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強化学習AIは人間に嫌われる?カードゲーム「花火」からわかった強化学習の弱点
近年、強化学習を使って人間と協力してゲームをプレイする協調型AIを開発する試みがさかんに行われています。こうしたなか、強化学習AIには人間と協調する上で弱点があることを示唆する論文が発表されました。以下ではその論文を要約することで、人間とAIの協調を成功させるには未知の要因が絡んでいる可能性があることを明らかにします。
協力プレイが重要な「花火」
テック系メディア「Tech Talks」は11月1日、MITリンカーン研究所の研究チームが発表した人間とAIの協力関係をテーマにした論文を紹介する記事を公開しました。
以上の論文のねらいは、カードゲーム「花火」のプレイを通して人間とAIの協力プレイを評価する、というものです。ベンチマークに使われた「花火」とは、2人から5人でプレイする協力型ゲームです。各プレイヤーには打ち上げ花火の図柄の一部を印刷したカードがランダムに配られます。プレイヤーたちは順番にカードを出して、打ち上げ花火の図柄を完成させると得点が入ります。
「花火」において最も特徴的なのは、各プレイヤーは自分の持っているカードの裏しか見えず、図柄は他のプレイヤーから見える点です。自分からは見えないカードの情報は、他のプレイヤーから聞ける図柄に関するヒントを通して知ることができます。こうしたルールにより「花火」で高得点を狙うにはカードを出すプレイヤーに対して、他のプレイヤーが有益なヒントを伝える必要があります。つまり「仲間が知らないことを的確に伝える」という協力プレイがゲーム攻略のカギとなるのです。
「花火」は独特な協力プレイが要請されることから協調型AI研究の格好のテーマとして注目され、2019年2月にはGoogleとDeepMindの混成研究チームが同ゲームの学習環境を発表しています。それゆえ、すでに多数の「花火」をプレイするAIエージェントが存在します。MITの研究チームは、開発技法の異なる「花火」プレイAIを人間とプレイさせて、開発技法によってAIと人間の協力関係に違いが生じるか検証しました。
予想とは逆の結果に
MIT研究チームの実験は、人間とAIの各チームが記録した「花火」の得点と、プレイ後に人間プレイヤーに回答してもらったアンケートの結果を比較して、AIの開発技法によって違いが生じるか検証するという手順で行われました。参加した人間プレイヤー29人には「花火」のプレイスキルを自己申告してもらって、スキルレベル1からレベル7のグループに分けました(レベル1が初心者)。比較するAIは、ルールベースAIと強化学習AIを選びました。プレイ後に実施するアンケートは、「うまくプレイできたか」「チームとしてうまくプレイできたか」といったゲームプレイを評価する質問群(以下の画像左側の「G1」から「G12」で列挙された質問)と、「どちらのAIとのプレイを好むか」「どちらのAIがより信頼できるか」といった協力プレイしたAIを評価する質問群(以下の画像右側の「E1」から「E8」で列挙された質問)を用意しました。
MIT研究チームは、ルールベースAIより強化学習AIのほうが人間に好まれると予想していました。ルールベースAIのプレイスキルはルールを定めた開発者のそれに依存するのに対して、強化学習AIのプレイスキルは学習量のみに依存するため人間が陥りやすい先入見を排除できるので、より優れたプレイヤーとなると考えられるからです。
実験した結果、ルールベースAIと強化学習AIは「花火」の得点において大差は認められませんでした。しかし、アンケート結果では予想を裏切る結果となりました。
ゲームプレイを評価する質問に関しては、「うまくプレイできたか」と質問に関してルールベースAIのほうが肯定的な回答が得られ、とくにプレイスキルの高い人間プレイヤーがルールベースAIを好みました。「AIエージェントと自分はうまくチームプレイできたか」という質問に対しても、同様の傾向が確認されました。
以下の画像が、アンケート結果をまとめたグラフです。図中の「OP」は強化学習AIの名称「Other-Play」の略称であり、「SB」はルールベースAIの名称「Smart-Bot」の略称です。各質問に対して「1」に近いほど「強く同意しない」を意味し、反対に「7」に近いほど「強く同意する」になります。プレイヤーのスキルレベルは寒色ほどハイスキルを表します(詳しくは画像右側の凡例を参照)。OPのアンケート結果をまとめたグラフは、否定的な回答が多いことを意味する左側に寄った分布となっています。SBのグラフは中央値が多い回答分布となっており、人間にあまり嫌われていないことが見て取れます。
AIを評価する質問に関しては、8問中7問の回答に関してルールベースAIが強化学習AIよりプレイヤーに好まれることが確認されました。これらの質問群に関しても、ハイスキルなプレイヤーほどルールベースAIを好むことがわかりました。以下の画像が、AIを評価するアンケートの結果をまとめたものです。回答が「1」に近いほど強化学習AIを好むことを意味し、「7」に近いほどルールベースAIを好むことを意味します。8つのグラフのうち7つでルールベースAIが好まれることを意味する右側に寄った回答分布が認められます。
強化学習AIが信頼されるには
以上のように当初の予想に反してルールベースAIが強化学習AIよりも好まれた理由として、MIT研究チームは強化学習AIが学習過程でいわゆる「定跡」を学習しないためではないか、と推測しています。強化学習AIは定跡を学ばないがゆえに、先入見にとらわれずにプレイできます。その一方で強化学習AIは定跡を無視してしまうため、定跡を知っているハイスキルな人間プレイヤーはそのプレイに違和感や疑念を覚え、その結果としてネガティブな印象を抱いてしまうと考えられます。
今回の実験結果は、協調型ゲームプレイAIの開発にあたって、ゲームスキルを向上させるだけでは人間プレイヤーの安心や信頼を得られるわけではないことを示唆しています。研究チームに参加したRoss Allen氏は「(実験結果は)どのような客観的指標が人間の主観的な好みと相関するのかという疑問を提起しています(中略)人間の協力者に受け入れられ評価されるAIエージェントを訓練したいのであれば、人間の好みの代用となる、あるいは人間の好みと強い相関関係を持つ、訓練可能な客観的関数を見つける必要があるでしょう」と述べて、人間に信頼されるAIを開発するには、ゲームスキルとは異なる未知のパラメータに関する学習が必要だと認めています。
人間に信頼されるAIの開発に必要な未知のパラメータは、人間どうしのコミュニケーションをテーマにした研究からヒントが得られるかも知れません。スキルが高い人間を集めても必ず成功するわけではない、ということは人間のビジネスマンなら十分心得ていることでしょう。信頼されるAIを開発するためには、信頼される人間を参考にするのが近道かも知れません。
Writer:吉本幸記、Photo by Jingda Chen on Unsplash