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高齢化社会に役立つロボットペットの市場価値と国内外の事例

2022.6.24先端技術

高齢化社会に役立つロボットペットの市場価値と国内外の事例

ロボットペットの代表格である1999年発売のAIBOは2006年に生産終了したものも、2018年に製品名をaiboに改めて再発売されることになりました。同ロボットの再発売には、2010年代に起こった第三次AIブームが影響しています。ロボットペットは、最新のAIを搭載することで進化したのです。本稿ではロボットペットの市場価値とその意外な可能性をまとめたうえで、国内外の最新ロボットペット事例を紹介します。

2026年には約9億ドルの市場

調査会社Technavioは2022年2月、ロボット型ペット犬(四足歩行型ロボットペット)の世界市場に関するレポートを発表しました。そのレポートによると、同市場は2021年から2026年のあいだに年平均成長率11.28%で成長して、2026年には9億1,433万米ドル(約1,200億円)の規模に達すると予想されています。

ロボット型ペット犬には、子持ち世帯が子どものために購入するイメージがあります。しかし、Technavioのレポートは同製品の消費層として高齢者層の存在を強調します。というのも、同製品には高齢者の認知症が進行するのを緩和する効用が期待されるからです。同製品が生き物の犬のように愛くるしく振舞うことで、認知症患者を刺激して症状が悪化するのを遅らせるというわけなのです。生き物の犬とは違い死ぬことがないことも、高齢者が購入するのを後押しする要因として指摘できます。

Technavioのレポートは、ロボット型ペット犬市場の成長阻害要因も分析しています。その要因とは、同製品のなかには高度なAIが搭載されることによって高額なものがあることです。例えばaiboは本体価格217,800円に加えて、3年間同製品を利用するために加入するベーシックプランとして年間99,000円(月払いだと月々3,278円)を支払わなければなりません。

ロボット型ペット犬市場を地域別に見ると、同市場の成長の35%が北米市場からもたらされます。また、高齢社会となる日本や中国も重要な市場となると予想されています。

猫型ロボットや卓上型ロボットがある海外事例

AIを搭載した進化型ロボットペットは、国内外で多数開発・販売されています。以下では、海外の事例を3つほど紹介します。

韓国に拠点を置くMacroactは、猫型ロボットペットMaicatを販売しています。生き物の子猫ほどの大きさと姿をしている同製品には、顔認識と音声認識が実装されているので飼い主を識別できるうえに、飼い主の表情や声の調子から感情を推測できます。20個のアクチュエーターが搭載されているので、生き物の猫のような仕草を見せます。さらに強化学習機能も実装しているので、さまざまな飼育環境に適応できます。また、同製品を駆動するニューラルネットワークは定期的に更新されます。

Maicatには生き物の猫と同じように活動と休息を交互に繰り返すバイオリズムがあり、充電ステーションでセルフチャージする時間も必要となります。

アメリカ・カリフォルニア州に本社があるZoetic AIが販売するKikiは、犬や猫を連想させる頭部をもつ卓上型ロボットです。卓上から移動することはありませんが置かれた場所で回転でき、豊かな表情を見せます。顔認識機能が実装されており、全方位聴覚なので同製品から見えない場所にいる飼い主を見つけられます。また、その全身はタッチセンサーに覆われているので撫でられた場所を認識でき、時にはお腹を撫でるような仕草をします。

Kikiで特筆すべきは、その学習能力です。出荷直後の同製品は、何も学習していない白紙の状態です。しかし、飼い主と過ごしているうちに個性が芽生えます。この個性が形成される仕組みは、心理学におけるビッグファイブ理論にもとづいて開発されました。

アメリカ・ペンシルベニア州に拠点を置くDigital Dream Labsは、卓上型ロボットCozmoを販売しています。同製品にも顔認識機能が実装されており、持ち主を識別できます。同製品と連動するスマホアプリからゲームを選んで実行すると、持ち主といっしょにゲームをプレイします。さらにはスマホから利用できる開発環境Cozmo Code Labを使うと動きを制御したり、プレイするゲームを開発できたりします。こうしたCozmoは、日本では玩具メーカーのタカラトミーが販売しています。

aiboやLOVOTだけではない国内事例

日本国内で販売されているロボットペットではaiboとLOVOTが有名ですが、その他にもさまざまな製品があります。以下では、そうした国内ロボットペット事例を3つ紹介します。

Vanguard Industriesが開発中のMOFLINは、毛で覆われた小動物を連想させるロボットペットです。2020年8月から9月にかけてKickstarterでクラウドファンディングを実施したところ、目標額の200万円を大きく上回る約6,500万円の資金調達に成功しました。

MOFLINには喜びや悲しみといった複数の感情を揺れ動きを制御する感情マップが搭載されており、環境の変化や飼い主の接し方に応じて独自の感情を抱きます。こうした感情は、鳴き声や動きによって表現されます。また、そのユニークなデザインが評価されて、CES 2021でBest of Innovation Awardを受賞しました。同製品は2022年8月の発売を目指しています。

株式会社ミクシィが販売しているRomiは、しずくのような形状の卓上ロボットです。同製品は持ち主との会話に特化したもので、卓上から移動できませんが会話に合わせて本体を揺らすことができます。同製品に実装された会話AIは、ミクシィが数千万の日本語データを使って訓練したものです。同製品は雑談ができるのはもちろんのこと、めざましとして機能したり、天気予報を教えてくれたります。Romiはその愛くるしいデザインが評価されて、2021年度のグッドデザイン賞を受賞しました。

ユニロボット株式会社が開発・販売しているユニボは、卓上に置くヒト型ロボットです。同製品にも顔認識が実装され、会話も記憶しているので持ち主の趣味や嗜好を把握できます。学習した趣味嗜好にもとづいて、持ち主に日常生活に関する提案をします。例えば、食事のメニューを提案したりします。

ユニボは、高齢者のユーザを意識した機能を実装しています。例えばユニボを見守りロボットとして活用すると、遠隔地に住む祖父母の様子を確認したり会話したりできます。さらにユニボが定期的に高齢ユーザに対して話しかけることで、こうしたユーザの認知症防止に役立ちます。声かけの内容は、季節や曜日によって変化します。

以上に紹介したようなロボットペットは、先進諸国で現在以上に高齢化・非婚化が進むにつれて、生活の伴侶としてその需要が拡大することでしょう。そして、近い将来、複数のロボットペットが協調する機能が追加されることで「ロボットペットの多頭飼い」も実現するかも知れません。

Writer:吉本幸記

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