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AIとバーチャルアイドルが出会う時:齊藤陽介氏×森川幸人氏 対談

2019.5.27ゲーム

AIとバーチャルアイドルが出会う時:齊藤陽介氏×森川幸人氏 対談

モリカトロンAIラボの所長、森川幸人がホストとなり、さまざまなゲストの方からエンターテインメントとAIの最新情報についてお話を伺うモリカトロンAIラボインタビュー。今回お招きしたのはスクウェア・エニックスのプロデューサー齊藤陽介さんです。

齊藤さんは『ドラゴンクエストX オンライン』(2012年、スクウェア・エニックス)『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』(2017年、スクウェア・エニックス)や『ニーア オートマタ』(2017年、スクウェア・エニックス)といった大作のタイトルのプロデューサーを務め、2018年4月にはスクウェア・エニックス発のアイドルグループ「GEMS COMPANY」をプロデュースしたことでも話題を呼びました。そんな齊藤さんは20年前に森川さんが手がけたAIゲーム『アストロノーカ』(1998年、エニックス)のプロデューサーでもあることから、ゲームとAIには浅からぬご縁があります。昨今のAIブームにも興味津々のようです。

ゲームプロデューサーがアイドルプロデューサーになった理由

森川幸人(以下、森川):今回「GEMS COMPANY」を立ち上げられたということで、齊藤さんがゲーム以外のお仕事を始めたことに驚きました。

齊藤陽介(以下、齊藤):もともと数あるエンタメの中でもゲームだけに強いこだわりがあったわけでもなかったんですが、技術的に最先端を行っているゲームというエンタメで培ったものを比較的近い領域で形にしたいと思い、「GEMS COMPANY」というアイドルグループを結成させました。そうすることで、スクウェア・エニックスという会社が新しい取り組みをしていることを対外的にも見せたいと思ったんです。

森川:齊藤さんの頭の中にそのアイデアの種が浮かんだのはいつ頃ですか?

齊藤:2014年にニューヨークで開催された初音ミクのライブ「HATSUNE MIKU EXPO 2014 IN NEW YORK」をYouTubeで見たのがきっかけでした。ボーカロイドキャラクターの女の子がライブをしているのを、何百人や何千人のアメリカ人たちがペンライトを振って観ている。あの光景を見た時、「ああ、すげえ時代だな」と思いました。そして、これをリアルタイムでできる時代が近いうちに来るはずだとも思ったんです。キャプチャーをリアルタイムで反映させる技術が徐々に実装に移され始めていましたから。

ちょうど『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』(2017年、スクウェア・エニックス)がマスターアップするくらいのタイミングだったので、スタッフたちと今の技術でどこまでできるかを試してみたところ、ライブで観客とコミュニケーションが取れる状態にまで持っていけそうだなと判断しました。そこから半年くらい検証をし続けながら並行してオーディションもして、2018年の4月からGEMS COMPANYをスタートしました。最近はネタで「アイドルプロデューサーです」と言っています(笑)

森川:初音ミクは僕にとっても衝撃でした。初音ミクが出る4年前に自動生成した演歌をくまが歌う『くまうた』(2003年、ソニー・コンピュータエンタテインメント)というゲームを作ったんですが興行的にさっぱりだったんです。それで後から初音ミクを見た時に正解はこっちだったと思いました。

齊藤:まずビジュアルですね(笑)

森川:「くまじゃねえだろう」というのに加えて「演歌じゃねえだろう」と(笑)。ああ、僕はなんて商才がないんだろうと思いました。だから初音ミクを見た時、齊藤さんとはまったく別のところで僕もすごくショックだったんです。ホント、今思うと誰か止めて欲しかったですけどね。

齊藤:でも当時は、それが許されるマーケットでもあったという気がしますけどね。

森川:特にプレイステーションが立ち上がってしばらくの間はそうですよね。ゲームクリエイターに対して「作家」という言い方をソニーさんがしていて、おだてられて木に登っていた感じがしますよね。

齊藤:マーケットの変化もありますが、あの時代と比べるとゲーム開発はどんどん規模が大きくなって、100人や200人のチームで作るのが当たり前になってきました。でも今はそういう体制がありながら、その逆にUnityやUnreal Engineといったツールで色んなことをカバーできるようになっているので、また少人数でも新しいエンタメを作れる時代になっている気がします。ましてやVTuberなんて一人でもできる。ツール上で自分好みのキャラクターを作って、スマートフォンかPC+Webカメラ1台と内蔵マイクで配信できます。映像編集ソフトも昔に比べれば圧倒的に安いし、無料のものでも十分じゃないですか。

森川:制作だけじゃなくて配信までできるようになったのがすごいですよね。

転移学習は『がんばれ森川君2号』の究極系?

齊藤:AIは学術的な領域ですが、その学術的なAIをエンタメにすることを森川さんが最先端でされていること、『アストロノーカ』が20年経った今でも、ゲームAIの良い参考事例として語り継がれているのが俺としても嬉しいです。

森川:日本で学術論文に載っているゲームの少ない例ですよね。『アストロノーカ』を作っていた頃はAIがゲーム業界の中で全然認知されていませんでしたが、20年経ってから急にブームが来ました。

齊藤:俺はまだAIで何をできるのか把握していないんですが、AIは本当に面白いテキストや物語を書けるんですか?

森川:物語まで全部書けるようになるには、とんでもない革新的な発明があと1個か2個必要になりますね。

齊藤:最近AIに人物画を描かせて、誰から見ても直感的にすごいと分かるものができているじゃないですか。

森川:あれはGAN(敵対的生成ネットワーク)というモデルなんです。今世の中ではディープラーニングばかりが話題になっていますが、後世の歴史から振り返るとGANの発明が最大の発明になるんじゃないかなと個人的には思ってます。今はまだ画像くらいですが、それこそYouTuberじゃないけど、ニュースキャスターを作ることもできます。冗長な文章はまだ話せませんが、ニュースみたいにフォーマットが決まっているものはいくらでもできます。だから、齊藤さんがYouTube番組でどこかを非常にディスっていたみたいな話をねつ造することだってできちゃう。

齊藤:こわっ!

森川:こちらが中国のAIニュースキャスターです。音声合成もキャラクターもAIが作ります。また、ディープラーニングを活用して偽の原稿をその人がしゃべっているように見せる「ディープ・フェイク」という技術もあるので、こういったAIアナウンサーがあらぬことを言った時、その内容が本当か嘘かを判断するのは、とても難しい。ディープ・フェイクはリップシンクなんかもすべて再現できるので、見ただけだと分からないわけです。これはGANによるAIのダークサイドを見せてくれた事例でもあると思います。

齊藤:これはヤバい…。めっちゃ興味があります! ネガティブキャンペーンをイメージしちゃうとそうですが、自分が寝ている間にポジティブなものをばらまき続けてくれることもできると考えれば、それはそれでハッピーですね。

森川:そうなんです。齊藤さんがおっしゃっていることは、AIのライトサイドですね。GEMS COMPANYは12人ですよね? あれって自分たち主導でやっているんですか?

齊藤:そうです。生で放送をしているときは彼女たちが自分たちで考えたことを話しています。もちろんスタッフと相談して、内容を決めていることもありますが。これがAIでできるようになったら楽ですよね。今の技術でもAIであのレベルのものができるんでしょうか?

森川:3年後にこの話をしていたなら「できます」と言えました(笑)。でも時間の問題だと思います。今でもそこまで精度が求められない短文での会話をするだけなら大丈夫です。あと、今だとおそらく視聴者全員に対して同じ内容を話していると思いますが、何が受けるかのユーザーごとの違いを学習すれば、各ユーザー向けに引っかかることを言うキャラクターを作ることもできるはずです。

齊藤:でもそこには多少ノイズも必要ですよね。あまりにもきれいなことばかり言ってしまうと、人間らしくなくなりますから。あとセリフを噛んだり目が泳ぐといった仕草からも人間らしさが出てきます。日本語の発声ってどうなんですか? ちゃんと人間が発声しているように聞こえますか?

森川:イントネーションはずいぶん良くなっています。ニュースや天気予報のように本当に平易にしゃべっているだけだったら全然区別はつかなくなりました。

齊藤:母音だけ音声データとして入力しておけば、子音の音と混ぜて作れたりしますか?

森川:音声分解をして後で再構成をするのが初音ミクくらいまでの技術だったのですが、今はもう全然違います。ここにマイクを立てて好きなように30分くらいしゃべっていただければ、そこから齊藤さんの声の特徴抽出ができます。だから極端な話、AI黒柳徹子なんかも作れちゃうんです。あれだけ大量の番組のデータがあるので。

齊藤:本人の稼働がなくていいって素晴らしいですね。一人くらいGEMS COMPANYのメンバーを増やすので、AIを使って教育してください(笑)。ところで今技術的に直面している課題はどんなものがありますか?

森川:音声の合成もモーションの自動生成もできるようになりましたが、長文で話したり人間とちょっと込み入った会話をすると、すぐにボロが出るんです。人間の会話って実はものすごく高度です。例えば「ペンを持っていますか?」と訊ねたとすると、齊藤さんは今一瞬「今持ってるよ?」と思うでしょう?人間なら「この聞き手は何かを書きたくて、そのための筆記具を貸してくださいと言っているんだ」ということを直感的に読み取れるのですが、AIはまだそれができず、「ペンを何本所持していますか?」という質問だと理解してしまいます。

齊藤:ユーザーがVTuberに投げかけるような「かわいいね」とか「面白いね」とか「昨日良かったよ」というコメントに対するリアクションくらいだったらできますよね。音声データをリアルタイムで作れる時代になっているんだったら、Siriのような音声アシスタントも、より身近で親密な感じが出せそうです。

森川:そうですね。ただ対話型AIエンジンに関して言うと、日本語は本当に難しいんです。主語を平気で外しちゃうし、複数語もない。書き文字にしたときに単語をスペースで分けてくれるわけでもないので、音だけで聞くと「ここでは着物を脱いでください」と「ここで履物を脱いでください」の区別がつかないんです。そういうこともあって特に日本語の場合、言語系のAIってものすごく難しいんです。

齊藤:VTuberが放送時間と話すテーマだけ決めてセットしておけば、勝手に放送してくれる時代になったらすごく楽です。最近はシナリオライターの人たちから、AIで面白いと思えるシナリオを作れる時代になってきたという話が出てくるようになってきたので半信半疑で聞いていましたが、単発であれば、ちゃんとしたものまで作れるということですね。人間が用意したマトリックスの中にあるワードの抽出や用意されたテキストデータの羅列ではなく、勝手に言葉を作ってフィードバックするレベルまで現状の技術でできる。

森川:それに対してユーザーが面白かったとか面白くなかったとか反応することで、例えば「こっちの下ネタの方が食いつきいいぞ」とウエイトを変えるとか、そういう学習も自動的にできるようになります。

齊藤:そういうエンタメならスクエニでやったほうが面白いですよね。やりましょう。クラウドに置いておけば、すごいスピードで学習しますもんね。ひどい性格になっていく可能性もありますが(笑)

森川:転移学習は僕らとしてもやってみたいんです。齊藤さんの頭の中にあるノウハウを他の人に移植するということですから。

齊藤:俺よりも優秀な”俺”が作られるわけですよね。頭の中のタンスから引き出すワードのスピードはたぶんAIの方が速くなるでしょうから。

森川:しかも物忘れしない40代の頃の自分のバックアップを作ったり(笑)。転移学習は今一番ホットな所なので、できるのは時間の問題でしょう。従来のゲームの話ではなくなってしまいますが、エンターテインメントという部分では革新的だと思います。

齊藤:でも今の話って『がんばれ森川君2号』の究極系じゃないですか。

森川:それはやらなくていい(笑)。ただ、楽をするためならどんな努力でもするぞという、基本的なコンセプトは近いですね。そういう点では本当に願ったり叶ったりなんです。

人の潜在意識を可視化するディープラーニング

森川:齊藤さんとしては、この先はどんなことを考えているんですか?

齊藤:今のAIの話を聞いて、バーチャルな生物にAIを実装させて自分で学習するように放置をした時、どういう結果になるかを見てみたいと思いました。

森川:みんなで育てるのもいいですよね、ユーザーを巻き込んで。「まだお前機械っぽいぞ」とか「人間はそんなことしないんだ」とか言いながら。ただ、AIはデッキやパーティーの最適化は得意中の得意なんですが、人間が何を面白いと思っているかを理解するのが苦手です。面白いって何? という話になると、まだ人間に敵わないと思います。

だから候補をたくさん出すのはAIがやったとしても最後に選ぶところは人間がやっていくことになるような気がします。またユーザーの好みをパターン化することもできます。例えば齊藤さんは女性の好みが全方位だと思っていたとしても、実は本人にもうまく説明できないような好みの偏りがあったりします。そういうものを抽出するのは特にディープラーニングが得意とする所です。

齊藤:気付きを与えてくれるということですね。すごい。

森川:ディープラーニングは潜在的なパターンを見つけ出す能力がものすごく高いんです。グーグルが猫の画像をAIに識別させた際の特徴抽出なんかもそうです。「猫の特徴は?」ということを箇条書きするのは人間でも大変ですが、ディープラーニングは猫を猫と識別するための特微量を的確に抽出できます。

齊藤:そういうことは明らかにコンピュータのほうが強そうですね。

森川:人間それぞれの好みなり考え方の傾向の特徴を自動的に見つけだしてくれる機能は、あらゆる仕事にも関わるし面白いネタになりそうじゃないですか。ゲームでもユーザーの好みを検出できるようになると随分カスタマイズ化されてくるような気がします。ユーザー動向を、例えばアンケートなんかでリサーチしようとしても、人間って正確には書かないですもんね。見栄なんかもあるから。やっぱり挙動とかそういうことからその人の本当の心理状況や真実を見破らなきゃいけない。これからはそっちのノウハウが欲しいですね。

齊藤:ゲームの中の刺激をどう緩急を付けるかの判断も難しいですよね。人間はずっと幸せなことがありすぎると幸せを幸せと感じない。たまに悪いことが起きた方が道端に咲いてる小さな花を見た時に幸せを感じるみたいな。

森川:本当に人間って面倒くさいですよね。AIのことは置いておいても、そのようにユーザーが今どういう状況にいるかは把握したいところです。そのためのノウハウは、まだないんですよね。もうちょっと人間の細かい感情の機微や飽き具合とか、そういうのはもっと微妙な所で出るはずなので、拾っていけるいいですね。

齊藤:今日はすごく興味深い話を伺いました。ゲームにおけるAIの可能性が、これまでよりも少し上のレイヤーで現実になりつつあることが分かりました。

森川:ゲームはそういう意味でAIの研究の場として非常に相性がいいと思うんです。例えばロボットに実装させるための研究や実験をするにしても、実際の世界ってノイズだらけですし、肝心な頭脳の研究の前にやらなきゃいけないことが山積みになってしまいます。ゲームの環境はノイズが少なく好き勝手都合のいい世界を作れますし、いざとなればすべてのデータが取れます。ぜひ何か一緒にやっていければと思います。

齊藤:GEMS COMPANYで分かっていただいているかと思いますが、面白いことが大事であって、ゲームじゃなければダメとは思っていません。なので一緒に面白いことをやりたいですね!会社から「齊藤には余計なことをやらせないほうがいい」と言われるまでは余計なことをし続けようと思っているので!(笑)

森川:こちらこそよろしくお願いします。

齊藤陽介|YOUSUKE SAITO

株式会社スクウェア・エニックス取締役兼執行役員。

『アストロノーカ』がコンシューマゲームのプロデュース第1作目。「ドラゴンクエスト」シリーズでは、2012年に発売した『ドラゴンクエストX オンライン』、2017年に発売した『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』でプロデューサーを務め、「ニーア」シリーズのプロデューサーも兼任。2010年に『ニーア ゲシュタルト/レプリカント』を、2017年には『ニーア オートマタ』をリリース。2018年に発表されたアイドルグループ「GEMS COMPANY(ジェムズカンパニー)」のプロデューサーも務めている。

Editor:高橋ミレイ

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