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SIGGRAPH 2022で採択されたNVIDIA関連論文ハイライト
GPUメーカー最大手のNVIDIAは、GPUが応用されるAIやCGに関して熱心に研究していることでも知られています。CG研究については、同社が執筆に関わった論文がCG技術に関する世界最大のカンファレンスSIGGRAPHに毎年採択されています。本稿では、SIGGRAPH 2022に採択された同社関連論文をまとめたブログ記事からAIに関わるものを3本紹介します。
動作を再利用して賢く学ぶ
NVIDIAの研究者がトロント大学とカリフォルニア大学バークレー校と共同で発表した論文は、CGキャラクターが複雑な動作を習得する革新的な方法が提案しています。人間がスポーツで実行するような複雑な動作を習得する場合、「歩く」「走る」といったような基本動作を応用しながら学習します。対して既存のCGキャラクターはすべての動作をまったくの白紙の状態から学習しているため、人間に比べて習得プロセスが非効率的です。同論文は、CGキャラクターに人間と同様な動作学習を実現する方法を提案しています。
提案された動作習得方法は、基本動作を学習する事前訓練と事前訓練の成果にもとづいて複雑な動作を学習するタスク訓練から構成されています。事前訓練では、基本動作に関する学習データを模倣することによって学習します。この学習成果は、「スキル埋め込み」という形式で保存されます。
タスク訓練では学習目標となるモーションが与えられると、そのモーションに近い動作になるように基本動作が合成されます。こうした処理のため、タスク訓練では学習データが不要となります。タスク訓練の具体例を挙げると、「持っているものを振り回す」という基本動作から「剣を振る」と「盾で殴打する」というタスクが生成されます。
以上のようなヒューマンライクな動作習得方法には、基本動作の学習時に不自然な動作になったり、不要な揺れがふくまれたりするといった課題もあります。しかしながら、理論的には計算能力を増強することによって人間より早く複雑な動作を習得できると考えられます。この新たな動作習得方法はゲームだけではなく、ロボット工学への応用も期待されています。
AI演算によりVRヘッドセットの小型化に成功
スタンフォード大学と共同して発表した論文では、VRヘッドセットを小型化・軽量化する技術が提案されています。従来のVRヘッドセットでは画像を表示するための接眼レンズとディスプレイパネルのあいだに距離が必要なため、厚みのあるデバイス設計しかできませんでした。提案された技術を使うと、VRヘッドセットの厚みを大幅に減らすと同時に軽量化も実現します。同技術の実証実験にために作られたデバイスは画像表示に必要な光学的機構の厚さは2.5ミリメートル、重量は60グラムでした。
VR画像に関する新技術は、画像を表示するために処理する光学的計算を最適化問題と定式化したうえでAIによって最適解を導くというものです。実証実験に使ったVRヘッドセットの部品には接眼レンズのほかに光を電気的に制御するSLM(Spatial Light Modulator[空間光変調器]の略称)が使われているのですが、これらの部品と瞳孔の直径から最適な光学的状態を計算するために瞳孔高次勾配降下アルゴリズムが考案されました。
論文では、VR画像表示に関して新技術と既存技術を比較した実験の結果をまとめています。以下は瞳孔の直径5ミリメートル、ディスプレイのピクセルピッチ(画素の直径)が3.2マイクロメートルという条件で新技術と既存技術を比較した画像です。新技術を使った画像は「PupilHOGD」と書かれた右側のものですが、既存技術による画像より鮮明なことがわかります。
もっとも新技術には、視野角が22.8度と既存のVRヘッドセットに比べて極めて小さいという欠点があります。この欠点は、設計思想を変えずに部品の改良だけで克服できるものと考えられています。例えば、2枚の接眼レンズを重ねる等の工夫で視野角を120度まで大きくできます。新技術を改良すれば、通常のメガネをかけるようにして使えるVRヘッドセットが実現するかも知れません。
画像のスタイル変換をテキスト入力で指定
イスラエルのテルアビブ大学と共同して発表した論文では、テキストから生成した画像のスタイル変換をテキスト指定できるAIモデル「StyleGAN-NADA」が提案されています。このモデルを使えば、例えば「写真を(ルネサンス期の巨匠である)ラファエロ風に」とテキスト入力すると、以下のようなラファエロの画風をしたさまざまなポートレートが生成されます。
StyleGAN-NADAのアーキテクチャには、スタイルをさまざまに変更して画像を出力するStyleGANと、OpenAIが開発した画像認識モデルCLIPが含まれています。StyleGAN-NADA に「犬を猫風に」と入力した場合、CLIPは犬と猫のそれぞれに関する画像埋め込みを生成します(以下の画像の上部)。そして、これらの画像埋め込みから犬から猫に変換する処理を生成します(以下の画像の黄色の破線矢印)。こうして生成された変換処理を使って猫風の犬を多数生成するのです。
論文にはStyleGAN-NADAと同モデルの開発に影響を与えたStyleCLIPの性能を比較した画像が掲載されています。以下の画像群の左側の列は入力画像、右側の列がStyleGAN-NADAの生成画像、中央の3列に配置された画像群はStyleCLIPのソースコードにさまざまな改良を加えたうえで生成されたものです。2行目の画像群は「犬を(アメコミキャラの)ジョーカー風に」と変換指定して出力されたものです。StyleGAN-NADAで生成したものが、もっともジョーカーの面影を感じる犬であることがわかるでしょう。
StyleGAN-NADAには、2つほど制限事項があります。1つ目の制限事項は、変換可能なスタイルはCLIPが認識できる画像にもとづいたものに限られます。2つ目の制限事項は、テキストでスタイルを入力するという仕様上、曖昧な表現で入力すると期待したものが得られない可能性があることです。例えば「ラファエロの絵のように」と入力した場合、その意味はラファエロの画風、ラファエロのポートレート、アメコミシリーズの『忍者タートルズ』に登場するラファエロのポートレートの3つに解釈可能です。
制限事項があるものもStyleGAN-NADAは、DALL-Eのような基本的なテキスト画像生成モデルを進化させたものだと言えます。こうした進化が継続すれば、テキスト画像生成モデルはさまざまなテキスト入力にもとづいて多様かつクリエイティブな画像を生成できるようになるでしょう。
以上に紹介した3本の論文は、SIGGRAPH 2022に採択されたNVIDIA関連論文のほんの一部に過ぎません。2022年8月8日から11日に開催される同カンファレンスには、紹介した3本の他にもAIとCGがクロスオーバーする論文が多数採択されているので、こうした論文をチェックしてみてはいかがでしょうか。
Writer:吉本幸記