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AIがホワイトカラーから仕事を奪う時代:月刊エンタメAIニュース vol.21
エンタメにおいても人工知能は日進月歩で発展しており、新しい研究成果や試みが次々と発表されています。こちらの連載では、過去1か月間、主に海外で公開された注目すべきゲームAIやエンタメAIに関連したニュース、論文などを紹介していきます。
人型ロボットが肉体労働を代行する未来
この1か月は、8月19日にテスラ主催のイベント「Tesla AI Day」にて、CEOのイーロン・マスクが人型ロボット「Tesla Bot」の開発を発表したことが話題の中心でした。Tesla Botは身長5フィート8インチ(約173cm)、体重125ポンド(約56.7kg)と平均的な成人男性ほどのサイズで、歩行速度は時速5マイル(約8km)。45ポンド(約20.4kg)までの荷物を運べるということです。全身には合計40個のアクチュエータが搭載されており、顔面は各種情報を表示するディスプレイとして機能します。
出典:Tesla(Tesla Botのプレゼンテーションは2:05:14から)
2022年のプロトタイプ完成を目指すとのことで、人間に代わって危険を伴う作業や単純労働を担えるロボットにしたいということです。また、こうしたロボットの普及で人間が肉体労働から解放される未来を見据えて、イーロン・マスクは長期的なベーシックインカムの必要性にも言及しています。
自動車メーカーであるテスラがロボティクス分野に乗り出した背景には、これまで自律走行車の開発で培ってきたAI技術や通信技術の有用性があるといいます。たとえば、レーザー照射によって対象までの距離を測定するLiDARは視覚機能として、ニューラルネットワークによる画像認識やプランニングといった意思決定は思考機能として、人間を模したアンドロイドの実現に転用できる技術です。自律走行車が作れるなら、自律労働ロボットも作れると考えるのは自然な流れなのかもしれません。
とはいえ、今回の発表はあくまでもコンセプトモデルの披露に過ぎず、人型ロボットが人間を肉体労働から解放する未来の可能性は完全な未知数です。実際、すでに自動車や半導体の製造ライン、倉庫内における商品の収納や出荷、一部農業における作物管理や収穫作業にロボティクスが活用されていますが、そのほとんどは作業内容が高度に特化された非汎用型のロボットであり、人間の姿や能力からはほど遠い存在です。肉体労働の代行に限定するのであれば、汎用性と利便性が必ずしも一致するとは限りません。そういう意味で、人型を追い求める意義を再定義してくれるようなプロトタイプの完成が期待されます。
どんな文章も3行に要約してくれるAI
「Tesla Bot」の発表から1週間後の8月26日には、東京大学松尾研究室発のAIスタートアップである株式会社ELYZAが、生成型文章要約モデル「ELYZA DIGEST」を一般公開しました。日本語の大規模言語モデルを活用したもので、読み込んだテキストデータを3行にまとめてくれるというAI技術です。ニュース記事や小説のような校閲済みの文章だけでなく、議事録や対話文のような乱雑な文字列にも対応できます。また、テキスト入力以外でもURLを張り付けるだけで、該当ページ内の全テキストから要約文を作成できるということです。

特筆すべきは、「ELYZA DIGEST」が国内での成功例が極めて少ない生成型という点です。AIを活用した文章要約には、生成型のほかに抽出型、圧縮型、テンプレート型と4種類のアプローチがあります。文中から重要部分だけを抜き出したり、特定の単語を削除したり、テンプレートの一部を置き換えたりする他の手法と異なり、生成型は文字通り要約文を一から作ります。柔軟な出力が強みである一方、原文にない事実を生成してしまう可能性が懸念されてきました。検証の結果、「ELYZA DIGEST」は人間と同等の正確性を示したということです。
2018年以降、グーグルの大規模言語モデル「BERT」やOpenAIの「GPT-3」を筆頭に、自然言語処理分野では数々の技術的なブレイクスルーが起きています。日本国内では、ELYZAが2020年に独自の大規模データセットを活用した日本語特化AIエンジン「ELYZA Brain」を開発。今回の「ELYZA DIGEST」は、そうした研究を文章要約というタスクに特化させた成果物の1つというわけです。
今後は要約AIをより改善することで、医療におけるカルテ入力、弁護士業務における契約書類や判例の読解、コールセンターにおけるオペレーターの対話メモ作成、メディアにおける記事の原稿作成など、高度に言葉を扱うホワイトカラーとAIのさらなる共存を目指していきたいとしています。なお、「ELYZA DIGEST」はデモサイトにて無料で利用できます。
人間のライターはほとんど不要になる?
9月1日には、同じく文章要約サービスを提供する株式会社バズグラフが、ニュース記事に特化した文章要約AI「ニュースタンテキ」に、要約文章の文字数を指定できる機能を追加しました。Twitterをはじめとした文字数制限のあるサービスに沿った活用を想定して、要約された文章のボリュームを70文字から2,000文字の範囲に収められるようにしたということです。なお、「ニュースタンテキ」は文章の構成と意味のまとまりを優先して要約するため、指定文字数より多少増減する可能性はあるとのことです。
「ニュースタンテキ」は、ニュース記事のURLを入力するだけで、ニュース本文のテキストのみを自動で抽出して要約してくれるWEBサービスです。日本語特有の表現や文法の揺らぎを解析して、語句と語句のつながりを判断するアプローチが特徴です。要約文章のボリュームを圧縮率または文字数で指定できるだけでなく、文章中に含まれる語句を出現率順に上位10件までグラフで表示することも可能です。また、語句と語句のつながりはニューラルマップという構造図で可視化できる仕組みです。現在はベータ版につき、すべてのサービスを無料で利用できます。
2020年にOpenAIがGPT-3を世界に解き放って以降、自然言語処理におけるAI技術はめざましい躍進を続けています。ニューラルネットワークをとおしてインターネット上に存在するあらゆるテキストを学習したAIモデルは、いまやニュース記事の要約はもちろん、ポエムや歌詞、小説といったクリエイティブな文章までも生成できるレベルに到達しています。真っ先にAIに仕事を奪われるのは肉体労働者ではなく、コンピュータを使って働くホワイトカラーなのかもしれません。実際、OpenAIのCEOサム・アルトマンは、コンピュータの前で働く人々の単価は肉体労働者よりも急速に下落するだろうと、今年6月に発言しています。
この先20年ほどで、あらゆる職種におけるおよそ半分の労働力がAIに置き換えられると推定する報告もあります。これまで人間の専売特許だと考えられていた分野ほど、こうした変革の到来は早いのかもしれません。現時点でGPT-3によって執筆されたニュース記事のなかには、人間と同等か、それ以上の品質に仕上がっているものも確認されています。10年後には間違いなく、この記事も筆者に代わってAIが執筆していることでしょう。
Writer:Ritsuko Kawai / 河合律子、Image by Tesla