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DALL-E 2とImagenの比較から見る高品質テキスト画像生成モデルの可能性とリスク
2022年4月、OpenAIは入力したテキストの内容を反映した高品質な画像を生成するAIモデルDALL-E 2を発表してAI業界に衝撃を与えました。その発表から約1か月後、グーグルはDALL-E 2と同様なテキスト画像生成モデルImagenを公開して大きな注目を集めました。本稿ではこの2つのモデルを比較しながらそれぞれの技術的な特徴をまとめたうえで、これらのモデルがもつビジネス的可能性と潜在的リスクを述べていきます。
DALL-E 2とImagenの共通点と相違点
DALL-E 2とImagenは、両方とも入力テキストからテキスト埋め込みを生成後、この埋め込みを参照したうえで拡散モデルを使って画像を生成しています。こうした処理におけるテキスト埋め込みとは、文字列であるテキストをその特徴を反映したまま数値情報に変換したものです。また拡散モデルとは、その特徴を強調するようにして画像を生成するモデルです。「拡散(diffusion)」という表現が使われているのは、このモデルのアルゴリズムにおいて、画像の特徴を抽出するためにランダムな点を無数に挿入して言わば「ノイズが拡散した」状態にしてから、そのノイズ状態から特徴を復元するためと考えられます。
DALL-E 2とImagenの相違点は、テキスト埋め込みを生成する処理にあります。前者はOpenAIが開発した任意の画像に対して適切なキャプションを生成する画像認識モデルCLIPを使っているのに対して、後者はグーグルが開発した大規模言語モデルT5を使っています。アーキテクチャに違いがある2つのモデルに関して、グーグルは画像生成能力を比較する実験を行いました。その結果、ImagenがDALL-E 2を上回っていることがわかりました。Imagenは、DALL-E 2が苦手としている文字列をふくんだ画像を適切に生成できたのでした。例えば以下の画像は「Text to Imageと書かれた店頭(A storefront with Text to Image written on it)」というテキストを入力して生成されたもので、左側4枚がImagenによって生成された画像、右側4枚がDALL-E 2です。
グーグルはImagenの性能を評価するなかで、テキスト埋め込みを生成する言語モデルのサイズを大きくしたほうが、拡散モデルのサイズを大型化するよりも生成画像の品質向上に貢献することも発見しました。この発見は、今後のテキスト画像生成モデル開発が言語処理部分を改善する方向に進展するかも知れないことを示唆しています。
アイキャッチ画像の自動生成などに応用可能
DALL-E 2とImagenのような高品質なテキスト画像生成モデルの誕生は、いわゆる絵心がない人であっても説得力のある画像を短時間で制作できるようになる未来を予感させます。こうした万人がクリエイティブなスキルを得られる時代に備えるべく、マーケティングにおけるAI活用を研究しているMarketing AI Instituteは2022年4月、テキスト画像生成モデルのビジネス活用事例について考察した記事を公開しました。その記事で挙げられている活用事例は、以下のようなものです。
- ブログ記事、電子書籍、ビデオ、ポッドキャストエピソードのためのユニークで魅力的なアイキャッチ画像
- ウェブサイトページやランディングページに使用する、ユニークで魅力的な画像
- 社内外で使用されるデジタルまたは印刷物のブランド担保のための画像
- すべてのデジタルアセットにおける複雑な情報、製品、またはサービスを説明するのに役立つ画像
- 広告クリエイティブで際立つアイキャッチ画像
- ブランディング、キャンペーンのアイデア、ビデオスクリプト、コマーシャルなどのブレーンストーミングに使えるモックアップ画像
- ロゴのモックアップまたは最終バージョン
- より複雑な画像生成プロジェクトにおいて、人間のデザイナーを鼓舞し導くためのモックアップ
以上に挙げた事例のほかにも画像制作が関わる仕事であれば、テキスト画像生成モデルが活用されるようになるでしょう。こうした事例から言えるのは、同モデルはクリエイティブ業界の産業構造や働き方を一変させるポテンシャルを秘めている、ということです。
ちなみに、日本語に対応したテキスト画像生成モデルが開発された場合、「ライトノベルの挿絵を自動生成する」「プレゼン用にいらすとや風のイラストを自動生成する」のような活用事例が考えられるでしょう。
バイアスや悪用のリスクへの対処
高品質テキスト画像生成モデルは産業や文化を変革する可能性を秘めている一方で、人の尊厳を傷つけたり悪用されたりするリスクがあります。というのも、これらのモデルが生成する画像には、時として文化、ジェンダー、宗教に関するバイアスがふくまれてしまうからです。さらには、悪意にもとづいて不適切な画像が生成される可能性も排除できません。
以上のようなリスクがあるため、グーグルはImagenを一般ユーザに公開するのを控えました。対してOpenAIは、招待ユーザにDALL-E 2を使ってもらってそのリスクを評価する評価運用を進めています。こうした評価運用については、その内容をまとめた文書がGitHubで公開されています。同文書では、DALL-E 2に潜在するリスクがさまざまな角度から論じられています。バイアスに関しては、例えば同モデルに「a wedding」というテキストを入力すると、西洋式の結婚式の画像が多数出力される一方で、神前結婚式のそれは出力されません。この事例は、同モデルが西欧の文化や価値観にもとづいて画像を出力することを示しています。
不適切な画像が生成される可能性に関しては、暴力的あるいは性的な画像を生成する可能性のある単語を入力不可とするフィルタリング処理を実装することで対処しています。しかし、この処理を回避して不適切な画像が生成される余地はあります。例えば、「ケチャップ」と入力すれば、入力されるコンテクストによっては流血のように見える画像を生成できます。
とくに悪用が懸念される各国の要人やセレブリティの顔画像の生成については、DALL-E 2開発段階でこうした人々の顔を生成できないように制限を加えました。もっとも、こうした制限を加えたとしても要人やセレブリティに似た顔画像を生成する可能性を完全に排除できたわけではありません。
DALL-E 2が発表された直後の2022年4月7日、OpenAIのCEOを務めるサム・アルトマン氏は同モデルについて所感を述べたブログ記事を公開しました。同氏は同モデルを「私たち人間ができることが、特定のスキルではなく良いアイデアによって限界づけられる世界の一例」を実現するものと絶賛する一方で、安全な活用のためには評価運用が不可欠とも強調しています。そして、2022年の夏ごろには製品版を一般ユーザに公開する予定とも述べています。製品版DALL-E 2が一般公開される頃には、同モデルのリスクを許容範囲に緩和にできる運用体制が整っていることでしょう。
以上に解説した高品質テキスト画像生成モデルが実用化されると、一部のクリエイティブなタスクが代替または自動化されることでそのタスクに関わる雇用が消滅する一方で、全く新規かつクリエイティブなタスクとスキルを必要とする新たな雇用が生み出されると考えられます。こうした事態に対処するには、AIとクリエイティブな共創関係を築くのが得策なのではないでしょうか。
Writer:吉本幸記