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人と一緒に働けるロボットで食品製造業界の人手不足解消を狙う:中川友紀子氏インタビュー

2022.8.22先端技術

人と一緒に働けるロボットで食品製造業界の人手不足解消を狙う:中川友紀子氏インタビュー

少子高齢化と生産年齢人口の減少により多くの現場で人手不足問題が起きています。多くの人手が用いられている食品製造分野もそのひとつです。特に人手が必要な工程が食材の盛り付けです。これに対しAIはどのように貢献できるのでしょうか。

バーチャルとリアルを融合させた開発を進めたい

森川幸人氏(以下、森川):今日はサービスロボットの開発・販売、企業への研修などを手がける株式会社アールティの中川友紀子氏にロボットの現状や課題についてお聞きしたいと思います。中川さんとは2013年に、あるトークイベントでご一緒したことがありますね。アールティさんは最近、食品製造現場でのロボット活用にもフォーカスされていて、お話を伺いたいと思っていました。まず始めにアールティさんの事業の概要から教えていただけますか。

中川友紀子氏(以下、中川):はい。私たちは「ロボットのいるくらしを実現する」を掲げて活動しています。アールティとはもともとは「ロボットテクノロジー(Robot Technology)」の略称で、ロボット、AIなどを手がけています。

株式会社アールティ

森川:ロゴのウサギには、どんな意味があるんですか?

中川:二つの意味を込めています。一つ目は、古今東西、ウサギには子沢山という意味がありますので、ロボットを作る人、使う人がたくさん増えてほしいという気持ちです。もう一つは「不思議の国のアリス」です。アリスをリードするウサギのようにAIとロボティクスに関する分野でリードできる存在になりたいという意味です。ですから我々は2005年の創業時から教育事業にも力を入れています。

森川:どんなものなのかご紹介ください。

中川:はい。最近は、デジタルツイン等も念頭に置き、Unityとロボットのコラボ教材で、ロボットのUI開発をUnityで行えるような教材なども開発して提供しています。特徴はリアルとバーチャルのシームレスな接続を重要視している点です。ここは担当者の鍬形に説明してもらいます。

Unityを活用したRaspberry Pi Mouseのデモ

鍬形篤史氏:こちらはUnityの画面です。中央にあるのがRaspberry Pi Mouse、つまり小型移動ロボットです。青い四角が迷路を模したフィールドで、カメラやLiDARなどのセンサーデータの結果が可視化されています。そして十字ボタンを操作するとロボットを操作できるという教材です。

ロボットはROSで動いていて、ROS(Robot Operating System。ロボット開発用のミドルウェア)とUnityが連携しています。この教材を通して、ユーザーはROSの中で動いている複雑な処理過程を知らなくてもUnity側でUIを作ることに注力できます。我々は移動ロボットでよく使うセンサーデータを一通り扱えるサンプルを作って公開しています。

小型移動ロボットRaspberry Pi Mouse

中川:デモは以上です。我々はロボットでゲームなどの世界とリアルの融合をやりたいと思っているんですね。今はAIというと機械学習ばかりが注目されていますが、これから先はバーチャルからリアルをどう掴むのかが重要になります。そのインターフェースはロボットや何らかのIoTツールになるでしょう。我々は物理世界にタッチするのはロボットだと考えています。デジタルツインに力を入れたいと考えてるUnityさんと興味が一致して、教材を作ろうとなったのがきっかけです。フィジカルコンピューティングやフィジカルAIのはしりにもなればいいなと思っています。

森川:対象は子どもたちですか?

中川:主な対象は高専や大学、企業の人たちです。会社の規模の問題もありますので子ども向けは展開できていないです。

森川:人材育成はロボットの世界でも急務なのでしょうか?

中川:そうですね。専門性が特化しているので、尖った技術を持っている人はいるんですが、ロボットは総合格闘技です。シミュレーション上ではなく現実で実際に動かすとなるとノイズが多くて難しいんですが「リアルはこわくないんだよ」と教えたいんです(笑)。

森川:ゲームAI業界も人材を育てるところからやらないといけないですね。自分たちもソニー「toio」のSDKを作ったりしています。「隣の芝は青い」と言いますが、ロボットは楽しそうですね。プログラムだけのAIではなく、「身体を持つ」ことにアタックできるところが羨ましいです。

中川:ありがとうございます(笑)。もともと私も「動かないカメラで見えるものは限界があるなあ」と考えたことから来てるので分かります。

関連記事:ロボットトイをスマホアプリで制御するための開発環境「toio SDK for Unity」

​​食品業界への取り組み

森川:食品ロボットの話も聞かせてください。いつ頃から始めたんですか?

中川:食品業界向けの人型協働ロボット「Foodly(フードリー)」は2018年に発表しました。我々は2017年に未来創生ファンドとみずほキャピタルのファンドから投資を受けて、第2創業として取り組み始めました。食品自体に携わるようになったのは、その少し前からですね。

森川:食品業界への参入を決めたのは、市場の可能性を見たからでしょうか?

中川:そうですね。もともとの事業は教育なので、車輪からマニピュレータまで基本的なところは押さえているのですが、今後、小さい会社が成長を目指すにあたって、どの分野に出るべきかは迷いました。議論をして、やはり製造業だけど、なかでも弱小企業が勝っていける分野はどこなのかと探し回りました。それで2016年くらいに、3品産業(化粧品、医薬品、食品産業)にロボットはなかなか導入されていないので、そこを狙おうと考えました。まずは、とある給食設備で盛り付けに取り組んだものの開発に時間がかかりすぎるということで苦心し、助成金も打ち切られてしまったのですが、やはり困っている分野だということで、食品に取り組み続けることにしました。

森川:なるほど。中川さんのすごいところはビジネスのビジョンも持ってらっしゃるところですね。うちも興味本位でいろんな技術に取り組んでいるんですけど、どこにターゲットにしてフォーカスを当てていくかは真面目に考えないといけないと思っています。

中川:でも、なかなかご理解頂けなかったですよ。各方面から「やれるものならやってみろ」くらいの感じでした。幸い、「どうしてもやってみたいなら手伝うよ」という会社がいらっしゃって、そういう方々の手助けを得てつくっていったのが「Foodly」です。

森川:早くから唐揚げをつまんで入れる作業をやられてましたね。唐揚げは不定形で一個一個の認識が難しいと聞きますが。

中川:食品は扱うのが難しいんです。自然由来なので一つずつ形が違うし、色合いは調理具合でも変わる。唐揚げも難しいんですが「やったらできるんじゃないの」と考えて取り組んだら、できました。今は他の会社もデモでよく唐揚げをやってますね。

森川:標準モデルになっている。ディープラーニングの登場は大きかったですか?

中川:そうですね。ただ、私はもともとファジィやニューロに取り組んでいたことがあるんです。その栄枯盛衰と同じなので、そんなに驚きはなかったです。「使ってみたらやれるね」という感じでした。

森川:唐揚げまでの距離はどうやって測ってるんですか?

中川:デプス(深度)カメラを使ってます。画像だけでやらなくちゃいけないという世界ではありませんので。

左から順に、人の目から見た唐揚げ、個々の境目が分からずにひとつの塊として見てしまう状態、唐揚げ一つひとつの境目を識別できる状態

森川:次はどの分野を狙ってるんですか?

中川:食の世界は奥が深いので特定の何かを狙っているわけではないのですが、個体識別で難しいのは卵焼きのサク(卵焼きの切る前の塊のこと)です。あれは切っても境目ががくっついてしまってカメラでも見えにくいんです。人間は実は見ていなくて、触って、切れるところを取っているんです。卵焼きはなかなか難敵ですよ。

森川:なるほど、そういう難しさがあるんですね。

中川:ロボットを作れば作るだけ「人間ってすごいな」と思いますね。今後については、(やるべきことがたくさんありすぎるので)むしろ何をやらないかのほうが大事かもしれません。

人と一緒に働くロボットは「怖がられないこと」が重要

人と並んで作業するFoodly

森川:「Foodly」は人と並んで働いていますね。最初からそういうビジョンだったんですか?

中川:最初からです。サービスロボットは人が触れるものであるべきだというのがこだわりです。もともと食品工場は人と人との間が近くて安全距離も取れません。ですからサービスロボットのアプローチでいくしかない。以前、給食設備向けを考えていたと言いましたが、その時は普通の単腕のロボットアームでした。それでも働いていた方からは「怖い」と言われました。

ロボットアーム NEKONOTE(ネコノテ)

森川:形が人間と違うから恐怖感を感じる?

中川:そうですね。スピードもそうだし、外見がごついと「怖い」という話になります。

森川:それはすごく大事な話ですね。

中川:他にも食材識別のためのカメラを上の方につけるとそこに埃が溜まって落ちてくると異物混入になってしまうとか、食品工場は少量多品種なので20分ごとに作るものが変わって段取り替えしないといけないんです。人間が並ぶ順序も人数も変わるので、ロボットも動かさないといけない。そうなると照明条件も一定にならず調整しなおしになってしまいます。

森川:よくそんな難しいことにチャレンジしましたね。自分だったらやめます(笑)。

中川:だから産業用ロボットの人たちも「食品は無理」と言っていたんですよ。ある時、お客さんが「両手つけて、ちょっとずらして押し込むとかできないの?」となって。それで形を作ってみたら人型になりました。人型を作ってみようと思って人型にしたわけではないんです。

森川:人と同じ環境で人が扱うものを使うのであれば同じ形にならざるをえないという話がありますが…。

中川:ええ、それを目の当たりにした感じです。他にも、人とぶつかっても柔らかく受け止められるようにしています。

森川:応用範囲は広いんですね。

中川:広いです。でも浮気はしません。食品でやっています。

森川:自分は老いぼれたらロボットに介護してもらいたいので、ぜひ寝たきりになる前に介護用のロボットを開発してもらいたいです。その時には家自体もIoT化しているでしょうから、はやくそういうのを作ってほしいです。

中川:介護施設はロボットを入れるのは難しいんです。事故の確率が高いから実験も難しい。また実証実験だと慣れてる人が扱います。ロボットが入れられていると介護される側の人も頑張っちゃうんですね。普段の姿が見られないし、思ったような開発にならなかったりする苦労もあります。

森川:今はでできるだけシミュレーションを活用しようという動きがありますが、食品や介護のロボットでも、そちらには進まないのでしょうか。

中川:一部はやってます。食品工場は衛生があるので気軽には入れないので、仮想空間で段取りを見ることはあります。

身体知AI=ロボットを選んだわけ

株式会社アールティ代表取締役 ​​中川友紀子氏

森川:中川さんがなぜ工学系に行ったのかにも興味があります。女性で工学系は少ないですよね。

中川:今は増えましたけど、我々の世代では確かに少なかったです。

森川:松原仁さん(東京大学AIセンター)はAIに関心を持ったのは『鉄腕アトム』がきっかけだったと仰ってますが、そういうものは何かありますか?

中川:私は『サイボーグ009』のギルモア博士ですね(笑)。博学な人が好きなので。

森川:AIよりもロボットだったのは身体性に注目したからですか?

中川:私はもともと迷路を解くマイクロマウスをやっていたんです。私はAIは形式知、暗黙知、身体知の3つだと思っています。身体知は誰もやってないから面白そうだということでロボットを選びました。

森川:自分で会社をつくった理由は?

中川:大学で細々と頑張るよりは起業したほうがいいと思いました。ちょうど愛知万博の頃だったので、いけるんじゃないかと思ったこともあります。若気の至りです(笑)。でも実際、企業で研究しているケースが増えていますね。

森川:ホンダのASIMOにはびっくりしました。企業がアカデミズムとは違うところから最先端のエポックメイキングなものを世に出すことができるのには何か背景があるんでしょうか。

中川:うちの場合はお客さんのニーズですね。食品業界は風評被害を嫌うのでステルスでやっていることが多く、ある時にパッと出すことが多いです。本当に秘密主義です。

森川:なるほど。秘密主義なのは、ゲーム業界もそうなんです。理由は異なりますが。

中川:中にはロボット導入をアピールすると「手作り風でお弁当を売ってるのに工場ではロボットで作っているとアピールするとは何事か」と怒られることもあるそうです(笑)。

森川:それはゲーム業界にもあります。AIを使うよりも人が汗水たらした思考のほうが偉いという風潮はあります。

中川:食品の生産に関することには色々な面でエモーショナルなところがありますね。

森川:うん。やっぱり社会と連動した仕事をしている方の話は面白いですね。こんなことをいうと大学の先生方から怒られるかもしれませんが(笑)。

中川:そうですか、よかったです(笑)。でも目先のものは企業が作るので、大学の先生方にはぜひ10年後、20年後にものになるような、今は海のものとも山のものともしれないような研究にチャレンジして頂くと面白いんじゃないかと思います。

まずは使ってもらって「心の垣根」を飛び越えてほしい

モリカトロンAIラボ所長 森川幸人氏

森川:最後に今後について伺いたいです。

中川:Foodlyの導入状況はまだ限られていて、実証実験的な取り組みもあります。数はそれなりに出てはいますが、まだ社員40名の我々が面倒見切れるくらいの台数です。使われ方はお客さん次第で、スポット的に使ってるところもあれば日常的に活用されているところもあります。なかには自分の子供のように可愛がってくれているところもあって、そういうところはうまく使ってくれますね。人手不足対策としてはこれから活用してもらえるのではないかと考えています。

森川:「結果的に人型になった」とのことでしたが、それによって馴染みやすくなったことはありますよね?

中川:そうですね。馴染みやすさは上がりました。また予測安全でも寄与しています。つまり「こういうふうに動く」と予想がつきやすいんです。実際に、必ず決まった動作をしてから動くようにすることで「これから動きますよ」ということが分かるようにしています。人の形なので可動範囲も分かりやすいです。安全面では非常に良い形かなと思っています。

Foodlyのアームの可動範囲は人の腕と同様に設計されている

森川:なるほど。横にどんな動きをするか分からないものがいたら怖いですもんね。格闘技とは逆ですね。格闘技は手を読まれないように予備動作をいかに減らすかが重要なんです。そういう知見は現場との対応のなかで得られてきたんですか?

中川:そうですね。私の方針でもありますがうちは「現場100回」なんです。現場のことを知るには、とにかく現場へ行くことが重要です。

森川:今後、さらに台数を増やそうとした時に超えるべき課題は?

中川:今は黎明期にあたるので何もないところからマーケットを作っていってます。誰もロボットと働いたことがないですし、まずは「心の垣根」を飛び超えるところが最初かなと思ってます。実際に入れたところも最初は不安いっぱいだったところが、実際に使ってもらうと「便利に使えるね」と言ってもらっているので、だから体験してもらうのが最初のハードルです。

森川:だんだん導入例が増えてくれば、使うのが当たり前になりそうですね。

中川:そうですね。そう思います。

中川友紀子|YUKIKO NAKAGAWA

1971年東京生まれ。1995年法政大学工学研究科システム工学専攻修了、同年東京工業大学総合理工学部知能システム工学専攻助手、1998年JST ERATO北野共生システムプロジェクト研究員、2001年JST日本科学未来館サブリーダーとしてロボットをメインにすべての展示企画、実験等を担当。2005年に株式会社アールティを創業。2015年にアメリカのシリコンバレーROBOHUBによって「ロボット業界で知るべき世界の女性25人」に選出。

Writer:森山和道

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