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eSports世界チャンピオンを下したOpenAI FiveはゲームAIに何をもたらすか?

2019.4.17ゲーム

eSports世界チャンピオンを下したOpenAI FiveはゲームAIに何をもたらすか?

人工知能(AI)という言葉が、SF作品における「レプリカント」や「スカイネット」「プロジェクト2501」のように、”人間に対する機械の反乱”というステレオタイプばかりを想起させていた時代は過去の話。AIというキーワードは、もはや未来を空想するコンセプトではなく、スマートフォンやインターネットと同様に私たちの日常とともにあるテクノロジーとなり、ともすれば人類の自由意志を希薄に感じさせるほど身近に溶け込んでいます。音声認識でデバイスを起動し、顔認証にセキュリティを預け、ナビゲーションアプリが目的地へと誘うオンラインな生活の中で、日常の消費行動そのものがAIに支援(あるいは支配)されていると意識している人はそう多くないでしょう。

AIによるチームプレイの再現は未来への道標

ゲーム業界においても、AIの存在意義は大きく変化しています。過去においては主に敵などのキャラクターの挙動を司っていたゲームAIですが、近年のビデオゲームでは、AIがゲーム内のフィールドやイベントといった舞台を自動生成し、キャストとなるキャラクターたちを生命あるものとして振る舞えるようにガイドしています。さらに、そうして紡がれた空想劇そのものがプレイヤーに与える緊張感の緩急ですら、AIにコントロールされています。今やゲームAIは、単なるシングルプレイヤーゲームの対戦相手ではなく、ユーザーのゲーム体験を舞台裏で支える監督のような存在に変わりつつあります。

このようにAIが人間の対戦相手から協力者へと変化する中、eSportsを舞台に人間の思考回路に闘いを挑んだボットが、ゲームAIの存在意義に新たな可能性を示そうとしています。2018年8月22日、人工知能を研究する非営利団体「OpenAI」が生み出した名もなき“5人”のアルゴリズム「OpenAI Five」が、eSports史上最高の賞金総額2,500万ドルを誇る世界最高峰のトーナメント「The International 2018」で、オンライン対戦ゲーム『Dota 2』(2013年、Valve Corporation)のプロチームに挑み、惨敗しました。

これらのボットは、トライ・アンド・エラーを通してタスクの解決方法を探る強化学習というプロセスによって、自らのクローンを相手に数百万回という膨大な対戦数を高速でこなしながら、ゲームのプレイ方法を一から学んでいます。その半面、長期的な戦略を計画するという点において強化学習には限界がありました。1試合およそ45分間、手数にしてチェスや囲碁の100倍以上まで膨らむMOBA(マルチプレイヤー・オンライン・バトルアリーナ)という競技では、より長いスパンで先を見通し勝利への道筋を想定できる人間側に軍配が上がったというわけです。しかし、これまで個人競技で人間に挑んできたAIが、チームプレイという新たな課題の解決に近づいたケースとして、その健闘は称賛に値するものでした。

チェスや将棋といった従来のボードゲームにおける対戦と大きく異なるのは、チーム競技ではプレイヤー単体の技量や判断力に加えて、状況に応じた連携・協力が必要不可欠という点です。「OpenAI Five」は2018年の時点では世界が認めるプロチームに破れたとはいうものの、日進月歩に発展し続けるグラフィックプロセッサーの処理能力が、強化学習というプロセスをはるかに複雑な領域にまで適応させたという、技術的な可能性をも示していました。複数のAIがチームワークでアマチュアとはいえ人間に勝利するという快挙には、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツも「AIの発展における大きな道標となるだろう」とコメントしていました。

OpenAIは、テスラやスペースXの最高経営責任者として知られるイーロン・マスクが、人類全体の利益のためにAIの正しい使い方を研究するという理念のもと、2005年に設立した研究機関です。チームプレイが求められる『Dota 2』で人間のプレイヤーに対抗するべく開発された「OpenAI Five」は、囲碁で世界の頂点に立ったDeepMindの「AlphaGo」がイ・セドルを下した翌年である2017年に開催された「The International 2017」において、当時の世界トッププレイヤーを1対1の試合で完膚なきまでに叩きのめしました。2018年6月には5対5のチーム戦でアマチュアおよびセミプロのプレイヤーを破り、2019年4月14日にサンフランシスコで開催された「OpenAI Five Finals」にて『Dota 2』の2018年度世界大会「The International 2018」の覇者となったチームOG勝利しました

ゲームAIの発展が人類にもたらすもの

OpenAIは「OpenAI Five」に『Dota 2』を学習させたのと同様のアプローチで、5本指のロボットハンドに人間の手の動かし方を完全にゼロから学習させることにも成功しています。人間の手が物体をつかんで動かす時、5本の指が臨機応変にチームワークを発揮していると考えれば、この応用例は必然といえるかもしれません。このチームワークこそが、これからのAI研究において重要なキーワードとなってくるでしょう。冒頭で述べたように、近年のゲームAIが担う主な役割はプレイヤーである人間の対戦相手ではなく、むしろユーザーに快適なゲーム体験を提供するための環境構築と舞台演出だからです。

これは決してゲーム業界に限った話ではありません。AIという言葉が日常と化した世界に生きる現代人は、スマートスピーカーに話しかけて電化製品のスイッチを入れたり、ナビゲーションアプリに案内されるまま電車や道路を選んだり、オンラインショッピングサイトのパーソナライゼーション機能に勧められた品物を閲覧・購入したりと、AIをQOL向上の道具として、また人生のパートナーとしてすでに受け入れているからです。少なくとも今のところAIは人類の滅亡を企む侵略者ではなく、われわれ現代人の友人であることに変わりありません。

だからこそ、今求められているAIの発展のあり方は、人間そっくりに化けることでも、ビデオゲームで人間を叩きのめすことでもなく、人間の良きチームメイトとしての地位を確立することなのかもしれません。「AIに求められているのは、本物の人間のような振る舞いではありません。AIはあくまでもプレイヤーが何をやろうとして、何をやろうとしていないのかを理解し、その手助けをするための役者にとどまらなければいけません」。そう語るのは、イギリス・ファルマス大学でAIを研究するマイク・クック氏です。同氏によると、「OpenAI Five」が『Dota 2』のチーム対戦を通じて示したテクノロジーの可能性は、ゲームという枠組みを越えた、むしろ現実世界そのものの将来像です。

AI研究の世界的権威であるレイ・カーツワイルは、著作『ポスト・ヒューマン誕生 コンピューターが人類の知性を超えるとき』の中で、AIが人類の知性を超越する時点をシンギュラリティと定義し、それは2045年に到来すると唱えました。その技術的特異点を境にAIが人類に仇なす敵となるのか、またはカーツワイルが提唱するようにAIと融合したポスト・ヒューマンが大宇宙へと進出していくのか。

いずれにせよ、今「OpenAI Five」がゲームAIにもたらそうとしているのはボットなりの協調性です。複数の異なる役割を持つAIが集合体として舞台監督の機能を果たしている現状と、今後AIのさらなる地位確立という観点からも、このボットなりの協調性が必要不可欠な要素であることは間違いないでしょう。そして、その技術がゲーム以外でも人類の役に立つ日が訪れる時、奇しくもイーロン・マスクというAIディストピア論者の危惧から始まったOpenAIの研究の一つも、AIによるユートピアへ続く礎となるのかもしれません。

Writer:Ritsuko Kawai

Source:OpenAI FiveThe VergeCNBC, WIREDV3 Image:Unsplash 

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