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AIが生成するNFTアートビジネスの最前線

2021.11.29ゲーム

AIが生成するNFTアートビジネスの最前線

複製が容易なデジタルコンテンツの唯一性をブロックチェーン技術によって保証して、物理的なアート作品のように取引するNFTアートが活況を呈しています。NFTアート作品は通常は人間によって制作されますが、AIを使って簡単に作って流通させるビジネスが台頭しつつあります。この記事では、こうしたAI生成NFTアートビジネスの概要と事例を紹介します。

AI×NFTビジネスモデルの3類型

暗号通貨ニュースメディア『coindeck JAPAN』は10月27日、暗号資産向け市場情報プラットフォームIntoTheBlockのヘスース・ロドリゲスCEOが執筆したコラム記事を公開しました。この記事で同CEOは、黎明期にあるAIとNFTが重複するビジネスドメインについて解説しました。同CEOによると、AI×NFTドメインでは以下のような3つのビジネスモデルが創出される可能性があります。

  1. AIが生成するNFT:AIによって生成したデジタルコンテンツをNFTとして取引する。生成できるものは画像、音楽、言語作品など現在AIが生成できるものすべてが該当する。
  2. AIを組み込んだNFT:NFTアート作品にAI機能を組み込んだもの。具体的には会話能力を備えたチャットボットや、環境とインテリジェントが相互作用するインタラクティブコンテンツ等が考えられる。1点物のバーチャルキャラクターもふくまれるだろう。
  3. AI駆動型NFTプラットフォーム:AI機能を実装したNFTを取引するプラットフォーム。実装する機能にはレコメンデーション機能、NFT制作者とNFT購入希望者のマッチング機能などが考えられる。

以上のうちAIが生成するNFTに関しては、すでに多数のスタートアップがビジネスを展開しています。以下では、そうした企業を提供するコンテンツのカテゴリーごとにまとめて紹介します。

テキストから画像アート作品を生成するサービスも

AI生成NFTアートのなかでは、画像を生成して取引するビジネスがもっとも典型的です。京都大学出身者を中核メンバーとして創業された株式会社XNOVAは、AIによって生成した画像アート作品をクラウドファンディングに出品するビジネスを展開しています。同社がクラウドファンディングサイト「READYFOR」で立ち上げたプロジェクトには、出資期限の2021年10月31日までに目標額550,000円をわずかに上回る550,500円の支援金が集まりました。出資者には出資額に合わせて、AIが生成したNFT画像、AI生成NFT画像を集めた画集、さらにはAI生成NFT画像をキャンバスに印刷した物理的な絵画などがリターンとして用意されました(以下の動画を参照)。

オーストラリアで2019年に創業されたNightCafe Creatorは、公式サイト上にNFTアート画像を生成するAIジェネレーター「NightCafeCreator」を公開しています。同ジェネレーターには任意の画像を変換して新たな画像を生成する「Style Transfer」モードと、任意のテキストから画像を生成する「Text to Image」モードがあります。1日に2回までは無料で画像を生成できますが、3回目以降はクレジットを購入して生成することになります。生成した画像はユーザに所有権があり、その画像をNFT化してNFTマーケットで取引できます。

「グラフィックデザインとメディア制作の簡素化」を標榜するHotpotも、テキストから画像を生成するAIジェネレーターを公開しています。同社の場合も画像を生成するにはクレジットを購入する必要があり、ユーザには生成した画像をNFTとして取引する権利があります。同社は、グラフィックデザイン制作業務に役立つAI機能も公開しています。そうした機能にはモノクロ画像をカラー化するもの、低解像度の画像を高解像度にするもの、背景を削除するもの等があります。これらのAI機能を使う場合にも、クレジットを購入する必要があります。

AIが生成したNFT楽曲も流通

AIによって生成された楽曲をNFTアートとして販売する事例もあります。韓国カルチャーを発信するメディア「Kstyle」は5月10日、韓国のアイドルグループ「少女時代」のメンバーであるテヨンの実妹ハヨンが歌うAI生成楽曲『idkwtd(I don’t know what to do)』の音源とミュージックビデオ、アートワークのパッケージがNFT商品として販売されたことを報じました。同商品が販売されたマーケットプレイス「snowDAQ」では、多数のK-POPの音源がNFTアートとして取引されています。

800万曲を使って訓練した楽曲生成AI「AI STUDIO」を提供するドイツのLoudlyは、4人のCGアーティストに同AIを提供してNFTアート作品を制作してもらう実験的プロジェクトを行いました。アーティストたちは自作のCG動画とAI生成楽曲を組み合わせてミュージックビデオを制作し、その動画を暗号通貨イーサリアムで取引するNFTマーケットプレイスであるFoundationに出品しました。出品された作品は、プロジェクトページから視聴できます。

楽曲生成AIを公開しているアメリカのMubertは10月21日、NFT楽曲集の販売を開始したことを発表しました。同社はNFT楽曲をアーティストがリスナーに楽曲を直接販売できる新しいメディアであるというアイデアにもとづいて、NFT楽曲の可能性を探求することを目的としたプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトのために同社の楽曲生成AIを活用した楽曲を募集して、採用された楽曲を制作したアーティストとコラボしてNFT楽曲集を作りました。この楽曲集は、NFTマーケットプレイスのRaribleに出品されています。

AI生成NFTアートをめぐるビジネスはまだ黎明期にあるものも、多くの人々にアート作品を制作するチャンスを与えることによって、流行するポテンシャルを秘めています。しかしながら、こうしたビジネスが実際に流行したとしても、「良いNFTアート」あるいは「売れるNFTアート」を制作できるアーティストは一握りでしょう。というのも、AIはアート作品を制作する才能をまったく無い人にそうした才能を与えるのではなく、アートの才能を増幅するものだからです。アート作品制作に関してもAIは人間を代替するのではなく、支援するものなのではないでしょうか。

Writer:吉本幸記、Photo by Jr Korpa on Unsplash 

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