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プレイ動画から新規ステージを自動生成:月刊エンタメAIニュース vol.2

2020.2.26先端技術

プレイ動画から新規ステージを自動生成:月刊エンタメAIニュース vol.2

エンタメにおいてもAIは日進月歩で進歩しており、新しい研究成果や試みが次々と発表されています。こちらの連載では、過去1か月間に主に海外で公開された注目すべきゲームAIやエンタメAIに関連したニュース、論文などを紹介していきます。

ゲームはAIの知性を測る指標にならない?:月刊エンタメAIニュース vol.1

プレイ動画から新規ステージを生成するAI

TIME誌電子版が2020年2月10日に公開した記事では、アクションゲームのステージを自動生成するAIの研究が報じられています。カナダのアルバータ大学で機械学習について研究しているMatthew Guzdial助教授が研究しているAIは、YouTube等で公開されている任意のアクションゲームのプレイ動画から学習して、そのアクションゲームの新しいステージを生成することができます。このAIはまずプレイ動画からゲームのルールを推測した後、再度プレイ動画を見て推測したルールが正しいことを確認します。そして、ルールを習得したAIは、そのルールが機能する新規のゲームステージを自動生成するのです。

同助教授は、以上のようなAIをゲーム開発者の職を奪うために研究しているわけではないことを強調しています。むしろ、コーディングのような専門的な知識がなくてもゲームが開発できるようにして、ゲーム開発における参入障壁を低くすることが目的、と語っています。

同助教授は、ゲームステージ生成AIの他にもプレイヤーが簡単に新規ステージを生成できるAIツールの研究も進めています。このAIツールは、プレイヤーがステージの外観などに関する簡単な設定を行うと、その設定にしたがって新規のステージを生成する、というものです。簡単に言えば、プレイヤーの希望が反映されたModを気軽に作れるAIツールとなるでしょう。

以上のようなAI研究の成果は大作ゲームよりインディーズゲームの開発者がその恩恵を受けるだろう、とも同助教授は述べています。

論文:Procedural Content Generation via Machine Learning (PCGML)

NBAオールスターゲームのハイライト動画をAIで自動抽出

アメリカ大手メディアのCNBCが2020年2月11日に公開した記事では、アメリカのプロバスケットボールリーグであるNBAがオールスターゲームのハイライト動画をAIで制作している事例を紹介しています。ハイライト動画を制作するのは、イスラエルのAIスタートアップWSC Sportsです。同社のAIは、バスケットボールの試合動画から試合の展開において重要なシーンやSNSでファンにアピールできるようなシーンを自動抽出します。

同社のAIが導入される前は、1試合のハイライト動画を制作するのに1時間かかることもありました。AI導入後は、1,000を超えるハイライト動画を数分程度で制作できるようになりました。もっとも、制作したすべての動画を公開しているわけではありませんが、将来的にはファン一人ひとりの嗜好に合わせたハイライト動画を配信することを目標としています。

ちなみにWSC Sports社は、創業当時、スポーツ選手のスカウティングツールを開発・提供していました。そうした業務の名残は、社名に残っています(WSCは”World Scouting Center”の頭文字)。選手のパフォーマンスを適切に評価するための情報を集める技術が、試合動画から重要なシーンを抽出する技術に発展したのでした。

ホロコースト生存者の物語を語り継ぐ3DホログラムとAI

カナダの国営メディアCBCが2020年1月26日に公開した記事では、ホロコーストの記憶を3DホログラムとAI技術で保存しようとする取り組みが紹介されています。ユダヤ系アメリカ人であるスティーヴン・スピルバーグ監督は、ホロコーストが進むなかで起きたユダヤ人救出劇を描いた映画『シンドラーのリスト』を制作後、1994年にホロコーストの記憶を保存することを目的としたUSCショア―財団を設立しました。現在、同財団は最新テクノロジーを駆使してホロコーストの生存者の証言を鮮明に語り伝えることに取り組んでいます。

同財団が試みているのは、3DホログラムとAI技術を組み合わせてバーチャルなホロコーストの生存者とインタラクティブに対話できるデジタルコンテンツを開発することです。このコンテンツを開発にあたっては、まず生存者に何百もの質問に答えてもらう様子を26台のカメラで撮影します。そして、多方向から撮影した動画から3Dホログラムを生成します。生存者の回答は、自然言語処理を施してデータベース化します。こうした3Dホログラムと回答データベースが統合されて、3Dホログラム化された生存者に質問すると、その質問が音声認識されて適切な回答を返すデジタルコンテンツが出来上がるのです。

以上のようなデジタルコンテンツの開発に協力しているホロコーストの生存者でカナダ在住のMax Eisen氏は、「わたしたち生存者がこの世から去った時にも、ショア―財団を訪れる学生ひいては後の世代がホロコーストの体験を見聞きするのに必要な何らかの手段が残されるのです」と述べています。こうした同財団の試みは、口伝という最古のコミュニケーションを最新テクノロジーによって語り手の死後も可能にしようとしていると言えるでしょう。

ハイデラバードで開発されたフェイクニュース検知ツール

インドのテック系メディアEXPRESS COMPUTERは2020年1月27日、インド中南部の都市ハイデラバードにある国際情報技術研究所がフェイクニュースを検出するツールを発表したことを報じました。「Fake-O-Meter」と名づけられたツールの使い方は簡単で、チェックしたいニュースのタイトルやツイートをコピーして同ツールに渡すだけです。すると判定結果が色の違いによって表示されます。チェックしたニュースがフェイクである可能性が低い場合は緑色が表示され、反対にフェイクである可能性が高い場合は赤く表示されます。

同ツールは、フェイクニュースがまったくの嘘のみから構成されているわけではなく、しばしば真実を伝える過去のニュースを一部にふくんでいることに着目して開発されました。こうしたフェイクニュースの特徴を逆手にとって、同ツールはチェックするニュースに自然言語処理を実行したうえで真実を伝えている箇所を特定します。そして、特定された真実の箇所が占める割合に応じて、フェイクの度合いを算出するのです。

同ツールは、現時点ではテキストで構成されたニュースのみをチェック対象としています。しかし、最近では事実に反しているが事実を映しているように見える動画「ディープフェイク」の脅威が高まっています。それゆえ、ディープフェイク動画の真偽を判定できるツールの開発も必要となることでしょう。

Wreiter:吉本幸記/Photo by Caspar Camille Rubin on Unsplash

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