モリカトロン株式会社運営「エンターテインメント×AI」の最新情報をお届けするサイトです。
- TAG LIST
- CGCGへの扉機械学習安藤幸央ディープラーニング月刊エンタメAIニュースGAN河合律子OpenAINVIDIA音楽吉本幸記ニューラルネットワーク三宅陽一郎強化学習GoogleQAグーグルDeepMindGPT-3Facebook自然言語処理人工知能学会大内孝子森川幸人敵対的生成ネットワークシナリオキャラクターAIスクウェア・エニックスモリカトロンAIラボインタビューマイクロソフトルールベースStable DiffusionAIと倫理アート映画デバッグNFTDALL-E2StyleGAN倫理ゲームプレイAI自動生成SIGGRAPHモリカトロンメタAIテキスト画像生成ロボット深層学習ファッションCEDEC2019プロシージャルVFXデジタルツイン遺伝的アルゴリズムテストプレイNPCDALL-ECLIP画像生成大規模言語モデルChatGPTビヘイビア・ツリーディープフェイクCEDEC2021CEDEC2020ゲームAIメタバース不完全情報ゲームVRナビゲーションAI画像生成AIボードゲーム畳み込みニューラルネットワークGDC 2021JSAI2022生成系AIAdobeGDC 2019マルチエージェントCEDEC2022著作権AIアート懐ゲーから辿るゲームAI技術史toioジェネレーティブAICNNMicrosoftNVIDIA OmniverseUnity小説アニメーション鴫原盛之HTN階層型タスクネットワークマンガ汎用人工知能JSAI2020GTC2023TensorFlowインタビューバーチャルヒューマンBERTMidjourneyイベントレポート対話型エージェントAmazonロボティクスMetaMinecraft水野勇太アバターOmniverse3DCGUbisoftGenvid TechnologiesガイスターStyleGAN2GTC2022教育ソニーJSAI2021スポーツ研究シムピープルMCS-AI動的連携モデルマーケティングGDC SummerLLMブロックチェーン作曲アストロノーカキャリアeスポーツスタンフォード大学サイバーエージェント音声認識eSportsDQNBLUE PROTOCOLシーマンStability AIメタAlphaZeroTransformerGPT-2rinnaAIりんなデジタルヒューマンカメラ環世界中島秀之PaLM哲学ベリサーブPlayable!理化学研究所SIGGRAPH ASIANetflix東京大学DARPAドローンシムシティImagenZorkバイアスモーションキャプチャーTEZUKA2020AI美空ひばり手塚治虫テキスト生成バンダイナムコ研究所スパーシャルAIElectronic Arts3DメタデータLEFT 4 DEAD通しプレイOpenAI Five本間翔太CMAudio2Faceピクサープラチナエッグイーサリアムボエダ・ゴティエビッグデータ中嶋謙互Amadeus Codeデータ分析Microsoft AzureMILE模倣学習ナラティブNVIDIA RivaアーケードゲームOmniverse ReplicatorWCCFレコメンドシステムNVIDIA DRIVE SimWORLD CLUB Champion FootballNVIDIA Isaac Simセガ柏田知大軍事田邊雅彦トレーディングカードトレカメディアアートGPTPyTorch眞鍋和子バンダイナムコスタジオaibo合成音声齊藤陽介マインクラフトお知らせMagic Leap Oneチャットボットサルでもわかる人工知能VAEDreamFusionリップシンキングUbisoft La Forge自動運転車ワークショップ知識表現ウォッチドッグス レギオンIGDA秋期GTC2022市場分析どうぶつしょうぎEpic Gamesジェイ・コウガミ音楽ストリーミングMITAIロボ「迷キュー」に挑戦AWS野々下裕子徳井直生マシンラーニング5GMuZeroRival Peakpixivクラウド対話エンジン斎藤由多加リトル・コンピュータ・ピープルCodexコンピューティショナル・フォトグラフィーゴブレット・ゴブラーズ絵画ARMicrosoft Designerイラストシミュレーション完全情報ゲーム坂本洋典釜屋憲彦ウェイポイントパス検索対談藤澤仁生物学GTC 2022画像認識GPT-3.5SiemensStyleCLIPDeNA長谷洋平masumi toyota宮路洋一OpenSeaGDC 2022Gen-1TextWorldEarth-2BingMagenta音楽生成AISFELYZA Pencil松尾豊GTC2021CycleGANテンセントデータマイニングNetHackはこだて未来大学Bardキャラクターモーションフェイクニュース現代アートエージェントRPGSIGGRAPH 2022レベルデザインAIボイスアクターNVIDIA CanvasGPUALife人工生命オルタナティヴ・マシンサウンドスケープLaMDATRPGAI DungeonプロンプトASBS栗原聡ぱいどんアドベンチャーゲーム不気味の谷ナビゲーションメッシュ松井俊浩ELYZAフルコトELYZA DIGEST建築音声合成NeRF西成活裕Apex LegendsELIZA群衆マネジメントライブポートレイトNinjaコンピュータRPGライブビジネスWonder Studioアップルタウン物語新型コロナ土木KELDIC周済涛BIMメロディ言語清田陽司インフラゲームTENTUPLAYサイバネティックスMARVEL Future FightAstro人工知能史Amazon BedrockタイムラプスEgo4DAI哲学マップイーロン・マスクバスキア星新一X.AI日経イノベーション・ラボStyleGAN-XLX Corp.敵対的強化学習StyleGAN3Twitter階層型強化学習GOSU Data LabGANimatorXホールディングスWANNGOSU Voice AssistantVoLux-GANMagi竹内将SenpAI.GGProjected GANStable Diffusion XLMobalyticsSelf-Distilled StyleGANSDXL馬淵浩希CygamesニューラルレンダリングRTFKT岡島学AWS SagemakerPLATONIKE映像セリア・ホデント形態素解析frame.ioClone XUXAWS LambdaFoodly村上隆誤字検出森山和道認知科学中川友紀子Digital MarkゲームデザインSentencePieceアールティSnapchatLUMINOUS ENGINEクリエイターコミュニティLuminous ProductionsBlenderBot 3バーチャルペットパターン・ランゲージ竹村也哉Meta AINVIDIA NeMo Serviceちょまどマーク・ザッカーバーグヴァネッサ・ローザGOAPWACULVanessa A RosaAdobe MAX 2021陶芸自動翻訳Play.ht音声AIAIライティングLiDAROmniverse AvatarAIのべりすとPolycamFPSQuillBotdeforumマルコフ決定過程NVIDIA MegatronCopysmith動画生成AINVIDIA MerlinJasperハーベストNVIDIA MetropolisForGamesパラメータ設計テニスゲームマーケットバランス調整岡野翔太協調フィルタリング郡山喜彦人狼知能テキサス大学ジェフリー・ヒントンGoogle I/O 2023AlphaDogfight TrialsAI Messenger VoicebotGoogle I/OエージェントシミュレーションOpenAI Codex武蔵野美術大学StarCraft IIHyperStyleMax CooperBingAIFuture of Life InstituteRendering with StyleIntelDisney類家利直FireflyLAIKADisneyリサーチヴィトゲンシュタインPhotoshopRotomationGauGAN論理哲学論考LightroomGauGAN2京都芸術大学Canvaドラゴンクエストライバルズ画像言語表現モデルChatGPT4不確定ゲームSIGGRAPH ASIA 2021PromptBaseBOOTHDota 2モンテカルロ木探索ディズニーリサーチpixivFANBOXMitsuba2バンダイナムコネクサス虎の穴ソーシャルゲームEmbeddingワイツマン科学研究所ユーザーレビューFantiaGTC2020CG衣装mimicとらのあなNVIDIA MAXINEVRファッションBaidu集英社淡路滋ビデオ会議ArtflowERNIE-ViLG少年ジャンプ+グリムノーツEponym古文書ComicCopilotゴティエ・ボエダ音声クローニング凸版印刷コミコパGautier Boeda階層的クラスタリングGopherAI-OCRゲームマスター画像判定Inowrld AIJuliusSIE鑑定ラベル付けMODTPRGOxia Palus大澤博隆Ghostwriterバーチャル・ヒューマン・エージェントtoio SDK for UnityArt RecognitionSFプロトタイピングSkyrimクーガー田中章愛実況パワフルサッカースカイリム石井敦銭起揚NHC 2021桃太郎電鉄RPGツクールMZ茂谷保伯池田利夫桃鉄ChatGPT_APIMZGDMC新刊案内パワサカダンジョンズ&ドラゴンズマーベル・シネマティック・ユニバースコナミデジタルエンタテインメントOracle RPG成沢理恵MITメディアラボMCU岩倉宏介深津貴之アベンジャーズPPOxVASynthマジック・リープDigital DomainMachine Learning Project CanvasLaser-NVMagendaMasquerade2.0国立情報学研究所TencentノンファンジブルトークンDDSPフェイシャルキャプチャー石川冬樹MERFサッカーモリカトロン開発者インタビュースパコンAlibaba里井大輝Kaggle宮本茂則スーパーコンピュータVQRFバスケットボール山田暉松岡 聡nvdiffrecAssassin’s Creed OriginsAI会話ジェネレーターTSUBAME 1.0NeRFMeshingSea of ThievesTSUBAME 2.0LERFGEMS COMPANYmonoAI technologyLSTMABCIマスタリングモリカトロンAIソリューション富岳TikTok初音ミクOculusコード生成AISociety 5.0リアム・ギャラガー転移学習テストAlphaCode夏の電脳甲子園グライムスBaldur's Gate 3Codeforces座談会BoomyCandy Crush Saga自己増強型AItext-to-imageジョン・レジェンドSIGGRAPH ASIA 2020COLMAPtext-to-3Dザ・ウィークエンドADOPNVIDIA GET3DドレイクデバッギングBigGANGANverse3DMaterialGANRNNグランツーリスモSPORTAI絵師ReBeLグランツーリスモ・ソフィーUGCGTソフィーPGCVolvoFIAグランツーリスモチャンピオンシップNovelAIRival PrakDGX A100NovelAI DiffusionVTuberユービーアイソフトWebcam VTuberモーションデータ星新一賞北尾まどかHALOポーズ推定将棋メタルギアソリッドVフォートナイトメッシュ生成FSMメルセデス・ベンツRobloxMagic Leapナップサック問題Live NationEpyllion汎用言語モデルWeb3.0マシュー・ボールAIOpsムーアの法則SpotifyスマートコントラクトReplica StudioamuseChitrakarQosmoAdobe MAX 2022巡回セールスマン問題Adobe MAXジョルダン曲線メディアAdobe Research政治Galacticaクラウドゲーミングがんばれ森川君2号和田洋一リアリティ番組映像解析Stadiaジョンソン裕子セキュリティMILEsNightCafe東芝デジタルソリューションズインタラクティブ・ストリーミングLuis RuizSATLYS 映像解析AIインタラクティブ・メディアポケモン3DスキャンPFN 3D Scanシーマン人工知能研究所東京工業大学Ludo博報堂Preferred NetworksラップPFN 4D ScanSIGGRAPH 2019ArtEmisZ世代DreamUpAIラッパーシステムDeviantArtWaifu DiffusionGROVERプラスリンクス ~キミと繋がる想い~元素法典FAIRSTCNovel AIチート検出Style Transfer ConversationOpen AIオンラインカジノRCPアップルRealFlowRinna Character PlatformiPhoneCALADeep FluidsSoul Machines柿沼太一MeInGameAmeliaELSIAIGraphブレイン・コンピュータ・インタフェースバーチャルキャラクターBCIGateboxアフォーダンスLearning from VideoANIMAKPaLM-SayCan予期知能逢妻ヒカリセコムGitHub Copilotユクスキュルバーチャル警備システムCode as Policiesカント損保ジャパンCaP上原利之ドラゴンクエストエージェントアーキテクチャアッパーグラウンドコリジョンチェックPAIROCTOPATH TRAVELER西木康智OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者山口情報芸術センター[YCAM]アルスエレクトロニカ2019品質保証YCAMStyleRigAutodeskアンラーニング・ランゲージ逆転オセロニアBentley Systemsカイル・マクドナルドワールドシミュレーターローレン・リー・マッカーシー奥村エルネスト純いただきストリートH100鎖国[Walled Garden]プロジェクト齋藤精一大森田不可止COBOLSIGGRAPH ASIA 2022高橋智隆DGX H100VToonifyロボユニザナックDGX SuperPODControlVAE泉幸典仁井谷正充クラウドコンピューティング変分オートエンコーダーロボコレ2019Instant NeRFフォトグラメトリartonomous回帰型ニューラルネットワークbitGANsDeepJoinぎゅわんぶらあ自己中心派Azure Machine LearningAzure OpenAI Service意思決定モデル脱出ゲームDeepLHybrid Reward Architectureコミュニティ管理DeepL WriteウロチョロスSuper PhoenixSNSProject Malmoオンラインゲーム気候変動Project PaidiaシンギュラリティProject Lookoutマックス・プランク気象研究所レイ・カーツワイルWatch Forビョルン・スティーブンスヴァーナー・ヴィンジ気象モデルRunway ResearchLEFT ALIVE気象シミュレーションMake-A-Video長谷川誠ジミ・ヘンドリックス環境問題PhenakiBaby Xカート・コバーンエコロジーDreamixロバート・ダウニー・Jr.エイミー・ワインハウスSDGsText-to-ImageモデルYouTubeダフト・パンクメモリスタ音声生成AIGlenn MarshallScenarioThe Age of A.I.Story2Hallucination音声変換LatitudeレコメンデーションJukeboxAIピカソVeap JapanAI素材.comEAPneoAISIFT福井千春DreamIconDCGAN医療mignMOBADANNCEメンタルケアstudiffuse人事ハーバード大学Edgar HandyAndreessen Horowitz研修デューク大学AIQVE ONEQA Tech Nightmynet.aiローグライクゲーム松木晋祐東京理科大学下田純也人工音声NeurIPS 2021産業技術総合研究所桑野範久リザバーコンピューティングプレイ動画ヒップホップ対話型AIモデル詩ソニーマーケティングControlNetサイレント映画もじぱnoteNBA環境音暗号通貨note AIアシスタントFUZZLEKetchupAlterationAI News粒子群最適化法Art Selfie進化差分法オープンワールドArt Transfer群知能下川大樹AIFAPet Portraitsウィル・ライト高津芳希P2EBlob Opera大石真史クリムトBEiTStyleGAN-NADA世界モデルDETRゲームエンジンDreamerV3SporeUnreal Engineクリティックネットワークデノイズ南カリフォルニア大学Unity for Industryアクターネットワーク画像処理DMLabSentropyGLIDEControl SuiteCPUDiscordAvatarCLIPAtari 100kSynthetic DataAtari 200MCALMYann LeCunプログラミングサム・アルトマン鈴木雅大ソースコード生成コンセプトアートGMAIシチズンデベロッパーSonanticColie WertzGitHubCohereリドリー・スコットウィザードリィMCN-AI連携モデルマジック:ザ・ギャザリング絵コンテUrzas.aiストーリーボード介護大阪大学西川善司並木幸介KikiBlenderサムライスピリッツ森寅嘉Zoetic AIゼビウスSIGGRAPH 2021ペットGPT-4ストリートファイター半導体Digital Dream LabsPaLM APITopaz Video Enhance AICozmoMakerSuiteDLSSタカラトミーSkeb山野辺一記NetEaseLOVOTDreambooth-Stable-Diffusion大里飛鳥DynamixyzMOFLINゲーム背景RomiGoogle EarthU-NetミクシィGEPPETTO AI13フェイズ構造ユニロボットStable Diffusion web UIADVユニボPoint-EXLandGatoアパレルAGIAI model手塚眞DEATH STRANDINGマルチモーダルAI ModelsEric Johnson汎用強化学習AIZMO.AIデザインMOBBY’SOculus Questコジマプロダクションロンドン芸術大学モビーディック生体情報デシマエンジンGoogle BrainダイビングインディーゲームSound Controlアウトドア写真高橋ミレイSYNTH SUPERAIスキャニング照明Maxim PeterKarl Sims自動採寸Joshua RomoffArtnome3DLOOKハイパースケープICONATESizer山崎陽斗深層強化学習ワコール立木創太松原仁スニーカー浜中雅俊UNSTREETミライ小町武田英明Newelseテスラ福井健策CheckGoodsGameGAN二次流通パックマンTesla BotNEDO中古市場Tesla AI DayWikipediaDupe Killerソサエティ5.0Sphere偽ブランドSIGGRAPH 2020バズグラフXaver 1000配信ニュースタンテキ養蜂東芝Beewiseソニー・ピクチャーズ アニメーションDIB-R倉田宜典フィンテック投資Fosters+Partners韻律射影MILIZEZaha Hadid Architects広告韻律転移三菱UFJ信託銀行
新刊『絵でわかる10才からのAI入門』から、いま子どもたちに伝えたいAIのこと:森川幸人×池田利夫インタビュー
森川幸人さんの新刊『絵でわかる10才からのAI入門』(ジャムハウス ときめき×サイエンスシリーズ)が2月3日に刊行されました。小学生向けに書かれたAIの入門書です。なぜいま、子ども向けのAI入門を書いたのか、その狙いを森川さん、そして編集担当のジャムハウス池田利夫さんにお話を伺いました。聞き手は大内孝子と高橋ミレイです。
子どもたちにAIへの入り口を
高橋ミレイ(以下、高橋):まず、企画の背景について教えていただければと思います。森川さんが子ども向けのAI入門書を書かれる書籍というのはどういう企画意図から、だったのでしょうか?
池田利夫(以下、池田):森川さんは大学の先輩でもありますし、ぜひ一度お仕事したいなと以前から思っていました。共通の知人から森川さんが子ども向けのワークショップをされていると伺って、森川さんに子ども向けにAIの本を書いてもらえるとおもしろいのではないかなと思ったのが発端です。弊社は児童書・教育書をメインで出している出版社で、子どもたちに理系的なところにもっと興味を持ってほしいなということで、「ときめき×サイエンスシリーズ」を出しています。その中で、森川さんの語り口やかわいいイラストを取り入れて、子どもたちにAIへの入り口を作ることができればと思いました。
森川幸人(以下、森川):2020年の11月だったと思いますが、個展をやっていたときに池田さんがいらして、小学生向けのAI入門書という話をいただいたということになります。以前、筑摩書房から『イラストで読むAI入門』を出しましたが、これは高校生向けでした。若い世代に向けて書く、対象読者がどんどん年下になっていくというのは自分の宿命なのかなと(笑)。ただ、小学生の子どもたちが大学生になったり、あるいは社会人になる頃にはきっとAIはもう普通のツールになっていると思います。彼らがAIについて偏見なく向き合えるようになるのは大切なことだろうなと思って、僕の知識が少しでも役に立てればと。でも、子ども向けというとあまり難しい漢字は使えないだろうなぐらいのつもりで始めたら、結構大変でしたね。
大内孝子(以下、大内):言葉が難しいですよね。一般的に使うものでも、これは子どもがわかる言葉なのか、どうか、とか。
森川:そうですね。小学生向けの言葉を使って説明しています。たとえば「共感」という概念にしても、大人向けに書くなら、他人に起こったことと自分に起こっていることの区別がつかなくなる、ある種、バグや誤作動なのだというふうに説明できますが、子どもにはそういう書き方はできないので。ふだん、AIを説明する際に普通に使っている用語がまったく使えないというのはね、結構大変でしたね。結局「学習」という言葉は使ったのですが、それも大丈夫だろうかとかいうレベルでした。「学習」を「学ぶ」「勉強する」にするとちょっと話が違ってしまうしな、と思いながら書きました。そうなると当然、「学習の収束」という言い方も使えないわけです。数式も一切、出していません。AIの本で数式を出さずに解説するのはかなり大変なのですが、そういう表現をあれこれ工夫しながら書くのは大変でしたが、おもしろかったですね。
池田:「機械学習」「ディープラーニング」といった名称はそのまま使って、前後で詳しく説明するというように噛み砕きながらという形でしたね。表記も、漢字は小学校3、4年生までに習う範囲で、入れた漢字に関しては全部ルビをふっています。
森川:総ルビの本は、自分の本の中で初めてですね。漢字を使わせてくれよと思ったのは初めてですよ(笑)。まあ、ちょっと変わった本になったかもしれませんね。

高橋:子ども向けの本ならではのご苦労があったのですね。次に本書の見どころを教えていただければと思います。
森川:今回はちょっと凝ったことをやっています。読者が選択していってストーリーを進めていく、読者の選択によって次に読むページが決まり、それに応じてストーリーの展開と結末が変わるゲームブックというものが昔あったのですが、それと同じような仕組みで、AIの強化学習をシミュレーションするという要素を本の中に入れてもらいました。
こちらの図のように、本文ページの下のスペースに「AI冒険学習マップ」をランダムに入れて、読者がどちらの方角に進むかを決めると、その方角に記されたページに移動します。たとえば「北に進む」なら12ページに進む、「南に進む」なら17ページに進むといった具合です。どちらに進むかは読んでいる人が決めて、最終的にゴールを目指します。ゴールに至る、至らないルートによってゲットできるポイントが異なるというものです。強化学習で言う「報酬」に相当します。要は、強化学習に独特の「行き当たりばったりを繰り返して知識を獲得していく」プロセスをマップの迷路を辿りながら体感してもらうわけです。AIの振る舞いは文章で書いてもなかなか伝わらなくて、かといってアプリ化するわけにもいかないし、AIの学習の仕方をどうにかうまく伝える方法はないかなと思って、こういうものを考えました。これは検証するのも大変で、僕も大変だったけど、池田さんも大変だったと思います。

いまの子どもにとってAIとは?
大内:「10才」とタイトルに付いていますが、具体的にこういう子どもにぜひ読んで欲しいみたいな、そういうイメージはされましたか?
森川:小学校低学年、3年生以下はちょっと難しいなと思って、4年生から6年生ぐらいかなと想定して書いていました。自分が小学生のときと、いまの小学生ではたぶん全然違うと思いますが。
池田:4年生というと10才、ちょうどメインのターゲットですね。私自身いま、聖徳大附属小学校のアフタースクールで小学生にプログラミングを教えています。メインで受け持っているのは3年生ですが、3年生でもできる子は何とかこの本が理解できるレベルなのではないかと思います。具体的に、誰々君はきっと楽しく読んでくれるだろうとか、すごく興味を持ってくれそうな子の顔が浮かんだりはしていましたね。
高橋:いまの子どもたちは、AIとかそういったものを身近に感じてはいるものなのでしょうか? ロボット掃除機が家にあったり、スマートスピーカーがあるご家庭は結構多いように思うのですが。
池田:そうですね。すでに身近にあるだけに、おそらくそれらをあまりAIとは意識していないのかなと思います。小学校でiPadが配られていて、みんな空き時間になるとSiriを立ち上げて質問したりしているのですよね。SiriがAIだとは思わずに。
森川:以前、中野の新渡戸文化学園で小学生にAIを教えるというワークショップをやったのですが、子どもは大人に比べてAIに対する偏見がまったくないですね。あのときはソニーの知育ロボット「toio」を使ってAIを体感してもらったのですが、便利な家電がひとつ増えたくらいの感覚でごくごく自然に受け入れてくれて、そこはちょっとびっくりしました。
資料を作っているときは、ちょっとわからない顔をされてしまうかなと心配したのですが、そんなの普通だよね、みたいな感じで。強化学習で事前に学習させたtoioと同じ問題(たとえば黄色赤青の順でゴールを目指す最短経路を見つけるなど)を解いてみようと知恵比べをしましたが、ロボットと一緒に問題を解くことに対してとまどったり抵抗を感じたりすることもなくやっていました。その辺はやはり、もう違う世代だなと思いました。気が付いたらもうすでにAIがとなりにあるという世代で、上の世代のように、AIに仕事を奪われるという危機感やビジネスにおけるチャンスだというような先入観がまったくない。今回、この本の話を受けた理由のひとつには、このとき感じた子どもたちへの期待もありました。
僕らの世代は人生の途中からインターネットが登場しましたが、生まれたときからインターネットがあった世代は「インターネットがある」という意識すらしないと思います。彼らにとってあって当たり前のインフラですから。それと同じように、いまの子どももAIという言葉を、物心がついた頃から聞いているだろうし、それが何か新しいものであるという感覚はないように見えました。
高橋:Scratch(スクラッチ)、VISCUIT(ビスケット)、Minecraft(マインクラフト)などのように、プログラミングを学習するためのさまざまアプリケーションやゲーム環境が出てきて、子どもたちが遊びの中でプログラミングを勉強する機会も増えてきていると思いますが、それは一般的にはどれくらい普及しているものなのでしょう?
池田:先ほど言ったアフタースクールではスクラッチを教えています。一般的には、というところで言うと、プログラミングを教える塾なども増えているので触れる機会は多いと思います。ただ、子どもたちに聞いてみると、まだ10人のうち2、3人くらいです。
大内:2020年度から小学校の授業でプログラミング教育を必修でやることになったという話もあったと思うのですが。
池田:授業でやることにはなったのですが、カリキュラムとして「プログラミング」という科目の授業があるわけではなくて、たとえば5年生の算数で「プログラムを使って正多角形を書く」という問題が出題されるということなのです。5年生の算数や6年生の理科の中に、そういう形で入っているくらいで、あとはもう現場の先生に任されています。やる気のある先生はもっと早い段階からいろいろなことをさせるし、やる気のない先生はもう最低限、教科書に載っていることしかやらないというように、非常に差が出ている状況ですね。
森川:先生がAIを教えるというのは、まだ先の話でしょうね。ジャムハウスのラインナップを見ると、サイエンス系だけでなくスクラッチの本があったり、いつかはAIの本をという流れなのは容易に想像がつくのですが、いまのタイミングだったという理由には何かあったのですか?
池田:プログラミングの先にAIがあるとして、プログラミングをやっていくモチベーションをどうやって持つかというところで言うと、教科書にあるような多角形を書くとか、それだけでは子どもたちは「プログラムってつまんないな」と思ってしまうと思います。論理的思考を身につけるというのが文科省の狙いであって、それは身につくのかもしれませんが、やはりそこに何らかのクリエイティブな要素がないと子どもたちにはつまらないのかなと思っています。
たとえばスクラッチでは論理的にブロックを作っていくわけですが、それによってゲームや便利なツールを作ることができます。そういう体験をすることで「プログラムっておもしろいな」となっていくのではないかなと思っていて、我々としては本であったり、ワークショップであったり、そういう形で子どもたちにおもしろい体験をする機会を作っていきたいという思いがあります。今回の本も、これをきっかけにAIというものを知ってもらう、興味を持ってもらうことができればと考えています。その結果としてプログラミングのほうにもっと進んでもらえるといいですし、そうでなくとも、子どもたちにとってAIが身近なツールとして感じられるようになれば、と思っています。
森川:そうですね。今までの本と違って、今回の本ではAIのアルゴリズムのことはほとんど書いていません。ご飯を食べるときも、テレビを見るときも、バスに乗るときも、これからはありとあらゆるところでAIが関わってきますよ、というように、世の中に浸透していくAIを紹介するというのが基本コンセプトになっています。みんなが大人になる頃にはもう当たり前の技術になるから、と。哲学的なこと、社会問題などにはあまりふれずに、AIが入ってくる未来の生活像を紹介をしたという感じです。
AIが溶け込んだ社会でAIとうまく付き合う
大内:本書を通して、AIとこういう付き合い方をして欲しいというような、森川さんのお考えがすごく伝わってくるように思いました。以前から森川さんは、AIを理解してどう使おうかと考える人が増えて欲しいというような話をされていたと思いますが、そういう森川さんの考える未来の社会、その延長線上にある本だなという感じがしました。
森川:個人的には、小学生に限らず、高校生、大学生、社会人にしても、よほどの専門職でない限り、もうAIのアルゴリズムについて詳しく理解する必要はないと思っています。いま、AI技術は非常に複雑になっていますし、専門家でも追いつくのは大変です。もうブラックボックスのままでいいというか。たとえば、車がどうやって動いているか、コンピューターの中がどうなっているか、インターネットのWorld Wide Web(WWW)がどういう仕組みになっているか、その原理も知らなくても、みんな使っていますよね。AIもそうなのだと思います。基本的な原理とか仕組みを普通の人が理解するにはもうちょっと遠い世界になっていて、むしろそれが何に使えるか、どういう使い方をすると楽しいのかというような使い道を考えるフェーズに来ているのだと思います。
そういうところにもっと興味を持って欲しいと思っています。エンジニアは装置を用意するだけであって、その装置の使い方はみんなで考えて欲しいと。それが非常にうまくいったのがWWWですよね。最初は大容量のデータを共有するためのネットワーク、欧州原子核研究機構(CERN)が巨大な加速器のデータをやり取りするために作った仕組みが、いまやありとあらゆる生活の場で利用されるインフラになっているわけです。AIもそうなるべき技術であって、生真面目にAIの仕組みを知るというよりはどう自分に役立てていくか、どういう使い道があるかという社会応用のところに注力してもらったほうがいいと思うところがあります。今回のAIの本も、子どもたちにそういう使い手としての知恵を働かせて欲しいなと思って書いています。
高橋:それこそ、いま10才の子どもが成人する頃には、当たり前のようにAIが生活の隅々に浸透していて街もスマートシティ化していそうです。
森川:東京大学の松原仁先生がよくおっしゃっているように、今回の本を読んでくれた子どもたちが大人になった頃にはもうAIという言葉は消えているかもしれません。昔、エアコンや炊飯器の中にマイコンが入ったと「マイコン搭載」が売り文句になったことがありましたが、いまやマイコンを積んでいない家電なんてあり得なくて、もういちいちマイコン搭載とは言わないですよね。それと同じように、いまはバズっているので「AIによるなになに」だとさかんに謳いますけど、しばらくしたらもう当たり前のことになって、普通の人はAIという言葉を使わなくなってしまうかもしれないですね。
大内:機能として形になって定着するとAIと言わなくなるという。それは本当にAIが社会に溶け込んだということになりますよね。最後に、この本をどういう人に読んでもらいたいか、一言ずつお願いします。
森川:小学校でも高学年になってくると、理科系の科目が得意な子、文化系の科目が得意な子と出てくる、そういう世代だと思います。僕としてはむしろ文化系、漫画とか小説を読んだり、映画を見たり、ゲームが好きな子にも偏見なく読んで欲しいですね。理科系志向の子どもたちはたぶん言わなくてもAIに興味を持ってくれていると思うので。
池田:まず、親子で読んで欲しいというのはありますね。ワークショップをしても、やはり親御さんのほうがちょっとわからないなという感じがあって、逆に子どもはもう素直に楽しんでいます。AIに対する気持ちもそうだと思うので、お父さん、お母さんの苦手をなくすというのもひとつ、この本の効果として期待しているところです。あと、うちはプログラミングの本もいろいろ出していますが、いつも思うのはこの本を読んだ子どもたちが将来すごい科学者やすごいプログラマーになって、実は子どもの頃に読んだこの本がきっかけなんですよと言ってもらえたら嬉しいなと、いつもそう思いますね。
『絵でわかる10才からのAI入門』書誌情報とご購入はこちらから
いまや私たちの生活に深く関わっていて、切り離しては考えられないAI(人工知能)。車や電子レンジ、エアコン、そしてゲームなど、私たちをとりまくさまざまなものの中でAIは働いています。そんなAIを、長年AI研究の第一人者として多方面で活躍している著者が、子どもたちに向けてイラストをまじえつつ、わかりやすく解説した一冊です。
AIの学習方法について、ゲームのようにおもしろ楽しく体験できる「宝箱へのルートを探せ!」を用意。ページをまたいで地図をたどりながら宝箱へのルートを探っていくことで、AIの「強化学習」の過程を体験することができます。
聞き手:大内孝子、高橋ミレイ、構成:大内孝子