ30分のゲームプレイ後、プログラムに加える知識表現を意見を交換しながら考えていく
各テーブルごとにどういうディスカッションがされたかなどを発表

次のステップで、事前に用意されたサンプルプログラムを使って知識表現を組み込むなど、各テーブルごとにカスタマイズしていきました。サンプルプログラムは三宅さん作のC++、モリカトロンの松原さん作のPythonの2種類で、どちらを使ってもOKです。

例えば「相手の赤コマを3つ取ってしまった後は、コマは取らないようにする」には、相手の赤コマを3つ取ったという状況を知る必要があります。「敵の陣地を、青コマを取られないようにしながら出口に向かって進む」には、敵コマと自コマの距離で脅威を数値化すると意思決定に役立ちそうです。このように、自分たちで実際に対戦することで、コマを動かすときの思考や戦術をAIに移すには何が必要かを理解していきます。

黙々とプログラミングに集中

30分〜40分の実装時間の後は、いよいよ、このワークショップのメインイベント。自分たちがカスタマイズしたプログラムを使っての対戦です。「なぜそこに進むのか」と思わざるを得ないシーンもあったりしましたが、自分の意図が反映されたプログラムをプレイさせてみることで、想像以上に盛り上がりました。

成果物で実際にガイスターをプレイ

さまざまなボードゲームの戦略をAIに学習させる

実は、モリカトロンでもボードゲーム×AIの研究を進めています。森川幸人さんの解説によれば、これはAIにボードゲームの戦略を学習させようというもの。特に今回のワークショップに合わせてわけではなく、まったくの偶然ですが、最初に作ったボードゲームAIはガイスターでした。それを選んだ理由は、囲碁や将棋といった完全情報ゲームはもうすでに決着がついている一方で、不完全情報ゲームのAIはまだまだ開発の余地がある分野だからです。ルールがシンプルなガイスターは、最初の研究対象として開発がしやすかったとのことです。

森川幸人さん(モリカトロンAIラボ 所長)

「ルールを人間が書くと、書いている人の能力が上限になってしまいますが、AIが自分で学習してくれたら人間が思いつかないような戦略を思いついてくれるかもしれない。それに適したAIのモデルがAlphaZeroでした」と森川さんは語ります。AlphaZeroはAlphaGOの後継モデルで、チェスやオセロのような完全情報ゲームであれば、囲碁に限らず学習することができます。モリカトロンでは、それをベースに開発してガイスターのような不完全情報ゲームもプレイできるようにしようと研究を進めています。

AlphaZero方式はボードゲーム系AIプレイヤーの第一の選択肢
AIに向いていそうなボードゲーム
今後さまざまなボードゲームのAIの試作を作っていくとのこと

プレイが盛り上がり過ぎて時間が足りないシーンもありましたが、ボードゲームAIワークショップ第1回は盛況のうちに終了しました。ワークショップの参加者は、学生やエンジニア(ゲーム系/非ゲーム系)、ボードゲーム愛好家など実にさまざまな層に及びました。それぞれ、達成感やAI開発への興味を持ち帰っていったようです。実際に自分がコードを書く立場ではなくとも、AI開発のプロセスを理解しておくことはAIのプロジェクトに携わることになったとき非常に大きなアドバンテージになります。IGDA日本では、以降もボードゲームに特化して1つずつゲームAIの技術を紹介していく予定です。

Writer:大内孝子

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