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Web3.0を担うメタバースにおけるAIの役割とは?

2022.2.25先端技術

Web3.0を担うメタバースにおけるAIの役割とは?

2021年10月末に旧Facebookが社名をMetaに変更してメタバースの実現を標榜して以来、メタバースは一躍テック業界のバズワードとなりました。メタバースとセットで語られるワードにはNFTが挙げられますが、実のところ、NFTと同等かそれ以上にAIはメタバースの存立に大きく関わっています。本稿では、そんなメタバースの実現に不可欠なメタバースAIについて解説します。

2024年には約8,000億ドル市場に

メタバースAIを解説する前に、まずはメタバースの市場動向を確認する必要があるでしょう。ブルームバーグは2021年12月1日、メタバース市場に関するレポートを発表しました。そのレポートによると、2020年には4,787億ドル規模であったメタバース市場(もっとも当時はXR市場と呼ばれていた)は、年平均成長率13.1%で成長して2024年には7,833億ドルになると予想されています。

メタバース市場を構成するセグメントはゲームソフトウェア、ゲームハードウェア、ライブエンターテイメント、そしてソーシャルメディア広告となります。このなかでもっとも大きなシェアを占めるのは、ゲームソフトウェアです。また、ゲームソフトウェアとゲームハードウェアを合わせると2020年には2,749億ドル規模なのに対して、2024年には4,129億ドル規模に成長してメタバース市場の半分以上を占めることになります。こうしたメタバース市場におけるゲームの成長は、既存のオンラインゲームがメタバースゲームに進化することによってもたらされます。

メタバース市場を担う企業に目をむけると、人気バトロワゲーム『フォートナイト』を開発するEpic Games、『Minecraft』を擁するMicrosoft、そしてユーザ自作のゲームを共有できるRobloxがメタバースゲーム文化をけん引します。ハードウェアに関してはOculusブランドを展開するMetaが優位に立ち、ゲームエンジンを開発するUnityも重要なプレイヤーとなります。ライブエンターテイメントにおいてはLive Nationがメタバースライブを開催するようになります。

Web1.0へ原点回帰するメタバース

以上のように大きな成長が見込まれているメタバースにおいて、AIはどのような役割を果たすのでしょうか。NTTデータ・ヨーロッパ支部のデータ&インテリジェンス部門のリーダーを務めるDavid Pereira氏は2021年12月、こうした問いかけを考察した記事をMediumに投稿しました。同氏はメタバースとAIの関係を考察する準備として、メタバースの特徴をWebの進化という観点からとらえます。

Web技術の民間利用が始まった1990年代、テックに造詣の深いユーザが自主的にさまざまなコンテンツを立ち上げました。この時期のWebはいわばWeb1.0とでも呼べます。その後2000年代になってWebサービスが爆発的に普及して、そのサービスを介して不特定多数のユーザが交流する文化が誕生しました。こうした潮流はWeb2.0と呼ばれ、この時期の象徴的サービスとして現在まで続くFacebookやTwitterをはじめとするSNSがあります。Web2.0においては、さまざまなサービスが淘汰され最終的にいくつかのプラットフォーマーを土台とする中央集権的な体制が完成しました。

2020年代にはいって、Webは再び変革期を迎えようとしています。中央集権的なWeb2.0から、無数のコミュニティが緩くつながる分散的なサイバー空間の構築を指向する潮流が台頭してきたのです。こうしたトレンドがWeb3.0です。そして、Web3.0はメタバースの実現によって完成する、とPereira氏は考えています。同氏によれば、メタバースとは単にユーザが交流するだけではなく、ユーザが自発的に作ったコンテンツを相互交換できる民主的な空間なのです。ユーザの草の根的活動が重要になるという点において、メタバースはWeb1.0的な文化に原点回帰すると言えます。

メタバースAIの役割

Pereira氏はWeb3.0的なメタバースの実現には、AIが重要な役割を果たすと考察します。そうしたAIの役割として、以下の4つが挙げられます。

  • AIOpsによる管理自動化:メタバースには24時間365日稼働して、常時ユーザとのインタラクションを処理しながらシステム全体を更新することが求められます。こうしたニーズに応えるのがAIOpsです。AIOpsとはビックデータと機械学習を組み合わせて、ITシステムの運用を自動化するAI技術を意味します。AIOpsはメタバースの基盤技術となります。
  • スマートコントラクトの実現:メタバースにおいては、ユーザ間のNFTアイテムの相互交換が活発になると考えられます。こうしたCtoCの取引を安全かつ自動的に実行するためにも、AIの活用が期待されます。
  • コンテンツ制作支援:メタバースにおいてはユーザ自作コンテンツの流通が活発になりますが、そうした自作コンテンツの支援にもAIが活躍します。こうしたクリエイティブAIは、文章生成AIや画像生成AIにすでにその萌芽が見られます。
  • パーソナライズの強化:メタバースにおける体験は、画一的なものではなくユーザごとにパーソラナイズされることが望ましいです。メタバースゲームにおいては、プレイヤーごとのゲームの難易度調整やプレイスタイルに合わせた協力型NPCの制御がAIによって実行されるようになります。

以上のように、AIはさまざまなタスクを通じてメタバースを支える技術となるのです。そして、Pereira氏はメタバースAIを具体化しているサービスとしてNVIDIAが提供するOmniverseを挙げています。同サービス自体はメタバースコンテンツ開発環境ですが、AI音声技術やバーチャルヒューマン制作ツールなどメタバースに必要な多数のAI技術が搭載されています。

メタバースゲーム開発においても、以上のメタバースAIの活用は不可欠になると考えられます。そして、メタバースゲームが大規模になるほど、その維持管理にもAIによる自動化や支援が必要になります。それゆえメタバース市場が成長する過程で、AI技術の需要がますます増えることでしょう。

Writer:吉本幸記、Image by Shutterstock

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