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リアルタイム生成も可能に。進化する2Dto3D生成AIの最新研究紹介

2022.2.21アート

リアルタイム生成も可能に。進化する2Dto3D生成AIの最新研究紹介

CGやVFXの進化にAIが大きく貢献しているのは周知の通りですが、こうしたグラフィックAIの研究分野のひとつとして2D画像から3D画像や3Dオブジェクトを生成するものがあります。モリカトロンAIラボでは2020年7月にこの研究分野に関して特集しましたが、2022年2月時点ではさらに進化を遂げています。本稿では、2Dto3D生成AIの最新研究を3つほど紹介します。

関連記事:2D画像だけで大丈夫。3D画像や3Dオブジェクトを自動生成するAIまとめ

入力画像を増やせばさらにフォトリアルに

科学メディアNew Scientistは2021年10月25日、ドイツのエアランゲン・ニュルンベルク大学のDarius Rückert氏らの研究チームが開発したレンダリングモデルを紹介した記事を公開しました。紹介されたモデルは、複数の2D画像を入力すると視点移動可能な3D画像を生成する、というものです。

ADOP(Approximate Differentiable One-Pixel Point Rendering)と略記される以上のレンダリングモデルの基本的な仕組みを要約すると、任意の枚数の画像とその画像を撮ったカメラの位置等の撮影情報のデータセットから新たな画像と撮影に関する情報を推測したうえで、入力データセットと生成した画像情報にもとづいて視点移動可能な3D画像を合成するのです。

Rückert氏によれば、ADOPは理論上2枚の画像からだけでも視点移動可能な3D画像を生成できるが、入力画像が多ければ多いほど画質は向上してフォトリアルなものになる、とのこと。新たな画像情報を推測すると言っても、入力データから推測できないような情報は得られないのです。こうした同モデルの性能を体験できるように、New Scientistの記事では300~350枚の画像から合成された3D画像を収録した動画が掲載されています。

ちなみに、3D画像の生成にはオープンソースのグラフィックツールであるCOLMAPが使われています。同ツールは、任意のオブジェクトをさまざまな角度から撮影した画像を入力データとして与えると、新たな視点からの画像を生成したうえでオブジェクトを描画するというものです。

参考論文:ADOP: Approximate Differentiable One-Pixel Point Rendering

参考Webページ:ADOPのGitHub

Omniverseの機能として使用可能

大手GPUメーカーのNVIDIA Japanは2021年4月21日、仮想空間開発プラットフォームOmniverseの拡張機能のひとつであるGANverse3Dを紹介するブログ記事を公開しました。この機能は、1枚の2D画像から3Dオブジェクトを生成するものです。同記事では、1枚の自動車の2D画像から海外テレビドラマ『ナイトライダー』に登場した知性ある自動車「K.I.T.T.」を生成する事例が掲載されています。

2D画像から3Dオブジェクトを生成するAIを開発する場合、従来はShapeNetのような3Dオブジェクトに関する学習データを使うか、さまざまなオブジェクトを複数の角度から撮影したデータセットを用意する必要がありました。前者の場合では学習範囲に限界があり、後者では学習データの用意に膨大な労力を要するという欠点がありました。

NVIDIAの研究チームは、GANverse3Dの開発にあたり学習データをWeb上にある2D画像から生成した3Dオブジェクトを集めて用意しました。2D画像からの3Dオブジェクトの生成にあたっては、GANを使って1枚の2D画像から撮影角度をさまざまに変えた2D画像を生成したことによって可能となりました。こうした学習データの作成方法を使えば、圧倒的に広範囲にわたる3Dオブジェクトを2D画像から生成できるようになります。ちなみに、前述のK.I.T.T.は5万5,000枚の自動車の画像にもとづいて生成されました。

以上のようなGANverse3Dを使えば、例えばインダストリアルデザイナーが描いたラフスケッチから素早く3Dオブジェクトを生成して、製品デザインの共有をはかるといったことができるようになります。

ほぼリアルタイムに3Dオブジェクトを生成

MITをはじめとした複数の組織から構成された研究チームは2021年6月、ほぼリアルタイムに1枚の2D画像から3Dオブジェクトを生成するLight Field Networks(略してLFN)に関する論文を発表しました。NeurlPS 2021に採択された同論文によると、リアルタイムの3Dオブジェクト生成が可能となったのは、LFNと従来のレンダリングモデルのあいだに演算量に関する大きな違いがあるからです。

従来のレンダリングモデルでは、任意の1本の光線にプロットされる生成対象となる3Dオブジェクトの情報は、数百回の演算によって算出されていました(画像右上を参照)。対してLFNでは、1回の演算でレンダリングに必要な情報を算出するのです(画像右下を参照)。

以上のようにLFNは任意の1本の光線に関して高速なレンダリングを可能とするのですが、3Dオブジェクトを正しくレンダリングするには複数の光線にもとづく必要があります。この問題に対して、研究チームは1本の光線から複数の光線を再構成できるようにする事前学習を実行しました。LFNと事前学習の採用によって、最終的に従来のレンダリングモデルに比べて大幅に演算負荷が軽くなったのでほぼリアルタイムの3Dオブジェクト生成に成功したのです。

研究チームは、以上のLFNを活用したレンダリングに関する課題として、複数のオブジェクトが複雑に重なり合ったようなシーンの2D画像からでも3Dオブジェクトを生成できるようにすることを挙げています。また、2D画像にもとづいた3Dオブジェクト生成がさらに進化すると、なりすましに悪用されるリスクを指摘しています。例えば、ある人物の横顔を盗撮して、その盗撮画像から3Dの顔を生成して正面顔画像を取得することも技術的には可能になるかも知れないのです。

参照論文:Light Field Networks: Neural Scene Representations with Single-Evaluation Rendering

参照Webページ:Light Field Networks: Neural Scene Representations with Single-Evaluation Rendering NeurIPS 2021 (Spotlight)

以上のように2Dto3D生成AIは、CGやVFXに関する専門知識がなくても気軽に3D画像や3Dオブジェクトを制作できるように進化しています。こうした進化が今後も継続すれば、簡単に3D画像や3Dオブジェクトを生成してユーザを楽しませるスマホアプリが誕生するのではないでしょうか。

Writer:吉本幸記

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