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新刊『絵でわかる10才からのAI入門』から、いま子どもたちに伝えたいAIのこと:森川幸人×池田利夫インタビュー

2022.2.03サイエンス

新刊『絵でわかる10才からのAI入門』から、いま子どもたちに伝えたいAIのこと:森川幸人×池田利夫インタビュー

森川幸人さんの新刊『絵でわかる10才からのAI入門』(ジャムハウス ときめき×サイエンスシリーズ)が2月3日に刊行されました。小学生向けに書かれたAIの入門書です。なぜいま、子ども向けのAI入門を書いたのか、その狙いを森川さん、そして編集担当のジャムハウス池田利夫さんにお話を伺いました。聞き手は大内孝子と高橋ミレイです。

子どもたちにAIへの入り口を

高橋ミレイ(以下、高橋):まず、企画の背景について教えていただければと思います。森川さんが子ども向けのAI入門書を書かれる書籍というのはどういう企画意図から、だったのでしょうか?

池田利夫(以下、池田):森川さんは大学の先輩でもありますし、ぜひ一度お仕事したいなと以前から思っていました。共通の知人から森川さんが子ども向けのワークショップをされていると伺って、森川さんに子ども向けにAIの本を書いてもらえるとおもしろいのではないかなと思ったのが発端です。弊社は児童書・教育書をメインで出している出版社で、子どもたちに理系的なところにもっと興味を持ってほしいなということで、「ときめき×サイエンスシリーズ」を出しています。その中で、森川さんの語り口やかわいいイラストを取り入れて、子どもたちにAIへの入り口を作ることができればと思いました。

森川幸人(以下、森川):2020年の11月だったと思いますが、個展をやっていたときに池田さんがいらして、小学生向けのAI入門書という話をいただいたということになります。以前、筑摩書房から『イラストで読むAI入門』を出しましたが、これは高校生向けでした。若い世代に向けて書く、対象読者がどんどん年下になっていくというのは自分の宿命なのかなと(笑)。ただ、小学生の子どもたちが大学生になったり、あるいは社会人になる頃にはきっとAIはもう普通のツールになっていると思います。彼らがAIについて偏見なく向き合えるようになるのは大切なことだろうなと思って、僕の知識が少しでも役に立てればと。でも、子ども向けというとあまり難しい漢字は使えないだろうなぐらいのつもりで始めたら、結構大変でしたね。

大内孝子(以下、大内):言葉が難しいですよね。一般的に使うものでも、これは子どもがわかる言葉なのか、どうか、とか。

森川:そうですね。小学生向けの言葉を使って説明しています。たとえば「共感」という概念にしても、大人向けに書くなら、他人に起こったことと自分に起こっていることの区別がつかなくなる、ある種、バグや誤作動なのだというふうに説明できますが、子どもにはそういう書き方はできないので。ふだん、AIを説明する際に普通に使っている用語がまったく使えないというのはね、結構大変でしたね。結局「学習」という言葉は使ったのですが、それも大丈夫だろうかとかいうレベルでした。「学習」を「学ぶ」「勉強する」にするとちょっと話が違ってしまうしな、と思いながら書きました。そうなると当然、「学習の収束」という言い方も使えないわけです。数式も一切、出していません。AIの本で数式を出さずに解説するのはかなり大変なのですが、そういう表現をあれこれ工夫しながら書くのは大変でしたが、おもしろかったですね。

池田:「機械学習」「ディープラーニング」といった名称はそのまま使って、前後で詳しく説明するというように噛み砕きながらという形でしたね。表記も、漢字は小学校3、4年生までに習う範囲で、入れた漢字に関しては全部ルビをふっています。

森川:総ルビの本は、自分の本の中で初めてですね。漢字を使わせてくれよと思ったのは初めてですよ(笑)。まあ、ちょっと変わった本になったかもしれませんね。

こちらのページでは平易な言葉とルビで子ども向けにスマートシティについて解説

高橋:子ども向けの本ならではのご苦労があったのですね。次に本書の見どころを教えていただければと思います。

森川:今回はちょっと凝ったことをやっています。読者が選択していってストーリーを進めていく、読者の選択によって次に読むページが決まり、それに応じてストーリーの展開と結末が変わるゲームブックというものが昔あったのですが、それと同じような仕組みで、AIの強化学習をシミュレーションするという要素を本の中に入れてもらいました。

こちらの図のように、本文ページの下のスペースに「AI冒険学習マップ」をランダムに入れて、読者がどちらの方角に進むかを決めると、その方角に記されたページに移動します。たとえば「北に進む」なら12ページに進む、「南に進む」なら17ページに進むといった具合です。どちらに進むかは読んでいる人が決めて、最終的にゴールを目指します。ゴールに至る、至らないルートによってゲットできるポイントが異なるというものです。強化学習で言う「報酬」に相当します。要は、強化学習に独特の「行き当たりばったりを繰り返して知識を獲得していく」プロセスをマップの迷路を辿りながら体感してもらうわけです。AIの振る舞いは文章で書いてもなかなか伝わらなくて、かといってアプリ化するわけにもいかないし、AIの学習の仕方をどうにかうまく伝える方法はないかなと思って、こういうものを考えました。これは検証するのも大変で、僕も大変だったけど、池田さんも大変だったと思います。

ゲームブック風の仕掛けで強化学習の仕組みをシミュレートする「AI冒険学習マップ」

いまの子どもにとってAIとは?

大内:「10才」とタイトルに付いていますが、具体的にこういう子どもにぜひ読んで欲しいみたいな、そういうイメージはされましたか?

森川:小学校低学年、3年生以下はちょっと難しいなと思って、4年生から6年生ぐらいかなと想定して書いていました。自分が小学生のときと、いまの小学生ではたぶん全然違うと思いますが。

池田:4年生というと10才、ちょうどメインのターゲットですね。私自身いま、聖徳大附属小学校のアフタースクールで小学生にプログラミングを教えています。メインで受け持っているのは3年生ですが、3年生でもできる子は何とかこの本が理解できるレベルなのではないかと思います。具体的に、誰々君はきっと楽しく読んでくれるだろうとか、すごく興味を持ってくれそうな子の顔が浮かんだりはしていましたね。

高橋:いまの子どもたちは、AIとかそういったものを身近に感じてはいるものなのでしょうか? ロボット掃除機が家にあったり、スマートスピーカーがあるご家庭は結構多いように思うのですが。

池田:そうですね。すでに身近にあるだけに、おそらくそれらをあまりAIとは意識していないのかなと思います。小学校でiPadが配られていて、みんな空き時間になるとSiriを立ち上げて質問したりしているのですよね。SiriがAIだとは思わずに。

森川:以前、中野の新渡戸文化学園で小学生にAIを教えるというワークショップをやったのですが、子どもは大人に比べてAIに対する偏見がまったくないですね。あのときはソニーの知育ロボット「toio」を使ってAIを体感してもらったのですが、便利な家電がひとつ増えたくらいの感覚でごくごく自然に受け入れてくれて、そこはちょっとびっくりしました。

関連記事:小学生向けAIワークショップでモリカトロンが伝えた機械の心

資料を作っているときは、ちょっとわからない顔をされてしまうかなと心配したのですが、そんなの普通だよね、みたいな感じで。強化学習で事前に学習させたtoioと同じ問題(たとえば黄色赤青の順でゴールを目指す最短経路を見つけるなど)を解いてみようと知恵比べをしましたが、ロボットと一緒に問題を解くことに対してとまどったり抵抗を感じたりすることもなくやっていました。その辺はやはり、もう違う世代だなと思いました。気が付いたらもうすでにAIがとなりにあるという世代で、上の世代のように、AIに仕事を奪われるという危機感やビジネスにおけるチャンスだというような先入観がまったくない。今回、この本の話を受けた理由のひとつには、このとき感じた子どもたちへの期待もありました。

僕らの世代は人生の途中からインターネットが登場しましたが、生まれたときからインターネットがあった世代は「インターネットがある」という意識すらしないと思います。彼らにとってあって当たり前のインフラですから。それと同じように、いまの子どももAIという言葉を、物心がついた頃から聞いているだろうし、それが何か新しいものであるという感覚はないように見えました。

高橋:Scratch(スクラッチ)、VISCUIT(ビスケット)、Minecraft(マインクラフト)などのように、プログラミングを学習するためのさまざまアプリケーションやゲーム環境が出てきて、子どもたちが遊びの中でプログラミングを勉強する機会も増えてきていると思いますが、それは一般的にはどれくらい普及しているものなのでしょう?

池田:先ほど言ったアフタースクールではスクラッチを教えています。一般的には、というところで言うと、プログラミングを教える塾なども増えているので触れる機会は多いと思います。ただ、子どもたちに聞いてみると、まだ10人のうち2、3人くらいです。

大内:2020年度から小学校の授業でプログラミング教育を必修でやることになったという話もあったと思うのですが。

池田:授業でやることにはなったのですが、カリキュラムとして「プログラミング」という科目の授業があるわけではなくて、たとえば5年生の算数で「プログラムを使って正多角形を書く」という問題が出題されるということなのです。5年生の算数や6年生の理科の中に、そういう形で入っているくらいで、あとはもう現場の先生に任されています。やる気のある先生はもっと早い段階からいろいろなことをさせるし、やる気のない先生はもう最低限、教科書に載っていることしかやらないというように、非常に差が出ている状況ですね。

森川:先生がAIを教えるというのは、まだ先の話でしょうね。ジャムハウスのラインナップを見ると、サイエンス系だけでなくスクラッチの本があったり、いつかはAIの本をという流れなのは容易に想像がつくのですが、いまのタイミングだったという理由には何かあったのですか?

池田:プログラミングの先にAIがあるとして、プログラミングをやっていくモチベーションをどうやって持つかというところで言うと、教科書にあるような多角形を書くとか、それだけでは子どもたちは「プログラムってつまんないな」と思ってしまうと思います。論理的思考を身につけるというのが文科省の狙いであって、それは身につくのかもしれませんが、やはりそこに何らかのクリエイティブな要素がないと子どもたちにはつまらないのかなと思っています。

たとえばスクラッチでは論理的にブロックを作っていくわけですが、それによってゲームや便利なツールを作ることができます。そういう体験をすることで「プログラムっておもしろいな」となっていくのではないかなと思っていて、我々としては本であったり、ワークショップであったり、そういう形で子どもたちにおもしろい体験をする機会を作っていきたいという思いがあります。今回の本も、これをきっかけにAIというものを知ってもらう、興味を持ってもらうことができればと考えています。その結果としてプログラミングのほうにもっと進んでもらえるといいですし、そうでなくとも、子どもたちにとってAIが身近なツールとして感じられるようになれば、と思っています。

森川:そうですね。今までの本と違って、今回の本ではAIのアルゴリズムのことはほとんど書いていません。ご飯を食べるときも、テレビを見るときも、バスに乗るときも、これからはありとあらゆるところでAIが関わってきますよ、というように、世の中に浸透していくAIを紹介するというのが基本コンセプトになっています。みんなが大人になる頃にはもう当たり前の技術になるから、と。哲学的なこと、社会問題などにはあまりふれずに、AIが入ってくる未来の生活像を紹介をしたという感じです。

AIが溶け込んだ社会でAIとうまく付き合う

大内:本書を通して、AIとこういう付き合い方をして欲しいというような、森川さんのお考えがすごく伝わってくるように思いました。以前から森川さんは、AIを理解してどう使おうかと考える人が増えて欲しいというような話をされていたと思いますが、そういう森川さんの考える未来の社会、その延長線上にある本だなという感じがしました。

森川:個人的には、小学生に限らず、高校生、大学生、社会人にしても、よほどの専門職でない限り、もうAIのアルゴリズムについて詳しく理解する必要はないと思っています。いま、AI技術は非常に複雑になっていますし、専門家でも追いつくのは大変です。もうブラックボックスのままでいいというか。たとえば、車がどうやって動いているか、コンピューターの中がどうなっているか、インターネットのWorld Wide Web(WWW)がどういう仕組みになっているか、その原理も知らなくても、みんな使っていますよね。AIもそうなのだと思います。基本的な原理とか仕組みを普通の人が理解するにはもうちょっと遠い世界になっていて、むしろそれが何に使えるか、どういう使い方をすると楽しいのかというような使い道を考えるフェーズに来ているのだと思います。

そういうところにもっと興味を持って欲しいと思っています。エンジニアは装置を用意するだけであって、その装置の使い方はみんなで考えて欲しいと。それが非常にうまくいったのがWWWですよね。最初は大容量のデータを共有するためのネットワーク、欧州原子核研究機構(CERN)が巨大な加速器のデータをやり取りするために作った仕組みが、いまやありとあらゆる生活の場で利用されるインフラになっているわけです。AIもそうなるべき技術であって、生真面目にAIの仕組みを知るというよりはどう自分に役立てていくか、どういう使い道があるかという社会応用のところに注力してもらったほうがいいと思うところがあります。今回のAIの本も、子どもたちにそういう使い手としての知恵を働かせて欲しいなと思って書いています。

高橋:それこそ、いま10才の子どもが成人する頃には、当たり前のようにAIが生活の隅々に浸透していて街もスマートシティ化していそうです。

森川:東京大学の松原仁先生がよくおっしゃっているように、今回の本を読んでくれた子どもたちが大人になった頃にはもうAIという言葉は消えているかもしれません。昔、エアコンや炊飯器の中にマイコンが入ったと「マイコン搭載」が売り文句になったことがありましたが、いまやマイコンを積んでいない家電なんてあり得なくて、もういちいちマイコン搭載とは言わないですよね。それと同じように、いまはバズっているので「AIによるなになに」だとさかんに謳いますけど、しばらくしたらもう当たり前のことになって、普通の人はAIという言葉を使わなくなってしまうかもしれないですね。

大内:機能として形になって定着するとAIと言わなくなるという。それは本当にAIが社会に溶け込んだということになりますよね。最後に、この本をどういう人に読んでもらいたいか、一言ずつお願いします。

森川:小学校でも高学年になってくると、理科系の科目が得意な子、文化系の科目が得意な子と出てくる、そういう世代だと思います。僕としてはむしろ文化系、漫画とか小説を読んだり、映画を見たり、ゲームが好きな子にも偏見なく読んで欲しいですね。理科系志向の子どもたちはたぶん言わなくてもAIに興味を持ってくれていると思うので。

池田:まず、親子で読んで欲しいというのはありますね。ワークショップをしても、やはり親御さんのほうがちょっとわからないなという感じがあって、逆に子どもはもう素直に楽しんでいます。AIに対する気持ちもそうだと思うので、お父さん、お母さんの苦手をなくすというのもひとつ、この本の効果として期待しているところです。あと、うちはプログラミングの本もいろいろ出していますが、いつも思うのはこの本を読んだ子どもたちが将来すごい科学者やすごいプログラマーになって、実は子どもの頃に読んだこの本がきっかけなんですよと言ってもらえたら嬉しいなと、いつもそう思いますね。

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いまや私たちの生活に深く関わっていて、切り離しては考えられないAI(人工知能)。車や電子レンジ、エアコン、そしてゲームなど、私たちをとりまくさまざまなものの中でAIは働いています。そんなAIを、長年AI研究の第一人者として多方面で活躍している著者が、子どもたちに向けてイラストをまじえつつ、わかりやすく解説した一冊です。

AIの学習方法について、ゲームのようにおもしろ楽しく体験できる「宝箱へのルートを探せ!」を用意。ページをまたいで地図をたどりながら宝箱へのルートを探っていくことで、AIの「強化学習」の過程を体験することができます。

聞き手:大内孝子、高橋ミレイ、構成:大内孝子

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