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ホラー調画像や新種のポケモンも。テキスト画像生成AI活用の基本とアート作品を紹介

2022.3.24アート

ホラー調画像や新種のポケモンも。テキスト画像生成AI活用の基本とアート作品を紹介

2021年1月、OpenAIが「DALL-E」を発表した以降、テキストから画像を生成するAIの開発が盛んになり、現在では一般ユーザがこの種のAIをモバイルアプリとして利用できるようになりました。こうしたテキスト画像生成AIは時として「誰もがアーティストになれるアプリ」と称賛されますが、実際に優れた画像を生成するにはテクニックと知識が必要となります。本稿はテキスト画像生成AIを活用する際の基本テクニックを確認したうえで、そうしたテクニックを高度に利用したAI生成画像を紹介します。

基本は進化と修飾

AI生成NFTアートを特集した記事で紹介した企業であるNightCafeは、同社の公式ブログ記事でテキスト画像生成AIを活用するノウハウを解説しています。その記事によると、AIに画像を生成させる基本的テクニックのひとつに「進化」があります。このテクニックは、任意の生成された画像を入力画像に設定したうえで、その入力画像に対してテキストを与えるのです。例えば、以下の画像は「宇宙にいる薄気味悪い骸骨の宇宙飛行士(Scary skeleton astronaut in space)」というテキストから生成した画像に対して、最初のテキストを400回与えて進化させて出力した画像です。興味深いのは、出力された画像は与えたテキストの意味を含みながら、すぐには想像できないようなシュールなものになっているところです。

もうひとつの基本テクニックとして、「修飾」があります。修飾とは、画像のモチーフとなるテキストにモチーフを修飾するようなテキストを付加することです。例えば、以下の4枚の画像は、基本となる左上の「浜辺の犬」の画像と基本画像を修飾して生成された画像をまとめたものです。右上は「浜辺の犬 Thomas Kinkade(トーマス・キンケード:アメリカの画家)」、左下は「浜辺の犬 詳細な絵」、右下は「浜辺の犬 Unreal Engine」からそれぞれ生成されました。

以上の修飾画像事例からわかるように、3Dレンダリングエンジンを修飾語として与えるのは非常に有効なテクニックです。こうしたテクニックが効果的なのは、NightCafe提供のテキスト画像生成AIに組み込まれているAIモデルCLIPが、3Dレンダリングエンジンが生成した画像とエンジン名の結びつきを学習しているからです。対して「未来的」「神秘的」「夢」というような単語は、生成画像をあまり変化させないようです。こうした単語は抽象的すぎて、CLIPが画像との結びつきを学習していないため、画像に変化があまり起こらないと考えられます。

参考記事:AIが生成するNFTアートビジネスの最前線

出力をイメージしてテキストを選ぶ

NightCafeの公式ブログでは、同社のテキスト画像生成AIを活用して優れた画像を生成したアーティストにインタビューした記事も公開されています。そうした記事で紹介されたLuis Ruiz氏は、自身の創作活動に関するヒントを語っています(以下にRuiz氏制作の画像を引用)。

クトゥルフ神話を彷彿とさせるホラー調の画像を制作するRuiz氏は、生成する画像をイメージしながら画像に与えるテキストを変えています。例えばホラー調の画像でも現実的な光景の画風にしたい場合は、一般的な辞書と(クトゥルフ神話から派生した書物である)ネクロノミコンから引用した言葉を組み合わせて与える、とのこと。フィギュアの原型師として著名な韮沢靖、『富江』シリーズが有名なホラー漫画家の伊藤潤二も同氏のお気に入りのキーワードです。SF調の画像を生成する場合は、夕焼け、核爆発、銀河のポータルなどをテキストとして与えます。

Ruiz氏が画像を制作する時は、テキストを与えて変化させる出発点となる画像を用意しています。そうした画像は画像提供サービスから得たものだったり、iPhoneで自ら撮影したものだったりします。ベースとなる画像から完成画像を生成する際には、前述した進化と修飾の基本テクニックしか使っていません。

基本テクニックしか使っていないのにRuiz氏が傑出した画像を制作できるのは、同氏の経歴が関係しています。幼少期から少年期にかけてDCコミックやヘビーメタルマガジンに親しんでいた同氏は、コンピュータアニメーションについて本格的に学んだ後、17年以上フリーランスのマルチメディアアーティストとして活動していました。テキスト画像生成AIに出会う前から、同氏には優れた画像を見分ける審美眼と画像制作の経験があったのです。こうした同氏がテキスト画像生成AIと出会うことによって、同氏のビジュアルセンスとアートに関する知識が増幅されたわけなのです。

テキスト画像生成AIを自作する事例も

テキスト画像生成AI自体を開発して、画像を生成する事例もあります。BuzzFeed所属のデータサイエンティストであるMax Woolf氏は、新種のポケモンの画像を生成するAIモデルを開発しました。

同氏がGitHubに公開したポケモン生成AIモデル「ai-generated-pokemon-rudalle」は、DALL-Eにインスパイアされて開発されたruDALL-Eを訓練して開発されました。訓練にあたってはすべてのポケモンに関するデータベースにアクセスできるPokeAPIを使って、ポケモンについての学習データを用意しました。こうして開発されたポケモン生成AIモデルに「くさ・どくタイプ」というテキストを与えると、現実のゲームには存在しませんが「くさ・どく」タイプのポケモンとしてありそうなキャラクター画像が生成されます。

ちなみに、Woolf氏は以上のポケモン生成AIと同じ開発手法を使って、ゲームの『原神』に登場しそうなキャラクターを生成するAIモデルも開発しています(以下のツイート参照)。

テキスト画像生成AIの登場によって、いわゆる「絵心」がない人でも画像を制作できるチャンスを得らえるようになりました。しかし、優れた画像を制作するには、Luis Ruiz氏のようにビジュアルセンスやアートに関する知識が不可欠となります。テキスト画像生成AI自体を開発するには、さらにエンジニアリングのスキルが求められます。このようにテキスト画像生成AIを使ったからと言って、誰でもアーティストになれるわけではありません。AIによってアートをはじめとしてさまざまな分野で参入障壁が低くなっていますが、その分野のエキスパートになるには研鑽を積むことが必要なのではないでしょうか。

Writer:吉本幸記、Image by Luis Ruiz

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