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【CEDEC2022】メタバースにおけるAIキャラクターの新たな役割

2022.10.20先端技術

【CEDEC2022】メタバースにおけるAIキャラクターの新たな役割

3DやVR技術の進化でメタバースが現実のものとなりつつある今、AIキャラクターの役割はどのようなものとなるでしょうか。CEDEC2022で行われたセッション「AIキャラクター事情 最前線!仮想空間(メタバース)での開拓ビジョン・取り組み・課題」にて、AIキャラクター事情をテーマに、佐々木莉英氏(りんな株式会社)、荒尾和宏氏(デジタルヒューマン株式会社)、ドリアンクール・レミ氏(株式会社ジェンビッド・テクノロジーズ・ジャパン)がパネルディスカッションを行いました。モデレーターは下田純也氏(日本マイクロソフト)です。

AIキャラクター、エンターテインメントの現状

議論に入る前に登壇者の自己紹介および、AIキャラクターにおける各社の取り組みが紹介されました。

会話ボット「女子高生りんな」として生まれたAIシステム「rinna」は、2020年夏にマイクロソフト社から独立し、りんな株式会社が開発運営に携わっています。rinnaの大きな特徴のひとつは当初から広くユーザーを巻き込むアプローチを採っているところですが、Chief Business Officerを務める佐々木莉英氏(以下、佐々木氏)によると、今後、AIによってユーザーの想像力を膨らませることでクリエイションの手伝いができないかと考えているそうです。現在、曲を作ったり、歌を歌ったり、絵を描いたりと積極的にクリエイティブな領域にチャレンジしています。

【関連記事】AIりんなのボイストレーニングが示す、情動的で人間的な機械学習とは?

佐々木莉英氏(りんな株式会社)
声優の録音済みの声を使ってAIモデルが生成した会話を発話できる「rinna」、AIアシスタントとしても展開している

荒尾和宏氏(以下、荒尾氏)が代表取締役を務めるデジタルヒューマン株式会社はユニークという米国の企業と提携して「デジタルヒューマン」というアバターのサービスを展開しています。バックエンドにAI(チャットボット、会話AIなど)が接続されており、リアルタイムに会話ができるというものです。その大きな特徴は、処理をクラウド側で行うためブラウザでアクセスするだけでサービスが利用できるというところです。

荒尾氏は、デジタルヒューマンの位置付けを「現実世界におけるロボット」とします(下記の図参照)。メタバースの世界に入っていくとアバターという存在になり、もう少しロボット寄りに軸をずらすと、いわゆるNPC(ノンプレイヤーキャラクター)となります。一方、現実世界のほうに入っていくとデジタルクローンという存在があり、それをロボット側の軸に振るとデジタルヒューマンという存在になってくるとします。現在この部分でビジネスを展開していますが、メタバースの世界が広がってくると、もう少し「人間をアシストする」「人間と一緒に何かをする」という存在として活用してもらえるのではないかと考えています。

上にいくと現実世界、下にいくと仮想世界。左にいくと人間、右がロボット寄りになる
荒尾和宏氏(デジタルヒューマン株式会社)

ドリアンクール・レミ氏(以下、レミ氏)が代表取締役社長を務めるジェンビッド・テクノロジーズ・ジャパン(Genvid Technologies Japan)はスクウェア・エニックスのShinra Technologiesのコアメンバーが集結し創業した会社です。従来のゲームと放送メディアの間に新しいタイプのメディアを開拓しようとしています。この「マッシブリー・インタラクティブ・ライブ・イベント」はクラウドをベースにしたプラットフォームで、ライブ配信コンテンツに対して大勢の視聴者が同時に介入できるというものです。クラウド上で描画し動画としてストリーミングすることで、同時視聴者が10万人であろうが100万人であろうが必要となるGPUの数は変わらないと言います。コアゲーマーに限らない、より広いマーケットにアピールできるものとしています。

ドリアンクール・レミ氏(株式会社ジェンビッド・テクノロジーズ・ジャパン)
新たなプラットフォームとして「マッシブリー・インタラクティブ・ライブ・イベント」を開発提供する

働き方・暮らしが変わる中、エンターテインメントは?

モデレーターの下田純也氏(日本マイクロソフト)

まず、コロナ禍における生活様式の変化とエンターテイメントというところから議論に入りました。たとえばよく指摘されていることですが、リモートで仕事となるとどうしてもラフな雑談は発生しません。プライベートなコミュニケーションもやはりリモートではなかなか取りにくいという問題があります。ただ、そういう指摘はあるものの、オフラインを前提とした活動がオンラインへと場を移したこと、そこでコミュニティ化していった流れが共通認識としてあります。その上で、エンターテインメントビジネス全般の話として、ゲーム業界が売上を伸ばしたこと、また動画のストリーミングサービスへの移行を早めたことをレミ氏は指摘します。

レミ氏の話を受け、今までゲームに触れてこなかった人たちが触れてくるとなるとこれまでの「その中に没入している人」だけではない楽しみ方が必要になってきたということではないかと佐々木氏は言います。たとえばSnapchat、YouTube、Instagramなどのショートコンテンツに慣れている人にとって、そこまで入り込まなくても楽しめるコンテンツが必要になってくるというように、新たな人々が増えてくることによって、もっと多様な種類であったり、場に合わせた提供の仕方であったり、エンターテインメントの世界はもっと広がっていくのではないかと期待をかけます。

一方レミ氏は、モバイルやクラウドの進化で、誰でもどこからでも接続できるようになって、ゲームの世界も変わってきていると言います。たとえば、地下鉄のわずか何駅かの間だけでもフォートナイトにつなぐというように、ほんの5分でも楽しめるゲームセッションが求められるようになってきています。それは、没入感を求めるコアゲーマーとは異なるモチベーション(たとえば、友達と楽しく過ごしたい、など)です。つまり、近年のSNSの消費と同じような方法でゲームが消費されるようになっているわけで、より細かなゲーム体験を提供する必要があるということになります。

特にレミ氏が重要だと考えているのはプラットフォームをいかに設計するか、という点です。没入型で2時間遊びたいユーザーと5分間だけ軽く遊びたいユーザーでは、求める体験や遊び方が異なります。このとき、多様なモチベーションで集まってくるユーザーそれぞれをどう楽しませるか、そしてゲームというひとつの統一した場をどう成立させるのか、そこには何かパラダイムシフトが必要となってきます。

そのひとつの要素になり得るだろうとされているのがUGC(User Generated Content)の活用です。プロフェッショナルが作ったコンテンツ(PGC:Professional Generated Content)だけではなく、ユーザーが作ったコンテンツをどう使っていくのか、が重要になってくるのではないかと下田氏は言います。これにはレミ氏も佐々木氏も同意で、次のように自社における取り組みを述べました。

レミ氏:やはり、世の中の色々な人が集まってくるので、UGCはますます重要な存在になっていくと思います。近未来のメタバースとか弊社でもやっているようなコミュニティ向け体験の場合は想像力とか自己表現に対して自然な空間であるべきだと思っています。弊社の場合も色々実験をしています。たとえば、自分のアバターをデザインして、ストーリーの中に登場させて筋書きに影響を与える仕組みであったり、自分のアバターをメインストーリーに登場させるような機会の導入などを試みています。このような仕組みをもっと洗練していきたいと考えています。

サービスでもエンタテインメントでも、自分の希望や需要に合わせてくれるようなシステム設計が当たり前のようになる、そのとき、先ほどのUGCは必要なバリエーションを経済的に作り出すための仕組みとして欠かせない存在になっていくとレミ氏は考えているのです。

【関連記事】『Rival Peak』の大成功とMILEコンテンツの新たな展開

SNS初期にLINEに投入され、広く認知されてきた「女子高生りんな」は、UGCとの付き合い方をどう考えているのでしょうか。佐々木氏は次のように述べます。

佐々木氏:「りんなちゃん」も生まれた当初は女子高生という設定でした。これは、色々な方たちに受け入れていただきやすいようなキャラクターということで作っていきました。最初はPGCというところで作っていったのですが、ただ、これからはやはりUGCの時代だと思っています。私たちの会社では人とAIの共創世界を目指しています。そこで、世界の多様な人々に対し、その一人ひとりの価値観に寄り添ったAIキャラクターを生み出したいわけですが、私たち1社だけでそれができるかと言うとそれは難しい。10か国以上のメンバーで構成されていますが、それでもやはりカバーできない部分がたくさんあると思います。このとき、ユーザーがそれぞれ自分にぴったりのキャラクターを作っていくことで、まさに私たちの実現したい共創世界ができると考えています。

エンターテイメント分野におけるAIキャラクターとは

では、エンターテイメント分野におけるAIキャラクターはどういう存在になっていくのでしょうか。

佐々木氏はAIキャラクターの役割として次の3つのパターンを考えています。ひとつが、仮想空間、メタバースというところで、自分と一緒に色々なワールドを旅してくれる「パートナー/相棒」です。次に「ワールドの中で働く人」です。実世界でもそうですが、がらんとした空間で楽しむのはなかなか容易ではありませんから、おしゃべりをしながらショッピングできるような施設であったり、何かアクティビティや施設を整備することになります。すると、そうしたショップを運営する企業と自分とを繋いでくれるキャラクターが必要になります。そこにAIキャラクターを活用できるのではないかということです。

3つ目が「住人」です。ワールドの中で楽しそうに会話をしているキャラクターがいれば「街らしさ」を演出してくれるはずです。たとえば仮想空間に遊びに行ったときにポツンと自分だけいるのでは、別に何も楽しくありません。ある種、熱気があるからこそ楽しいわけで、その熱気というものを実ユーザーで埋められないのであれば、NPCなどを配置して盛り上げていくということが必要なのではないかと佐々木氏は言います。

NPCがワールド内でユーザーが覚える熱気や興奮、安らぎの演出に一役買っている

では、そのような役割をになったAIキャラクターが人間の身近な存在となったとき、そのAIキャラクターをどう表現すればいいかも課題となります。ここで、AIキャラクター単体としての作り込みに関してデジタルヒューマンの荒尾氏が取り組んでいることを紹介してくれました。

荒尾氏:デジタルヒューマンという存在はAIの顔という存在なので、見かけに対して非常にこだわっています。動きをAIで生成しているのですが、やはりアニメーションでは、ループさせるというか、同じような表情、同じような動きをしてしまうときがあります。ですが、できるだけそうはしないようにしています。あえて何か外しを入れる、視線を外してみたり、ちょっとした動きに変化を加えてみるとか、していますね。特に私がこだわってるのは呼吸や視線の動きです。最近、SNSにアップする写真に関して「気をつけてね」とよく言われると思いますが、瞳に映っているものから被写体のいる場所がどこか場所が特定できるということがあります。私たちは会話するとき、何気なくですが、やはり相手の瞳に自分自身が映っていると感じています。そこで、デジタルヒューマンではWebカメラを使って、相手、その話者を瞳に映すようなことをして会話をします。

デジタルヒューマンでは基本的にはリアル系のキャラクターをサービスとして提供している。プリセットから服装や髪型、目などを編集したり、オリジナルでアニメーションキャラクターを作ったり、Unreal Engineのメタヒューマンで作ったキャラクターのインポートも可能だ

リアルを求める一方で必ず言われるのが「不気味の谷」問題です。不気味の谷とは「リアルを求めれば求めるほど人間に近づいていくが、あるところをピークに嫌悪感に変わる」という内容の東京工業大学教授・森政弘(当時)のエッセイのタイトルです。1970年代頃に書かれたもので、その後、不気味の谷現象、不気味の谷理論として広く知られるようになりました。

図式で示した不気味の谷

しかし、荒尾氏は、いまはもうディスプレイの中のCGキャラクターに気持ち悪さを感じない時代になっているのではないかと言います。ボット(NPC)だとわかっていれば、もはや不気味ではない、逆に最近ではあえて不気味さを出すためにぎこちなく暴れてみたり、などの表現がされるようになっているというのです。

要は、不気味の谷の本質は、(表現がリアルでもリアルでなくとも)自分が想像できる範囲を超える違和感があれば気持ち悪いと思う、想像の許容範囲と違和感の問題なのではないかということです。その意味で、外見や見た目だけの問題ではなく、バーバルなコミュニケーションの部分でも不気味の谷は発生すると指摘します。

たとえば、デジタルヒューマンのリアルなアバターがいつも同じことをリピートして話したり、まったく意図しない返事が返ってきたり、という違和感も「不気味な人」を作ってしまうのではないかということです。この点で、荒尾氏は会話システムをしっかり作っていかないといけないと考えていると言います。

荒尾氏:私たちデジタルヒューマンはAIの顔になります。あくまで、AIのチャットボットとか会話AIからアバターをコントロールしてもらう必要がありますが、より自然に、自律的に動かすようにしています。デジタルヒューマン側としては見かけの技術ではあるのですが、やはり今、コミュニケーションレベルを2から3に上げようとしています。

デジタルヒューマンプラットフォームの仕組み。裏側は対話AI、チャットボットに接続されている
デジタルヒューマンの目指すコミュニケーションレベル

これに対しレミ氏も、やはり見た目的にも技術的な問題を解決できて、今はどちらかというと不気味の谷を狙っているという流れもあるのではないかと言います。もうひとつレミ氏が指摘するのは、不気味の谷という言葉が登場した1970年代当時の世間一般の認識と今はもう時代が違うのではないかという点です。当時はあまりCGに慣れなくて気持ち悪いという感想が主でしたが、今はCGの描画が普通になってきていると。そういう意味では見た目の問題は大体解決できたのではないかと言います。そしてやはり、インタラクティブ性を求めていく中でもう見た目だけではなく、会話、挙動など総合的に見なければならないだろうとします。

では、バーバルコミュニケーションというところで、表現に至るまでのAIの思考のプロセスの設計はどのように考えられているのでしょうか。佐々木氏がrinnaの会話技術を次のように紹介してくれました。

佐々木氏:自由会話というとひとくくりで考えてしまうと思うのですが、技術的な要素に分解して考えてみると、たとえば3つのパターンで会話を分類することができます。まず1つ目が「タスク」です。たとえば「そこのおしぼりを取って」というのは命令的な会話です。2つ目が「”たわいのない”自由会話」、たとえば「そうだよね」「それっていいね」というような会話を盛り上げる相槌です。3つ目が「知識の共有・提案」です。たとえば、「近くに新しいドーナツ屋さんができたから、一緒にいってみよう」というのはAIが学習した知識をアウトプットとして提案するものです。これもひとつの技術です。このように、実は会話には色々な要素がふくまれています。りんなちゃんが生まれた当初は「”たわいのない”自由会話」を重視していましたが、今はこの3つを掛け合わせながら、より自然な日本語をコミュニケーションとして作っています。

会話の技術を構成することで自然な会話を実現する

さらに、そうした会話技術の組み合わせで多様な個性を実現できると考えており、いま開発を進めているのは行動原則を反映した会話生成だと言います。そのAIキャラクターの根本原則、行動原理をもとにした会話によって、よりキャラクターの個性を表現することができるというわけです。たとえば、アウトドア好きのAさんと同僚のBさんの会話で、Bさんに「明日、お天気がいいみたいね。何するの?」と聞かれたら、「ちょっとピクニックに行くわ」と返します。これがインドアなCさんなら「お天気がいいので、ベランダのお掃除でもするわ」と返すというように、そのAIキャラクターのバックグラウンド的なものを会話に埋め込むことによって多岐にわたる価値観を持つキャラクターができるのではないかと考えています。

会話技術の組み合わせで多様な個性を実現

最後に、仮想空間に力を与えるAIキャラクターの今後の進化について登壇者から一言ずつ締めの言葉がありました。

荒尾氏:やはりコミュニケーションの部分を上げていかないといけないと思っています。たとえば、一対一の会話はできるけれど、一対多数とか、多数対多数といったNPC同士の会話の中に人間が一人だけいるような環境も想定できます。そういうところで、目を動かすような技術や会話の技術をどんどん作っていきたいなと思っています。

レミ氏:荒尾さんと同じようにやはりコミュニケーションの部分で、まずAI的なアクターさんが必要だと思っています。適切に即興できるとか対話できるアクターですね。次に、AI同士でドラマチックなインタラクションが取れるような仕組みは欠かせないと思っています。その次はもう、やはり面白いドラマを作るためにはライターさん、ストーリーを書ける人、あるいはカメラマンとか、そういう職種をAI化することが重要になっていくのではないかと考えています。特にストーリー周りであればGPT-3というような技術を用いることができると思います。自分はTRPGのファンですが、近い未来にAIダンジョンマスターと遊んでみたいなと考えています。

佐々木氏:お二方がおっしゃったように、私たちもAI同士のインタラクションの部分に注力しています。会話と会話だけではなく、たとえばコミュニケーションのときの音声の波長はちょっと違うのですよね。そういう研究もしております。そうすると、私たちの会話のテキスト生成と音声の技術と、荒尾さんが開発されている目線をおきながら一対他に見せる技術と、レミさんのコンテンツ力を掛け合わせてという形で、マイクロソフトのプラットフォームを使わせていただきながら、みなさんとぜひ協力してやっていきたいなと思っています。

下田氏:今までのエンタテインメントから、次の、新しいエンターテイメントにいくために色々な要素があるというところがご理解いただけたのではないかと思います。新しいエンタテインメントを一緒に創造していけたらというふうに思っております。本日はありがとうございました。

Writer:大内孝子

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