モリカトロン株式会社運営「エンターテインメント×AI」の最新情報をお届けするサイトです。

TAG LIST
CGCGへの扉機械学習安藤幸央ディープラーニング月刊エンタメAIニュースGAN河合律子OpenAI吉本幸記NVIDIA音楽ニューラルネットワーク三宅陽一郎強化学習GoogleQAグーグルGPT-3Facebook自然言語処理DeepMind人工知能学会大内孝子森川幸人敵対的生成ネットワークシナリオキャラクターAIスクウェア・エニックスモリカトロンAIラボインタビューマイクロソフトルールベースStable DiffusionAIと倫理アート映画デバッグNFTDALL-E2StyleGAN倫理ゲームプレイAI自動生成SIGGRAPHモリカトロンメタAIテキスト画像生成ロボット深層学習ファッションCEDEC2019プロシージャルVFXデジタルツイン遺伝的アルゴリズムテストプレイNPCDALL-E画像生成ChatGPTビヘイビア・ツリーディープフェイクCEDEC2021CEDEC2020ゲームAIメタバース不完全情報ゲームVRナビゲーションAI画像生成AIボードゲーム畳み込みニューラルネットワークCLIP大規模言語モデルGDC 2021JSAI2022AdobeGDC 2019マルチエージェントCEDEC2022AIアート懐ゲーから辿るゲームAI技術史toioジェネレーティブAICNN生成系AIMicrosoftNVIDIA OmniverseUnity著作権小説アニメーション鴫原盛之HTN階層型タスクネットワークマンガ汎用人工知能JSAI2020TensorFlowインタビューバーチャルヒューマンBERTMidjourneyイベントレポート対話型エージェントAmazonロボティクスMetaMinecraft水野勇太アバターOmniverseUbisoftGenvid TechnologiesガイスターStyleGAN2GTC2022教育ソニーJSAI2021スポーツ研究シムピープルMCS-AI動的連携モデルGTC2023マーケティングGDC SummerLLMブロックチェーンアストロノーカキャリアeスポーツスタンフォード大学サイバーエージェント音声認識eSportsDQNBLUE PROTOCOLシーマン3DCGStability AIメタAlphaZeroTransformerGPT-2rinnaAIりんなデジタルヒューマンカメラ環世界中島秀之PaLM哲学ベリサーブPlayable!理化学研究所SIGGRAPH ASIANetflix東京大学DARPAドローンシムシティImagenZorkバイアスモーションキャプチャーTEZUKA2020AI美空ひばり手塚治虫テキスト生成バンダイナムコ研究所スパーシャルAIElectronic Arts3DメタデータLEFT 4 DEAD通しプレイOpenAI Five本間翔太CMAudio2Faceピクサープラチナエッグイーサリアム作曲ボエダ・ゴティエビッグデータ中嶋謙互Amadeus Codeデータ分析Microsoft AzureMILE模倣学習ナラティブNVIDIA RivaアーケードゲームOmniverse ReplicatorWCCFレコメンドシステムNVIDIA DRIVE SimWORLD CLUB Champion FootballNVIDIA Isaac Simセガ柏田知大軍事田邊雅彦トレーディングカードトレカメディアアートGPTPyTorch眞鍋和子バンダイナムコスタジオaibo合成音声齊藤陽介マインクラフトお知らせMagic Leap Oneチャットボットサルでもわかる人工知能VAEDreamFusionリップシンキングUbisoft La Forge自動運転車ワークショップ知識表現ウォッチドッグス レギオンIGDA秋期GTC2022どうぶつしょうぎEpic Gamesジェイ・コウガミ音楽ストリーミングMITAIロボ「迷キュー」に挑戦AWS野々下裕子徳井直生マシンラーニング5GMuZeroRival Peakpixivクラウド対話エンジン斎藤由多加リトル・コンピュータ・ピープルCodexコンピューティショナル・フォトグラフィーゴブレット・ゴブラーズ絵画ARMicrosoft Designerイラストシミュレーション完全情報ゲーム坂本洋典釜屋憲彦ウェイポイントパス検索対談藤澤仁生物学GTC 2022画像認識GPT-3.5SiemensStyleCLIPDeNA長谷洋平masumi toyota宮路洋一OpenSeaGDC 2022Gen-1TextWorldEarth-2BingMagentaSFELYZA Pencil松尾豊GTC2021CycleGANデータマイニングNetHackはこだて未来大学Bardキャラクターモーションフェイクニュース現代アートエージェントRPGSIGGRAPH 2022レベルデザインAIボイスアクターNVIDIA CanvasGPUALife人工生命オルタナティヴ・マシンサウンドスケープLaMDATRPGAI DungeonプロンプトASBS栗原聡ぱいどんアドベンチャーゲーム不気味の谷ナビゲーションメッシュ松井俊浩ELYZAフルコトELYZA DIGEST建築音声合成西成活裕Apex LegendsELIZA群衆マネジメントライブポートレイトNinjaコンピュータRPGライブビジネスWonder Studioアップルタウン物語新型コロナ土木KELDIC周済涛BIMメロディ言語清田陽司インフラゲームTENTUPLAYサイバネティックスMARVEL Future FightAstro人工知能史Amazon BedrockタイムラプスEgo4DAI哲学マップイーロン・マスクバスキア星新一X.AI日経イノベーション・ラボStyleGAN-XLX Corp.敵対的強化学習StyleGAN3Twitter階層型強化学習GOSU Data LabGANimatorXホールディングスWANNGOSU Voice AssistantVoLux-GANMagi竹内将SenpAI.GGProjected GANStable Diffusion XLMobalyticsSelf-Distilled StyleGANSDXL馬淵浩希CygamesニューラルレンダリングRTFKT岡島学AWS SagemakerPLATONIKE映像セリア・ホデント形態素解析frame.ioClone XUXAWS LambdaFoodly村上隆誤字検出森山和道認知科学中川友紀子Digital MarkゲームデザインSentencePieceアールティSnapchatLUMINOUS ENGINEクリエイターコミュニティLuminous ProductionsBlenderBot 3バーチャルペットパターン・ランゲージ竹村也哉Meta AINVIDIA NeMo Serviceちょまどマーク・ザッカーバーグヴァネッサ・ローザGOAPWACULVanessa A RosaAdobe MAX 2021陶芸自動翻訳Play.ht音声AIAIライティングLiDAROmniverse AvatarAIのべりすとPolycamFPSQuillBotdeforumマルコフ決定過程NVIDIA MegatronCopysmith動画生成AINVIDIA MerlinJasperハーベストNVIDIA MetropolisForGamesパラメータ設計テニスゲームマーケットバランス調整岡野翔太協調フィルタリング郡山喜彦人狼知能テキサス大学ジェフリー・ヒントンGoogle I/O 2023AlphaDogfight TrialsAI Messenger VoicebotGoogle I/OエージェントシミュレーションOpenAI Codex武蔵野美術大学StarCraft IIHyperStyleMax CooperBingAIFuture of Life InstituteRendering with StyleIntelDisney類家利直FireflyLAIKADisneyリサーチヴィトゲンシュタインPhotoshopRotomationGauGAN論理哲学論考LightroomGauGAN2京都芸術大学Canvaドラゴンクエストライバルズ画像言語表現モデルChatGPT4不確定ゲームSIGGRAPH ASIA 2021PromptBaseBOOTHDota 2モンテカルロ木探索ディズニーリサーチpixivFANBOXMitsuba2バンダイナムコネクサス虎の穴ソーシャルゲームEmbeddingワイツマン科学研究所ユーザーレビューFantiaGTC2020CG衣装mimicとらのあなNVIDIA MAXINEVRファッションBaidu集英社淡路滋ビデオ会議ArtflowERNIE-ViLG少年ジャンプ+グリムノーツEponym古文書ComicCopilotゴティエ・ボエダ音声クローニング凸版印刷コミコパGautier Boeda階層的クラスタリングGopherAI-OCRゲームマスター画像判定Inowrld AIJuliusSIE鑑定ラベル付けMODTPRGOxia Palus大澤博隆Ghostwriterバーチャル・ヒューマン・エージェントtoio SDK for UnityArt RecognitionSFプロトタイピングSkyrimクーガー田中章愛実況パワフルサッカースカイリム石井敦銭起揚NHC 2021桃太郎電鉄RPGツクールMZ茂谷保伯池田利夫桃鉄ChatGPT_APIMZGDMC新刊案内パワサカダンジョンズ&ドラゴンズマーベル・シネマティック・ユニバースコナミデジタルエンタテインメントOracle RPG成沢理恵MITメディアラボMCU岩倉宏介深津貴之アベンジャーズPPOxVASynthマジック・リープDigital DomainMachine Learning Project CanvasMagendaMasquerade2.0国立情報学研究所ノンファンジブルトークンDDSPフェイシャルキャプチャー石川冬樹サッカーモリカトロン開発者インタビュースパコン里井大輝Kaggle宮本茂則スーパーコンピュータバスケットボール山田暉松岡 聡Assassin’s Creed OriginsAI会話ジェネレーターTSUBAME 1.0Sea of ThievesTSUBAME 2.0GEMS COMPANYmonoAI technologyLSTMABCIモリカトロンAIソリューション富岳初音ミクOculusコード生成AISociety 5.0転移学習テストAlphaCode夏の電脳甲子園Baldur's Gate 3Codeforces座談会Candy Crush Saga自己増強型AItext-to-imageSIGGRAPH ASIA 2020COLMAPtext-to-3DADOPNVIDIA GET3DデバッギングBigGANGANverse3DMaterialGANRNNグランツーリスモSPORTAI絵師ReBeLグランツーリスモ・ソフィーUGCGTソフィーPGCVolvoFIAグランツーリスモチャンピオンシップNovelAIRival PrakDGX A100NovelAI DiffusionVTuberユービーアイソフトWebcam VTuberモーションデータ星新一賞北尾まどかHALO市場分析ポーズ推定将棋メタルギアソリッドVフォートナイトメッシュ生成FSMメルセデス・ベンツRobloxMagic Leapナップサック問題Live NationEpyllion汎用言語モデルWeb3.0マシュー・ボールAIOpsムーアの法則SpotifyスマートコントラクトReplica StudioamuseChitrakarQosmoAdobe MAX 2022巡回セールスマン問題Adobe MAXジョルダン曲線メディアAdobe Research政治Galacticaクラウドゲーミングがんばれ森川君2号和田洋一リアリティ番組映像解析Stadiaジョンソン裕子セキュリティMILEsNightCafe東芝デジタルソリューションズインタラクティブ・ストリーミングLuis RuizSATLYS 映像解析AIインタラクティブ・メディアポケモン3DスキャンPFN 3D Scanシーマン人工知能研究所東京工業大学Ludo博報堂Preferred NetworksラップPFN 4D ScanSIGGRAPH 2019ArtEmisZ世代DreamUpAIラッパーシステムDeviantArtWaifu DiffusionGROVERプラスリンクス ~キミと繋がる想い~元素法典FAIRSTCNovel AIチート検出Style Transfer ConversationOpen AIオンラインカジノRCPアップルRealFlowRinna Character PlatformiPhoneCALADeep FluidsSoul Machines柿沼太一MeInGameAmeliaELSIAIGraphブレイン・コンピュータ・インタフェースバーチャルキャラクターBCIGateboxアフォーダンスLearning from VideoANIMAKPaLM-SayCan予期知能逢妻ヒカリセコムGitHub Copilotユクスキュルバーチャル警備システムCode as Policiesカント損保ジャパンCaP上原利之ドラゴンクエストエージェントアーキテクチャアッパーグラウンドコリジョンチェックPAIROCTOPATH TRAVELER西木康智OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者山口情報芸術センター[YCAM]アルスエレクトロニカ2019品質保証YCAMStyleRigAutodeskアンラーニング・ランゲージ逆転オセロニアBentley Systemsカイル・マクドナルドワールドシミュレーターローレン・リー・マッカーシー奥村エルネスト純いただきストリートH100鎖国[Walled Garden]​​プロジェクト齋藤精一大森田不可止COBOLSIGGRAPH ASIA 2022高橋智隆DGX H100VToonifyロボユニザナックDGX SuperPODControlVAE泉幸典仁井谷正充クラウドコンピューティング変分オートエンコーダーロボコレ2019Instant NeRFフォトグラメトリartonomous回帰型ニューラルネットワークbitGANsDeepJoinぎゅわんぶらあ自己中心派Azure Machine LearningAzure OpenAI Service意思決定モデル脱出ゲームDeepLHybrid Reward Architectureコミュニティ管理DeepL WriteウロチョロスSuper PhoenixSNSProject Malmoオンラインゲーム気候変動Project PaidiaシンギュラリティProject Lookoutマックス・プランク気象研究所レイ・カーツワイルWatch Forビョルン・スティーブンスヴァーナー・ヴィンジ気象モデルRunway ResearchLEFT ALIVE気象シミュレーションMake-A-Video長谷川誠ジミ・ヘンドリックス環境問題PhenakiBaby Xカート・コバーンエコロジーDreamixロバート・ダウニー・Jr.エイミー・ワインハウスSDGsText-to-Imageモデル音楽生成AIYouTubeダフト・パンクメモリスタ音声生成AIGlenn MarshallScenarioThe Age of A.I.Story2Hallucination音声変換LatitudeレコメンデーションJukeboxAIピカソVeap JapanAI素材.comEAPneoAIテンセントSIFT福井千春DreamIconDCGAN医療mignMOBADANNCEメンタルケアstudiffuse人事ハーバード大学Edgar HandyAndreessen Horowitz研修デューク大学AIQVE ONEQA Tech Nightmynet.aiローグライクゲーム松木晋祐東京理科大学下田純也人工音声NeurIPS 2021産業技術総合研究所桑野範久リザバーコンピューティングプレイ動画ヒップホップ対話型AIモデルソニーマーケティングControlNetサイレント映画もじぱnoteNBA環境音暗号通貨note AIアシスタントFUZZLEKetchupAlterationAI News粒子群最適化法Art Selfie進化差分法オープンワールドArt Transfer群知能下川大樹AIFAPet Portraitsウィル・ライト高津芳希P2EBlob Opera大石真史クリムトBEiTStyleGAN-NADA世界モデルDETRゲームエンジンDreamerV3SporeUnreal Engineクリティックネットワークデノイズ南カリフォルニア大学Unity for Industryアクターネットワーク画像処理DMLabSentropyGLIDEControl SuiteCPUDiscordAvatarCLIPAtari 100kSynthetic DataAtari 200MCALMYann LeCunプログラミングサム・アルトマン鈴木雅大ソースコード生成コンセプトアートGMAIシチズンデベロッパーSonanticColie WertzGitHubCohereリドリー・スコットウィザードリィMCN-AI連携モデルマジック:ザ・ギャザリング絵コンテUrzas.aiストーリーボード介護大阪大学西川善司並木幸介KikiBlenderサムライスピリッツ森寅嘉Zoetic AIゼビウスSIGGRAPH 2021ペットGPT-4ストリートファイター半導体Digital Dream LabsPaLM APITopaz Video Enhance AICozmoMakerSuiteDLSSタカラトミーSkeb山野辺一記NetEaseLOVOTDreambooth-Stable-Diffusion大里飛鳥DynamixyzMOFLINゲーム背景RomiGoogle EarthU-NetミクシィGEPPETTO AI13フェイズ構造ユニロボットStable Diffusion web UIADVユニボPoint-EXLandGatoアパレルAGIAI model手塚眞DEATH STRANDINGマルチモーダルAI ModelsEric Johnson汎用強化学習AIZMO.AIデザインMOBBY’SOculus Questコジマプロダクションロンドン芸術大学モビーディック生体情報デシマエンジンGoogle BrainダイビングインディーゲームSound Controlアウトドア写真高橋ミレイSYNTH SUPERAIスキャニング照明Maxim PeterKarl Sims自動採寸Joshua RomoffArtnome3DLOOKハイパースケープICONATESizer山崎陽斗深層強化学習ワコール立木創太松原仁スニーカー浜中雅俊UNSTREETミライ小町武田英明Newelseテスラ福井健策CheckGoodsGameGAN二次流通パックマンTesla BotNEDO中古市場Tesla AI DayWikipediaDupe Killerソサエティ5.0Sphere偽ブランドSIGGRAPH 2020バズグラフXaver 1000配信ニュースタンテキ養蜂東芝Beewiseソニー・ピクチャーズ アニメーションDIB-R倉田宜典フィンテック投資Fosters+Partners韻律射影MILIZEZaha Hadid Architects広告韻律転移三菱UFJ信託銀行NeRF

【GDC 2021】AIに身体を授けるためのアニメーション自動生成技術

2021.8.20ゲーム

【GDC 2021】AIに身体を授けるためのアニメーション自動生成技術

ビデオゲームにおけるキャラクターの動きは、アニメーションアセットという素材を組み合わせて作成されます。しかし、キャラクターモデルによって関節構造やコリジョン、環境は異なるため、同じアセットをすべてのキャラクターに適用できるわけではありません。

特に、多様な形状のパーツをカスタマイズできる3Dロボットゲームでは、必然的にアニメーションアセットの種類も増えてしまいます。このため従来のカスタマイズロボットゲームでは、アニメーションシステムとカスタマイズ機能を両立させるために、作中に登場するパーツデザインの種類を限定せざるを得ませんでした。

プロシージャルアニメーションという自動生成技術もありますが、従来の方法はアニメーションを変形させることで地形に沿った姿勢を形成するような仕組みであり、あらかじめアニメーションアセットが用意されていることが前提条件です。そのため、異なる関節構造を持つ複数のロボットにあわせてアニメーションを自動生成することはできませんでした。

このように、アニメーションの多様性とカスタマイズの自由度を両立させることは、ゲーム開発における大きな課題のひとつです。7月19日から7月24日までオンラインで開催されたGame Developers Conference(GDC 2021)にて、スクウェア・エニックスのAIエンジニア、並木幸介氏と森寅嘉氏による「メカアニメーションの完全自動生成」というセッションを取材しました。

このセッションでは、同社がGDC 2021で発表した「階層型タスクネットワークを使った動的環境におけるプランニングへの新たなアプローチ」と同じく、巨大ロボットが自律動作して戦闘する技術デモの中で関節構造からアニメーションを生成できる新たなプロシージャル手法MULS(Multi Unit Link System)が提案されました。

この技術検証には、胴体、右腕、左腕、脚部で構成されたパーツ交換可能なロボットモデルを使用。四肢の関節は1軸のみ回転できるものとし、それぞれに最大角度と最小角度が設けられています。つまり、プラモデルに使用されるような球体関節ではないということです。さらに関節構造と回転軸、それらの動作が常に目視できるように専用のGUIが用意されています。これにより関節の角度が制限に引っかかっているかどうかや、現在角度がRestingAngle(初期状態)より大きいか小さいかがひと目で確認できます。

モデルの関節構造からアニメーションを自動生成

3Dゲームのキャラクターに実装される基本的なアニメーションには、Walk(歩く)、Aim(狙いを定める)、Search(対象を探す)、Look At(対象を見る)、Look Around(あたりを見渡す)、Idle(じっとする)などが挙げられます。今回のセッションでは、その中からWalkとAimにフォーカスしています。

MULSにおけるWalkアニメーションの自動生成は、FootStepという足跡の座標を先に設置して、それらを順に踏ませることで実現しています。ここでのFootStepは、キャラクターの進行軌道上に沿って歩幅の半分ごとに記録したポイントから垂線を引き、歩隔の半分の距離に生成されています。この際に歩行コースが曲がっている場合は、外側の足の歩幅がパラメータ定義の歩幅を超えないように調整します。

これらFootStepに基づいて、IK(※1)ターゲットと呼ばれる足の軌跡を計算します。このIKターゲットと着地する足が一致するようにCCDIK(※2)を使って制御することで、歩行のアニメーションは成立します。

※1  IK :Inverse Kinematics、先端の位置から関節の位置や動きを逆算することで全体の構造を制御する仕組み
※2  CCDIK :Cyclic Coodinate Descent Inverse Kinematics、キャラクターの骨となるBoneを繰り返し動かすことで目標座標に近づける仕組み

この時、腰の位置は両足のIKターゲットの中間、腰の高さはパラメータで定義した範囲で上下するように設定されています。また、歩行の際に宙に浮いている足のIKターゲットは、各FootStepを結ぶ楕円軌道を描くように設定されています。ちなみにFootStepは足跡という意味ですが、ゲーム内では足を地形に合わせるために、FootStepはあえて地面から離れた高さに生成されます。つまり、厳密には足ではなく足首の上部、脛の辺りの軌跡ということになります。ロボットの足の形状によっては異なる関節構造が想定されるため、足そのものとは別々に制御する必要があるからです。

足の形状はToe(爪先)、Ankle(足首)、Heel(踵)に分割されており、足首は爪先と踵を連結しています。歩行の際は、これら3部位の動きを左右交互にサイクルさせることで姿勢を維持します。この時、爪先だけが地面に接している状態をExit、踵だけが地面に接している状態をStrike、爪先と踵の両方が地面に接している状態をPlantと呼称しています。つまり、右:Exit、右:Strike、右:Plant、左:Exit、左:Strike、左:Plantの順番で足の部位を動かすことで歩行する仕組みです。それぞれの足が宙に浮いている中間状態については、ポーズブレンディング(複数のポーズをつなげて動きを作り出すアニメーション管理手法のひとつ)で補完しているとのことでした。

Aimアニメーションは、現在のポーズであるStartPoseと、狙いを定めたポーズのGoalPoseをポーズブレンディングすることで実装されています。ただ、アニメーションアセットを使わずに武器をターゲットへ向ける既存のアルゴリズムは存在しないので、CCDIKをベースにしたAimIKというアルゴリズムを独自に開発したということです。簡単に説明すると、各関節について離れた場所にある銃口が目標へ向くような回転を計算することでターゲット座標へ銃口を向ける仕組みです。

しかし、今回の技術検証で使用しているモデルには各関節に最大角度と最小角度が設けられているので、動作開始時の姿勢によっては角度制限に引っかかってしまい、ターゲットを狙えないという問題も起こりえます。そこで手の方向や位置、それぞれの状態における各関節の角度を記録したAimDataをデータベース(AimDataBase)として保存。アニメーション生成前に手がもっともターゲットに近い状態をデータベースから探索して、その姿勢をAimIKの計算開始姿勢と設定することで、角度制限の問題を解消しました。

キャラクターAIの心身問題に対するひとつの答え

このようにモデルの関節構造からアニメーションを生成することで、あらゆるパーツを組み合わせたロボットモデルに適用できるのがMULSの利点です。また、 Bone(関節と組み合わせて骨格であるスケルトンを階層的に構成する部分)、Skinning(モデルとスケルトンを関連付ける作業)、Rigging(SkinningやIK設定など、アニメーションに必要な作業を包括した工程)が不要なため、モデリング作業を簡略化できるというメリットもあるということです。

一方で、課題も多く残っています。まず、Walkアニメーションの生成時にはフレーム(60分の1秒)毎にCCDIKの処理が実行されるので、CPUへの負荷も必然的に高くなってしまいます。FootStepを生成する際に実行されるRayCast(光線の反射からオブジェクト情報を取得する判定手段)も同様です。また、Aimアニメーションに使われるAimDataBaseは、腕部の関節が多くなるほど容量が膨れ上がるので、メモリコストの増大につながることが想定されます。

このほか、任意の姿勢を開発者側で選択できないという、アニメーション自動生成特有の悩みもあります。このため関節の回転角度範囲が広いモデルでは、想定していない姿勢をとってしまう可能性も考えられるといいます。同様にAimアニメーションの生成時に武器の傾きを制御できないので、不自然な持ち方で射撃するケースも出てくるかもしれません。

こうした課題を踏まえて、今後はあらかじめ姿勢をスコアリングすることで、最適なアニメーションを選択できる評価システムの実装を検討しているということです。また、四足歩行型や腕部固定型など、人型以外のロボットモデルにも対応できるようシステムを拡張していきたいとのことでした。

スクウェア・エニックスでAI開発チームを率いる三宅陽一郎氏によると、同社の別のセッション「階層型タスクネットワークを使った動的環境におけるプランニングへの新たなアプローチ」で発表した階層型タスクネットワークに関する技術と並行して、今回のアニメーション自動生成技術を披露した背景には、キャラクターAIの知能と身体をどう結びつけるかという長年の課題があったといいます。

前者がキャラクターAIの知能の部分だとすれば、後者がつかさどるのは身体そのもの。プランニング技術によって無限の思考を手に入れたキャラクターAIを、プロシージャル技術が有限のアセットに束縛された身体的な制限から解放してくれるというわけです。同社の2つのセッションには、そうした哲学における心身問題に対する、ひとつの解としての想いが込められています。

Writer:Ritsuko Kawai / 河合律子

RELATED ARTICLE関連記事

【CEDEC2022】アイデアとイノベーションの源泉、SF思考の最新動向

2022.9.26ゲーム

【CEDEC2022】アイデアとイノベーションの源泉、SF思考の最新動向

【CEDEC2019】汎用型ボードゲームAIの開発に向けたモリカトロンの挑戦

2019.9.17ゲーム

【CEDEC2019】汎用型ボードゲームAIの開発に向けたモリカトロンの挑戦

TRPGのゲームマスターを演じるゲームAIの探求

2020.3.30ゲーム

TRPGのゲームマスターを演じるゲームAIの探求

RANKING注目の記事はこちら